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社団法人昭和経済会

理事長室より
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理事長室より

VOL.23.9

  九月の初秋入り

  猛暑続きのこのところ、しきりと言われているのが地球的規模の気候変動、異常気象である。連日のごとく38度を超す異常な高温に、日本だけのことかと思っていたらさにあらず、地球上の各所にこうした異常気象が起きて、乾燥地帯の拡大や、山火事の猛威が人命を襲ってきている。更には海水の温度の上昇によって北極圏の氷山の大規模な氷解が水位の上昇をもたらし、生物への深刻な影響をもたらしてきているし、結果、漁業への打撃も深刻である。
人間の経済社会の活発な活動が起因して、二酸化炭素の排出による地球温暖化が叫ばれて久しいが、その間、人間のわずかばかりの、しかし良心的な英知と努力を発揮して、エネルギーの化石燃料による依存度は軽減されてきているものの、依然として高い水準にあって改善の効果が出ていない状況である。太陽光発電、風力発電といった技術開発の促進が尚もっと進化した、水素の効率エネルギーの開発や、核融合による発電が期待されるゆえんである。容量の大きく効率的な蓄電池を考案して電気をため込み、今、手っ取り早く、地球上を襲っている猛暑の力を借りて、無限の熱エネルギーに転用できないか、思案するところである。 9月1日

  東京電力は福島第一原子力発電所にたまる処理水について、海への放出に向けて大量の海水を加えてトリチウムの濃度を測定した結果、データーを確認して24日午後1時10分に放出をかいしした。あれから一週間が経過したが、事前に周到な準備を行ってきただけに国際的反発は軽微にとどまって、概ね科学的証明と説明が理解されるところとなっている。但し中国の反発を抑えることができず、苦慮して老いるところである。中国政府は、処理水の放出開始と同時に、日本からの漁業品の輸入を全面禁止すると一方的に通知して、一週間が経過して、日本へのその影響が深刻度を増してきている。
 
  事故の発生から12年余りを経て、懸案となってきた処理水の処分が動き出したが、放出の完了には約30年という長期間が見込まれ、当初から安全性の確保と風評被害への対策が課題となってきたところであるが、処理水をめぐっての科学的根拠が中国政府に理解されないまま来てしまったことは甚だ遺憾である。

  福島第一原発では、事故の直後から発生している汚染水を処理したあとに残るトリチウムなどの放射性物質を含む処理水が、東電の敷地内で1000基余りのタンクに保管され、容量の98%にあたる134万トンに上ってきてしまっている。日本政府は処理水について基準を下回る濃度に薄めた上で、さら大量の海水と混ぜ合わせた処理水を「立て坑」と呼ばれる設備にためた上で、トリチウムの濃度を確認してきている。

  東電の説明によると放出作業は、原発内の免震重要棟という施設にある集中監視室から遠隔で行われ、作業員が画面を操作してポンプを動かし、処理水を海水と混ぜたうえで「立て坑」に流し込んでいる。そして、「立て坑」からあふれ出ると、沖合1キロの放出口につながる海底トンネルに流れ込んで海に放出されると。主とした魚介類は、沖合一キロあたりまでの海域に生息、養殖されているはずで、漁業者の生活活動の商業海域は沿海に限られて、せいぜい最大で5キロまでの海域と思われる。なぜもっと沖合にまで海底トンネルを延ばしきれなかったか、素人考えで恐縮だが残念に思うところである。仮に排他的水域の22,2キロの領海内すれすれまでに延ばしているとしたら、海、水産物への懸念や、漁業者へのダメージをなくし、あまつさえ風評被害など起きるまでもないことかと思われる。

  今回の放出は、7800トンの処理水を海水で薄めた上で17日間の予定で連続して行うとしていて、今年度全体の放出量はタンクおよそ30基分の3万1200トンを予定しているということである。ただ、処理水が増える原因である汚染水の発生を止められていないことや、大量の処理水を一度には放出できないことから、放出期間は30年程度に及ぶ見込みで気の遠くなるような時間であるが、長期にわたって安全性を確保していくことが重要な課題になってくる。 9月1日

