HOME > 理事長室より
- 最新ナンバー
- バックナンバー
- 2024年12月
- 2024年11月
- 2024年10月
- 2024年09月
- 2024年08月
- 2024年07月
- 2024年06月
- 2024年05月
- 2024年04月
- 2024年03月
- 2024年02月
- 2024年01月
- 2023年12月
- 2023年11月
- 2023年10月
- 2023年09月
- 2023年08月
- 2023年07月
- 2023年06月
- 2023年05月
- 2023年04月
- 2023年03月
- 2023年02月
- 2023年01月
- 2022年12月
- 2022年11月
- 2022年10月
- 2022年09月
- 2022年08月
- 2022年07月
- 2022年06月
- 2022年05月
- 2022年04月
- 2022年03月
- 2022年02月
- 2022年01月
- 2021年12月
- 2021年11月
- 2021年10月
- 2021年09月
- 2021年08月
- 2021年07月
- 2021年06月
- 2021年05月
- 2021年04月
- 2021年03月
- 2021年02月
- 2021年01月
- 2020年12月
- 2020年11月
- 2020年10月
- 2020年08月
- 2020年07月
- 2020年06月
- 2020年05月
- 2020年04月
- 2020年03月
- 2020年02月
- 2020年01月
- 2019年12月
- 2019年11月
- 2019年10月
- 2019年09月
- 2019年08月
- 2019年07月
- 2019年06月
- 2019年05月
- 2019年04月
- 2019年03月
- 2019年01月
- 2018年11月
- 2018年10月
- 2018年09月
- 2018年08月
- 2018年07月
- 2018年06月
- 2018年05月
- 2018年04月
- 2018年03月
- 2018年02月
- 2018年01月
- 2017年12月
- 2017年11月
- 2017年10月
- 2017年09月
- 2017年08月
- 2017年06月
- 2017年05月
- 2017年04月
- 2017年03月
- 2017年01月
- 2016年12月
- 2016年11月
- 2016年10月
- 2016年09月
- 2016年08月
- 2016年07月
- 2016年06月
- 2016年05月
- 2016年04月
- 2016年03月
- 2016年02月
- 2016年01月
- 2015年12月
- 2015年11月
- 2015年10月
- 2015年09月
- 2015年08月
- 2015年07月
- 2015年06月
- 2015年05月
- 2015年04月
- 2015年03月
- 2015年02月
- 2015年01月
- 2014年12月
- 2014年11月
- 2014年10月
- 2014年09月
- 2014年08月
- 2014年07月
- 2014年06月
- 2014年05月
- 2014年04月
- 2014年03月
- 2014年02月
- 2014年01月
- 2013年12月
- 2013年11月
- 2013年10月
- 2013年09月
- 2013年08月
- 2013年07月
- 2013年06月
- 2013年05月
- 2013年04月
- 2013年03月
- 2013年02月
- 2013年01月
- 2012年12月
- 2012年11月
- 2012年10月
- 2012年09月
- 2012年08月
- 2012年07月
- 2012年06月
- 2012年05月
- 2012年04月
- 2012年03月
- 2012年02月
- 2012年01月
- 2011年12月
- 2011年11月
- 2011年10月
- 2011年09月
- 2011年08月
- 2011年07月
- 2011年06月
- 2011年05月
- 2011年04月
- 2011年03月
- 2011年02月
- 2011年01月
- 2010年12月
- 2010年11月
- 2010年10月
- 2010年09月
- 2010年08月
- 2010年07月
