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社団法人昭和経済会

理事長室より
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理事長室より

Vol.16.11


混沌、接戦模様のアメリカ大統領選挙

   あと六日後に迫ったアメリカの大統領選挙だが、民主党のクリントンと共和党のトランプとの間でし烈な戦いを演じて、票田の獲得は緊迫した状況になっている。米国ジャーナリストで卓見の岩本ランコさんがメールで論評を送って下さったように、互いに暴露、非難、中傷を以て相手を攻撃し、政策論議がないままに終わろうとしている、悲しい現実の選挙戦である。大統領候補としての見識のみならず、どちらもどっちで資質をも疑われるような事態で、有権者は両者ともアメリカ史上最悪の候補として諦めもようだと、多くの世論調査で明らかになっている。そうはいっても選挙の結果はアメリカのみならず、世界の指導者を選ぶ選挙だけに看過することはできない。その動向は大いに注目されるところである。先月28日に米連邦捜査局が、クリントンの私用メール問題の捜査再開を公表した。クリントンに、新たに疑惑が発生したとのことである。今になってと云う気がしないでのないが、私用メールには相当に根深いものがあるようである。
   それ迄やや優勢を伝えられていたクリントンにとっては、まさに逆風、激震である。ワシントンポスト紙などが10月30日に行った全米世論調査では、トランプがクリントンを1ポイント上回ったという。1ポイントだから、誤差の範囲内ではあるが、短期間に情勢が大きく変わっていることは確かである。ここにきてメール問題でトランプがクリントンに肉迫し、選挙民の支持率を高めているようである。このままの勢いだとトランプ優勢と云うことにもなる。同時にアメリカの既成政治家に対する、エリート族の政治的手法に飽きが来て、アメリカらしい大変革を望む民衆の底流が大きくうねっている感じもある。だから情勢は恐ろしいくらいに全く見通しが立たない。今日の7チャンネルのテレビ東京を見ていたら、ニューヨークで特別取材中の親愛なる池上彰さんが、見通しが不透明で取材していてもお手上げの状態と云っていたように、選挙戦では両候補とも滅茶苦茶で信頼度は失墜し、甲乙つけがたく、勝敗の判定は今以て難しい状況だと云っていた。選挙人の判定基準は、どちらがより勝るかではなく、どちらがより悪くはないかだと云うから、困ったものである。しかしながら結果を見るまでは何とも言えない情勢である。番狂わせでトランプの大変革を手にした、MAKE THE AMERIKA GREAT AGAINの連呼で、優勢の追撃が続くかもしれない。ざっくばらんに云うこの言葉は、実に力がこもっている。
   一般的に憂慮されていることは、トランプは全くのアウトサイダーで、どんな思想を持ち、どんな外交政策を持っているか判らない点だというが、あれだけの支持率を以て突如台頭してきた人物だから、要求された社会現象かもしれない。突如でなく周到に用意されてきたのかもしれない。現実的で、かなりの信頼度を持っていると云えないこともない。事実のところ我々が知らない部分も多く存在しているかもしれない。堂々とした巨体で会場に現れ迫力十分であり、あの過激な毒舌ぶりも型破りであり、ショウマンとしての才能も十分で、多分に演出しているところもある。その場に立てば控えめになって、じっくりした思考力を発揮するかもしれない。我々もあのタフな野獣派ともいえるが、その変革を求める革新的なところに魅かれる所以である。アメリカ民衆の閉塞感も理解できるが、そこに多くの民衆が新風を求める大きな波のうねりを感じ取るのである。ところが何をやりぬかすのかまったく知らされていないからリスクが大きい。こちらは小物だが、フィリピンのドテウテ大統領が居るが、あれと似たり寄ってりのところがある。ぶっ殺すと云ってみたり、あれ程に程度が悪いとは云わないが。しかし実力を以て実業の分野では力を発揮し、多くの経験を積んできているところは、一つの大きな信用に値えする。この人物に賭けたみたいと云う気がしないでもないが、事は魚屋で物を買うのとは違うから、軽はずみな判断は下せないところが、もどかしい。ところが魅力に欠けるところは、クリントンだったら従来型で、変わり映えしないという面もある。せっかくの機会だから、変えることが出来るなら、この際違った人物を選びたいという民衆、選挙民の、そこに選挙の意義があるから、これを行使したいと思うかもしれない。しがらみのない人物で、体制を一度はぶっ壊してみる挑戦的なところは、最近、我々が経験するところである。小池東京都知事の選出がそうである。それでそれは見事に成功している。
   アメリカの大統領だから、そもそもカウボーイ的なところの型破りが出てきても風土的にも当然だし、良いのかもしれない。実業の世界で単独、あれ程に成功した人物の実績も、それなりに評価することも出来る。あの大統領選挙ではしがらみのない人物、それを求める民衆が多くいることは、左様に世の中、世界が大きく変質してきている証拠かもしれない。そうでないとこの混沌とした世界が、大きく力強く改革されないからである。そのように善意を以て、楽観視するより仕方がないような気がする。問題は閣僚にどんな人物を登用するかである。仮に財務長官に、米連邦準備局の有能な元高級職員を起用するようだと、評価が急速に尚高まること確実である。トランプの意外性を、評価して好感を呼ぶだろう。トランプになるとしたらジェットコースターに乗っていくようなスリル満載の政治舞台になって、興味津々である。黙っているけど、ロシアのプーチンも、中国の習近平も内心、ハラハラドキドキかも知れない。
   レスリングでいえば、久々の大物の登場である。昔、全盛時代にブッラッシーと云う乱暴なレスラーがアメリカからやってきて日本のリングを沸かしていたが、あれと顔つきも体つきもそっくりである。どんな技を仕掛けて来るか、分からない。ヒラリーであれば、今までの通りで大きく、大変化して世界が変質するようなこともないだろう。夫のビルクリントンを、そして国務長官時代のヒラリーを見れば、大体は想像がつく。改革と云っても、穏健な政策を実行して大波乱は想定しない。しかし、世界情勢は激変してきている。それに対応するには従来型で果たしてアメリカの国が今までのような位置づけで成り立つのだろうか、それによってとりこまれている国々の結束にも大きくひびが入ってきはしないか、大きな問題を孕んできている。トランプは金髪をふりかざしてダンプカーの様に暴走したら目も当てられない、そんな不安と危惧の念を隠し切れない。ワシントンポストのその後の調査では、30日トランプが46パーセントで、クリントンを1ポイント上回ったが、2日の調査ではクリントンが47パーセントで、トランプを3ポイント上廻った。クリントンの今後の節制を促し、初の女性誕生が望まれる。目下のところ、目が回るような接線である。そう思いながら、どきどきはらはら、あと数日の情勢を見守って、結果を待つしかない。
  いずれにしてもどちらが大統領になりか知れないが、こうした状況を考えると、運命的なこともはらんでいる。民主主義を貫くアメリカは将来ますます発展していく素質と民族性を持っている。ニューヨーク・マンハッタンの海上に立つ「自由の女神」が燦然として輝きを放って立つ限りは、そしてアメリカの開拓者精神が堅持される限り、アメリカの大国としての風格と実力は発展して安泰であり、世界をリードしていく上でも常に模範的であり、確信的なものがあるからである。   11月2日


