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社団法人昭和経済会

理事長室より
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理事長室より

Vol.16.09



           天高しジャンヌダルクの小池知事   三郎


      東京中央卸売市場の移転、  11月7日の問題点と当然の延期
         消費者としての都民の心配

小池都知事が、約一か月半ばかり前に行われた都知事選挙選で掲げた公約の一つに、移転先の土壌汚染の危険性を指摘して、東京中央卸売市場の移転問題の再検討と再調査をあげていた。巨大都市、東京都民1200万人の毎日の食糧を調達する大事な機能を果たす施設である。全国の産地から、収穫物や生産物が常時運ばれてくる一大集積地であり、取引が行われる巨大物流基地である。今の築地中央卸売市場は老朽化が進み、規模の狭隘が目立っていたので、早晩解決しなければならない課題であった。目を付けたのが恰好な豊洲の地域の40万ヘクタールの土地である。立地条件についても、交通のアクセスが都市に近く規模と云い、利便性については申し分ない。
  ただ問題なのは、元、東京ガスの工場の敷地跡と云うことである。それゆえ有毒ガスの残滓やその他の有害物質の存在の有無がなお問題視されていることは言うまでもない。長期間に亘り、工場が稼働してきた場所だけに、有害物質による土壌汚染が深刻な問題として残っていた。地下水の安全性は大丈夫なのか、地震の際の液状化問題も含め、都民の潜在的不安は残っていた。有害化学物質の、食品に与える大きな問題である。土壌には亜鉛、ヒ素、ベンゼン、六価クロム、シアン、水銀といった有害物質が含れていたことが分かっている。調査時には特に発がん物質であるベンゼンなどは一時、国の環境基準の3万倍以上の数値を検出していたという。更には東北大震災時には液状化現象が起きて、敷地一帯に地下水と一緒に大量の有害物質が地上に噴き出たりしていたという調査報告が出されている。土壌の変化の、はたまた地下水の変容の長期的な観察経過を待つ必要すら感じるのである。完成の工期を急ぐあまり、調査分析が雑に終わっていないかどうか、心配、と不安を残している。
   都民の毎日の生鮮食料品を膨大に取り扱う市場である故に、われわれ都民としても当然のことながら慎重を期して調査、事後処理を完ぺきに果した結果でなければ、市場の移転は受け入れがたい問題である。事は、都民の生活の将来にわたり、長期にわたってこれから50年、100年と、後世にも直接係わる重大な問題だからおろそかにできない。もとより慎重、かつ厳格な調査を続けながら、汚染除去の作業を行ってきたことと思うが、今までの役所と事業者との癒着や、不透明ないきさつから完全な信頼を得ていることではなく、若干の疑義が生じていることは巷間の話としてあっても当然である。われわれ都民に対して、もっと徹底した情報公開に徹すべきである。土壌汚染と関係して、地下深くまで水質の検査は必要である。小池知事がこの問題を早くから指摘して取り上げてきた結果、11月7日に調査の最終結果を得る前の移転はできないと判断し、なお慎重を要して来年の年明けまで伸ばすことを決定した。小池知事の賢明な判断であり、処置である。
   準備を進めてきた関係者にとっては、計画が狂ってしまい申し訳ない。それなりの経済的被害は生じたにしても、事は都民の健康と生命につながる問題であって、うやむやなままに進めることはできない。一方、豊洲市場の建物は完成しており、都の試算では、契約している電気・水道料金、警備費などは開場しなくても1日約700万円かかるとのことであるが、真偽のほどを確認すべきである。無人の箱ものである。電気も水道もかかっていない。現在稼働中の築地市場の維持費が500万だと云うのに、稼働していない豊洲が何故700万もかかるのか、インチキ臭い数字に都民は明らかに誤魔化されている。