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社団法人昭和経済会

理事長室より
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理事長室より

VOL.18.3


毎週火曜日午後9時から始まるBSテレビ東京の「あの年、この歌」の番組は見ていて抜群に楽しい。その時代に流行った流行歌が、自分が生きてきた過去の生きざまを投影するようで熱いものを感じてくる。どこのテレビ局もピョンチャンオリンピックの熱気のある放映が続くなかであるが、これだけは見逃すわけにはいかない。忘れずにチャンネルを変えて、この方の番組を見て楽しんでいた。ミスをすると大事な大きなものを見逃したり、見失ってしまう気がするからである。「あの年、この歌」、先週、今週と万感胸に迫る気持ちでテレビを見ていた。すると毎度のことながら、当時のことが走馬灯のように色々な思い出が鮮明によみがえってきた。


想えば軽快なホップスの全盛時代。1961,2年の頃、あの人、あの友、あの街、あの店、あの旅と。そのころの面影は今、はやてのように去って行ってしまった。顧みて感無量である。低音の魅力を発揮した「有楽町で逢いましょう」のフランク永井、「ドドンパ」の渡辺マリ、「コーヒー・ルンバ」の西田佐知子。詩情豊かな歌がうまれて、時に明るく、時に哀歓を以てみんなに歌われた。そして個性的な歌手が魅力を発揮した。歌が時代の舞台を演出し、逆にリードした一面もある。だから名曲として普遍的に生き、強烈な思い出として我々のこころに残っているのだ。私ごとになるが、人間的にも心身ともに躍動して止めようがなく、若さの馬力と云うか、時に騒然とした矛盾と焦燥のなかの社会にありながら活力を見いだし、夢を追って充実感にあふれ切っていた時でもある。ふと郷愁に似たものを覚えくる。
世相はロックンロールと、マンボと、チャチャチャが、調子よく世の中に乱舞してみんなが楽しんだ時代である。モノグロの映像も又懐かしい情景を映し出す。いたたまれない気持ちにもなってくる。青春時代の多情多感な人間像、今にして思うと、過ぎ去って行った自分の生活を重ね合わせ、人生の躍動と哀感を覚えて止まない時代である。
この番組はみんなが楽しみに見ている。一度見た人は必ず次が見たくなる。しかも格別にレベルが高く、見ていて共感を覚え、観ている自分に自尊心も湧いてくる。出演者の人柄と共に軽妙洒脱と安定した雰囲気、品格と教養の高さを示して実に好感のもてる企画構成と編集であり、他局を圧倒的に凌駕する内容である。そもそもテレビ東京が元祖のこの番組、最近他局が直ぐに真似するケースが多くなってきた。楽しいこの時間は、時代に生きた歌の数々。それは今も心に生きている。この番組のファンは沢山いる。ロマンを呼び覚まし、自ずと視聴者を触発してくれる番組である。  ダンケ・シェーン。    2月27日·

毎週火曜日の午後9時から放送されるBSテレビ東京の番組、「あの年、この歌」は、時代を回顧してその時に流行った名曲と世相を組み合わせた名番組である。家内といつも一緒に見ているが、この日が来るとどんなことがあっても時間に合わせて家のソファーにふんぞり返っている。不思議だが、自分の人生の一幕一幕が、名曲と共に舞台がせりあがって、自分がそこに立ってライトを浴びているような気分になってくる。しかも紛れもなく自分であり、鮮明な映像となって脳裏をかすめていく。錯角ではない。実像である。舞台は日劇ミュージックホールではない。宝塚歌劇場である。浅草国際劇場でもいい。水の江滝子、川路竜子が活躍していた。映画はチャンバラ劇と、横山エンタツと古川ロッパ。  「お父さんもう起きください、むにゃむにゃ云って、いつまで寝ているんですか、会社に遅れますよ」 と云う妻の声が耳に入ってきた。大きな雷が鳴って、空が明るくなってきたと云う。寝床から起き上がって外を見ると青いそれが広がっていくのが分かった。今朝も、いざ出陣の支度だ。

あの年この歌に出演している人たちが優れている。
アルフィーの高見沢俊彦と坂崎幸之助。音楽に精通した豊富なキャリアは言わずもがな、人間味にあふれて明るく、個性豊かな振る舞いは申し分なく天下一品の雰囲気である。それが自然と豊かに、内から出て来るから秘めた貫録とでもいうべきか、ヴェテランのキャリアが醸す優雅な匂いである。派手な服装がぴったりの高見沢、エレキを抱えた坂崎、対照的な感じだが、共に若くてぴちぴちしているし、いつ見ていても爽やかである。一人だけの出演の時でも二人が出演しているように視聴者には思えるから正に一世を風靡したアルフィーの今も現役の見なぎる力と感性を発揮でして活躍する、リズムの逢った一心同体の所以なのだろう。
隣に座るコラムニストの野瀬康申の鷹揚な構えが茫洋とした雰囲気で落ち着きが出る。時折、控え身に言葉を発する一言に、深い味わいがあって面白く、意味深である。音楽に知識のないわれっわれも、彼の朴訥とした素人っぽさが我々の琴線に触れて温かみが湧いてくる。名曲と世相を結びつける大役である。
音楽評論家の富沢一誠、この人との解説を解説を聞いていると歌の本質をとらえて筋に間違いなく胸を射るものがあって、さすが的確に表現してくれるなあと感心している。およそ右に出るものがいないだろうな。
昔、畑は違うが映画評論家に淀川長治という解説者がいた。良かったですね、良かったですねを連発して、さいなら、さいならと云って消えて行ったが、あれはあれとして結構だけど、映画で活躍していた場面を思い出す。一誠の語り口調には専門家らしい真面目さと渋さがたまらない。それにしても数々の歌を良く分析してていることに感心する。普段何気なく唄っている流行歌だからと云って粗末にはできない。解説を聞き、漠然と歌ったり聞いたりしている自分とは全く受け止め方に落差がある事にも気が付いて勉強になり面白い。話を聞いているとそのままの情景が正しく投影されてくる。