大湊沖のまさおの海原に月煌々と照らす夜かな

音もなき海原遠く澄み渡り月の夜青く秋近きかも

処理水の流れる音の無に近きトリチウムの色見分け能はず

東電の敷地いっぱいに処理水のタンクを数ふまぼろしの人

ALPSで処理した桶に出目金を入れて長寿を確かめて見ん

処理水をコップに入れて長きこと飲むは長寿の秘訣なりとも

処理水を水槽に入れその中に金魚を入れて確かめて見ん

東電の社長を含め役員が処理水を呑み異常なきとも

トリチウムの含む海水を長生きの秘薬と売りて財を成す人

無害なる処理水なれば沖合の領海内に吐き出すもよし

水を吐く音の気色の美しきホタテの息の健在なりき

貝殻の命の音を擦り鳴らしホタテの歌ふ恋の歌かな

漁民らの命がかかる海の幸この先なんぞ手に収めんと

おおみなと海の岸辺にたたずみて沸き立つ秋の雲を見るかな

沖合の一キロ先にあふれだ出す処理した後の水の音とは  

処理水を飲んだり出したりして生きるホタテの貝の息の音かな

以前よりホタテの貝の擦る音の聞こえの妙に響く月の夜

月の夜を静かに泳ぐ白き影クラゲの群れに安きあらまし   9月1日

何億光年、何兆光年と謂う壮大無窮の、時空を超えた大宇宙の存在を思料したら、人の命などとるに足らないものだが、しかし人の命はむしろ時空に限定された存在を知ることによって貴いものと意識されてくるものである。天地創造の、全知全能の神の実在を思いあがめ、限られた人間の命の中で、神に寄り添って善業を行い、他者への思いやりを以て、人命、人としての一生を全うしていこうと願っている。人間というこの生き物、虫の居所が悪く、神のご遺志に逆らって悪行を働く時が度たびあることは残念である。小さくは、恨み、そねみ、やっかみ、羨望、昂じては欲望という名の列車こそが恐ろしいたくらみである。