水増し請求になれた、役人や業者の思惑も、ここまで来たかとあきれるばかりである。税金のつまみ食い、強奪争い、盗っ人猛々しである。大事な都民、国民の税金の使途であるから、明白な根拠と説明が要るし、多少の疑義があった場合には、これを徹底的に調べて情報を公開していくべき責務が都知事にはある。そうでなくとも東京都の行政と、今まで務めてきたお惚けと狡知的石原、それに猪瀬、舛添と云ったうさん臭い、ましてや猪瀬、舛添と云ったインチキ者で、都民から追放された都知事のもとで進めてきた計画であるから、そのまま信用することはできない。莫大な利権が絡んで適当に、何が隠されているかもしれない。小池知事に対して、色々と画策する連中からの圧力や妨害があるかもしれない。しかし、ここでむしろ再点検する必要がある。大変な仕事の山積だが、都民は大いに小池知事を支持しているわけで、好スタートを切って精力的に行動する知事に異論の余地は全くなくないと思う。思想的に清潔且つ実効的なスタッフを陣容に揃えて、活躍して貰いたいと願っている。
   さらには移転に伴う経済的な問題である。年度を重ねて行くうちに予算は膨らむ一方である。巨額な利権が絡むものでもある。行政と都議会とのなれ合いもあって、都民重視の公正な都議会であるべきはずのばに、議会の自民党都議連を仕切るドンと称する穏やかでない人物が跋扈しているとの事である。人相の悪い老人だが、これが議会の多数を占める自民党の都議連を牛耳っているというのだから、品位も堕ちたし、都議会の連中も出鱈目だし、それを黙認してきた東京都の都民もだらしないということにもなる。小池知事は真っ向からこのいわく因縁の組頭みたいなやつに、改革の弓を引いている。このドンと云う奴が長年都議会を腐敗、金権化させて来ているきらいがある。これでは都民のための立法、行政を行って行くことはできない。
  自民党と、多数を占める都議連を敵に回して選挙戦を戦い抜き、都民の絶大な支持を得て新知事になった小池都政に対し、都民の大勢は都知事の判断と決定を支持している。都議会を解散すると云った言葉の真意は、こうした蛆どもを一掃するという意味では真実味、現実味がある。早く清潔な都議会の運営に当たり、明朗な効率的な立法、行政を行えるような仕組みを構築してもらいたい。今になっても田中元首相の金権政治を英雄視しているかっての石原都政、続く子分の猪瀬、同じ資質の舛添などの垂れ流しで都議会も腐れきっている。改革を要することは行政の分野も同じことである。長年の膿を出し切ってもらいたいものである。
東京都の職員たちには優秀な公務員が沢山いるはずである。清新な意気に燃えて始目は都職員として職に就いた若者も、ずる賢い連中の仕事ぶりを見て、いつの間にかそれに染まってマンネリ化し、狡さを何とも思わなくなってくるから、環境と云うことは恐ろしい。胡散臭い人間が上にぞろぞろ居たりしていては、下の役人は真似するばかりで益々陳腐化させてしまう。一般論としてもそうだし敢えて申すが、やる気を起こさせることが、この際大切である。知事の助っ人になる副知事もしっかりした人を選ぶべきである。猪瀬副知事の時は四人いたはずである。外部から取り入れてもいい。局長も沢山いるが、芋ずる式なので、この刷新もいずれ必要である。一刀両断の改革が必要である。若い人材を腐敗化させるような悪しき慣習や馴れ合いを排除して、若者たちの溌剌とした発想を引き出して、膨大な組織の中であっても、それを活かして都民のために働いてもらいと思うことしきりである。以前、文芸春秋が大きく取り上げた記事に、「舛添は日本の恥だ」として堂々の論陣を張った。舛添的悪しき思想は巨大な東京都の立法府と、官僚機構の根底にうごめいている課題である。小池新都知事の登壇は、この時ばかりは男をしのぐ静かなる勇士の都知事、都民のために頑張れ!と声援を送りたい。 そしてこの毅然とした姿勢を崩さずに一貫して持続してもらいたい! 最初佳ければ全てよし。現代のジャンヌ・ダルクの小池東京都知事よ。        9月1日