よくも適った役者を揃えたものだ。たった四人の出演者なのに、グレードの高さと大舞台を連想させる雄大さを感じて圧巻な番組である。
そして明るく名進行役を務めるテレビ東京の佐々木明子アナウンサーも挙げなければいけない。知性派を登用したところに番組の良さと味わい深さを感じる。当意即妙の良さは抜群でさりげない。そして裏方さんたちの努力かな。楽しい番組を今日も有難う。     3月1日

しゃけの海の旅


ふるさとのやまかわをいでうなばらをめぐりふたたびかへりくるかな

ふるさとのははなるかわにかへりきてみずのぬるみにいやすこのみを

こえをだしなくおもひにもせかされしひさしくながむふるさとのかわ

さびしさになくときもありうなばらのあおきいろにそははをしのべり

あにあねのうしろにつきてうなばらをゆくへもしらずおよぎゆくなり

ながきまをかけてゆくへのしらぬままうなばらとほくめづりゆくかな

かなしさもたのしさもありうみのなかきざむなみまのにじのいろかな

しろきなみあおきいろにもおもへしかひのさすうみのきざむそのいろ

おもいつくまもなきなみのまをおよぎいつしかながむとほきふるさと

てんねんのめぐみのなかにながらへていましこのよのおはりみるひよ

かなしみにくれてうみもをながむればそらにかがやくほしくずのかげ

ててははのなさけもしらでたびにいではらからとゆくおほきうなばら

うみのもをはめるおやこのうみがめにこえかけおればちかよりてきぬ

うみがめとしたしくなりてたのみけりりゅうぐうじょうへあないゆかまし

うみのもにいともあかるきひかりさしつきかげまろくそこにかげろふ

むれにのりともとくらくをともにしておよぎめぐりていくとせぞすぐ

さまざまなであひにこころうばはれてはなさくいろにほれしことあり

うみがめのおおきくひれをうごかしておよぐすがたにみほれけるなり

ははのこえきくおもひにてうみのもにいでてながむるしろきつきかげ

ててははのかほもしらでにはらからといちねんにゆくうみのはてかな

にじのはしわたりておよぐときもありかみのてびきにつきてゆくなり


春だなあ。庭に目白が遊びに来ている。

この二日間で春がやってきた。気候の変化、寒暖の差は掌を返すような変りようである。急に春めいて、迎える準備に全てが、樹木が殊のほか戸惑っているように見える。人は冬物から春物の着替えに、植物は木の芽時に戸惑っている。陽だまりを受けて紅梅はとっくに咲いているが、本格的な春を知った梅が急にまっ白な輝きを放ち始めた。今年の梅は花を持つのが遅い。その分季節を取り戻そうと懸命な様子だ。北窓から裏庭の様子をみたら、桃の花が俄かに咲きだし、この二、三日のあいだに真っ赤に燃え盛っている。本格的な春の訪れと確信したのだろう。安心しきった様子がうかがえる。拙宅の庭に根を張っている蕗の薹も慌てだした。一斉に蕗の薹の頭を持ち上げてきた。早く摘まないと花が咲いてしまう勢いである。今朝一番に籠をもって庭に出てみた。ふぃきの畑には、丸々と太った蕗の薹が沢山、頭をもたげて出てきている。

万象が、朦朧としていた意識から目覚めた様である。昨年、庭師が入って綺麗に剪定された木斛の木には未だ芽吹く気配がない。堅い樹は動作もゆっくりしている。北の部屋から眺めた広い隣の屋敷の風情は、穏やかな春の気配を静かに吸いきっている。桃の花が見事に咲いているのには理由がある。今日は桃の節句である。雛祭りだ。
妻は最近までお雛様を出して飾っていたが、娘が嫁いでからは思い出すように雛段を飾っていて、私も手伝ったりしたが、そのうち、内裏雛だけになって最近はその内裏雛もお見受けしなくなった。子供たちが大きくなっていく過程では子供の健やかな成長を願って楽しみに飾り付けをしたものだが、いつの間にか遠のいて気が付いたらおひな様たちまでが嫁に出て行ってしまったかと思われるくらいになっている。「旅立ちに別れ泪や内裏雛」。雛祭りが過ぎても、雛たちは和紙にくるまって箱に眠っているままになってしまう。
ふと考えたことだが、冬眠してその分長生きした方がいいのか、それともお日様に当たって楽しく遊んで過ごした方がいいか、人それぞれに違うだろうけど、皆はどちらを選ぶかな。小学生に聞いてみたい。

大人に聞く場合、世の中を熟知した賢人がいて、脱俗の気分でいる人にとっては、この煩わしい世間に付き合って行くより、しばらく冬眠の時期を与えてくれるなら、今よりましな時期に生きた方がいいとして、冬眠の方を選ぶかもしれないと、そんなことも考えたのである。この意見、大方の人が賛成するかもしれない。       3月3日

