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社団法人昭和経済会

理事長室より
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理事長室より

Vol.14.10


秋に始まった国会論戦

    夏の暑さにうちしがれていた草花が勢いを増して生き返ってきている。見事なのは、庭のレンガ積みの塀に沿って妻が植えたベコニアだ。夏の暑い日照りの時は、懸命に水をやって保水を心掛けていても、この前までの猛暑には辟易していたのだろう。それがここにきて毬のように枝を膨らまし、見事に生き生きとした可憐な花をいっぴい咲かせて道行く人たちの目を楽しませている。このところのすっかり秋めいた涼しさが、花にとって気に入った絶好の好条件なのかもしれない。ベコニアの花はそれぞれ赤、白、ピンクといった色だが、それを交互に一列に植えてあるので、道行く人は歩きながら鑑賞できて乙な演出を見せている。ベコニアの咲きっぷりも、実に華やかな風情である。そろそろ菊が咲き始めることだろう。大輪で豪華な必要はない。小菊というほどに、小さな花がいっぱいつけるのがいいが、特に赤の小菊がいい。今年は庭の隅々に植えたので、馥郁とした高貴な香りもそうだし、盛りのころの花が今から楽しみである。注意してみると、すでに小さなつぼみを葉の先にたくさんつけているのが確かめられた。

   国会が始まって本会議での安倍さんの施政方針演説が終わって、各党の代表者質問もおわって、昨日三日から衆院の予算委員会での本格的な論戦が始まった。アベノミクスの実効的な場面と課題が、野党追求のもくろむところだが、押しなべていえることは、どう見ても野党の論旨が散漫である。政治家として普段政治活動において訓練されていれば、政府に対して激しい突っ込みができるのだが、そうした訓練と実践がなされていないので、迫力を以て攻撃をすることができないのである。もっと経済活動の現場に接して、状況を肌身に感じていれば、現場主義の論陣を張って出ればいいのだが、普段の足によろ活動を怠っているので、机上の空論に上滑りしてしまう傾向がある。
論議に現実の課題が、実感として迫ってこないのである。民衆の声を反映した議論でないと、真の国会議論につながってこない。残念である。    
  質問に立つ野党が点々ばらならに解体された後だけに、しかも野党共闘の足並みがそろっていない状況だから、論議に焦点ボケはいがめない。凋落の身の民主党だが、政権担当時代をほうふつさせるようなベテラン議員が復員して、自民党に対峙する様子がうかがえるが、議論に進歩性、現実性がないと、これも悲しい口笛だけにとどまってしまうだろう。地についた激論を交わして、巨大政党に躍進した自民党の驕りと惰性を食い止めてもらいたい。民主党に政権担当を託した国民だが、運営能力の欠如ははなはだしく、自民党との実力の差を歴然たるものにした。そうした過去の印象をぬぐうには相当の努力が必要である。今の野党全体にそのことがいえる。その結果、自民党の実質的一党支配の国会運営を許すことは、国民にとってもいいことではない。そのための努力を少しでも達成することは、民主党にとっては上出来といわねばなるまい。国会論戦を通じて正しい論議を尽くすことを期待したい。海江田代表のもと結束する意気込みの野田元首相をはじめ枝野、岡田、玄葉、安住、前原といった懐かしい顔ぶれが出てにぎやかな感じの国会になって、少なくとも勉強の結果を強調して己を演出し、国民の注目を呼び寄せる絶好の舞台である。民主党が、忘却の彼方に持っていかれても、存在意義を否定されても、あまりにもさびしい気がしてならないので、あえて奮起を求めたいところである。