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  諸事雑感のうた

処暑を過ぎ早や秋風のかすかにも立ちて日ぐるる里の気配に
G20中国開催を終了す日にも北鮮のミサイルの発射
国たみの多き犠牲を払ひつつ国費を核とミサイルに注ぐ
北鮮のミサイル発射の幾たびと日本領海に至るこの日も
北鮮のミサイル発射のそのうちに重大事故の生むを危惧せり
核実験ミサイル発射を試みる北朝鮮の悪しき外交
中国の南沙諸島の海域に漁船を守る軍艦の影
国たみの多き犠牲を払ひつつ矢たら国費をミサイルに注ぐ
民生の経済を削ぎミサイルの発射に走る北鮮の主
北鮮と為すこと似合ふ中国の他国の領海犯す漁船ら

蒸し暑き日照りの続く立秋の各地に39度を記録す
永年の悪弊と理不尽の圧力に果敢に戦ふ小池都知事よ
日本のジャンヌダルクと果敢にも悪者一掃を地道になさんや
善政を敷きて都民のために立つ都知事の範を世にも示さん
次々と続く国際会議をばこなして多忙の安倍首相なり
熱風の過ぎる銀座の街なかを昼食に出で目のくらみけり
ゴージャスに模様替えせるデパートの三越、松屋と見違えるほど
品数も豊富に上質の商品を豪華に置きて景気煽れり
デパートを三越、松屋と見る限りアベノミクスは健在なりき
便利かと思ふ地下鉄を乗り継ぎて目的地に着くへとへとののち
地下鉄の網を真暮らし利便性煽るもむなし乗車するまで
東京へ人口移動の集中し地方の過疎化に拍車かけおり
役人を地方に移しネット化の仕事をこなし効率性あり
霞が関一帯を民間に払い下げ世の活性化の一役を担へ
都市機能移し地方を活発に金も移して繁盛さすべし
移すべき先ず経産省の役人ら次に財務のおえらかたがた
オリンピック例えば施設を過疎の地に映してインフラを維持し保てよ
巨大都市東京に住む住民の生きる戦いの日々のさまなり
疲弊する地方経済のありさまに構造改革は何としてでも
ひところの爆買い景気の熱も冷め財布のひもも締まりけるらし
街なかの観光客もまばらにて日照りにどこか隠れゐるらし

立て続け台風三つも上陸し東北地方に荒れ狂ひけり
台風の早くも新たに発生し本邦近く12号の来
大量の雨を伴ひ上陸す今年の野分の異常発生

ものを書く最中に秋の虫の鳴くしきりに夜の闇を揺るがす
騒がしく賑やかに鳴く蝉たちのいつしか止みて寂しかりけり
成る程と美しくなく法師蝉「水琴窟」と名を唱えける
木のもとに一つ落ちたる蝉がらの務めを果たしものうつくしき
十字架の主はあがなひて諸人に合いと光を授けたまへり
主と共に歩むわが身に迷ひなし愛とひかりのこの道を行く
今日この日満ち足りて終ふさまざまな仕事をなして帰途に就くかな
いらだちの続く時にも事務員の備ふ一杯のお茶に和めり
気にかかる車の運転免許書の更新を済みほっとするなり
高齢者対象の健康診断の役所より来て相すましけり
妻もまた自動車運転免許書の数日前に更新を終ふ
立て続け作る俳句の百句ほどフル回転のわれが大脳
どうすべきあまたに詠みし和歌、俳句整理がつかず戸惑ひにけり
一首一句渾身をこめて瞬発に発せしものにて意義深きなり
乱雑に書くわが歌を正確に活字にうつす女史の手際さ
歌詠みの冥利に尽きぬ万象を短詩に収め内にしるすは     9月6日