初なつの緑のなかに夫会長堂々と述ぶ日韓関係

花道に合ふ石破氏の講演会 威風堂々に夫氏のおさまる

花道となる夫会長の職責を果たし王道の先を目指して

北朝鮮ミサイル発射実験に恐怖のつのる対馬海峡

独裁者金正日のいつの日か和解の握手をいたす日を期し


夏さかる日照りに木下影を追ふ身にも熱風の容赦なく吹く

とんかつの幟りの夏至の空高く太平楽の屋号よろしき

このあたり藤代さんの宅ありて今病院に居りて逢えずも

若きころ宝塚にて男装の麗人を演ず時もありなむ

気品ある素振りにおのずと若き日の面立ち巡りうわさ絶えざり

家屋敷継ぐ人もなく遠縁のなにがしかにて頼る身にとも

ひとりにて不安にあれば緊急時家内に知らすことにてありぬ

体調の不良にて直ぐ家内にも消防署より報せありけり

突然に襲う病ひに病院に搬送されし身にてその後は

面会も能はずむなしベッドにてひとり伏せるは言の葉もなき

昔撮る写真に見とれ華やかに踊る麗人の今はいづこに

艶やかに思いを託し和歌を詠むその人柄の胸にとどめり

宝塚舞台にも立つ麗人にあれば老ひてもありしおもかげ

見舞いにも家内と行くも面会の能わずメモリて帰えり来るなり


一生に一度の出会ひの尊さを一期一会と申すいみじき

一生を通じて師をば得たとして付き合ひゆくも楽しかりけり

欲を絶ち色即是空と喝破して僧侶の道を踏むも是なるや

花は咲き水をたたえることわりを無窮の宇宙に置きて妙なり

一歩踏む足もとに咲くたんぽぽのさけて命の尊っときを知る

相まみえ友をば送る道のべに咲くたんぽぽの何と明るき

寂しさに宿立ち出でて眺むれば傾むく夜半の月の影かな

三ヶ月の桃の花咲く枝に居て今しも花の一つ舞ひけり

さみだれの音きく夜は仮寝して奥の細道読みてすぎけり

三日にて終わると云ひしウクライナ戦争の早や五百日過ぐ

その間の人の命の無惨にて人の別離もけだし悲しき

ワグネルの連隊長が勇敢に謀ほんを起こすロシア帝国

国内の軍隊同志の対立にプーチン政権の危機の様相

罪のなき善良な冠者が死んでゆく激戦の地に国の為にと

戦ひの犠牲となりぬ若者ら昔の日本の国体に似て

起ち上がれ祖国の自由と平和の日めざして解放の為に戦へ

戸惑ひぬいずれを優先すべきかと国家と個人の尊厳に就き

個にありて国家があるを認識し全体主義を嫌ふわれなり

詩を詠む君死に給ふなかりけり必ず生きて帰り来むとや

長じては人を忌避する身とはなる大内先生の生きざまに見ん

甚大な戦禍のあとも生々しウクライナの地に戻せ平和を

復興に立ちあがる日の今よりも戦車と砲火の犠牲を阻止せん

感謝して日本の平和と自由の火絶やさず世界に灯せ明日へと

日本国憲法の前文に惚れて読む国際平和の確立もまた

戦場に送る息子と知りながら育てし親はいづこにもなき

徳川ミュージアム友の会の創立二十周年を記念した会が、都心の霞が関ビル34階の宴会場で盛大に開かれた。ご同慶の至りである。コロナの感染でしばらく途絶えていたが、四年目にして一同か親しく顔を合わせて歓談する機会となった。昭和経済会が日頃お世話になっていることもあり、当会から山本事務局長が祝意を表して出席した。小生は家内を伴って、又息子夫婦は、徳川さんご夫妻とは友人として出席した。娘はこの日、終日会社での人事の採用面接などがあって出席できなかった。出席すれば、久しぶりに家族が一堂に会する機会となったはずで残念である。祝賀会が終わった後は帝劇で観劇したいと思っていた。

 当日に心配されていた台風13号は東海、関東地方を襲って上陸すると思われていたが、上陸したものの、幸いなことに途中から熱帯低気圧に変わって力を弱め、関東北部を通過して太平洋上に消えていった。勢力を失ったものの、大量の雨量を各地にもたらし、河川の氾濫や、家屋の浸水などをもたらしていった。所謂、線状降水帯と称する雨雲が各地で盛んに発生した。特に北茨城、栃木の北部がひどかった。異常気象のもたらす、一種の新しい雨雲の形態である。
 前日の生じた被害はともかく、二十周年を祝う今日は朝から好天に恵まれ、足元の悪さを避けることができた。息子が拙宅まで車で迎えに来てくれた後、再び目黒に出、花房山のマンションで息子の上さんを乗せてから高速にのって霞が関まで快走した。休日とあって都心は混雑もなく、人影もなく、森閑として独特、異様な感じさえした。
  受付時間の11時までに間があったので、変貌する大都会の一端を見て回った。巨大なビルは、地下に入ると何層にも重なる広大な駐車場となって、沈黙の世界であり、あたかも無機質の世界に飛び込んだ感じである。それが周辺の駐車場と地下でつながっているようにも思えるから異様である。いくばくかの時間を体験に費やし、地上に出てホテルオークラの前に出、アメリカ大使館脇の霊厳坂を通っているときには安どしてほっとした気持ちであった。林立する高層ビルの、まさに谷間を通過するようなものである。車で流れるように通過するので、気分は爽快である。 

  徳川御三家のうちの一つである水戸徳川の歴史については、ここで論ずるまでもないが、現在の当主は十五代目に当たる徳川斉正氏である。温厚実徳な人格者である。祝賀会の席上、徳川氏を中心にして、十五代目の会というのを作ったそうである。何の会かはっきりしないが、古く続いていることを以てしてもそれ自体が深い意味があり、何かにつけて特異な存在としてつまみ出されたりして面白いと思っている。なんでも十二、三人いるそうである。家系を手繰っていくと、ご先祖様の中には様々な時代を駆け抜けていった人たちが浮かんできたりして、今に生きた人生模様となって役立つかもしれない。十五代目の人たちはどのようにして家系を継いできたか、それぞれの職場と生活を維持してきたか、今のご自身の経験談を含めてお聞かせいただくとありがたいと思っている。地方の豪族がいたりして、非常に貴重な人生体験であろう推察するのである。

