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社団法人昭和経済会

理事長室より
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理事長室より

Vol.11-12 締めの師走に突入   掉尾の一振に期待

師走に突入  掉尾の一振に期待して

     拙宅周辺にある公園や畑や住宅の庭の風情が、このところ晩秋の景色に彩られてきています。近くの九品仏境内にある大銀杏の樹や、田園調布のいちょう並木の葉もいつの間にか一気に色づいて、黄金の葉が晩秋の時を伝えています。師走に入ってからでしょうか、銀杏の葉がここ一両日中の冷え込みで、落葉を促しているようです。あと数日もすると豪華絢爛に紅葉した黄金の葉が、惜しげもなく落下するなかを通りすぎてゆくことができるでしょう。師走に入りいっとき、心身の慌しさから離れて、深まりゆく秋の風情に心をゆだねることができます。
    上田敏が名訳した「秋の日のヴィオロンの ためいきの 身にしみて ひたぶるにうらがなし‥」の詩が、それとなく心を打ってきます。紅葉で彩られて日本の各地で、華やかで妙なる晩秋の狂想曲が奏でられています。春宵一刻価千金と古人が詠っていますが、春を秋に置き換えて味わうことも出来るのではないでしょうか。旅行もよし、近所の散策もよし、晩秋のこの時期は、靜かに今年を省みて感慨に耽ることも亦良きかなの思いが致します。
    先月の29日に、秋の庭の手入れを迎え拙宅ではようやく庭師が入って二日がかりで庭の樹木を綺麗に刈りとってくれました。周辺では拙宅が一番最後になってしまいましたが、お陰で近所とのバランスが取れて周辺が明るくなって安堵しているところです。同時に外出するまでもなく、束の間の秋の風情を心行くまで拙宅で味わっております。

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  欧州金融危機の回避策を

  本構でしばしば発信し、危機の対応について再三警告しているところですか、ギリシャ発欧州の金融危機と、信用収縮が、EUのみならず世界経済に与える影響と共に、日本経済にも直撃する方向にあることを認識すべきであります。
    世界的な金融収縮は、既に現実に起こりつつあります。その影響は深刻であります。金融機関の間での取引の縮小をもたらし、これが理由で企業はもとより,今まで行ってきた新興国向けの融資を引き上げる事態にまでなってきました。一連の悪のスパイラルで、世界の景気を一気に冷やしかねません。
  欧州の金融当局は連携してこの難局を打開すべく、大局的な見地に立って大胆な対応政策を迅速に打ち出すべきでしょう。垂れ込めてくる市場への疑心暗鬼の暗雲は、事態を一層深刻なものとして連鎖を広げていってしまいます。こうした状況をを払拭し、一刻も早く金融収縮に歯止めをかけないと、やがて国債の格下げを加速させ、健全な国の格下まで追い討ちをかける結果になります。財政状態の悪い南欧州の国々に加えて、今度は格付けが高いフランスやドイツの国債を売る動きも目立ってきました。
     国債を大量に保有する欧州の銀行は、保有する国債を売却しないまでも、リスク回避のため企業への貸し出しを押さえ、更には貸し渋り、貸しはがしの事態にまで至っています。自己資本比率を維持するため資産の圧縮に向かっているからです。
   加えて欧州銀行が新興国に保有する債権は、一説には3・6兆ドルと云われています。これは新興国債権の全体の7割を占めています。こうした債券は直接、新興国への投資となっており、そうした国々の経済発展と安定した政治を目指しているものです。とりもなおさず現在の世界景気の下支えに重要な役割を果たしています。斯様に大型プロジェクトの資金の出資元は、欧州の力にあるものが大であります。そうした融資資金の引き揚げが既に始まっている状況は看過できません。新興国の景気の動向を下向きに変化させてきています。
    又、欧州各国の国債不安と危機は、これを保有する5000億ドルの大規模の米国にとって重大な影響を及ぼし始めています。明るさに見えてきた米国経済の先行きに不透明感を書き立ててしまいます。更なる国債格下げが追い討ちをかけ、これが金融市場の信用悪化に、まさに火に油を注ぐ悪循環に陥っていますが、これに歯止めをかける対策が必要です。
    世界同時の株式暴落によって、世界同時の不況に突入する、リーマンショックを凌ぐ根治不能の不安材料に発展する恐れがあります。世界各国が足並みを揃え、欧州金融危機が世界金融恐怖に拡大することを阻止しなければなりません。金融当局の大胆な政策の発動と、各国の財政再建の抜本的な対策を早急に打ち出さなければなりません。世界経済の危機と混乱を回避するために今、世界各国首脳の決断と実行が試されています。更なる奮起を促す次第です。   12月1日。