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 当たらなくて幸い

立て続け台風三つも上陸し東北地方に荒れ狂ひけり
台風の早くも新たに発生し本邦に又13号の来
大量の雨を伴ひ上陸す今年の野分の異常発生


今年の台風の発生と、日本への上陸の様子は異常である。この気象異常と向き合って逐次、台風の進路を予報し、発表する専門家は立ち往生している。分析と予想に基づいた発表が当たらずに、困惑している様子がうかがえる。予報官の発表をそのまま流すマスコミを初め、それをまともに信じて備える国民も又てんてこ舞いである。不意打ちを食らった東北地方と、北海道の被害が甚大である。台風9号の進路の予想が関東を直撃し、日本海に抜けるものであったが、実際には関東に上陸しなかった。それは幸いなことであった。しかし9号は東北沿岸を北上し、関東北部から東北地方に上陸して北上を続けた。大量の雨を齎して、そのまま勢力を保ち北海道に上陸、稚内に抜けていくものであった。こんな台風の進路は過去の歴史にもなかった由である。そして東北、北海道に甚大な被害をもたらしたのである。異常気象は、様々な分野に大きな影響を及ぼしている。
  太平洋上で発生した台風は通常北西に向かって針路を定め、最終的には沖縄に上陸、一方本邦に向かって北上し、九州、四国、近畿、関東に上陸するのが常道であった。しかし、今年はこのコースを踏んだ台風が一つもない。原因は複雑であり様々だが、大きく分けて地球温暖化による海水温度の上昇と、海流の変化、そして大気の気圧配置を挙げる専門家が多い。素人の私もおおむねその三つを考えてきているので、大方の人は、この先の自然と宇宙の変化の、我々に及ぼす影響について心配している。何も日本だけに限ったことではない。地球全体がそうした異常気象の災難を受けているから、どうしようもないのが現状である。台風13号の接近で、関東地方は今日は朝から終日大雨、洪水予報が昨日から出されているが、今日午後三時半現在、そうした兆候は見られず、皮肉ながら、予報が百パーセント見事に外れ、これは誠に持って幸いな結果である。熱帯性低気圧に変わりながら、速度を増して急速に関東地方を通過したのかもしれない。今日の日中は、日が差したり、晴れ間が覗いたりの愉快な一日になりそうである。事務所の窓から見渡す空の様子では、台風は熱帯低気圧となって、太平洋上に去って行ったと思われる。
  この異常気象は漁業の収穫にも大きな変化がある。例年この時期にはさんまの収穫期に当たるが、異常気象のおかげで、魚屋の店頭に並ぶさんまの値段は、例年のこの時期の三倍の値段である。秋にはさんまの味を味わいたいし、昨日も近所の魚屋の魚辰の店でさんま三匹千円で買ってきた。黒マグロの刺身のひとさく五百四十円也も一緒に買ってきたが、さんまは矢張りこの時期に食べるのが一番おいしい。この間は確かイワシが取れなくて、高級魚の値段がついていたように思う。イワシと云い、さんまと云い、こちらは予報が当たらなくて、庶民は困っているだろう。
   気象予報が当たらなくて良かったと思っているのは関東以南に住む住民であって、東北、北海道に住む人たちの被害は予想だにしなかったことで、甚大でであり大変困っている。河川の氾濫や、がけ崩れ、道路の寸断などの土砂災害、田畑の冠水や家屋の浸水など、更なる追い打ちとなっている。被災地では被害甚大で、救済、救援活動は十日以上も経った今も続いている。予想を越した被害状況である。孤立状態の集落も見つかっている。たて続けに襲う大雨で、現地の状況がさらに心配である。
                                9月8日