   問題の重要課題は山積である。集団的自衛権のことについても、まだまだ論議の余地はある。先送りされている感じだが、いつの間にか権力者の都合のいいような勝手な状況を作り出されていても困る。憲法とのかかわりを以て、戦争放棄を明示している第七条とは今後どうなっていくのか、解釈の拡大を以て自衛権発動が実質、自衛隊の海外派兵につながっていくのかを、もっと明確に国民の前に示してほしいものである。
   経済問題をとってもアベノミクスは今正念場に差し掛かって、難しいかじ取りを迫られている。消費税の増税後のマーケットは、様々な局面で微妙な数値の差をもたらしてきている。円安の急激な進行で、企業間競争の格差の拡大が続いている。輸出企業にとっては追い風となっているが、輸入物価の上昇は、逆の作用であり、公暁間の格差をますます加速させているし、消費者物価も輸入品目の価格上昇で、家計に対するマイナス影響になってきている。地方の経済はまだまだ景気回復の恩恵を浴していないし、逆に労働人口の人手不足と、資材高騰で、建設、土木事業は、現場着手ができずに倒産する企業が続出している。
   一方、日銀による市場への大量資金放出は、景気回復の劇的効果があって、株価の上昇は投資家の所得上昇となって、その分、消費上昇につながって好循環をもたらしているが、これとてそろそろ限界的である。 日銀が大量の資金供給してきた額は毎月7兆円であり、すでに120兆円にも達している。じゃぶじゃぶの資金が市場に出回っているが、いずれ金額の縮小、停止、回収といった出口を模索することにもなろう。アメリカの強い経済回復もあって、本来ならば輸出増大につながって国内経済の押し上げにかかわっていってもいいはずであるが、それが思うような結果に至っていない。このジレンマの克服が課題である。日銀が金融緩和を静観し、出口を模索していくような戦略になった時の反動が、今のままの経済状況からした場合に、その成り行きが不安視されている。  
   地方の友人の事業の厳しさ、都会の中小企業の資金繰りの厳しさなどを見ると、アベノミクスの好悪二面の局面が顕著になってきている。安倍さんも大変な精勤の毎日だが、有能な閣僚を駆使して、国難に挑んでいってもらいたい。周辺諸国の波風も強まってきている。国土防衛をしっかりとしてもらい、我々が安心して企業経営に従事していけるような環境つくりに英知を絞ってもらいたい。たとえば地方創生に大物の石破さんを担当大臣に起用したが、鳴り物入りで始まった先刻の内閣改造で、新しいエネルギーを発揮して、まずは国内経済の回復維持と最優先課題とし、奮起を促したいところである。
   それと地震国日本である。3・11の東北大地震の影響で、日本列島を取り巻くプレートに大きな変化が起きており、その影響はまだまだ予断を許さないものがある。御嶽山の噴火は火山国日本の特徴と宿命を思い起こさせたが、原発再稼働の川内原発をきっかけに議論は決着したわけではない。九州電力では、太陽光発電の電力買取の申し込みを中止したということである。供給過多で、太陽光発電を準備した生産事業者に衝撃が走っている。電力事情は大きく変わってきて、再生可能エネルギーの供給力は大きな発電余力を生み出しつつある。電力事情は、新規の発電技術の開発と相まって、将来にわたって、供給市場にインパクトを与えていくだろう。電力の従来的発送電の分離を早く促して、こうした状況に対応すべきである。よって原発再稼働を待つ原発施設の基地にとっては、また新しい問題を突き付けられたのではないだろうか。
   有意義な国会論議を尽くし、上滑りな議論に終わることのないよう、時間と経費の無駄使いにならないよう、努力奮闘を野党諸君にも進言したいところである。       10月3日