- 2010年06月
- 2010年05月
- 2010年04月
- 2010年03月
- 2010年02月
- 2010年01月
- 2009年12月
- 2009年11月
- 2009年10月
- 2009年09月
- 2009年08月
- 2009年07月
- 2009年06月
- 2009年05月
- 2009年04月
- 2009年03月
- 2009年02月
- 2009年01月
- 2008年12月
- 2008年11月
- 2008年10月
- 2008年09月
- 2008年08月
- 2008年07月
- 2008年06月
- 2008年05月
- 2008年03月
- 2008年02月
- 2008年01月
- 2007年11月
- 2007年10月
- 2007年09月
- 2007年08月
- 2007年06月
- 2007年05月
- 2007年04月
- 2007年03月
- 2007年02月
- 2007年01月
- 2006年12月
- 2006年11月
- 2006年10月
- 2006年09月
- 2006年08月
- 2006年05月
- 2006年04月
- 2006年03月
- 2006年02月
- 2006年01月
- 2005年12月
- 2005年11月
- 2005年10月
- 2005年09月
- 2005年08月
- 2005年07月
- 2005年06月
- 2005年05月
- 2005年04月
- 2005年03月
- 2005年01月
vol.11-09 野田新内閣の発足
野田新内閣の発足
ねじれ国会を円滑に運営していくには、先ず党内の結果を固め、野田内閣がめざす使命と目的をはっきりさせて国民の支持を得、国会内では野党の理解と協力を得る関係を構築、維持してゆくことです。これを以て、むしろ党の主体性を確保したまま内容を充実させた協議のうえで、大連立と同じような実績を上げ、実質的な日々の政策効果をあげることが必要であります。
東日本大震災の復興と、東京電力の原発事故の収束には、与野党とも共通の認識があるので、これを最優先課題としてそこから全てを着手すべきであります。野田首相は増税についても原理主義ではないとし、原発についても漸近的対応を示して、極論を避けて、いたずらに軋轢をおこさしめることがないよう注意を払っているところは、慎重、穏健な姿勢で好感がもてます。政局に対する自信のあらわれではないでしょうか。小沢の党員資格停止処分の扱いについてもすり寄るようなところがなく、簡潔明解であります。
又靖国神社など、いろいろと物議を沸かしてきて必要以上に隣国諸国を逆なでしてきたことでした。公式参拝をしないとした野田新首相の発言に胸をなでおろしました。このことで反省の弁なく今までも対外関係を余りにも無駄に扱い、無益な結果を招いてきていました。韓国、中国からごうごうの非難が出て、国民はうんざりであります。日本と国民にとって隣国の将来にわたる友好関係の構築は絶対に欠かせません。隣国との軋轢は、労多くして益なしとはこのことでしょう。それよりも拡大を続ける東南アジアの経済領域に日本としても前向きに楔を打っていくことに専念すべきであります。円高は海外進出の絶好の機会であります。
やるべき仕事は沢山あります。丁寧に手を抜かず、しかし機敏に問題解決に対処してもらいたいと思います。省益をかざす大臣はいろいろですが、不手際を演じてひんしゅくを買う時もあることでしょう。要は首相がリーダーとして閣内の手綱を締めて、その才覚、識見、指導力、統率力をいかに発揮していくかであり、方向性をはっきりとさせて全体を牽引していくことでしょう。大臣をうまく使って、全体を総括してゆけば、即ち所轄大臣に仕える官僚諸君の奮起を促し、公僕として彼らを上手に活躍させることに帰着します。これこそ国威高揚に益し、政、官、民、一体となって効率よく国難に対処していく結果となるでしょう。霞が関から制度改革、規制改革と撤廃をかざして、これを迅速に実行していかないと世の流れについていけなくなってしまいます。いわんや先陣を切って、リードしていくなど覚束ないことであります。猜疑、対立の構図を廃し、理解、協調の構図に切り替えることが大切です。