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      日本国憲法公布の日

穏やかな快晴に恵まれた今日11月3日は、日本国憲法が公布されてから70年目に当たる記念日で、国民的祝日である。光陰矢のごとし、公布から70年が過ぎた。国民の多くはその意義を忘れかけようとしている。この地球上に未だ戦乱の時の止まざるを憂えつつ、平和憲法を堅持し、その憲法に守られて、自由と平和裡にその果実を得ながら今日まで生きてきている歴史と現実を感謝するのである。今日のように混とんとした世界情勢に在ればこそ、率先して日本国憲法の意義を世界に発信していく責務が我々にはあるはずである。他国の紛争地に於いて、戦争が起きてから我が自衛隊が駆け付け警護に当たるのではなくして、戦争が起きないように、スケールを大きく以て世の中を治めて行く英知と努力が必要である。地域紛争が依然として絶えない現状は、慨嘆の極みだが、だからと云って国際社会がこれを看過するわけにはいかない。残念ながらその地域紛争の裏には、大国の思惑が絡んでいるので、姑息であり始末が悪い。
   戦争放棄を定めた第九条が今、改憲の議論の的になって危機に瀕しているが、戦争のない国として世界にその存在を明らかにしてきた日本の今こそ、混沌の世界を打開する力を持っていることを認識すべきである。自衛のために戦力はこれを放棄しないというこの条文も合わせて理解すべきである。そしてかかる平和憲法を堅持する日本は、決して楽観視、油断するわけではないが日本と日本国民には、その英知と勇気を十分に持って、それを発揮する卓越した能力がある。
   日本の経済的成長と発展は、自由と平和を標榜する日本国憲法によって、果されてきている歴史的事実が厳然としてある。これをもと日本は現在も平和的外交を通じて、世界各国に強力な経済的協力と支援活動を続けてきている。対立と抗争から、和解と平和の道を邁進していくことこそ、輝かしい日本の未来が世界に広がっていくことを確信している。私たちはもう一度、日本国憲法を顧みて、その意義を理解し、繁栄を享受している現実を凝視すべきである。戦争によって多くの国民の命を奪われ、廃墟と化した国土の悲惨な有様を顧みて、今日の繁栄の享受することの意義を厳粛に顧みるべきである。もとより現実に起こり、又将来に起こるかもしれないリスクは多々あることは否定しえないが、憲法の精神を堅持して、しかるべく対処していく努力は必要であることは言うまでもない。