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    複雑、煩雑な地下鉄線

大築耳鼻咽喉科の診療所を訪ねて、自宅のから等々力から初めて月島まで行くことになった。いつもは地下鉄日比谷線を利用して、八重洲のオフィスまで通勤している。月島はこの日比谷線を利用して、いつも降りる銀座駅を過ぎて、東銀座の次の築地で大江戸線に乗り換えれば月島に行けるという説明を受けていた。この日は妻が一緒についてきてくれた。大築先生は明子が紹介してくれた名医の大築耳鼻咽喉科の院長先生である。済生会病院の耳鼻咽喉科部長をされて居て、昔診察を受けたことがある。この日は、午前中の受付時間に何とか間に合うように急いでいた。
  日比谷線に乗っている時ふと気が付いて、六本木から大江戸線に乗り換えて行けば月島に早く着くと考えて、急きょ六本木で降りることにした。そしてここから大江戸線に乗っていく方が近いだろうと判断した。六本木の駅を降りたのは久しぶりである。以前とは大分様子がが変わっていた。駅員に、大江戸線に乗り換えていくには何番を目指していけばいいか聞いて、その案内番号に従って急いだ。表示する標識がはっきりと立っているので、迷うことはなかった。しかし回廊が長いことに驚いた。地下通路を早足でいくと、また更にエスカレーターを長々と下りて行くには相当の時間がかかった。それにしてもこれだけ深くエスカレーターに乗って下っていくことに先ず驚いたのである。一体この大江戸線は地下のどのあたりを走っているのだろうかと、これだけ地下を掘っていくには大変な難儀だったろうと、半ば嫌になってきた。そして六本木でわざわざ降りたことを後悔したのである。家内も大変なことに付き合ってしまったに違いない。
急ぐ余り早とちりして判断を誤ってしまった。モグラじゃあるまいし、こんなところで働く人たちは苦労だろうと思った。都会に暮らすにはこんなことまでしなければ、間に合わないのだろうか。愚見かもしれな無駄なことをしていると思った。地震や洪水が襲ってきたらどうするのだろうか。こんなにも深い地下で取り残されていたら、救助を待ってみても所詮無理で、もはや一巻の終わりである。安全性を云々する前の話であって、ここまで安全を求めることは愚の骨頂である。愚の骨頂と分かっていながら、こうしてその地下鉄にご厄介になって月島まで行こうとしているのだから、もはや常識ではない。
人間離れの発想であって、そこまではついていくことはできない。着いてゆくことが出来ないことを、人間は敢えてやっているのだから、何とも救いようがない。救いようのない人間の業に適った地下鉄に乗っている自分はいったい何者かと、堂々巡りの考えに、頭が変になってきた。夏目漱石だったら、この辺りをすんなりと潜り抜けて理屈を展開して行くだろうが、凡人の小生にとっては、もはや頭が回転しないし思考停止の状態である。無駄だから、思惟する努力をやめた方が良いかもしれない。
禅の修行の一つに座禅がある。座禅中は意識を停止させて、無の心境に自らを至らしめることにある。努力しても、頭の回転がしなくなってしまったのと違って、座禅の思考停止は、そのものを目指している修業である。とにかく人間のなすところ、意志の決定に従って余り間違っていなかったら、自分の自由意思に決めることが精神衛生上も有益である。深刻に考えすぎて漱石は深淵にのめりこんで神経衰弱になり医者通いしたが、原因不明でわけのわからない薬を飲んでいたが一向に良くならず、しばらく家に閉じこもりとなったそうである。天才、漱石も苦悶の日々を味わっていたことになる。
はじめて行くところには、地下鉄を利用することは避けることにした。そうでなくとも、網の目のように交差する地下鉄は線の名前を調べるだけで翻弄されてしまう。改札口を出てから、乗り換えの線にたどり着くまでの不便さがある。しかも改札口を出てから地上に出るまでの煩雑さ、長い距離も場合によっては経験しなければならない。今回月島まで行く道のりは、その最たるものであった。六本木の改札を出た途端、駅員に大江戸線に乗り換えるコースを教わったが、何と、日比谷線の地下鉄から更に長いエスカレーターに乗って地下深く潜っていくのである。何層も地下鉄が交差しているかのように感じて恐ろしくなってきた。一体どこまで連れられて行くのか不安になってきたのである。恐怖感に近いものを感じた。大深度、大深層の掘削と云う聞き慣れない言葉が、ふと頭をよぎった。
人間には、地下深く掘り下げていく技術が最近になって著しく開発されているが、あくなき欲望は恐ろしいくらいである。そう言えばとうの昔に青函トンネルを掘って、深い津軽海峡を貫通させてしまったし、トンネル技術もそうだが、今は超高速鉄道、リニアモーターの建設のためにアルプスの「どてっぱら」に穴を抜こうとしている。恐れるところ知らずである。
それどころではない、広く巨視的に外を見たら宇宙開発がおびただしい勢いだし、小さく顕微鏡の世界だが、微視的に見れば微生物の発見やら医学・治療の分野での進歩が目覚ましい。人間活動の全てにおいて、研究開発が顕著である。最近は技術開発なくして経済発展経済成長はないとまで常識的に云われてきている。その逆も真であって、経済の発展、成長なくして技術の進歩はない。つまり資本、お金の役割が重要である。理屈はその通りかもしれないが、このままでは際限がない。地下鉄のエスカレーターを長々と下りて行くような感じである。着くべき目的が決まっていれば不安はないが、そうでないとどこへ連れて行かれるか、不安を通り越して恐怖を感じてくる。