なまずを飲み込んだどじょう、野田新首相の組閣はどの記者会見でもはっきりと物を申しており、当たり障りのない穏当な見解を示して、バランス感覚の優れた一面を覗かせて安堵感を与えるものでした。今までがあまりにも悪かったせいもありますが、まず民主党自身の党内融和をはかることが先決であり、党内野党を作っていたのでは自民、公明などの野党と対峙して政策協議をすることは難しい局面です。なまずの剛腕、こわもての人相の小沢一郎を飲み込んだ自称どじょうの野田にしては穏健、重厚な面ざしで、気張ることなく非常に良い印象でした。飲み込んだナマズは不気味ですが、今まで党内野党として何かにつけて面倒な存在でした。これをうまく取り込んで腕前を発揮して実力の片りんを見せてもらいましたが、野田新首相の、いたずらに相手を刺激するでもなく、さりとて迎合するでなく、中立的姿勢を堅持したところは器としては小沢の上をゆく人間的スケールと素質を持っているに違いないと思ったのです。願わくば先のモームページで私は三つの点を披歴して、留意ご注意したことですが、野田新首相は早晩、力量才覚を発揮してゆくことを期待したいと思います。
小沢のどこに魅力があってあれ程の多くの子分を作るのか判りませんが、ああした雰囲気はこれから先政界にはそう長続きせずに、次第に霧散、霧消してゆくのではないでしょうか。自浄作用とでもいいますが、それがようやく日本にも浸透してきた大きな時代的傾向であり、流れであると思っています。権力志向の強い独善的な特異なタイプでありながら決して表に出ようとせずに、政界の影に隠然たる勢力を張っていること自体が、何やら旧態然として接しがたい感じでありますが、今の、そしてこれからの日本を背負っていく若者たちには理解しがたいことに違いありません。柔和な面差しながら苦労人の野田と比較して、対照的に強く感じられる点であります。
輿石幹事長、前原政調会長の起用は絶妙であります。党幹部としてまだ日が浅いけど、輿石東が一方に組みしない、重鎮としての貫禄を示してきたように思います。熟達した年期の入った言動は、静かですが信念を貫くものがあって、尚且つ、性急さがなく安心感の持てるものであります。亀の甲より年の功とでも言いましょいうか、先のかじ取りが楽しめます。片や政調会長に就任した前原は政策面でも、党組織の点からも考え方が対照的ですが、牽制し合って良策を得る結果をもたらすのではないかと、うまく均衡を保っていけるのではないでしょうか。輿石の年期が和解を通じて、今後のことをうまくとりなしていくような感じがします。党幹部の人選を済ませた野田首相は、評価はまちまちですが適材適所、派閥均衡の内閣を組閣して穏当なスタートを切って出陣しましたが、手がける仕事は喫急の課題山積であります。ゆがんだ脱官僚で来た前政権でしたが、国民のため働かんとする優秀な官僚諸君を活躍させずして有閑の身に置いていたでは何をか謂わんやであります。官僚の世界にありがちな閉鎖性を打破して、むしろ若い諸君の豊富な知識を前面に活用して、新しき時代に対応していかないといけません。
日本は不動産バブル経済を抑えるために、平成二年の総量規制を行いました。これをコントロールできずいつまでも放置して、日本経済は落ちるところまで落ちてしまったのです。その間、私はたびたび拙見を披露して政策の転換を求めてきましたが、遺憾ながら通じるところがありませんでした。もはや自然治癒力を喪失してしまって早や二十余年の歳月が流れています。依然としてデフレ経済の中にあって立ち上がることができずに、経済の成長戦略はおろか、回復路線にすら乗れないままであります。その間、外国の経済は起伏はあっても順調に拡大路線を進んできており、特に、新興国の進出、発展は目を見張るものがあり、大きく水をあけられている始末です。そこに東北大震災が発生し、加えて凄惨な原発事故による放射能汚染の洗礼を受けて、国内は右往左往している現状です。今日、日本の経済を大観し、単純に計算すると、国債残高九〇〇兆、東北大震災と原発事故で国力の三分の一は喪失しました。これが二〇年余にわたって続くデフレ経済に追い打ちをかけたのです。未曾有の天災人災に遭遇した日本は踏んだり蹴ったりで、懸命の奮起を促して連日「がんばれ日本」の連呼であります。