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       電光石火、信用危機克服の対策

     世界的信用不安の拡大に歯止めをかけるため、日本、米国、欧州、カナダ、スイスの中央銀行は昨日、銀行に貸し出すドル資金の金利の引き下げに踏み切りました。画期的な対応処置に敬意を表します。ここ二、三日の動向によってこれを放置すれば、世界的金融の混乱を惹起しかねない辞緊迫した欧州金融市場の動向でしたが、先制をうって出た対応に、国債の売りにあった市場は一気に買いに転じ、ニューヨーク株式市場も400ドル近い上げに転じ1万2000ドルに迫りました。
     ドル資金の枯渇に見舞われていたヨーロッパ市場は、6ヵ国中央銀行のドル資金の協調的供給の合意を得て明るさを取り戻しました。これを好感したニューヨーク株式の反騰ぶりが如実にこのことを物語っています。新興国でも、中国やタイがこれに追随し金融緩和へと転じました。ここ二三日が山場だと事態の推移を見守っていましたが、事態の好転に、私は胸をなでおろしているところです。まかり間違えば、政策の一日の遅滞から世界経済は大恐慌へと転がり落ちていくところでした。その規模はリーマンショックどころではありません。国の存立を脅かす内容だからです。そのこと自体が、一旦暴落、恐慌の坂を転がり始めると最早止めようがなく、世界経済は悪のスパイラルに陥ってしまうからです。
     6カ国による電光石火の決断は、ギリシャ初の今回の金融危機の拡大を一旦は回避することが出来ましたが、このまま唯々諾々として居れば又もや対策の限界を見てジレンマに陥ることになってしまい、それこそ取り返しがつかなくなってしまいます。危機を止めるには、更に一歩進んで、欧州の各国が財政再建に取り組んで、国家財政の健全化に勤めて、その結果を見せることではないでしょうか。EUユーロ加盟国の財政規律を厳格にしてこれを履行していく手立てを早急に決めることではないでしょうか。それによってEU圏内の信用不安を一掃することができるでしょう。
    12月2日。

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EU首脳会議の閉幕   改善への一歩

    金融危機に向けたEUの首脳会議がようやく合意をとりつけ、当面の混乱は回避できました。財政規律を強化する為に来年二〇一二年三月までに新しい条約を作ることに決まりましたが、一歩前進の歴史的快挙として位置ずけることができました。将来にわたり流動化する状勢に決定打はなかったとする点が最も危惧するところです。欧州発金融不安が世界に及ぼす深刻な影響を考えていた私は、今回の合意達成の報を知り、安堵の念を隠しえませんでした。各国指導者の寛大な対応と労に対して敬意を表する次第です。
    事態がここにまで至った理由は思うにユーロの通貨と金融政策を統合しておきながら、各国の財政に策を束ねる方策と仕組みがなきに等しかったことではないでしょうか。つまり「通貨主権」はEU統合という傘に放棄しましたが、「財政主権」は各国各様の独自の主権の傘に収まり、確保したままという構造が決定的な欠陥でした。EUは、この制度の根本にメスを入れない限り、今回の決着は危機の克服を先送りしたもので、いつ又火がつかないとも云えません。その象徴的なのはEUの中核の英国がこの新しい条約に参加していないことではないでしょうか。その理由は、伝統と歴史を主張して自国の予算編成の権利に対し、外部からの干渉をきらった事でした。こうした状況からみると、欧州の通貨危機を克服するためには、各国がお互いにどこまで自国の権利を譲り合うことができるかに在るのではないでしょうか。その成否が問われているところであります。早晩、各国はそれぞれ大局的な見地にたってこの案件を処理しなければなりません。
    EUの統合によってドイツの経済発展は大いに発展して、その恩恵を浴していることを、メルケル首相は認識し、自国の力をEU危機回避のために大盤振る舞いを演じ、自国の利益を削ぎながら懸命の努力を果たしてきています。
英国にしてもユーロの誕生で、斜陽にあったロンドン金融市場が活気を取り戻し、投資マネーと人材が世界から集まってきました。イギリスはEUの通貨統合で膨大な利益と恩恵を受けています。自国の利益のみに固執して利益追及を図っていたのではEUの真の統合とは岩的発展を果たすことはできません。
    未だ残存する懸案の壁を乗り越え、これを取り払うことによって、EU通貨の安定と活動が期待され、信用拡大につながる道と認識すべきであります。政治指導者の、蛮勇を期待しています。
           十二月十二日   