   この日、久しぶりに熟睡した小生は、昼過ぎに家内と一緒に近くの等々力不動尊の境内を訊ねた。車で数分の場所だが、駐車場に車をとめて散策に及んだ。瀟洒な山門をくぐり参詣した後、私一人で本堂内陣に上がって、僧侶の朗々とした読経を静かに聞く機会に恵まれた。荘厳な堂内にも深く心を打たれた。正面奥深く不動明王が祀られている。たまたま回廊の正面に立って僧侶が灯明をあげる堂内の粛々とした様子を伺うようにみていたところ、白装束の女性が気づいて声をかけて下さり、堂内に案内してくれたおかげである。
   この等々力不動尊は、山門をくぐると武蔵野の林のなかを行くような気分である。赴く先は、深々と茂る大きな樹木の中に立つ等々力不動尊の本堂とその境内である。折から菊祭りと、七五三を祝う準備の最中で、休日でもあり多くの参詣者が訪れていた。本堂の横袖から渓谷に向かって深く下方に向かう階段を下りて行くと、清冽な渓流が川上から続いてきていて、澄み切った水の流れが、その先の多摩川まで及んでいる。この水の流れを、別に矢沢川といっている。矢沢川は多摩川の支流の谷沢川が、武蔵野台地を侵食して、昔から長い間を経て形成されたと云われている。私たちはこの渓流に沿って川上のゴルフ橋辺りまで行ったあと、引き返してきた。この間、片道約一キロの道のりでる。いたるところに豊かな湧水が、染み出ている。居ながらにして渓谷の美しさと清冽さを満喫できるので、最近は行楽の至便な場所として訪れる人たちが多い。渓谷沿いには、古代時代から奈良時代にかけて住んでいた地元有力者の農家の墓と推定される、横穴式古墳が傷付かずに発掘された場所もある。   
  不動尊の境内を渓谷の方に下りきった場所には、瀟洒な茶屋があり休息ができる。そこで甘酒の一杯でも飲みながら, 足もとの池で、湧水の水に泳ぐ鯉を眺めているのも乙な気分である。その茶屋の前には小さな稲荷堂が立っていて、そばには不動の滝がある。切り立った崖の斜面から水が滲みでて、一年を通して絶えることがなく落ちている。滝修業の聖なる場所でもある。一帯に樹木に覆われた渓谷美は、十和田の奥入瀬の小・渓流を思わせる雰囲気で、昔の旅を思い起こさせるに充分である。この渓流は都内随一の景勝地であり、一帯には名状しがたい緑陰の気が横溢して、今回も心身共に洗い清められ光悦にしたる思いである。 

夕立の俄かに過ぎて夕映えの空つややかに光る我が街
等々力の渓谷の道たのしみつ草陰になく虫の声にも               続く                                                   11月3日
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二日後に迫った米大統領選

   アメリカばかりでない。全世界が注目している米大統領選が、あと二日後に迫った。行くへを追って、テレビは連日のごとく、ほぼ休みなくその行方を追って報道が過熱していて、視聴者も混沌とした情勢で結局のところ振り回されている。興味本位で面白おかしく行方を追っている分では、これほど緊迫してインパクトを与える番組はないかもしれないが、そんな浮ついた気持ちになれないでいるのが本音である。政治家も、大企業家も、投資家も、消費者もおしなべてこれからの世界がどう変わっていくか真剣に考えて、その行方に大きな関心を寄せている筈である。今日の教会でも礼拝後の茶話会で、そのことが話題になったくらいである。聖なる教会で不浄の話など憚る心境であるが、さほどに関心を呼んでいる今回のアメリカの大統領選挙だということだ。
  政治的経験が豊富で熟達しきったクリントンには飽きが来て、変わり映えがしないし、トランプについては政治的経験のないことが不安で、野獣派的な風貌がそのまま性格を表して信頼性に欠ける点がある。いずれも事実で、岩本ランコ女史がコメントしている通り、これを以てして、アメリカ史上最低であり、レベルの低い大統領選挙戦になってしまった所以である。たとえは悪いが、あたかも映画の「美女と野獣」を想起する一面もある。終わってしまえば、やっぱりそうだったかということで、安堵と希望を託す心境になるが、それまでは世俗の波に揺さぶられていかざるを得ないということかもしれない。椅子に座れば、それなりの落ち着いた姿勢と冷静な思考と判断に変わるだろう。誰がなるにしても、アメリカの自由で公正な繁栄をめざし、以て世界の平和に貢献してくれる政治を期待するばかりである。たびたび訪ねたニューヨーク・マンハッタンの洋上には、自由の女神が厳然として立っていることを忘れてはならない。

  悪いうわさに凝り固まるわけではないが、今、我々に与えられている情報はあまりにも胆略的だが、両候補に上げられている長所はあまりなく、欠点だけが浮き彫りになっている。その欠点とは大きく分けてそれぞれ三づつある。