狼藉ぶりは、いずれも同じ。

北鮮の核開発反対と、朝鮮半島の非核化に向けた 「 国際包囲網 」。
片や米国の、一方的輸入関税の引き上げ反対に向けた「国際包囲網」。 


両国とも困った自国第一主義で勝手な振る舞い、扱い国である。    3月5日


ビッグニュースがは二つ入ってきた。北朝鮮のピョンヤン。韓国から北朝鮮に派遣された特使一行の歓迎晩さん会に、キム委員長が出席した。金氏が委員長に就任して以来、韓国の政府要人と面談するのは今回が初めてである。オリンピック直前までは米朝間で一触触発の張りつめた緊張関係が続いていた。幸いにも、ピョンチャンオリンピック開催以来、急展開を見る南北朝鮮の政治情勢と、外交関係である。好転する方向に好機を捉え、日本も柔軟に対応して、先手を打った一段の努力が必要である。好機を捉え、突破口を開いた文在寅の政治感覚と姿勢は、今のところ大成功である。持続が大切だ。トランプ大統領もきわめて前向きで、積極的な対応で答える可能性大である。他にやるべきことが山積している筈である。

又、中国では五年に一度の全人大が北京で開かれた。冒頭、習主席の二期十年の任期を撤廃し、これを無期限とする憲法改正案が諮られて決定される。習主席に権力を集中し、持続可能な経済、軍事大国を目指すというものである。国内政策に矛盾と軋みを抱える中国は、権力の集中を図って統治の強権政治を行って行く可能性がある。防衛力拡大と海洋進出は表裏一体のもので目が離せない。これを食い止める方策はないものだろうか。
中國ではかって毛沢東が神格された時期がった。文化大革命を国内に起こし、紅衛兵が破壊行為を繰り返し、社会秩序が破壊されたに等しい誤算を経験した。それを教訓にして以後、集団指導体制に移行させた。主席在任期間を二期十年までととしたが、今回これを撤廃し、習主席の無期限在任としてこれを改めたわけだ。十四億の民の統治は難題だが、聊か問題な点である。

今日の天候は全国的に大荒れとなった。これも異常気象の現象であるかもしれない。上空で猛烈な寒気と暖気がぶつかり合って、大雨が強風、突風と重なって起きたものである。最近までの大雪情報で騒いでいたことが嘘のように、暖気が本邦に流れ込んできた。近来見ないほどの春の大嵐である。 大雪だった地方では、急に雪崩が起きたりするから十分注意することが大切だ。  3月5日


南北首脳会談が、四月末、朝鮮半島の軍事境界線の板門店で開催決定の報が今夜七時前に速報として見ているテレビの画面に流れた。疾風怒涛、急展開の南北朝鮮半島の政治情勢である。半島の非核化への実現なるか、これからの努力次第。思惑と懐疑が重なるのは当然のことながら、固執していては話が先に進まない。過去の経験うんぬんよりも、時代的状況は大きく変わってきている。隣国の平和的統一への第一歩となるか、制裁の効果を確認し、今度は前向きの国際的協力も必要である。砲火の交戦より、互いの話し合いが重要である。

百戦百勝は善の善ならず。戦わずして勝つ。ましてや双方が勝利する結果に。

韓国の特使を歓迎する、金正恩委員長、満面の笑顔に本物の姿とも思える。会談では平和への重要な数項目について合意。アジアの火薬庫に春風が吹く。四時間に及ぶ会談の成功について評価し、トランプ大統領も歓迎の弁。兎に角、有望な観測が仕上がって良かった。
      三月五日


トランプ氏の鉄鋼など輸入関税引き上げに反対の側近中の側近、コーン経済会議議長が辞任した。良識派の経済通だが、政権のイメージダウンは大きい。
身内政権、友達政権の弊害が顕著になってきた。政治を私物化して顧みない姿勢は困ったものだ。

朝鮮半島の劇的な政治的変化に無反応で、何もコメントできない日本の野党諸君にも政治感覚ゼロで、前途は暗澹たる思いがする。森、加計問題も毛結構だが、その10パーセントぐらいは神経を使ってもいいだろう。しっかりしてもらいたい!。

役人の書類隠蔽、改ざんが露呈されてきた。事実とすれば、ゆゆしき問題である。森、加計問題に限ったことではない。野党の追及は至極当然である。与党からも安倍政権の対応に反対の声が上がってきている。二階幹事長や与党幹部からも、これを批判する声が厳しい。 一内閣に留まる問題ではない。国の体制の根幹にかかわる問題である。
昔、日本大帝国は軍事独裁に走り、軍部から出されるご都合主義の発表に翻弄されて、国は無謀な戦争に走り、悲劇的、壊滅的敗戦となった。その時の悪の根源、大本営発表である。役人に依る公文書の事実の隠ぺい、虚偽の偽造、改ざん、しらじらしい発表と報道、思い起こせ、唐変ぼくの、馬鹿者たちよ!。 「大本営発表、我ガ精鋭ナル帝国陸海空軍は・・・・・・・南方海上ニテ敵ノ艦隊ノ大軍ヲ発見、コレヲ殲滅セリ。我ガ皇軍ノ被害軽微ニテ・・・」。これ、みんな嘘だった。戦況は逆だった。    3月7日

幾多の重要な課題が世界を駆け巡っている。例えば、

1 非核化へ向けた北朝鮮の意志表明である。これを伝えるために韓国の国家安全室長が米国に渡った。風雲急を告げる朝鮮半島情勢。米・朝・韓の大回転なるか。米・朝の首脳会談の実現は予想以上に早まる可能性が大である。日本はどう対応するのか、具体的行動が示されていない。どうした。

2 トランプ大統領が発表した鉄鋼、アルミニウムに対する輸入関税を引き上げると云う措置に各国が反発。貿易戦争の様相を呈してきた。強硬な米国に対し、EU,中国が対抗措置を取ると宣言。