日本の経済の現状が世界的にみて劣勢に立っている如実の現状は、慨嘆の極みであります。国富は半減、借金はそのまま、資産負債のバランスは説明するまでもありません。政治的には、政権交代を果たして新しき時代に躍進していくかと思っていたら、全くの期待外れに終わってしまい、菅内閣で糞ずまりの状態となってしまったまま憤死してしまいました。ごたごたの末に想定外の野田内閣の実現となりましたが、それも「なまずを飲み込んだばかりのどじょう内閣」ですが、消化不良を起こすことのないよう、これを血肉として、あとは排泄してしまうことであります。糞に変えてしまえば、それ自体はあばれることなく、分散して肥料として散布して良き栄養と変質させることができます。100人とも120人とも子分たちを次第に切り離し、国会議員としての理念、品位、見識を打ち込んでいくのも、野田首相の務めといわねばなりません。そのくらいの意気込みでやってほしいものです。そこに新生、民主党の姿が新鮮味を以て描かれてくるに違いありません。折角飲み込んだのだから、吐き出すことのないようにお願いしたいのです。野田に風格が出てきたのは、小沢の懐柔に成功し、傘下に収めたことを予兆するものかも知れません。未曾有の天災と人災に見舞われた史上最大の困難に立っているので、今までの旧態然の政治感覚、行動を以てしては艱難を突破できないことは如実であります。性急、過激、邪悪に走らず、穏健、持続可能な社会の実現に邁進してもらいたいとひとまず声援を送ろうではありませんか。松下政経塾を出たか出ないかはどうでもいい抹消のこと、早くから政治に志を立て下町の街頭で辻説法を毎日心がけてきた信念と情熱はそうは簡単に崩れるものではありません。目的を達した今、振り出しに戻ったつもりで平凡だが初志貫徹で日本に漂う悲観を一掃しこれからの新しい国土作りに、明るく大らかに参ろうということでしょう。
「大なゐと巨大津波と放射能被曝に怯ゆ日本国民」(三月十五日詠)から早く脱却したいものです。これを以てすれば、今、日本国民は自国に対してどの様な見解、認識を以て将来に臨むべきか、己ずと覚悟と決心がつくはずであます。時に誕生した野田新内閣とその政界は、どうあるべきか反省の上に立って改善してゆかなければ、よく識者が指摘するように競争社会に敗北して暗澹たる状況に陥ってしまうのが現実であります。即ち小異を捨てて大同につく姿勢が必要であり、しかも基本的には忌むべき全体主義にならずして個のきらめく、きめ細かな小回りのきく社会が機能的に発揮しうるものとすべきであります。たとえば秘密のベールに包まれていた福島原発の巨大な規模は、事故と放射能被害を知ることによってわれわれは初めて理解しうるに至ったと云っても過言ではありません。あの巨大建造物と巨大設備、その中深く消し難い毒物を内蔵して人口密集の狭小な地域に存在していたということに気ずいて改めてき恐怖の念を抱かずにはおれません。
世界的にも個人の尊重、人権の擁護がいつも叫ばれておりますが、物的社会においてもそれに見合った規模が理想的に機能する社会こそ、調和のとれた社会ということができるのではないでしょうか。
大型主義から小型主義への転換であります。付加価値、高技術社会の実現であります。大量無駄消費社会から良質有益消費社会であり、裏を返せば知識集約型の効率生産型社会であります。浪費なき、資源消費の効率社会であります。 9月8日。
>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>
9・11から10年目の今日
2001年9月11日ニューヨーク同時多発テロの発生で、ブッシュ政権はアフガニスタン、イラクに潜伏するアルカイダ一味を標的にアフガニスタンとイラクに宣戦布告しました。そしてアフガニスタンを始末し、さらにテロ主謀者をかくまっているとされるイラクに電撃的に侵攻し、フセインを追って身柄を拘束しました。
家族のことごとくを死亡させた上、豪勢な独裁恐怖政治を布いてきたフセインは、地面に掘った穴の中に一人でかくれていたところを捕り押さえられました。見るも無残な捕囚の身となりました。先を見越せぬ愚か者の末路はなんと愚劣で悲惨な姿でしょうか。アルカイダの首謀者、ビンラディンも潜伏先の住宅地で攻撃を受け射殺されました。一件落着のように見えますが、しかしその代償は余りにも大きいものがあります。
あれから10年が過ぎて今日、9月11日は、テロ攻撃で破壊されたニューヨークの世界貿易センタービルの跡地で、オバマ大統領と前大統領ブッシュが参列して追悼式典が行われていました。イラク、アフガンでのテロ攻撃は未だに止まず、10年経った今も混乱状態で収束の気配はありません。平和を取り戻すには程遠い感があります。そうしたなか米兵の撤退計画が進んできていますが、その残骸はいまだに消し得ないでおります。