  先ずクリントンである。相変わらず私用メールの問題である。公私混同の性癖だとすると問題である。国家安全保障の重大な案件にも、秘密漏えいの危険性がある。卑近で小粒な例だが、前の東京都知事に舛添がいた。公私混同の金勘定で、墓穴を掘った。せこい性格で、大物の地位についても勘定はせこい手法をとるケースで意地がきたない。クリントンにとっては、良いお灸をすえたことになればいい。 次は健康不安説である。アメリカの大統領職は世界一忙しい。その激務に耐えられるかということ、職務を遂行していけるかである。いうなれば24時間体制の身体である。咳こんだり、疲労とはいえふらついたりするようだと心もとない。 三つ目に、数々の多額な献金の不透明な点である。財団を作りそこに多額な献金を集めている。これに疑惑の目が注がれている。金銭に透明性がないと何かにつけて疑念を持たれ、又自らに隙を与える結果になる。 金に執着があると、上り詰めた政治家にとっては、不適格要素である。 
   トランプについての欠点は、周知となった数々の不埒な暴言である。選挙中での作戦的レトリックとも思えるが、それだけを捉えていると教養のなささ丸出しである。云いっぱなしの無責任が性癖だとすれば、言動に信憑性を欠き、信用できないということになり最大の欠点になってしまう。同族経営者にありがちなワンマン経営と、独善主義が災いの種である。そう結う人が出世すはずがない。政治的無経験が、それに拍車をかけると滅茶苦茶な結果となる。世界が少なからず混乱してくる。 次に、脱税問題である。繰り返し行っている形跡がある。税法上は、経営者としてすぐれた勘があって成功者の道を驀進するが、法的に合っていても、えげつない手法だと倫理的、道義的に如何なものかと、真の企業経営者としても人格的に疑われるところである。 第三に、甚だしい女性蔑視の言動である。卑猥な言葉を吐き、夫の元大統領ビル・クリントンの不倫問題を取り上げ、被害に遭ったという数人の女性まで持ち出してくる演出は、男として余りにもえげつない。勝つための攻撃材料としては脅しにかけるようなもので、この品格欠如で、果たして外国の要人を相手に対等に国際舞台に立てるだろうかと訝しくなってくる。いずれにしても不透明なところが多いので、これから新しい政策が打ち出されてくるはずで、それだけ興味津々である。
    以上は私がそう認識してコメントしているのではなく、外国メディアはもとより国内の新聞やテレビ報道で公然と人々に周知されているほんの一部であって、未だ他に列挙する悪事の、所詮は政治の世界のこと、聞くに堪えない酷聞があるかもしれない。光輝ある米国大統領の候補者としては、いずれも落第である。しかし木を見て森を見ずの類いで、面白おかしく煽り立てるのもマスコミに仕事の一部であるから、激しい競争を経て世のトップに抜きん出てきた優秀な人物であることは、疑いの余地がないことだけは、はっきりしておくべきである。運動中は、ひたすら相手候補に対する激しい非難、誹謗、中傷に終始している。真剣でまともな政策論争を、聞くことはできなかった。これを以て、アメリカ史上最悪、最低のレベルの大統領選と酷評されるのである。困ったものである。しかし、得てして世間はそうした面だけをとらえて、報道していないとも限らない。熱心で賢明な選挙民と運動員の様子を見ていると、レベルの高い長丁場の選挙戦であることが理解できる。
   互いに舌鋒やり抜くレースに早く終止符を打って、クリントン、トランプが本来あるべき姿に戻り、正常な職務につくことを願っている。戦いの終わった後は、キリスト教的精神に立ち返って、愛と受容の気持ちを以て互譲の精神を発揮し、兎に角、早く正気を取り戻してもらいたい一念である。前にも述べた様に結果が分かってみれば、立派な人物として祖国はもちろんのこと、これからの世界をリードしていき、尊敬に与えするものであることは確信できるところである。それがアメリカと云うものかもしれない。大統領の権限は絶大だが、閣僚の人選についてしっかりした人間を登用して、側近にも正常な神経を持った人材を選び、大統領の人格的、能力的欠陥と、極評するつもりは毛頭ないが、それらを補充することが喫急な、重要な仕事である。
                               11月6日


企業家として成功の道を行く人の苦労を収むトランプ
逆境に強き味方に付く我もトランプだけは憚りにけり
トランプの改革路線に魅力あり偉大な国にと叫ぶトランプ
企業家と政治家との間(ま)に相違あり女性政治家の意義もありけり
世界にも女性指導者の活躍すクリントン女史に視線の熱き
願わくば初の女性の大統領アメリカ歴史に刻む意義あり
異端者のトランプ候補にそれなりの魅力もありぬ力強さも
才能もスタミナもありトランプの威風堂々とせし風貌にも
歯に衣着せぬトランプの言動に政治世界にしがらみのなき
メキシコの境に壁を作るとの話に政治の先の危ふし
限りなき栄への道を驀進す科学技術の貢献のあと
人間の自由と人権を確保して初心貫徹を期すや米国
独裁と専制を排す米国の政治の基本を守る選挙は
トランプの候補に大なる意義ありてアメリカ社会の矛盾晒しぬ
風評の意外と事実と異なりてトランプ候補にひそむ実力
歴代の世襲大統領の踏襲に飽きて新風を求む動きも
トランプの米大統領の候補にて風格実力他を圧しけり
トランプと習近平が打ち合ひて会談するは楽しみなりき
プーチンも然りトランプと会談し押し合ひ打ち合いするは良きかな
クリントン従来型の大統領候補に飽きて薄き影とも
トランプの差別発言は民族の対立分断の影を落さむ
歴史上欠点だらけの両候補さは非難、中傷の合戦のあと
クリントン・トランプ接戦のいずれにか勝利の女神ほほえみ立たん
しがらみを断ち戦えるトランプの道すさまじく魅力あるなり
望まれる初の女性大統領生まれて栄ゆ平和への道
クリントン勝利の結果は株式も平穏無事に進み行くかな
新しき米大統領に結束し国と民との栄えあらまし
ニューヨーク・マンハッタンの洋上の自由の女神の光りかがやく