3 米国が脱退した残り11か国によるTPPが、各国の閣僚が参加する担当閣僚会議で正式に署名された。各国の国内手続きを経て来年の発効を目指す。

4 中國全人代大会が北京で開かれた。冒頭、習金平の二期十年の任期について期限を廃止する決議が提出された。これで習主席の無期限就任のスキームが出来上がる。毛沢東の時代に制度が戻された。独裁化に走る中国。広大な領土と14億の民の統治だから難しさがあるし、歴史的必然か。一帯一路の推進と海洋進出は表裏一体である。

5 日本の国内の景気動向指数が連続して好調である。企業の生産活動も上向きであり、貿易収支も黒字幅を大幅に上げている。労働市場も完全雇用に近い水準である。ただ依然として消費性向が上がらないで低迷している。所得格差は開いてきている証拠である。

6 国内の金融政策では依然としてゼロ金利政策が続行中である。黒田日銀総裁の続投が決まって、この先、超金融緩和が続いていく情勢で、金融市場の不均衡が将来マグマとなってくる事態を想定しておくべきである。地方銀行の経営不振と没落が気がかりである。地方活性化どころではない。

7 棋会の天才、風雲児の藤本聡太六段。中学生のあどけなくスマートな表情が、村田英雄が歌っていた王将、坂田三吉の人生、人情物語の深刻さとは違った現代棋界の様相である。次々と上位段の先輩格との対局戦で勝利を果し、破竹の勢いは止まらない。先手を打って先を読む、頭の構造の若さである。    3月7日


トランプ氏と正恩氏の、満面に笑みをたたえた写真が並んで、3月9日付の読売新聞夕刊の一面記事に載っている。米国大統領、片や北朝鮮首席、半世紀半にわたって反目し合っていた両国の指導者。急拠、米朝会談の合意となる。急接近しつつある両国首脳、画期的な写真と、歴史的な記事の掲載である。二人は積年の恨み消し難く、今迄、罵り合い、脅しあい、激しい言葉で噛みつきあっていたばかりである。以心伝心、外交は指導者の鋭い勘の噛み合いが重要だ。命を懸けた男同士の勝負かも知れない。確信と懐疑の錯綜する中だが、きっと正しい方向に進むだろう。そして歴史の歯車が大きく変化して回転していくに違いない。そうあるべきである。
各紙夕刊の見出しは「米朝首脳会談へ首脳会談へ」と、活字が大きく踊っている。千載一遇のチャンスととらえた二人の思惑は見事に一致した。「鉄は赤いうちに打て」である。今回の迅速な対応にも驚いたが、それでも米朝首脳会談は実現するとみていた。まさに的中した。日本は近くに居ながら、何故こうした動きを読めないのだ。
トランプは正恩の心中を、直感的に本物と見た。がっちりと組んだ文氏の周到な腕前も評価した。日米の狭間に立って埋没していた文士が、俄然息を吹き返してきた。彼の執念と存在感が勢いを増してきた。

ピョンチャンオリンピックを契機に、今回の韓・朝の特使による相互訪問。批判的な発言が多く、読みの浅い日本政府はカヤの外に置かれた。いっまでも制裁強化を叫ぶ硬直した姿勢が、北朝鮮はもとより、当事国の韓国からも白い目で見られたし、アメリカからもお荷物と見られた。置いてきぼりを食らった感じである。表面的には日米のゆるぎない同盟関係と称しながら、米朝会談については、日本は事前に何も聞かされていない。こうした事態を心配して今までも敢えて指摘してきたところである。紋切り型の安倍政権の対朝鮮政策で、反感を買うばかりである。
韓、朝が両国の友好関係を樹立し目的を達成したあとも、竹島問題や慰安婦問題で反日、抗日戦線を組まれたら、これまでの先人の努力は水泡に帰してしまう。反対ばかりの日本が際立って、損ばかりしている。安倍さんは文氏に対して、米韓合同軍事演習は確実に行うべきだと進言したところ、あらぬ内政干渉だと一蹴されている。うまく立ち回らないと反感ばかり買って、妬み、そねみ、恨みを買うばかりである。国際情勢の変化と権謀術策を見極めないと駄目だ。3月9日


昭和20年3月10日の東京大空襲。母と僕ら兄弟4人が茨城県の水戸に疎開していた。生家の浅草猿若町で父が一人残って頑張っていた。空襲の当日、東京が焼夷弾の猛爆を受けていた火炎は、水戸の上空近くまで真っ赤に広がって来ていた。手前の土浦が空襲に遭っているのだと云う噂だった。

隅田川に沿った浅草、本所の浅草下町、墨東一帯が焦土と化し、死者10万人を超えた。父は猿若町の町会長をしていた。最後まで残っていたが、万策尽き、防火用水に防空頭巾を浸して全身に水をかけ、猛烈な火炎のなかを逃げた。火炎が渦を巻き、猛火に包まれた悲惨な街なかであった。
言問橋は累々とした焼死体で燻ぶり埋まっていた。隅田川に飛び込んだ溺死体が浮き、川一面を埋めていた。父は死体をかき分け橋を渡り、牛島神社の防空壕に逃げ込んで助かった。

悪夢の一夜を経験した父とは、しばらく消息不明で連絡が取れなかった。一週間後、常磐線を水戸まで歩いてきた父と、我々は涙の再開を果した。煤だらけだった父は、ドラム缶の湯につかって嬉しそうだった。今でも、勇敢な父の姿を忘れないでいる。   3月10日