思うに、あの巨大な規模のテロ計画が、なぜ未然に防ぎ得なかったのか、未だに疑問に思う点であります。自爆テロの狂信的な集団であり、徹底した精鋭のテロ実行犯とは云え、アメリカの中央情報局が、その動きを知らぬはずがありません。謀略説が囁かれるなか、その解明は何やら不問にふされたままです。未然に防げたはずが、なぜそうできなかったか、私の脳裏に大きな疑問として残るゆえんであります。テロの実行を許しテロを誇大化し、その本当の意味を隠蔽するために、あるまじきペンタゴンまでも攻撃させた大胆な計画は演出が内部にしかわかりえない事柄であります。大統領は知っているはずであります。戦略武器の大々的な使用と生産によって膨大な利得を得んとした黒幕の存在、イラクに埋蔵される原油と利権獲得の狙い、様々な憶測が語られていますが、どれも理由の一つとした真実に肉薄するものと思われます。
同時多発テロの実行をゆるし、石油の利権をねらってアメリカでの黒幕的資本家が策謀したふしがありますが、時の政権がこれの調査、摘発を恐れて、力づくで抑えたのではないでしょうか。巨大な国際資本の暗闘が、いづれあぶり出される時がきて、理不尽な世の中の実態が解明されて、正義の活躍する舞台が歴史の上で作られるに違いないと思っています。
今宵は中秋の名月であります。白い光を放ちながら満月が、青い澄み切った天空を渡っていきます。世界貿易センターで犠牲となった多くの愛すべき友人たちの冥福を心から祈りつつ、加えて戦争に、戦場に赴いて殉職した若き兵士たちに心から黙祷を捧げたい気持ちでいっぱいです。 9月11日
+++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++
経産大臣の辞任
発足早々の野田内閣ですが、ひところの喧騒も収まって、挨拶廻りも義理を果たして、そろそろ本業に腰を置き、気合いを入れる時期に入りました。各紙の世論調査も60%台の支持率を得て、まずまずの出足です。世論調査の支持率を気にするわけではありませんが、政権に国民の信認の一定の目安を得て仕事がやりやすくなります。落ち着きを持って、政局運営に対処し、山積の課題に取り組んでいって欲しいものであります。思えば各方面で長いこと日本は政、官、共に大きな空白と隋眠をさぼって来ました。その面での時と時代の遅れは、各方面に影響を及ぼし、競争的国際関係、社会的関係を考えるとその間、大きく水をあけられてきていることは事実であります。捲土重来を願ってこの格差を取り戻すべく総力を結集して再建に踏み出さなければなりません。 先日のこと、鉢呂経産大臣が失言して責任を取り、早くも辞任に追い込まれました。野田首相らと被災地を視察し、感想を求められて、「現場は人影なく正に死の街だ」と表現して、不穏当な言葉を吐いたと云うことです。又大臣が帰宅したところ、四、五人の記者との会話でふざけながら「放射能をつけちゃうぞ」と云ったと云うことで、揚げ足を取られ無念の辞任に発展してしまいました。野田内閣は発足早々につまづいた格好であります。
鉢呂議員の発言には、確かに被災地の人たちや、原発事故によって避難を余儀なくされている人たちにとっては、あまりにも乱暴なきめつけ方に不愉快な思いをしたに違いありません。現実を直視してそのまま言葉に吐いた大臣は、配慮に欠けたと云うことであります。「死の街」を英語ではゴースト・タウンと云います。英語でゴースト・タウンと云えば、こんなことにならなかったに違いありません。大人げない軽はずみな指摘、非難されて追い込まれた鉢呂さんは困惑、狼狽気味で今にも泣きそうな表情で、同情を禁じえない気もしてまいります。避難区域、危険区域に指定されているところは住民は帰ることができませんので放置されたままの土地は荒れ放題であり、ひとっこ一人いないまさにゴウストタウンであり、死の街に違いありません。正しいことを正しくいったことについて何ら非難されるべきものではありませんが、問題山積を担っていく政治家としては、真実を語ったあとの、それではどうするのかといった答えがあってしかるべきだったのでしょう。死の街と言ってそのまま云い放しだったことが責任ないこととして植え付けられてしまったのでしょう。
前の松本議員の時の、こわっぱ役人が演じる命令口調のものとは違って、鉢呂議員の言動には子供みたいなところがあります。鉢呂議員の肩を持つわけではありませんが、こわもての海千山千の政治家が多い中で、根心はきっと素朴な人柄なのだろうと思うのです。