日進月歩の世の中で新発見の、その情報たるや天文的な数にのぼるであろう。その一つひとつに発明家の、スポンサーの特許申請がなされたりしている。それが経済的利益につながっているわけである。研究開発と成長経済の発想は、目の前の現実的問題であって、我々の生活と直結していることになる。科学者も、特許権一つで大金を手にすることが出来る時代である。エスカレーターにしても、部品と云い、素材と云い、沢山の技術結果の組み合わせだろうから、無数の特許権によって複雑な大量生産の一役を担っているわけである。
   地下鉄の複雑さ、煩雑さを経験して人間社会の複雑さと煩雑さも知るに及んだが、あまり思いつめて考えていると際限がないし、いい加減なところで思考停止も人間の知恵である。雑念を払いのけて一念発起、無念無想の境地に入ることも一策である。昔、尊敬する大内先生は脱俗の境地に近いところに至るのも人間の修業、精進の一つだと云われた。政治家の中曽根さんは、禅の道場、お寺に良くいかれた。無念無想の境地も生きていく人間にとって必要な道かもしれない。呼吸と同じで、息を深く吐いて止め、然るのち新しい空気を深く吸い込むのと同じかもしれない。単純なことで知っていながら自然な気持ちで実行できないことだが、大事な健康法の極意である。
小説「草枕」の冒頭で書いていることだが、漱石は山道を登りながらふと処世術なるものを悠然とした心境で考えた。小生は地下鉄に乗りながら、その実感にうんざりして余計なことを考え、慌てた時間を過ごした。換気装置が発達したからいいが、地下鉄の空気はかなり悪いに違いないと昔思いながら乗った記憶がある。第一、線路と車輪との摩擦による鉄の粉じんの拡散は大変なものだろうと、これを吸わされている乗客は被害が大きいだろうと昔は心配していた。何十年と地下鉄に乗って通勤してきているので、そうした心配は無用だとわかった。ただ便利だと思っている地下鉄が、利用する方法をよく選ばないと肉体的に苦痛であるということである。余計なことを考えた結果、月島駅に着いたが、下りてからが難儀であった。妻は以前、診療所には二度ばかり来ているので大体の見当がついているが、小生は勝手がわからない。用意周到の家内だが、それでもスマホで診療所の受付けに行き方を訊ねて聞いてくれている。出口の10番から出てくださいとの事、受付時間の1時まではあと数分しかない。それを逃すと2時半まで待たなければならない。急がねばいけない。家内は先に行って受け付けてもらっておくと云うなり、私より先に駆け足で階段を上り、エスカレーターを昇り出口に向かった。あとから私も追ってついていくが、家内の足の方がずっと速い。私は家内の足の速さにびっくりした。それに小生は息使いが荒くなってきて苦痛になってきた。
階段を上って出たところが、これがまた長い地下通路に繋がっている。いきなり地上に出ればいいものを、300メートル以上はあるかもしれない。何のために作った地下廊下なのか、意味があるに違いないが、乗客にとっては無意味である。じっと見通してみると家内の姿はどんどん先を走っていて見えなくなってしまい、不安になってきた。致し方ないが、ここは家内に任せてあとを追った。長い地下通路をようやく通り抜けて、階段を上り地上に出た。携帯で家内に打電したが捕まらず、しばらくして電話が入って、「受付時間に間にあいすぐに見て下さると云うので早く来てください」と云うのだが、地上に出た私が方向音痴で、自分が一体どこにいるのかわからない。すぐ近くに携帯をかけている家内を見届けて、ほっと一息ついて後についていった。診療所に入り幸い患者が少なくなったあとらしく、受付を済まし部屋に入っていくと、大筑先生は私らが来るのを待っていて下さった。どっしりとした体格で信頼に足る雰囲気であった。症状を説明して、診察台に乗った。すぐに喉の奥深くまで内視鏡を挿入して、内部の状況を画像に映しながら、私にも内視鏡がとらえた複雑な構造をつぶさに見せて下さった。「心配ない、きれいですよ、何も怪しいところはありません、アレルギーの所見が少々みられる程度です」ということであった。漢方薬を含めた適切な処方薬を出しておきましょう、というご託宣であった。
緊張の余り走ってきたので、力ががくっと身体から抜けそうであった。診察を終え、お礼を言って診療所を出た。表通りに出て近くのファミレスに入って遅い昼食にありついた。家内も疲れ切ったような感じであった。咽喉部辺りに危険な兆候の疑いがあるということで、今回、他の耳鼻咽喉科の助言で徹底的に調べてみてもらったが、幸い異常がなかったことで安心したのである。実はほかの診察を受けてかかりつけの、慶応医大の耳鼻咽喉科にもみてもらって異常がないと診断されていた次第である。神経質になったかもしれないが、最初の医者で脅かされたこともあって、気が付かないうちに大病院を含めて4件の専門医を訊ねて診察してもらってきて、どこの医者も大丈夫というお墨付きであった。地下鉄に乗って一緒についてきてくれた妻には、途中散々に難儀して激しい運動もさせたりしたが、良かった点は、足腰の強さに自信を持ったことである。特に妻は、以前に自転車に乗って躓いて膝を強く打ったことがあり、治癒した後も得てしてひざに痛みと違和感を感じていたが、当日物凄くかけて行った時に覚えた痛みが、翌日には解消していたということで安心し、こんなラッキーでハッピーなことはないと喜んだのである。逆療法の結果だと勝手なことを云って喜んだ次第である。適度に、且つ激しく動かしたことが逆に良い効果を齎した結果になったことも、本当かも知れない。
   今回の喉と声の変調の件では、医者の診察を受けるときは心配する妻がいつもついてきてくれた。余程心配していたに違いないと申し訳ない気持ちだが、なんでもなかったことが分かり、幸いであった。喉のむず痒さや、声の変調は、そのうち改善に向かうことだろうと思っている。 油断大敵、健康第一と常々思う結果である。 9月15日