東日本大震災と、東電の福島第一原発の事故が起きてから7年目である。復興にかけて懸命の努力が払われてきている。しかし未だに7万5000人の人々がふるさとに帰還できないでいる。悲惨な爪痕は被災者の心の底に溜まったままで癒されていない。被災地では、インフラの整備は急ピッチで進められたが、帰還を希望する人は少ない。現地では、金を賭けたが、そのあとの利用度や管理の問題を含め、経済的に疲弊していくばかりだと悲観的である。
東京電力の原発事故で散らばった放射能の被害は甚大である。原子炉が爆発した直後、私は、原子炉の内部の燃料棒が、メルトダウンしている筈だと直感的に思ってホームページにも書き、昭和経済にも勇気を以てそれを載せた。専門家でもそこまでは云わなかったし、多くの人はその後も東電の発表を信じていた。原子炉内部でメルトダウンした燃料棒の残骸は今以てそのままだ。汚染された山林、田畑は広大に及び、除染も手つかずのまま全く進んでいない。生態系への侵食も深刻である。実態の深刻さがこれからも徐々に明かされていくだろう。

元、国連難民高等弁務官の緒方貞子さんが、月刊誌、昭和経済に論文を掲載してくださった。緒方さんは国連人権委員会の日本代表であり、世界で縦横に活躍した人だ。彼女は論文の中で、日本国は火山国であり、地震国である。原発施設に適した国ではない。止めるべきだと警鐘を鳴らしていた。以て肝に銘じた言葉である。
広島、長崎と原爆の洗礼を受けた日本が、放射能の恐ろしさを知っている筈の日本が、今度は自ら招いた原発事故で、放射能汚染の洗礼を受けて苦難に直面している。悲運としか言いようがない。経済性を重視して選択を誤った、英知の甚だしき欠乏の結果である。 3月11日

内外が騒然とする政治、社会情勢である。それはリスクをかけて緊迫した感じすらある。米朝会談、日本の国会、思惑と懐疑の錯綜で、ストレスにもなるので、しばらく目をそらしていた方がよいかもしれない。
但し役人に依る虚偽の報告、ましてや公文書の改ざん、偽造はあってはならない。民主々義と国家存立の根本問題に係わるゆゆしきことであるが故である。今回官僚中の官僚とも云うべき財務省で起きた。何故だ

二、三日前までの寒暖の織り混ぜた天候はひどかった。あの風雨の荒れ模様の天気は、春何番に当たるのかな。そして今日から、今度こそ本格的な春の到来と断言できそうだ。

高気圧が日本全国を覆って、真っ青な空が広がった。今週いっぱい続きそうだ。上野の山の桜も、染井吉野がちらほらと開花に近いと云う。
昨日、そして今朝早く、庭の芝の目地を掃除した。細かい枯草を、熊手を使って綺麗に掃きとってやった。芝の根が春先に十分に息ができるようにである。芝の肥料も撒いてやれる。これからは青い芝生が楽しめる。 目白がまた、庭に遊びに来ている。日も長くなってきた。春の穏やかな日和で、快適な労働のあと、大空を見ながら幾度も大きく深呼吸した。
    3月12日


何者かによってイギリスに在留のロシアの元スパイの親子の暗殺未遂事が起きた。神経性化学兵器の使用によるものと、イギリス捜査当局の発表である。メイ首相は、ロシア政府が関与したとしてイギリスのロシア大使館の職員23人の国外退去を発表した。メイ首相が重大視しているのは、イギリス国内で、ロシアの犯罪行為が行われたことである。宣戦布告に等しいと云うこと。これに反発したロシア政府が対抗措置を近く発表するとして、英、露の間で対立が先鋭化してきている。欧州で新たな混乱の火種とならなければいいがと懸念している。

破たん寸前のベネズエラで年間のインフレ率2400パーセントとか、話にならない混乱ぶりである。食糧不足で市民が痩せこけてきていて、この一年で平均11キロ体重が減ったという統計まで発表している始末である。動物園のライオンまでが、与えるエサがなく、がりがりに痩せてしまっている。ベネズエラの経済は、原油だけで食べてきているが、減産で被害は甚大で深刻な状態が続いている。政府が奇策に出た。仮想通貨の発行である。既に7億ドルが集まったとかいう。イランやロシアもこれを検討しているらしい。これらの国に共通しているのは、いずれも欧米諸国から経済制裁を受けている点である。国連決議の、経済制裁を受ける北朝鮮の経済事情を察して余りある。

一方トランプ大統領は穏健派のティラーソン国務長官を更迭した。もともと馬が合わずに不仲の仲がささやかれていた事案である。まさかと思うが、後任には素早く強硬派として知られるCIA長官を任命した。激しい世界情勢の動きの一例である。

さて、日本の国内事情は? 昨日、今日と初夏を思わせるような陽気に、各地で桜の開花宣言がうわさされている。この陽気が続くとあと二、三日で開花宣言が目白押しだろう。際立つ三寒四温、さて桜の花の楽しみはどうなるかな。 3月15日


春先の雨
朝から雨になった。際立つ三寒四温の気候である。昨日オーバーを脱ぐ程かと思えば、今日は又脱いだオーバーををひっかけてマフラーを巻いて出勤である。気まぐれな気候である。
ところでよく見ると、庭の芝の目地が、芝刈りをした後の細かい枯草に埋まってしまっている。冬の季節は良いとしても、これでは春先になって、木の芽時に芝の根は思うように息ができない。目地を埋めている謂わば、ゴミを熊手で綺麗に掃きとってやることにした。一日一時間ほど、休み休みして四日を要して昨夜、作業を終えた。その後に降った今日の雨である。十分な雨を得た芝生は、心なしか青みがかってきた。干天に滋雨と云うべきか。気持ちがいいだろう、と芝に声をかけたいくらいである。
掃き寄せた芝の目地のごみは、結構な量となった。大きなビニール袋で二袋分。このところの温かさでちらほらと開花し始めた桜だが、今日の雨と気温の低下で少しまた遅れるかもしれない。天気予報では、明日にかけて又寒くなるとのことである。東京の桜の開花宣言は見送られた。  3月16日