知人で牧師をつとめ、世界難民、飢餓対策の会の主宰者で人道支援を行ってきた神田英輔氏は、今福島被災地に入って、復興支援に身体を張って支援、貢献活動をされています。先日、牧師は私が通っている玉川神の教会で招聘されて、メッセージを取り次いで下さいましたが、人っこ一人いない現地の荒廃した様子を「正にゴーストタウン」と表現されていました。即ち邦訳すると「死のまち」であります。状況の暗澹とした様子が如実に伝わってきました。同時に放射能の危険な物質の正体もうかがい知れる言葉であります。
マスコミの記者諸君も評論家の人たちも普通に使っている言葉で、英語だと受け入れられて、日本語だと受け入れられないと云うことは、繊細な味わいを持つ日本語も堕ちたものだと複雑な気持ちでおりました。しかし、時と場所を考慮して、場合によっては使い分けをしないといけないのでしょう。特に政治家にとっては、今回のことについても苦しい試練と受け止められることがらです。政治家に文学的、文語的素質があるなんて奇想天外な発想は私にはありませんけど。しかしお世辞たらたら、その場を要領よくすり抜けていく言葉ばかりだとすると、何を信用していったらいいか、わからなくなってきます。真実を正しく正直に語ることに心がけなければなりませんが、初めに言葉ありき、生きた言葉こそ大事なことではないでしょうか。 9月20日。
************************************************************************************
秋、好日の時
庭の塀の脇に植えた一本のゴーヤの苗、大した手入れもしないのに、塀ずたいに植樹してある椿、木蓮、柚子、梅といった木に伝わってつるをのばし、枝を広げ驚くほどの旺盛さである。そして実りの時期にはゴーヤの実があとからあとから何本も吊る下がって大豊作である。五〇本は下らない。道を入ってくる人が微笑みながら眺めているが、うらやましそうな笑いである。これほど葉を繁茂させ、大きな実を何本もぶら下げているのを見ていると、これから先栄養を十分に補給してやらないと木が疲れて枯れてしまったら大変だと、腐葉土、その他の肥料をたくさん買ってきて大量に追肥してやった。炎天下でも根本に水をたっぷりとかけてやり、長いつるを通って先の先まで水分が届くように、いつしか祈るような気持ちでいた。根元の幹は年期の入った大木を思わせるような面構えで、幹の直径は二センチほどにもなってどっしりとした感じの太さである。これだと地面に広く根を張っているに違いない。
植物学者ではないので、ゴーヤに対する知識はほとんどない。ただ実際の様子を観察して平凡に手を入れて育てているだけであるが、そもそもゴーヤは沖縄が原産地であり、本土では日常の食卓にのってみんなが食べるようになったのは最近ではないだろうか。顔かたちもそうだが、色合いといい苦味といい、何となく滋養たっぷりで、健康長寿に効くような気がする。原産地が沖縄ということで、イメージも手伝ってか内地では爆発的な普及である。今年は原発事故による電力の供給不足もあって、節電励行の目的にゴーヤのつるを日除け代わりに植えて、涼を楽しむ学校や家庭も出てきているが、加えてゴーヤの収穫で一石二鳥である。結構粗野で丈夫な植物、農作物だからどこにでも誰にでも簡単に栽培できるし、手入れの仕方次第で大豊作も見込めるのが楽しみである。
拙宅では五年程前からゴーヤを植えてきており、夏場の暑さ凌ぎに簾代わりに縁の日除けとして使っており、さらに収穫を楽しんできている。拙宅では普請の時に東側の出窓は日が部屋の中に充分に差し込んでくるように大きく取ってあるが、夏の季節は朝の日の出から暑くて仕方がない。それまでは竹のすだれをかけていたが、ゴーヤのつるを這わせるようになってから、緑のカーテンを張り巡らしたようなもので清涼感は抜群である。家のなかのはじの方から窓を眺めてみると、遠近法の応用とでもゆうか何とも云えない雰囲気で、籠枕ではないが大脳の中を綺麗な風が気持ちよく通り抜けてゆくような気分で気分爽快である。
ここには今年、キッチンの出窓と、ダイニングの出窓の下に腐葉土を大量に詰めてやってゴーヤの苗をそれぞれ三本、二本と植えたが案の定、思いもよらぬほどの大豊作である。濃い緑色で凹凸のある艶やかな皮肌をした実が沢山ぶる下がっている光景は圧巻であって、これがまた絵のように美しい光景である。気持ちとしては何だか俵の上にのって打ち手の小槌をもった大黒天のような豊満な感じを抱いてくるのである。最初は苗木を買ってきたまま無精をして庭先に置いておいたが、三井さんが見かねて植えてくださった。きっと最初の植え方が良かったのである。