今日あした米大統領の決定す喜び嘆く人らさまざま    11月8日 大統領選挙の日


クリントン候補に勝利の兆しかも深夜の株価の上昇基調に
善戦のトランプ人気の横溢しフロリダ州の票田に待つ
開票の結果を待たずクリントンまさかの敗北なしと思へり
新しき大きな風を期待する新大統領の職責重し
クリントン勝利の予想織り込みて深夜の株価続伸の先
接戦の米大統領の選挙にて結果に新たな希望を賭けんと
トランプに期待を寄する人々の閉塞打破と新しき風
多民族国家の米国に試練ありトランプ候補の差別発言
未知数のトランプ候補の政策の不安もアメリカの開拓者精神
トランプの大きな体と弁舌に長けて風格の既に持ち添ふ
願はくば超大国の激震を避け穏やかな結果願はん
両者とも良く戦ヘリ選挙戦あとは国民の結束の要    11月9日 AM01:45

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トランプの歴史的大勝利
安倍首相 十八日に会談

   驚きとなって衝撃が世界を走った。選挙戦を通じて、当初からクリントンが勝つという見通しだった。それが揺さぶられた後大きく覆って、泡沫と云われていたトランプが勝った。まさかの結果にアメリカは歓喜し、世界が腰を抜かした。
  大地震の前兆らしき微動みたいなものを感じていたが、震度8の激震になるとはだれも思っていなかった。活火山の観測を続ける観測員が、地下のマグマが少し動いていることを感じていても、大噴火するとは思わなかった。専門家が観測を間違えていたのだから、一般の素人は、まさか大地震が起きたり、大噴火するとはだれも予想しなかったことだ。トランプの可能性を考えたりしたが、それはゼロに近かかった。票を開けてみたら夢が覚めた。それが現実に起こったのである。トランプ候補が、決定的勝利を博した。
   彼は潜伏しながら気を伺い、民衆の底に流れる不平、不満、やるせなさを見事にとらえた。大方の民衆の心を捉えつつあった。しがらみを断ち、大胆に戦った結果の勝利である。鋭い慧眼の持ち主である。そうした真価は、勝利宣言の記者会見で更に増幅し、彼の性格と人間性とを表したものであった。選挙中の非難、中傷、罵倒、毒舌は消え、興奮を抑えて冷静沈着、そして政敵のクリントンを讃えるものであった。まさに真骨頂である。世界を震撼させてきた大統領選挙は、結果、疑われた知的レベルを含めて、アメリカの偉大な潜在的力を見せつける結果となった。それを如実に表したのが、トランプ勝利の報を受けたニューヨーク株式市場である。日本ではトランプ勝利を悲観し、失望して1000円以上に暴落した東京株式市況を演じて投資家は震撼した。これに対しニューヨーク株式市場は逆にトランプの勝利を好感して奔騰を始めたのである。馬鹿と利口の差をはっきりと見せつけられた。見誤って狼狽した東京市場を初め、世界の株式市場は慌てだし、ニューヨーク市場の卓越した先見性に追随していくのである。  
   日本はもとより世界の専門家は、微量の的中者を除いてほぼ百パーセントの人々が、こうした世界的選挙の流れと、行く先と結果を、誰も読み取れなかったのである。私が気づき始めて和歌に詠んだりしていたのは、最終投票日の約二か月前からであった。選挙は一年に亘る長丁場である。クリントンの劣勢と、力量感あふれるトランプの勢いが次第に明白になってきたのである。有識者と云われる有名人を敵に回し、共和党の長老議員諸侯を敵に回し、メディアを的に回し孤軍奮闘してくじけなかった。既成勢力に勇猛果敢に挑みかけて戦う、そうしたトランプに次第に魅力を感じてきた。そういう意味では、私は僅かながら評論家の隠れトランプの一人だったかもしれない。そもそもクリントンでは今までと変わらない政治が続き、迫力に欠けた政策をこれから四年間も続けて行くのかと思うと、飽き飽きした雰囲気が先走ったのである。見飽きてきてしまった、聞き飽きてしまったということである。同時にそれは、今までの政治と大して変化がないと感じて、拒否反応を示すようになった。しかし内心で考えていることであって、だからと云って私は表向きトランプが好きだとか、意見に賛成だとかあからさまに云うことには何かしら躊躇するところがあった。そういう人たちはアメリカに、相当いたはずである。
   アメリカにも初の女性大統領を期待するなら、クリントンではなく、もっと新鮮味のある女性がいないのかと、忸怩たる思いがしていた。女性指導者の台頭は、世界的流れになって国際社会で活躍し貢献している。アメリカ政治に、女性指導者が現れてもおかしくない。トランプ政権の発足は来年一月末になるが、早くもトランプは日本を初め世界の首脳たちとの接触を開始している。電話会談を行い、直接会談が目白押しに決まっている。姿勢は積極的であり開放的である。安倍首相は十八日に会談する予定が決まった。迅速で正しい処置である。厳しい対応を迫られるかもしれないが、選挙中に発言していた過激な発言は、今影を潜めている。選挙中は勝つためであって、いざ政権を担うとなるとそう簡単なものでないことは、彼自身がよく知っている。むしろこれからのトランプに大いに期待したい。