意義深く開く徳川ミュージアム創立二十周年の秋

寿ぎて開く徳川友の会嵐のあとの光る秋の日

顧みる古くよりある刀剣の名作に見る魂のあと

徳川の森深くきて弥栄のひかり差し入り迎ふ朝かな

いふなれば日本三景の一つにて水戸偕楽園の誇り高きも

今は無き五軒小学校の跡地には美術館が建ち塔が立つなり

木造の二階建ての校舎にて美術の富永先生が居り

なにがしか彼の時綴る思い出の富永先生の熱きおもかげ

B29最初の焼夷弾投下にて五軒小学校の目印とはなる

爆発と炎が同時に身辺に起きて一目散に逃げたり

父につき後に従ふはらからの神のご加護にありて無事なり

東京の空襲に遭ふ父なれば我らに生かし水戸に於いても

丸々の焔火の中を突き進む先頭に立つ父の勇士よ

いくばくの遠距離にあるスペースに空幕の世の在りて果てなき

新しき世界を見つけたりという無限の果ての又その果てに

ててははの愛情のもとこれまでに大きく成りて顧みるかな

偕楽園より千波湖を見下ろして梅の香りのいまだ漂ふ

好文亭より千波湖を立ち眺めときめく秋のころとなりけり

徳川の森より聞こゆかっこうの声に目覚めて眺む朝の日

あめつちに豊穣の秋おとずれて喜びみつる大和まほろば

好文亭に寄り東湖の詩に触れおのずから湧く正大の気

友ら来て互ひに信を分かち合ひ栄の道を行くは佳きかな

豊穣の時を迎へてあめつちの栄へと平和の時に臨まん 9月9日


ならず者同士が結託

かねてから計画していた北朝鮮のロシアへの訪問が実現した。そしてロシアのウラジーミル・プーチン大統領と、北朝鮮の(キム・ジョンウン)朝鮮労働党総書記による首脳会談が13日、ロシア極東の地で行われた。ロシア極東地区のアムール州にあるボストーチヌイ宇宙基地に13日午後、正恩氏を乗せたグリーンの長い特別列車が到着した。人を待たせて平気で傲慢なプーチンだが、その「遅刻魔」と知られプーチンが、今回ばかりはでぶっちょの金正恩を仰々しく出迎えるといった有り様に成り下がって、おねだり、お願いの優劣攻守を変える立場となった。

  ロシアはウクライナ侵攻からすでに一年六か月余が経過し、軍事、経済両面で多大な消耗を繰り返してきて、疲労困憊の様相である。ウクライナ侵略の長期化に伴って兵器不足に陥るロシアは、なりふり構わずの体で北朝鮮から支援を獲得しようと異例の厚遇で「蜜月」を演出した。しかし、北朝鮮からの軍事的支援は国内経済の疲弊から数々の問題が指摘され、効果は限定的との見方が浮上している。そもそもならず者同士で協力しあうという体たらくであるから、会談自体も軽薄な言動で互いに舐めあっている感じで、マツコとジャニー喜多川みたいに嫌らしい雰囲気である。専門家のコメントを待つまでもなく、さすがに実効性に乏しい感じである。

  プーチン氏は記者団に「北朝鮮の指導者は、ロケット技術に大きな関心を示し宇宙開発に取り組んでいる」と説明した。北朝鮮は今年、軍事偵察衛星の打ち上げを2回試みたが、失敗に終わっている。会談では、ロシアへの武器・弾薬の支援や、核開発を続ける北朝鮮に対する軍事技術の供与について協議したとみられている。極東地域の安全保障的観点からすると、北朝鮮とロシアのこうした軍事的協力関係の進捗は、日本にとっても極めて憂慮すべき事態である。軍事外交の進め方につて慎重に検討し、偶発的な事案について注意を払っていく必要がある。9月16日


社団法人 昭和経済会
理事長 佐々木誠吾


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