年を経ていよよ健康にありし身をともに喜び祝ふ今日かな   (敬老の日)
キリストの愛と力を授かりて日々健康にて務め果さん
老人を敬ふ国のしきたりの地につき愛の証しなるべし
良き人のみな教会に集まりで神を讃えへる歌を唄ヘリ      9月18日
                   
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その後の豊洲の動きについて

ところで昨今、深刻且つ不安に思うことは、東京中央卸売市場の移転問題である。これほど深刻かつ不安なことを身近に思うことはなかった。石原・元都知事が直接関与してきたことは事実だが、彼の発言も二転三転している。挙句に、都は伏魔殿だと捨て台詞を吐かれても、困惑する都民はどうなるんだと云いたい。小池知事が登場してくれなかったら闇の内に葬り去られ、早晩、問題発覚が将来に必ず及んで疑心暗鬼は、とんでもない事態に発展するところであった。遅まきながら事件の実情がつかめてきたが、巨大都市のどろどろとした利権の根深さを感じて恐ろしくなるくらいである。都民は今この問題で、都の対応について都知事の云う通り、一切信用できないという状況である。情報を公開し疑心暗鬼を払しょくし、都民の信頼回復が必要である。リオの閉会式から帰ったばかりの小池知事は大変だろうが、正当な、公正な有識者、専門家を結集して解決策を早く出してもらわないと、日本全体の不信を世界にばらまかないとも限らない。既にそうした兆候は出てきている。ここは国も勇気を出して小池知事の援軍となって、問題解決に、移転先の再検討も含めて乗り出すべきである。もはや都のだけの問題ではなく、国家の信用と威信に係わるに大きな問題に発展しつつある。
   問題の大きさは国内はもとより、外国の人たちが成り行きを注目している。ことは都民の毎日の台所の安全性をを直撃する問題である。食生活にかかわる重大な問題であり、食品の扱い方次第では、日本は危険であり、ずさんであると云ったレッテルを世界から貼られたら大変である。都民のみならず、日本の消費者全体に及ぶ根本的な問題だからである。平和で良好な治安と、安全な食生活、すぐれた医療体制は、以て日本の誇りとするものである。その一角が崩れる様では、日本国の信用問題でもある。日本の食品に疑義を持たれたら、日本に来る観光客だって不安であり、客は避けるであろうし、遠ざかって行ってしまう。小池知事も大変な問題に取り組んでいかなければならないが、都民を、しいては国民を安心させるために、駄目なものは駄目として、妥協したりする性格の問題ではないので、しっかりとした足場にたって、強力な布陣を敷いて、子供や孫たちの将来のために頑張ってもらいたい。都民の、国民のいのちを守るためである。
   小池知事はこの期に至りまさしく、救世主の大役を背負って出てきている。少しの疑惑も許すことが出来ない問題である。安全な食品を供給する大事な取引市場の衛生的、有害汚染の有無の問題である。多少の犠牲を払ってでも、疑念が晴れるまで今の都民に親しまれてきた築地市場をこのまま使って行けばいいのではないか。 今も機能的には十分発揮している。移ってから混乱と不安を残す移転先の豊洲より、今までの豊かな経験を積んできた築地の方が安心であり、ましである。老朽化の問題だけなら、良く熟慮して移転先を他の場所に考えることぐらい検討し直したらいいではないか。無理してごり押しで決めることもない。そもそもガス工場の跡地を選んだのがまずかった。あえて選ぶのであったなら、もっとしっかりした認識を以て対応していくべきであったが、事は一部の者たちによって闇の内に話の核心が運ばれていったようである。不愉快である。
   新聞報道によると、ある市民団体や知識人が元東京都石原知事を相手取って、損害賠償の訴訟を起こしているということである。法廷で事実関係を明らかにして明らかにして、その結果を待つこともあろうかと、一都民として思っている。この期に至って石原はしきりに老人で覚えていないとかとか、痴呆的言動を口にしてとぼけようとしている。トップからしてこの始末だとすると、腐りきった東京都の内部は一刀両断の短期決戦では積年の膿を出し切ることは難しいかもしれない。その石原本知事は今、権力の乱用と金権・汚職政治で糾弾された闇将軍の田中角栄を成功の人と祭り上げた本を出したりしている。時代錯誤も甚だしい。役人の自己防衛本能は正気の沙汰ではないから、小池都知事が局長辺りに指示したぐらいでは蛙の面の水で平気であり、のれんに腕押しである。 升添の時、彼の感覚と対応を巡って文芸春秋は「日本の恥だ」と云って書いたが、トップのこうした品の悪さわはこれから先も続くかもそれない。政治の世界ばかりではない、反省し自戒自制すべきは経済の世界もそうである。原発事故の東京電力、東芝然りである。うんざりである。