ノーベル物理学賞に日本人が三人

   ノーベル物理学賞が、日本の三人の物理学者に決まった。そのうちのひとり赤崎勇さんは御年85歳、名城大学教授を務め、現役の教育者であり、研究者である。最高の名誉であり、面立ちを見ても若々しく、生涯現役であっ晴れというしかない。それが筆者の率直な感想である。授賞理由は、青色に光る発光ダイオードの研究と開発である。通称LEDは、今や各方面で実用的に使われているが、例えば小さいものはスマートフォンから、大きいものでは夜空に高く伸びる、東京スカイツリーに光る青色がそうである。すでに社会生活に幅広く活用されており、電気の消費節約にも大きく貢献している。日本のいうなれば長いこと培ってきた産学協同の見事な成果である。
   授賞対象のことについてはここで論じるまでもないが、今回の三人の受賞について様々な事柄を人生の生き方として、教訓的に勉強させられた。三人の間に共通する人間性と、その姿である。
云うまでもなく、目標を定めたら、科学者としての初心を崩さずに信念を以て研究に励んでいくことは言うまでもない。そして自由なかつ独創的な発想を以て自然界の法則を探求していくこと、そして、そこから必ず人々のために少しでも役立つことを実現させていくことである。
   今回特徴なのは、三人のこれまでの人間の立ち位置と人間関係である。功績は自分一人のものでなく、周囲の人々の助けがあって実現できたことを感謝して、等しく強調している。もとより85歳の赤崎さんは終身教授として大学で研究をつづけ、後輩の指導に当たっているし、自分で好きなことを楽しみとする仕事に一生をかけていくことの大切さを説いていらっしゃる。人生は自分の好きなことをして過ごしていけるとは限らないが、逆に与えられた機会や仕事を楽しみに変えて新たな境地を開いていくことを示唆していると思う。天野浩さんは、その生徒として同大学で赤沢さんのもとで研究し成果を上げてきた。つつましい師弟関係が相協力して大きな仕事を成し遂げていく結果を招いたことになる。先生を敬い、飾り気なく謙虚の一語に尽きる中村さんの姿勢に、みんなが胸を打たれたのではないだろうか。自分のような程度の学究者は、この日本にたくさんいるという言葉も捨てがたく、同じ道を歩もうとしている諸君たちに大きな希望と励ましを与えていくに違いない。昔、一歩下がって師の影を踏まず、という教えがあった。そうした情念は今乏しくなりつつある。今の自分には、過分なノーベル賞であって、ひたすら恐縮する感じであった。今の日本人に忘れがちな師弟愛というものを、教育の場で突き付けるような雰囲気をつたえてくれたのである。若干54歳の脂の乗り切った学者であり研究者でこれからが活躍する境地であるが、恥らいながら語る人柄にも、ちょっとした隠された素朴な魅力を感じたのである。
   それとは対照的に異色で活発なのはカルフォルニア大のサンタバーバニア校の中村修二さんである。日本には研究者の自由がないとアメリカに渡って研究を続けた。思い出すのは、白光ダイオードの実用成果と特許権問題で、かって所属会社と争って勝訴したという案件いついての記憶がある。研究者としての中村さんの勝訴は、研究者の立場を守るために、古い体質の日本社会に一石を投じた。中村さんは、ご自分の研究と成果が、会社にもたらした経済的利益からして当時200億円を請求する事件であった。凄い金額だと思ったが、その履行を危ぶむ会社側を見て、みづから8億円で妥協したという記憶があるが、それを回顧するように記者会見の弁では、その時の怒りを原動力にして研究してきたと喝破していた。つまり中村さんの反骨精神が、学問研究の道でも生かされて、独創的研究の成果につながったということである。
   新しい道を開くときにはその独創性に対して、周囲の強い風当たりがあることも事実である。場合によっては今まで認知されていた前提を否定してかかることもある。又、勝手な仮説を複数立てて理論を展開していくこともある。そうした時に逆風の諸々の条件にたいして、その壁を突き破っていく精神力が研究者に必要であることを、はっきりと自らの言葉で語っていたのが印象的である。別の見方からして、この一事をとってみても、研究者に対する待遇については改める余地があるにしても、国々の事情によりいろいろ状況があって一概に言えないが、これからの日本社会の研究者に対する考え方を変えて、将来の発展のために、優秀な人材の流出を阻止するためにも大切な案件だと思ったのである。 とにもかくにも日本から三人の優れた研究者の業績が国際的に認められて、ノーベル物理学賞を受賞したことを心から祝福し、これから先、ますます活躍されんことを祈念してやまない。                                  10月8日


ノーベル平和賞に17歳のパキスタン人のマララさんに

    ノーベル平和賞にパキスタン人のマララ・ユスフザイさんに決まった。17歳のマララさんはまだあどけなさをのこしているが、話すことは自分の言葉を以てはっきりと主張する姿が、多くの人々の共感を呼び起こし、深い感動を与えたのである。ちょうど二年前の2012年10月のこと、12歳になったマララさんが母国のパクトゥンクア州のスワート地区で活動中に、これに反対する地元のイスラム武装集団に銃撃され、頭部を撃ち抜かれる重傷を負った。なんという酷い仕打ちをする人間なのだろうか。幸いにもマララさんは、搬送されたバームンガムの病院で一命を取り留めることができた。その時、世界中の人々がマララさんの報道に驚き、命の助かることを懸命に願った。私の通う玉川神の教会でも、すべての人が、礼拝中にマララさんの命を救ってほしいと祈ったのである。マララさんは少女時代からたくさんの女性が虐げられて、満足な教育も受けられない制度と考え方に反対して、女性や子供たちの教育権を訴える運動を起こして戦ってきた。私たちには考えられないことだが、人間として、社会人として当然と思っている権利を与えられずに、不幸な生活を強いられている人たちが、この地球上にはまだたくさんいることを知らされている。こうした人々を救済するために、世界がこぞって経済的支援を送るよう、国際機関を通じてもっと手広く政策を打ち出ていくべきである。
    受賞の知らせを受けたマララさんは、当時を振り返って、自分には二つの選択肢があった。一つは口をつぐんで殺されるのを待つこと。二つ目は、声を上げて殺されるのを待つこと。自分は後者を選んだと。武器を持たずに戦う、なんと勇気のある賢明な言葉だあろうか。武器を持たなければ戦えない男たちの、何というぶざまな姿であろう。マララさんの、世の中の矛盾と戦い、人間として公正の機会を作ろうとする戦いの姿勢に、崇高な思いを抱いて触発されのは私だけではあるまい。多くの人々が共鳴し、感動して奮起を促されたことは確実ある。そして受賞の喜びの後に、マララさんは続けて云う。この受賞は終わりではなく、私の活動の始まりを意味しますと。
    母国の地域には、イスラム武装勢力のパキスタン・タリバン運動の実効支配下になるところが多い。そうした地域では、女性蔑視の風習が根強く布かれ、女性は教育も受けられず、理不尽な弾圧のもとに苦難が強いられている。これを救済することは、貧困にあえぐ幼い子どもたちを救済するのと同じように、地球社会にとって急務な課題である。アララさんの活動と運動を世界に広めていかないと、人類社会の不条理をますます許すことになり、ヒューマニズムの精神に悖るばかりでなく、人間としての見識を問われかねない重大な問題である。合わせて民間企業の場合でも、遅れた社会や地域においては、いまだに過重労働を強いられるところもあって、女性の蒙昧化を図ろうとする蛮族の存在が後進国にはいまだに散見されるところである。児童虐待が公然と行われている地域もある。教育の普及こそ、今や世界にとって急務の課題でであり、この実現こそ、人間社会に自由と平和をもたらす基盤であることを銘記すべきである。大人として恥ずべきことながら、この現実を我々はパキスタンの少女、アララさんから教わっていることなのである。  10月10日