     タイヤを新品にしたBMW

気象著の発表で、東京では今日、染井吉野の開花宣言がなされた。三、四日前の温かさで、桜の東京の開花は去年に比べて一週間早いそうだ。基準に選ぶのは、千代田区九段にある靖国神社の境内の染井吉野である。職員がわざわざ出向いて望遠鏡を使って、桜の木の隅々まで丹念に調べ、取りこぼしのないよう、つぼみが三つ開いた時を以て決定するそうである。さすがにのどかで風情があり、見聞きするこちらまでが、春のかすみにゆるんでくる。

タイヤをすべて新品に取り換えたBMWを運転し、妻と一緒に横浜に向かった。快晴の空に向かって第三京浜を飛ばし横浜市内に入る。弊社が所有する山手の駐車場の状況を見るためである。45台の車を収容する月極め駐車場で、地元の三井のリハウスに管理をしてもらっている。ここから見た横浜の景色はエキゾチックで、今日は又抜群の春景色であった。

山手の竹の丸に居る妻の姉を誘って、遅い昼食をレストラン・ドルフィンでとった。仲の良い姉妹である。この店のカレーライスの旨さは定評がある。眺めも素敵である。一時間ほど歓談したあと姉を自宅まで送り、山下公園の並木道を抜けてたびたび訊ねたホテル・ニューグランド辺りをゆっくりと走る。更に横浜埠頭の周辺を経、沢山の人出でにぎわう赤レンガ倉庫の界隈をドライブして帰ってきた。その時見上げた大観覧車の時計が16時45分を記録していた。空は未だ明るく、陽が長くなったなあと感じる。
タイヤを取り換えたBMWの乗り心地は最高だった。思い出もあり、乗り慣れた愛車なので大事に乗っている。   
3月17日


    言葉は生きている

中学生時代に学習した言葉に、李下に冠を正さず という言葉があった。その言葉が今、国会でやかましく議論されている中で、戒めの言葉としてたびたび引用されている。正しくは「瓜畑に履を入れず、李下に冠を正さず」という。

これは中学時代でなく、最近になって学習した、めずらしい言葉である。忖度。 周囲の人に聞いても、最近まで知らなかったという。 忖度。あまりいい響きではないが、神妙に考えると、日本人の特有な言葉かもしれない。曖昧で微妙であり、意味深な言葉である。取りようによっては、どのようにも解釈される、使い分けが難しい言葉である。これが今、国会で頻繁に使われている。だから、国民が分からないでいる。
一週間前に、昭和経済3月号の編集を済ませた。こちらは言葉がはっきりしていて責任が明確である。今回も180ぺージに及ぶ。毎日、間断なく書いている短文が大いに役立っている。事実に即しているからである。書くべきことが沢山ある。和歌、俳句然り、短文も。読むこと、書くことで、仕事にも馬力が出る。全て之、好日。 3月17日


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曇りなく生きろと教ふててははを偲ぶ彼岸の今日の雪かな

3月21日


   通商法301条の発動
トランプ大統領が通商法301条を発動した。これを受けて昨日のニューヨーク株式は724ドル急落した。明けた東京市場も、日経平均が1037円急落して今日の取引を終えた。対抗措置の発動で貿易戦争が起きないか、世界経済に与える影響を懸念して、不安を映した今日の市場である。301条の対象外の国もあったが、日本はそれから外されている。盤石な日米同盟と云ってきたはずである。果たして大丈夫かと、疑心暗鬼になってしまう。奇策に出ては後を覗うトランプ流の手法ではあるが。「日本が、アメリカを利用してきた時代は終りだ」とまで言っているのは、云い過ぎである。いずれにしろ貿易戦争で勝者はない、と云うことを自覚すべきである。

又、トランプは安全保障を担当する国の大統領補佐官のマスタードを解任し、ボルトンを任命した。ボルトンはタカ派の人物で、ブッシュ時代にイラク戦争を仕掛けた超強硬派である。悪の枢軸の言葉は、未だに頭に残っている。

ティラーソンのあとにポンペイオ、そして今回のボルトンと、トランプの布陣はタカ派で埋まった。益々強硬に出てくる可能性があるが、噛みつき屋だから、先が読めない。既成秩序の破壊を目指すアメリカ第一主義が、どこまで通用するか。中国が自由貿易の旗手としてグローバル化をめざし、世界に君臨しようとしてきている、逆転の情勢である。

目先に北朝鮮の金正恩との会談を前に気がかりである。金正恩も若いが、三代目の責任を負ったリーダーである。両者が、しっかりと立ち向かうだろう。
          3月23日

経済大国の睨みあい
アメリカの仕掛けた輸入関税の引き上げに、懸念を示す中国。過激な言動のトランプ殿に、冷静な対応に見える大人の習金平殿。全人代で盤石の基盤を固めた風格である。対抗措置を用意しているとの事。
これも一種の挑発行為ともみられるが、迂闊に乗ったりせずに、落ち着いて考えることである。日本は冷静な対応を。
     *
狙い撃ちされた中国だが、穏健な反応に一抹の安心感があって安堵する。日本を対象国から外した意図がはっきりしないが、静観して鎮静化を図る忍耐が必要である。弾が撃ち込まれたが、中間選挙を意識した国内事情との観測もある。世界の指導者の冷静さが必要である。3月24日