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イラク戦争終結


       オバマ氏のけふ終結宣言す犠牲甚大のイラク戦争
       代償も四千五百のアメリカ兵戦地に犠牲となりし戦ひ
       フセインの愚劣きはまる戦ひの初めのころの虚言妄想
       九年に及ぶアメリカのイラク戦ベトナムに次ぎ被害尽くして
       無益なる業をしかけたイラク戦ブッシュとこれを閉じるオバマ氏
       無益とは云はぬも賢明と云いがたし戦はず勝つ術もありぬる
       戦ひて勝つは易きもその勝ちを守るは難しと呉子のたまへる


   オバマ大統領が14日ノースカロライナ州のフォート・ブラック陸軍基地で演説し、イラクの戦場で米兵4500人の死者を出して、8年9ヶ月に及んだイラク戦争を終結したと発表しました。劇的快挙というのでしょうか、満身創痍の愚かな国家意思の結末というのでしょうか、いずれにしても戦争を止めたという宣言を出して、兵士を引き上げて母国の土を踏みしめる寛容な姿勢を示したことは、そのこと自体世界に平和への前進ということができると確信して、平和の確立と貧困に撲滅を願う世界の人たちに大きなクリスマス・プレゼントになりました。
   2003年ブッシュが進めた戦争の大義は霧散し、フセインが大量破壊兵器の開発を目論み、膨大な化学兵器を所持していたとする戦争の理由は成り立ちませんでした。核兵器の開発痕跡や、化学兵器の密造、退蔵なども、これを発見することができませんでした。フセインは圧倒的軍事力のアメリカによってたった三週間で崩壊しました。その家族は大方死亡し、自分も9ヶ月後に穴から捕捉され、裁判で死刑が確定、執行されました。なんという愚かで悲惨な独裁者の結末でしょうか。
   イラクにはアメリカから150万人もの兵士が派遣され、膨大な金品の浪費を重ね、国家財政に大きな財政負担となってしまいました。イラクに民主的な暫定政権が誕生しましたが、国家統治ははいまだ確立されず、民族間の争いや、宗教間の対立抗争、そしてアルカイダ一派の自爆テロの激しさが続いています。
   しかしオバマ政権の誕生でアメリカは大きく政策の軸足を転換させて、イラクから軍を撤退させるべく、今回、内外に戦争終結宣言するに至ったものであります。大きな犠牲を払って、アメリカは泥沼の戦いからようやく解放されました。
   アメリカ軍兵士の死者は、対イラク軍事作戦の遂行時には数えるほどでしたが、イラク占領下で平穏に過ごすべき時に、五千人近い犠牲者を出すに及ぶ悲劇をもたらしました。アメリカの占領統治はままならず、自爆テロの頻発に悩まされ、占領下に於いて大きな犠牲を払う悲惨な結果になってしまいました。民間人の死は十二万人を超すと云われています。いまだに治安は回復せず、テロによる犠牲差は後を絶ちません。 
   国家の再建と民族の独立を目指すイラクでは、先ず以て破壊されたインフラの整備であり、治安の回復が急務であります。
         十二月十五日