   米大統領選は共和、民主から指名を受けて立ったクリントン候補とトランプ候補の対戦であった。最初はトランプは泡沫候補とされて相手にされなかった。クリントン候補の勝利は当初から当然のように喧伝されてきた。大統領選挙は各州ごとに擁立する選挙人を選出して、過半数を獲得した州の総数を手にすることが出来る。そうして集めた選挙人が、全国で過半数を制覇すれば、大統領の椅子を獲得することが出来る、いわば陣取り合戦のようなものである。相対立する民主党のクリントン候補と、共和党のトランプ候補の戦いである。さざなみは、だんだんとうねりが大きなって来て、巨大な化け物が眼前を覆うような感じになってきた。下司な発言を連発し、その言葉が面白おかしく民衆の野次馬的関心をあおった。野次馬的関心事は力に代わってきた。恐怖と楽観が入り混じるものである。そし巨大な化け物は、次第に民衆の心をとらえて魅了した。それがアメリカの大統領選挙の結果である。かくして新大統領に何と大方の予想を裏切ってトランプに決定した。不動産王として実業の世界で単身成功した人物であることは薄々知っていた。それもニューヨーク5番街に立つ派手なビルの持ち主であるに過ぎない。その他の不動産も沢山持っているにせよ、その一介の不動産業者が、端的に世俗間の、民族間の抗争を見せつける場面である。
   大きな力となったのは白人の高齢者の投票であった。トランプは、決してきれいなビジネスマンの道を歩んだと、判子を押されるような人でもない。しかし幾多の苦労と起伏を経て、ともかく先代から引き継いだ不動産で、自分の力を発揮して巨万の富を築いて財をなした苦労人でもある。選挙資金は自分で賄って、他に助けを求めなかったアメリカン・スピリッツを自ら体験し、実現した。一般の勤労者から企業経営に従事し、トップの大統領の座を射止めた。だから体もがっちりとして舌鋒を放てば、押しも押されぬ堂々の貫録である。周囲を押し出しで圧倒している。
   政治的未経験さは、それ故に柔道のプーチンもトランプには押しつぶされてしまうだろう。習近平ともぶつかり合って跳ね飛ばしてしまうだろう。ドテウテとはなぐり合って掴み飛ばしてしまうだろう。面構えとサイズと雰囲気は、もはや実力者としては天下無敵の押し出しである。貫録に於いて敵なしである。そうした点からすると、クリントンでなくて良かった。今のアメリカの政治にはこうした異端者で物凄い、しがらみのない人物が出て来ることが重要なのである。たとえが悪いが、国の半分が麻薬患者だというフィリピンで、ドテウテが出てきて、麻薬患者はぶっ殺してやると云うセリフを吐ける人物が必要なのと同じ、アメリカを取り巻く世界の連中に対抗するには、脅しだけでは務まらないが、戦略的にもトランプの登場は打ってつけである。
   テレビ東京のWBSを見ていたらエコノミストのフェルドマンさんが選挙の結果を聞かれて「びっくりしている」とだけで後が続かないくらいであったし、片や政治評論家の藤原帰一さんも「一切予想していなかった」と述べて、専門家が見通しできなかったくらいの、トランプの大逆転劇であり、トランプがアメリカばかりでなく世界に起こした地殻変動であった。要は戦争さえ起こさなければ、これからの人間社会は素晴らしい舞台が繰り広げられるはずである。不確定要素が多いが、ダイナミックな展開である。これからのトランプの実際の政治活動については、色々と憶測がなされているが、主要人事の輪郭を見ないとまだはっきりしたことは言えないし、トランプ政治は相手次第で豹変していくだろう。これからは日本もただ追随するのではなく、足元をしっかりと固めて、独自の正しい主張と意見を述べて、大いに渡り合うことである。日本の理念と政策を掲げて、戦後70年の間に築いて来た独自の力量を示して、良いところはトランプに息を合わせ世界に打って出るチャンスである。冷静沈着の怪物、トランプの実力の発揮は未知数であり、これからである。しかしこれからの世界は面白く、劇的に大転換していくことだろう。又そうさせなくてはならない。

劇的な勝利を収むトランプのむしろ歴史の必然なりき         
トランプの勝利を喜ぶ民衆の株式市場に確と映れり
大方の予想に反し善戦すトランプ候補の新しき道
古くには南北戦争もアメリカに貴重な歴史を刻み行くべし
民主党ヒラリー候補の政策に飽きて変化を選ぶアメリカ
歴史的快挙に湧きぬニューヨーク株式奔騰に示す現実
日本の不安と期待の交錯すトランプ政治に困惑の体
異常なる性格ゆえに目まぐるし素性を捉え論じ合ふよし
米国に地殻変動の起こる今民の動きも怪しかりけり
陣容の整ふまでは静観し新政権の出方待つべき
国民に亀裂を生ず選挙戦さは憎しみを断ち和解すべきと
舌鋒を抑え冷静に発言す殿の変貌に真の姿を