桜の一斉開花
気温の上昇で、日本列島の桜が一気に開花した。会社からの帰途、中目黒の駅のホームは、花見客の人であふれていた。お目当ては、目黒川の川岸の桜並木である。ほぼ満開である。花の並木道には、沢山のぼんぼりが灯っている。
拙宅の近くの九品仏の桜も、境内を花で埋めている。自宅の染井吉野も満開である。澄み切った月が、今夜は花でかすんで見える。 3月26日

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目黒川両岸に咲く満開のさくらに今宵の月もかすめり

ささやかな花見となりぬ我が庭の眺む今宵のおぼろ月かな

菜の花の咲くわが庭のさくら花春爛漫の時は来たれり

花ぐもる今宵の空にほのぼのとおぼろの月の灯る夜かな

艶やかな薄桃色の花にそひおぼろにかすむ宵の月かも

花びらの吹雪く手前の束の間の花の盛りを眺む宵かも

言問の橋より眺む墨東の堤に花のさかり迎へり

さくら咲くこのまほろばに生れし身を幸ひなりと思ひけるなり

寂しさに打ち出でみれば夜ざくらの枝にかかれしおぼろ月かな 

春にはな咲きそふ里の妙なるにほのぼの覚ゆうましまほろば

かすみ立つ今宵の空のおぼろげに眺む月にてあはれなりけり  

いにしへの花も斯くこそ咲くべきに今も変はらじ人の恋ふらむ

はなやかに咲きそふ花もいくばくの日をたしなみて散りし定めに

幾ばくの日をすごさむや華やかに花のいのちの斯くもあはれに

恋文をさくらの枝に結びおき花のいのちの契りともせん

花ならば染井吉野にしくものの無きやあはれに思ゆすがしさ

花の咲く頃に久しく弟に電話を致し喜びあへり

弟tは如何に在りしと思へしに久しく電話の便りしあへり

お互ひに訊ねあひしは達者かと日頃のつつがなきを語れり

達者なる声の便りを聞きおよび我ら夫婦も相変はらじと

鎌倉の舎弟に電話致す今日我ら夫婦も花見楽しむ

鎌倉の山もさぞかし花の咲く見ごろと思ひ電話致せり    以下三十首

証人喚問
注目の佐川・元国税庁長官の国会証人喚問だったが、小生は、朝から慶応病院の診察の予定が入っていてテレビ中継を見ることができなかった。体が小さく哀れな目をした佐川氏だが、心労も激しいことだろう。個人的には、よく耐えて頑張っていると思う。
役人としての道もあるし、公僕としての使命も在ろう。時に臨んだ、捨て身の姿である。   

 3月27日

金委員長の習主席訪問

北朝鮮の金正恩委員長が中国の北京を訪問し、習金平主席と会談した。北朝鮮の指導者が中国を訪問するのは、金氏が委員長就任以来、初めてである。
4月末に行われる韓国の文首相との会談、5月末に行われるトランプ大統領との会談に備え、軍事、経済大国の中国との関係改善を果し、中国の後ろ盾を得ることは、北朝鮮にとって力学的に絶対に必要である。
中國も、米朝会談に何らかの関与を持つことは重要だ。一方、アメリカにとっても、中国が一定の役割を果たすと云うことを担保として捉えておくことは必要である。朝鮮の非核化を巡って、バランス感覚を確保する結果になったことは、絶妙なタイミングを得て、金正恩氏のとった措置は、結果として信頼の高いものである。若輩とはいえ、頭脳卓越、有能な指導力を示して余りあるものがある。
金正恩の決意、信念は固い。国と国民の命運を背負い、一大決心をしたある種、悲壮感の漂うものすら感じて来る。韓国の文氏の男も上げたが、受けて立った金氏もそれ以上に男を上げた。狡くて、軽薄な演出ではない。彼の真摯な対応に、今度はトランプが応えなければならない。善意を以て交渉に応じるべきである。それを金氏は求めている。約束の履行に、中国を立会人に求めたともいえる。即ち北朝鮮に対する戦争の脅威がなくなり、体制の維持が保障されるのであれば、核を持つ理由が亡くなってくると云う彼の明確な見解と希望である。

関係国が、善意を以て北朝鮮との外交、交渉を推進し、非核化に向けて実行可能な道を探求し、朝鮮半島の平和の実現に向けて、協力して行かねばならない。 逆に米、中の善意に満ちた対応が重要となってきた。今までの経過から見ても、米国の責任は重大である。大国としての風格が問われるところである。   3月28日


花見客
満開の桜が、今日が峠である。温かい風に吹かれてそろそろ散り始めた。はかない花のいのちに、束の間の栄華を留める人のさまにも似ていて、思いを深くする。
花の盛りを歌に詠んで、あとまで味わおうと思っている。これからしばらく、花吹雪の華やかな舞台を楽しんで行けそうだ。そう云えば会社からの帰途、地下鉄日比谷線の中目黒駅は、夕方からの花見客で溢れんばかりの人出である。押しつ押されつの人混みのなか、花に気を取られて目黒川に落ちぬよう、足元に気を付けないと。艶やかな花に酔って、川に飛び込む人も出て。余計なお世話か、無粋に吐くたわごとかも。