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金正日総書記の死去

本人は「住民から投石される夢を見る」とまで民衆の心をつかんでいながら、民衆のために改革をなしえなかった一党独裁の政治家、北朝鮮の最高指導者、金正日氏が十二月十七日午前八時三〇分死去しました。現地指導に向う車中で、心筋梗塞に襲われたものと見られています。時期指導者には後継者に決まっていた三男の金恩正氏が就任しました。若干20歳後半とされており、指導力は未知数であり、今後の政治的状況はまだ先が見えません。それにしても冒頭の心境を伝える金正日の一文は、これが事実だとすれば、私には意外な印象であります。
今日の 朝鮮中央通信の速報によると、積み重なる精神、肉体的過労によるもので、現場指導中の列車で突然に襲った心筋梗塞に依って死去したとのことであります。この突然の衝撃的な金正日氏の訃報は、勤務中の午後一時に私の友人が速報を見て知らせてきてくれました。
   北朝鮮は極東地域の安全と平和を脅かす震源地とも見られてきており、核兵器の開発実験や、弾道ミサイルの発射などを以て、極東地域の安全と平和に関する外交問題の懸案でありました。核開発を求める六カ国会議は、幾度となく中断を余儀なくされてきています。北朝鮮への今後の影響力行使には、中国の出方が重要であります。
東西古今、独裁者は自分の為政と、民衆の幸福について少なからず考え、なんとかしようとする希望と期待を持つものでありますが、金正日氏にしてもこの例外ではありません。同じように国の政策と現実についての隔たり、矛盾を認識していたはずであります。経済の疲弊、国民の生存を脅かす食料の枯渇と窮乏など、悩むことも多く深夜の悪夢にうなされることもあるでしょう。
   独裁者にありがちな、得てして取り巻きが改革の機運を封じこめて、自づからも体制維持につとめようと足掻くのが常道であるます。晩年に至り、金正日氏もその犠牲となった一人かも知れません。次第に憔悴の体形と風貌に、苦悩のしわの痕跡をうかがうことが出来ました。時に、重病説も取り沙汰されてきましたが、最近は中国に、ロシヤに首脳外交らしき積極的な出国が目立ち、国内の経済不況説が経済支援を求める根拠になっていましたが、車中での逝去は、これに背中を押す格好になってしまいました。
   アラブの春に始まった独裁国家打倒に端を発して、改革への民衆の蜂起に、多くの独裁者があっけなくいとも簡単に崩壊していった姿を見るとき、政治体制の変化の過程は、インターネットで瞬時に情報の交換がなされる今日に於いてはなおのこと、いずこも同じ運命をたどる傾向にあります。情報の共有がもたらす結果かもしれません。
北朝鮮の今後の動きに注視する必要がありますが、一部の軍の暴走・暴発を食い止める事が肝要です。或いは現体制の転覆を図る国民の蜂起など、現状の秩序をみだす動きが心配であります。一方、指導者が出たことによって漸次、これまでの鬱積してきている内部の不満を軽減し、閉塞打解の好機ととらえることができます。
    北朝鮮に対しては、三回目の核実験やミサイル発射など更なる核兵器開発を始め幾多の難問が山積し、目下は話し合いによってそれらの解決が急がれる時ですが、いずれにしても相手の混乱に乗じた性急な発言や行動に自制を促し、冷静に事態の推移を見守る必要があります。権力の移行がスムースに行われ、平静を取り戻して、機が熟すればおのずと解決の道が開かれます。中東と極東の今の状況には大きな差異が基本的に存在しています。地政学的にも異質なこと故に、北朝鮮に、アラブの春のような革命的な伝播が起きないことを願っております。12月19日。PM1.00.