                     11月14日


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トランプ効果を楽しむ投資家

   トランプ効果は色々なところで良好な効果を齎している。先ずは顕著な例としてアメリカからマーケットドがドル高、株高に連日湧き立って一週間が過ぎようとしている。日本も同じ恩恵を受けて、円安株高の恩恵に浴し、このところ投資家は連日、ご満悦である。円安株高は、米国はもとより、今の日本経済にとって最高の恩恵をもたらすもので、政府、日銀も目先安堵してほくそえんでいる。われわれ民衆も少なからず株式投資をしているので、ヒラリーが当選していたら、従来的な動きに終始し、予想した通りと云うことで、円高、株安に触れて、泣きっ面に蜂の状態だったはずである。ありがたいことに、それは避けられた。
   偶然にも近いこうしたトランプ効果の状況の到来は、予期せぬ幸運であった。あの乱暴なトランプが当選したらと、おののき憂え、怖がっていたはずだったトランプの登場で、世界がまるで変ってしまったような、しかも良い方向に進んでいくような状況で、皆が喜んでいる。その中の動向を先見して、株価に反映していくマーケットをみるかぎり、経済人の心境は明るい期待に変わってきた。余りにも不思議な結果と現象であるがゆえに、気まぐれな一過性でないことを祈っている。   11月18日

トランプが予想に反し勝利して新大統領に決まる瞬間

選挙ちゅう暴言を吐き資質すら疑われしまま権力の座に
神妙になりトランプの豹変す冷静沈着になりて安堵す
トランプの大役者なり選挙戦民を引き付け飽くることなし
トランプのおかしき程の神妙さ勝利に自制の奥の深さよ
馬鹿呼ばりしたオバマ氏を持ち上げて会談致す役者トランプ
去る者は後を汚さずの喩えあり迅速安定の政権交代
これからの世界情勢の噴熱に惑うふ小国の前途険しき
この度はメディアの予想の大方が番狂わせのトランプ勝利
東京の株価暴落に千円余慌てふためくあまた投資家
さもさなりトランプ政権の誕生に株高円安に振れる市場は
開始さるニューヨーク株式の暴騰し明暗分かつ分析の差
トランプのアメリカ第一政策に熱き視線の投資家の間に


その後のニューヨーク株式市況が相変わらず続騰を続け、史上最高値を付けている。トランプの内外政策に対する期待値は止まるところを知らない。そろそろ一呼吸入れてもいいのではないかと、心配するくらいである。
   円安・ドル高も続き、1㌦111円台を覗く結果になっている。政府、日銀が懸命になって経済金融政策を続けているが、こうした努力を一気に吹き飛ばして、金融市場には神風が吹いている。米国債の利回りの変化を先導し、市場金利がジワリと上がってきている。発表されるアメリカの経済指標も良好で、FMOCに依る年内利上げも視野に入ってきた。経済が良ければ、全てが解決される。トランプの過激な発言も中和されて、穏健な思考に移っていく。これを好感して、万事が良好な循環に入っていく感じである。
   日本などは右顧左眄の国情を、だらしなく見せつけられる結果となった。恥ずかしくて顔を挙げられないくらいである。メディアの選挙予想は完敗だし、トランプになってからは経済は混乱し、株価も暴落して円安に振れるという、大方の見通しであったが、見事にはずれた。現実の歯車は、トランプに決まって始まったアメリカニューヨーク市場以来、予想に反し逆の方向に回転し始めた。悲観と絶望から、 楽観と希望に変わったのである。日米の解釈の違い、価値観の違い、そして判断と行動の違いとなって出て来るのだから、問題は根深いものがある。余程慎重に且つ勉強をしていかなければならないと思うのである。
   トランプの大統領就任は来年一月末である。既に陣容を固めつつあるが、選挙中の過激な発言は、予想したように鎮静化され、現実に戻ってきている。しかし根本的な思想は簡単に変わるものではない。轍を踏まずに冷静な対応が、慎重な分析が必要である。早くもTPPからの離脱を就任早々表明するとして、昨日の会見に臨んでいる。彼は北朝鮮に対する対応も変えて来るかもしれない。何故なら、依然としてこう着状態にあるからだ。金正日は天才か、それとも気狂いいかいずれかだが、天才だとすれば、トランプが独自の外交ルートを通じて話し合い、自らの陣営に取り込んでしまう大胆な手段に出ることも考えられる。何しろしがらみのない奔放な発想と、行動力を持っているかある。これも六カ国会議を無視して、単独に劇的に北鮮を扱うかもしれない。対ロシア、対中国等々、柔軟に、かつ劇的な仕組みを模索してくるだろう。 
    
   今日は昭和経済会の講演と、忘年会が銀座の三笠会館で行われる。11月としては54年ぶりに降るといった東京の雪だが、これも異常な警報ぶりであったものの、予報に反したいして降ることもなかった。幸い降雪にもならず、午後からは曇り空になって、路面は既に乾いている。
   今日の講演会の講師としてお招きしたのは、TBSのニュース23で長い間コメンテーターを務められた論客、政治評論家の岸井成格さんである。世界政治に激震が走った後の絶好の、貴重な機会となった。岸井さんは毎日新聞の政治部長を務めたが、知識と情報収集については、記者としての現場意識が、論調は強くて歯切れよく、明快な評論をされることで定評があり、有意義な話になること必至で、6時からの会が楽しみである。