       小渕経産相の落馬。残念!

  先生の留守中に生徒、子弟が悪さをして叱責する場面が、世間には度々あることである。しかし事は、時と場合によって異なる。安倍さんの留守中に小渕優子さんがつまづいて引責する羽目になって、政界はてんやわんやである。
安倍首相は小渕経産大臣の辞意を受理するだろう。別段「くさいものにふた」ではないが、事は国家と国民の行く道にかかわることなので、いたずらに混乱を招くような愚策を使ってはならない。潔よく、辞任すべきである。明治座で何を観劇したか知らないが、上州赤城の山の月と別れた国定忠治なら多少の情義も湧いて参加費をちゃんと納められたのだろうが、下らぬ歌謡ショーを見たりするから、こんな羽目になってしまう。バス2台を連ねていけば人目にもつくし、風当たりも強くなることぐらい分らないようでは、いくら毛並みがよくても、国の先に立つことはできない。国民の信託を得て大局に立つ器ではない。指導者としての見識はもとよりだが、取り巻き連に世間知らずで苦労なしの馬鹿が多いからこんな事になる。
   安倍さんも気の毒である。世界を廻り孤軍奮闘の陣容だが、肝心の子分の中に、こんな馬鹿をしでかす者が出てきて、屋台をひっくりかえしかねない始末である。身に降る火の粉は払わにゃならぬ。賢明な勇断が必要である。無風状態だった野党の諸君は、ここぞとばかりかみついて安倍さんを追いこんでゆくつもりで虎視淡々としている。公職選挙法違反、政治資金規制法違反で抵触は明白である。
   予算委員会では、又法務大臣の松島おばちゃまが、野党の猛攻にあっている。自分の似顔絵のうちわを盆踊りに配って、政治資金を不明朗な使い方と公職選挙法違反だと追求されている。素っとぼけた顔でぬらりくらりの答弁で逃げているが、逆に刑事告発された。法務大臣が刑事告発されるなんて前代未聞である。権威も地に墜ちたとは、このことである。
加えて事は違うが、女性閣僚の三人が靖国に参拝したとして物議をかましている。
安倍さんは成長戦略の一つに女性の積極的な社会進出をかかげている。その戦略的手法に、今回の組閣に当たり五人の女性を閣僚にあげて、自ら範を示して国民に訴えた。それなのに、この有様では、泣きっ面に恥である。安倍さんの経済政策は今、踊リ場に出ている。政策遂行の実現は、道半ばで、賢明な舵取りを求められている。政策論争で国会審議が進められることを国民は期待しているのに、こんな低劣な内容で幕を明けたらば、国民は立つ瀬がない。内外に問題山積である。国と国民の運命を決めるもっと実のある国会審議に没頭してもらいたい。世の中は、刻一刻変化し、前進している。そうした中で、肝心の国会が墜落、空転し、逆に停滞と後退してゆくようになっては、国益を損うも甚だしきものがある。
   安倍さんの掛け声と期待で浮上、登場した五人の女性閣僚の、品あるスマートな言動で国政の向上につとめることが第一歩で、それは安倍内閣の問題ではなく、これからの国運と荷負う賢い女性ひとりひとりの双肩にかかっていると云っても過言ではない。
今日の日曜教会のメッセージには、玉川聖学園の院長をしている、安藤理恵子さんが講壇に立った。立派なメッセージで堅実的であった。このメッセージをきけば、五人の女性閣僚はもとより、安倍内閣の閣僚諸君も初心に返り、国の為に粉骨砕心、勉励する気持ちになるだろう。政治には救世済民を基とし、清浄な精神を以って王道をゆく姿と信念でなければならない。ノーベル平和賞を受賞した少女スララさんにならてもらいたいものである。愛と力と奉仕に心する信仰心も肝要である。                   10月19日

2014.10.1

社団法人 昭和経済会
理事長 佐々木誠吾


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