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     2012年度予算の閣議決定

国の借金一〇〇〇兆円を突破した二〇一二年度の政府予算案が、二十四日閣議決定しました。一般会計は九〇兆三三三九億円で大震災の復興費に加え、基礎年金の国の負担も含めると結果、実質的予算規模は九六兆七〇〇〇億余円となり過去最大の予算規模であります。一般会計だけで税収は四二兆円余を見込み、国債四四兆円余を以って不足をまかないます。
民主党政権になって、人気取り政策とは極論しないまでも政治倫理はもとより、経済政策についても乱脈を極め、目玉商品の八ツ場ダム再開に至ってはマ、ニフェストの違反は自らの錦の御旗を踏みにじる醜態に、国民は辟易してストレスの極限に対しています。さりとて穏健にして理性的な国民は、良し悪しは別として、この国の政治と経済の政策の迷走ぶりには、ひたすら忍の一字に耐えています。
そもそもマニフェストに執拗に固執して運営に弾力性を欠く施策でも困りますが、場当たり的な政策遂行は排除しなければなりません。理念なき政策は、賢明な国民の理解を得ることはできません。現下の状勢を大観すれば矛盾とごり押し政策に国民の不満と不安はつのるばかりです。このまま選挙に臨めば民主党の大敗は必至の状況でしょう。国敗れて民は廃れるの悲惨な状況は回避しなければなりません。というのは今、国の予算は計上されても、東北に復興資金をねらって有象無象の魑魅魍魎が暗躍し、被災地と、被災者の復興のための真の活用が阻まれて実体が浮き彫りになりつつあります。真の復興支援が適切に配分・活用されずに、利権に絡んだ奪い合いが露呈されつつあります。天災人災に加えて、民意の頽廃は国威凋落につながるものです。真剣かつ明朗な中央と地方自治体の真の連携が求められます。
仮に復帰支援が遅れて出先機関に混乱状態が続いていくと、国民の鬱積した不満が不安を増長しないとも限りません。国内秩序が乱れて不穏分子がうごめき始め、中東に起きたアラブの春ではありませんが、民主主義が確立され、確たる治安が敷かれて国民は安全安心の生活を営んでいますが、政治家たちが信念を以てことに臨んでいないことが判れば失望と落胆の思いは蔓延していくことでしょう。インターネットの時代は瞬時の情報を以て各地に伝播していきます。この国にもそうした状況に近い要素があるといっても過言ではないことを為政者は認識しなければなりません。
新たな国債が千兆円台に載せて最早やこれ以上の国債発行は限界点に達しています。子供から大人にかけて一人当り八七〇万の借金を負うことになります。ツァラツストラともいうべき賢明なある瞑想者がいたとしましょう。斯くのたまひて、これを年間三〇〇〇万円以上の所得の国民に割り当てて一度に償却したとすると人口二〇〇〇万人となって負担額は六〇〇〇億円となり、赤字国債一〇〇〇兆円を二年間でチャラにすることができます。四年かけて断行したとしても、高額所得者の蓄積性向は減少するも、消費性向は不変とみて、その分、経済の活性化によって低所得者層が高額所得者への傾斜となって有効需要が増して良好な循環へ移行するはずです。その分、三年後及至四年後に大幅な減税を行って、高額所得者は国の利益還付を受けることであります。
哲学者ニイチェが著した主人公をここに登場させて、ツァラツストラの約束したことが成就したその時は、国債発行額ゼロの、高効率、高技術社会、高成長経済路の国家と国民が創造され実現されて,世界に冠たる国民経済の構築として繁栄し指導的役割を果たしています。止めどなく拡大する国債発行は、国家の存亡の危機につながります。消費税増税を以てしても財政赤字、国債発行の削減に何年かかるとも知れず、現実には気の遠くなる計算になってきます。大胆な発想を夢見て、一刀両断のもと、東北大震災の悲惨な被害を克服しつつある国民経済の意気に乗じて、一気に改革の道を前進してみたらどうでしょうか。
  セシウムと向き合って生活する我々の毎日ですが、日本各地で放射線量を計測しながら外出してり、食料品を買い求めたりするとは一年前までは想像もしえなかったことです。事故を起こした原子炉の癈炉に50年かかり、飛散したストロンチウムの半減期は1000年かかると云う試算になれてはいますが、さてここで決断すべきことは、日本の、円紙幣の聖徳太子の権威を、この先も堅持していくにはタガの緩んだ国民経済そのものを外科治療を以てする短期決戦術が必要です。そんな夢を描き、国債発行一兆円台をマークした記念に考えてみました。  12月26日

平成23年12月2日

社団法人 昭和経済会
理事長 佐々木誠吾


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