つるを伸ばし葉を茂らす程に、丹念に堆肥を加え、水をやりしているうちに小さな黄色の花を沢山つけ始めた。多くは雄花であるが、そのうちに小さな筒のような先に花をつけたのが雌花であって、これに辺りに飛んでいる昆虫や蜂が受粉を手伝ってくれる。
ところが既述の通り、表に一本植えたゴーヤは、五、六本植えたような繁茂ぶりで見るからに精力充満の旺盛さである。地味の良さはもとよりだが、日当たりと風通しの良さがあることである。このように元気のよい木は、成る実も沢山できる。取りたてのゴーヤは、店頭に置かれたものよりはるかに味が濃く、実がしまり、弾力性に富んでいる。料理の方は妻に任せてあるから、例えば包丁を入れた時の感触から違うし、 口に入れた時の美味さは尚更である。思い過ごしかもしれないがゴーヤの繁殖力、生命力を見るにつけて、この食材は、健康はもとより、精力剤、回春剤にもなるのではないだろうか。できることならゴーヤのエキスを抽出して試験的に飲んでみたいと思っている。
うだるような日照りが続いて、今年は一般的に作物のでき具合にむらがあるようだが、台風十二号が来て雨が降り、その後の暑さの和らぎを経て立秋を迎えた。暑さ寒さも彼岸までと昔からよく伝えられて来たことで、自然の営みには、この云い伝えは云いえて妙なるものがある。この日を境に暑さは嘘のように消え去り、爽やかな涼しさが周辺に甦ってきた。今まで大人しくしていた茗荷が慌てて顔を出してきた。丸々と太っていて栗色に光った実は、真珠のような露に濡れて艶めいている。昨日は台風十五号の豊潤な雨で茗荷が一再に首をもたげてきて、クリーム色の花つけているものもある。この朝は十三ヶもぎ採った。そして今日はまた肌寒く感じた秋空のもと、庭隅の茗荷の畑をのぞいてみたら、あちこちに茗荷が顔をのぞかせて、二十ヶ近くもぎ採ってきた。
暑いさなか、今年は不作で茗荷の収穫は駄目かと思ってあきらめていたが、ここ二、三日の気候の爽やかな変化で茗荷は自分の存在に気ずいたように生気を取り戻して、地上に顔を出してきたのには驚きながらも大いに歓迎したところである。収穫が峠を越して、秋茄子も残り少なくなって今はボケ茄子がぶる下がっている。沢山取れたオクラの木も疲れた様子でさびれてきた。早晩抜き取って、新たに土を起こし、畝を作り小松菜や冬菜などの種など蒔いてみたいと思っている。種まきは、出来れば10月に入らないうちがいい。早起きして朝の2時間もあれば仕事の半分は終えるだろう。そうだ、出窓の下に植えたゴーヤの収穫を終えたあとは、つるを刈り取り、後に十分な肥料を混ぜて土をよくこねて、そこには新菊の種をまくことにしよう。日当たりが抜群だから新菊にはうってつけの、むしろ贅沢過ぎる地味である。種まきはこの時期まで来ると、一日、二日の遅れが作物に微妙に影響してきて、生育と収穫に大きな隔たりが生じてくるので、気を付けて作業に取り掛かろうと思っている。 9月24日。
*************************************************************************************
下記に掲げた文章は、昨年、即ち平成22年8月に書いた昭和経済の後記随想の原稿ですが、紙面の都合で載せなかったものです。ちょうど一年前の出来事を書いたものですが、その時の決め事を今年6月に入ってから計画通り着実に実行に移して、この度のマンションの建物の外装工事を予定通り9月26日に完工することが出来ました。
富士箱根国立公園に建つ白亜のマンションが再び景観を誇って、妙麗の富士の眺めを満喫して今美しく建っております。東名道路の御殿場インターから箱根に向かって伊豆箱根スカイラインをドライブしていくようなときには、是非目にとめていってみてください。御殿場ゴルフ場に続いて一番高いところに位置していて、長尾峠のふもとに建っている6階建てのリゾートマンションです。50世帯が居住利用しており、私はマンションのオーナーで組織する管理組合の理事長を務めて15年近くになります。
このマンションの外装工事は一年前の総会で決議された議案の一つでありました。今回、一年前に決めたことを確実にやり遂げたこと、そしてみんなの満足を果たして義務と責任を果たした努力と実績が示されていること、こうしたことはいつの時代でも大切なことだと思っていることなので、敢えて過去に遡ってここにお伝えした次第です。管理組合としては懸案の事業を成し遂げたこと、私としても全組合員の意思の統合をはかり、つつがなく責任を果たしたことを以て安堵しているところです。