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トランプが予想に反し勝利して新大統領に決まる瞬間
選挙中暴言を吐き資質すら疑われしも権力の座に
神妙におとなしくなるトランプの王者の貫録示す風情に
神妙になりトランプの豹変す冷静沈着になりて安堵す
トランプの大役者なり選挙戦民を引き付け飽くることなし
トランプのおかしき程の神妙さ勝利に自制の奥の深さよ
馬鹿呼ばりしたオバマ氏を持ち上げて会談致す流石トランプ
去る者は後を汚さずの喩えあり迅速安定の政権交代
これからの世界情勢の噴熱に惑うふ小国の前途険しき
世の中のメディアの予想の大方が番狂わせのトランプ勝利
東京の株価暴落に千円余慌てふためくあまた投資家
さもさなりトランプ政権の誕生に株高・円安に振れる市場は
開始さるニューヨーク株式の暴騰し明暗分かつ分析の差
トランプのアメリカ第一政策に熱き視線の投資家の間に  


懸念さる夜来の風雨のおさまりて今日講演会の目出度かりけり
明快な岸本先生の講演にトランプあとの世を解き明かしける
幸ひに株式上昇にトランプの不安払しょくと光りさしけり
シャンパンを干して年末をうまく締めあらたまの年むかえへ祈らん
この年を恙なく済み新年の希望と夢を抱き過ごさん         11月24日


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    キューバのカストロの死去


   キューバの革命児で、半世紀にわたってキューバに社会主義の独裁国家を敷いてきたカストロが、一昨日26日に死去した。享年90才であった。1959年に反政府軍を率いて、ゲバラと一緒にバティスタ政権と戦い旧政権を倒したカストロは、その時若干32歳であった。以来、政権を維持するために強烈な軍事政権を国内に敷き、経済的制裁を受けながら、米国と対峙してきた。 又周辺の中南米をはじめとして、アフリカにまで手を伸ばし、革命家やマルクス主義者などに対し軍事的、政治的支援を続けてきた。強烈な経済制裁を受けながら、カストロは大国アメリカの資本主義経済体制の牙城に対峙して、真珠の海に輝くカリブ海に唯一、共産主義的、独裁国家体制を敷いて来たのである。良くも悪くも、そのことを以てして半世紀が過ぎた。
   昨年、キューバはアメリカと国交正常化を果し、半世紀にわたる劇的な施政から、暫時資本主義的要素を取り入れた経済的枠組みに入ろうとしていた矢先であった。カストロは既に、2008年に弟のラウルカストロに漸次、政権の座を移譲しつつあった。カストロの民衆に対する功績、国家に対する功績からすれば、カストロの評価は明暗を分けてまちまちである。ここに至り、キューバのカストロは国家の動向と合わせ、必然の運命にあったと云って過言ではない。これから先、カリスマ的存在だったカストロのいなくなったキューバは、どのような潮に乗っていくか不安を抱き、大いに関心のあるところである。
   国内的には、貧困の撲滅と教育の普及、医療制度の改革などに乗り出し、民衆の心をつかんで圧倒的な支持を以て受け入れられてきた。一方でキューバ政府に反対する、反政府的活動家を大量に拘束、投獄し、殺害をした。そして徹底した私有財産の没収と、私的企業の国有化に励み、徹底した社会主義的な、独裁国家の樹立に狂奔した。これに嫌気した多くの民衆もキューバを脱出して、自由を求めアメリカに亡命したりした。カストロを熱狂的に愛する民衆と、彼を賛辞する国々は多い。その一方で、自由を求め亡命していった民衆の中には、カストロの悪魔が死んだと称して歓喜に沸いている。カリブ海にようやく自由化の波が押し寄せてきてが、中南米諸国の遅れた政治社会に、ブラックな経済に光が差し込んで、強烈なトランプ政治が大きく影響していくことは確かである。
   国交の正常化に成功したオバマ大統領は、歴史的に画期的な政治的事業を成し遂げただけに、カストロの死を悼み、 「我々は協働し、過去から未来に目を傾けたと」、 賛辞を惜しまない。片や次期大統領に決まったトランプは、 「半世紀に亘り自国民を抑圧してきた残忍な独裁者の死去を、世界は今記録した」 と語るのである。こうしてみると既にアメリカの資本はキューバにかなり渡り始め、活動し始めたところであるが、アメリカとキューバの融和には暗雲が立ち込めているようである。折角、国交回復したアメリカ・キューバ両国の前途に、敢えて軋轢を生むような事案を持ちこむことは避けるべきである。キューバの民主化のためにも、又中南米地域の安定化のためにも、好機を逸するようなことがあってはならない。せっかく手中に収めた国交回復の機運をへし折ることは、トランプの勇み足であり、暴走であり、冷静さを失っており、我々にとっては賛成できない。

独裁者カストロが逝く冬銀河
米・キューバ国交樹立牡丹雪
独裁者祖国の民の渡り鳥
トランプの独裁者への北おろし
海女泳ぐ独裁者なきカリブ海         三郎 11月28日

  

  
  

 

社団法人 昭和経済会
理事長 佐々木誠吾


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