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       民進党党首に蓮肪氏が


   こうしたさなか、野党第一党の民進党の党首に蓮肪女史が選ばれた。女性党首の登場を、大いに祝福したい。この人の実力は判らないが、軽はずみな言動が気にかかるので、注意してもらいたい。対峙する自民党は、今や大勢力を誇って自信満々、政権運営に驀進中である。こうした状況下でも、日本を取り巻く内外の政治、経済情勢は厳しいものがる。民進党の務めも、責任重大であって、日本のために、国民のために大いに働いてもらう点については、政府自民党と同じである。自民党に負けないように努力勉強して、我々国民のために、より優る提案をしてもらいたい。党首であるからには、気持ちを大きく持たないと、雰囲気的に頼りがいがなくなってしまうので、もう少し落ちついてもらった方が良い。揚げ足を取るわけではないが、二重国籍だったことも、自分自身気が付かなかったでは困るのである。自民党と対峙すると云っていても、こんな調子だと安倍さんには到底太刀打ちできそうもない、なんていうことになってしまうからである。苦言を呈するわけではないが、肝心要の幹事長の起用についても、前の敗軍の将を持ってきて頼ろうとしたりするところは、旧態然としたところから抜けきっていないではないか。温厚で、実行力のある岡田氏の方が良いような気がする。他にも清新溌剌とした人物がいるはずである。民進党にはこんな程度の人間しかいないのかと気になるところである。実際に閣僚経験もあるから仕方がないが、小池氏の様にどっしりとして信頼感のある姿勢が、我々都民にも頼もしく映ってくる。民進党の存在と役割のために、若くして清新なところを、新党首には期待している。
  内外の政治、経済情勢は日本にとっても極めて厳しい時である。国益重視は、国民本位の政治である。国民のために政府を初め自民党の諸君については無論のこと、野党の諸君についても切磋琢磨して自民党に負けない現実政党として大いに活躍してもらいたい。アメリカの大統領選も佳境に入ってきたが、ヒラリー、トランプの一騎打ちは40日余のあとに勝敗が決まる。喧々諤々、非難の応酬に困惑するアメリカ市民の表情が目に浮かぶが、アメリカの選挙の結果は今、世界が注目している。アメリカ史上最低のレベルの大統領選挙と評されほどに、二人の候補の素質が疑われている。大事な時に、アメリカの進路を決定する選挙結果の時に、この始末では、先が危ぶまれて仕方がない。マスコミの報道姿勢にも問題があるかもしれないが、こうも激しい非難中傷の応酬なかりでは、選挙民も選択の基準をどこに置いていいのか戸惑ってしまうだろう。日本の国会も開会を目前に控えている。難問山積の時である。幸い日本の国民の目は厳しく正しいから、これがせめてもの救いである。政治的安定が確保されないと経済は落ち込み、世の中が不安になってくる。野党に対して言いたいことは、攻撃することが最大の武器ではなく、協力、協調して見識を示していくことが、健全な野党としての存在感を示して、国民の支持につながってくことをしっかりと理解し把握してもらいたい。     9月23日 


2016.09.01

社団法人 昭和経済会
理事長 佐々木誠吾


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