おしなべて私たちの仕事や事業は、計画立案と,実行と,完了.達成が,よどみなく行われていくことが理想です。それは汗と努力の結果、手にすることができます。果実は、参加し力を貸してくれた人たちに与えられて、社会に再び還元されていくべきものと感じたとき、仕事師、企業家の喜びを心底味わうことができるものであります。切磋琢磨とファイトスピリットの希望に満ちた人生行路を行くようなものでしょうか。 9月27日
*
富士ビューマンション
御殿場ゴルフ倶楽部とベル・ビューゴルフクラブを抜けて、長尾峠にさしかかる寸前に、白い六階建ての瀟洒なマンションが目に入ってきます。長尾峠には、直ぐに箱根に通じる短いトンネルがあります。トンネルを抜けるとすぐに峠の茶屋の前に出て、ここからの眺望は絶景であり、天下一を誇るものではないかと思っています。富士箱根国立公園の全貌を鳥曔でき、豊臣秀吉ではありませんが、思わず天下をとったような気宇壮大な気分になってきます。というのも、長尾峠からみた富士山は秀麗であり、これ又、天下一の絶景を以て知られているからです。乙女峠を通って箱根に行く観光客はたくさんいますし、伊豆スカイラインに抜けて行くマイカー族たちも大勢いますが、なぜか長尾峠を目指していく人は余りおりません。天下の絶景を見落としていて勿体ない話ではありませんか。
富士ビューマンションは文字通り、そうした位置にあって、四季折々のリゾートを満喫できますが、如何せん一番の高地にあるため、気候の変化に富む地形に置かれています。建物の侵蝕も一般と比較して厳しい条件におかれていて、いつも適宜を得た管理と対応が求められています。富士ビューマンションには五〇世帯が所有しています。所有者は、専ら涼味満喫のリゾート・マンションとして利用しています。私はその管理組合の理事長をつとめて十三年になりますが、就任後二年目にして所有者各位の要望にこたえ、マンションの全体的な改修、改装工事の計画に取り掛かり、組合員全員の賛同を得て、無事工事を完了しました。二億ほどの資金がかかりましたが、新築同様の建築物として再現を果たしました。標高八〇〇mに立つ白亜の富士ビューマンションは、富士箱根国立公園に建つ唯一、一番高い場所に建っているたてものです。今になってみると稀少価値に値するもので、所有者各位はその維持と管理について極めて熱心であります。これを支えているのは御殿場ゴルフ倶楽部の業務管理をしているリゾート・マネジメント㈱です。市川事務局長には何かとお世話になっていますが、お陰でマンションの日常の管理業務は適格に、安全、安心に行われ、年一回の総会も厳格に行われております。
本年度四月十日に行われた総会も、例年通り東京八重洲富士屋ホテルで開かれました。楽しい昼食を済まし、決算報告と予算審議を行い、いつものように全員一致でこれを決議して閉幕しました。総会では、外壁の損傷が見られるので、全体的に検証する事が決議されました。依って私は信頼できる唐臼屋の臼井一級建築士に依頼して、建物本体の構造上の問題はないかどうかを含め、給排水等の設備関係や、外壁等を総合的に検証してもらうことにしました。臼井氏は十年前の全体的な改善、改装工事でも大変お世話になったし、豊かな経験を持っているので安心しております。
検証の結果、建物の劣化を防ぐため全体の外壁の補強、外壁の塗装工事の必要性がわかったため、これらを行うことになりました。建物の劣化を防ぎ長期にわたり良好な状態で保存を図ることは、早め早めの点検を怠らず監視を厳しくチェックしていくことが必要であります。
総会決議では、経費についても各位の負担を軽くし尚、完全に目的を達成させるための知識を駆使し、最善を図ることに勤めました。予算は修繕のための積立金を活用し、各位が一部負担することにしました。十月下旬には着工したいと思っています。工事に関する色々な手続きを含め、私の理事長在任中でないとできないことと思っています。建物の耐久性をはかり、素晴らしい模様替えを終えて、白亜の豪華マンションとして再び富士箱根国立公園の絶景地にお目見えするに違いないと、自信を以て臨んでいるところです。
平成22年(八月六日)記。
平成23年9月12日
社団法人 昭和経済会
理事長