             3月29日
      
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   花とおぼろ月

目黒川両岸に咲く満開のさくらに今宵の月もかすめり

ささやかな花見となりぬ我が庭の眺む今宵のおぼろ月かな

菜の花の咲くわが庭のさくら花春爛漫の時は来たれり

花ぐもる今宵の空にほのぼのとおぼろの月の灯る夜かな

艶やかな薄桃色の花にそひおぼろにかすむ宵の月かも

花びらの吹雪く手前の束の間の花の盛りを眺む宵かも

言問の橋より眺む墨東の堤に花のさかり迎へり

さくら咲くこのまほろばに生れし身を幸ひなりと思ひけるなり

寂しさに打ち出でみれば夜ざくらの枝にかかれしおぼろ月かな 

春にはな咲きそふ里の妙なるにほのぼの覚ゆうましまほろば

かすみ立つ今宵の空のおぼろげに眺む月にてあはれなりけり  

いにしへの花も斯くこそ咲くべきに今も変はらじ人の恋ふらむ

はなやかに咲きそふ花もいくばくの日をたしなみて散りし定めに

幾ばくの日をすごさむや華やかに花のいのちの斯くもあはれに

恋文をさくらの枝に結びおき花のいのちの契りともせん

花ならば染井吉野にしくものの無きやあはれに思ゆすがしさ

この日より日比谷ミッドタウンのオープンす桜の花も峠なりしに

花の咲く頃に久しく弟に電話を致し喜びあへり

弟tは如何に在りしと思へしに久しく電話の便りしあへり

お互ひに訊ねあひしは達者かと日頃のつつがなきを語れり

達者なる声の便りを聞きおよび我ら夫婦も相変はらじと

鎌倉の舎弟に電話致す今日我ら夫婦も花見楽しむ

鎌倉の山もさぞかし花の咲く見ごろと思ひ電話致せり    

          以下三十首


日比谷ミッドタウンのオープン

この日より日比谷ミッドタウンのオープンす桜花らんまんの良き日和なり

        *

日比谷公園を目の前に、風光明媚の皇居お堀端は都心のオアシスである。そこに日比谷ミッドタウンが今日オープンした。地上35階、地下4階の巨大な建物である。三井不動産が1322億円をかけて開発した大規模複合施設である。
今又、都心でこうした大型建設ラッシュが続いている。日本橋や八重洲地区にも広がっている。商業用、兼オフィスビルである。三菱地所に巻き返しを図る三井不動産の戦略でもある。日比谷ミッドタウンは、元、古色蒼然の三信ビルがあったところだ。隣が宝塚劇場である。先には帝国ホテルがある。あのあたりが更に華やかになってくる。 昔、有楽座や日比谷映画劇場があって、名画にあこがれて封切りの洋画を良く見に行った。戦後の間もない頃で、有楽町駅のガード下に、パンパンが立っていた時代である。

現在の構想からすると集客的には、JR線が東側に通っていてガードをくぐってくることになる。、これが銀座地域との関係について、地上の行き来に若干の支障ともなっている。魅力的な日比谷中心で、孤立的に客を呼び込めるかどうかが課題である。    3月29日


総会  花盛り
友人が社長を務める第二部上場企業の、某株主総会に出席した。幸いに会場が京橋近くだったので、敬意を表する意味もあった。開会は10時からであった。50人ほどの株主が出席していたが、質疑応答では質問に立ったのは一人で、議事進行はスムースに運んで11時半に終わった。
そのまま会社に行って出ようとしたところ、事務員が「今日は12時半から富士ビューマンション管理組合の理事会と総会がありますよ」 と告げられた。迂闊にもすっかり忘れていたところである。小生が15年近く組合の理事長を務めており、今日は議長の要職を務めなければならない。組合員は51名である。今日の会場は例年通り、八重洲口に近い「北大路八重洲店茶房」である。急いで出向いたところ、既に組合員の出席者並びに、管理業務関係の人たち23名が出席していた。時間には間に合った。定刻になって議事進行を議長の小生が務めて、議案の三項目について審議し、決定を見ることであった。
富士ビューマンションは、富士箱根国立公園にあって、箱根長尾峠のトンネルを静岡に抜けたところにある。6階建の白亜のマンションとして知られている。富士山を真正面に目る、風光明媚で雄大な展望の場所に位置している。     続く

平成29年度の会社の業務も、今日を以て恙なく終了した。色々と難問山積にも遭遇の歳であったが、むしろそのこと自体を了したことは幸いであった。仕事をしていて欲ばかりかいていては切りががない話である。「ほどほど人生」 を、一番良しとしなければならない。昨年来交渉を続けてきた商談の得意先から決済金の入金が年度末最終日になされたことは、来期に向けた業績向上の良好な兆しと見て祝福すべきものがあった。
いつもながら思うことは、内容の如何を問わず、大晦日に限ったことではないが、一年があっという間に過ぎてしまうことである。 だが、別段健康であったわけではないが、しかし健康に過ぎて幸せに過ぎた一年を神に感謝して、明日に希望を持つことが大切だと、自分に言い聞かせている。                                3月29日

  国連の束的強烈な制裁措置
国連の安保理事会が、北朝鮮に対して新たに強烈な追加制裁を決めた。海運など49の対象に及ぶ厳しいものだ。歴史的な南北首脳会談が4月に予定されるなかである。北朝鮮の言動が斯くも信頼されていない証左であり、金正恩の面目なしと云うところであるが、逆に威信を保つための忍耐が必要である。小手先の演出は禁物だ。長けた外交手腕を使うのではなく、誠実に交渉の場に臨むべきである。

両者に言えることだが、北にとっては千載一遇の機会である。体制の維持を図り、核兵器廃棄はもとより、国の開放に進むことが肝要だ。軍事優先政策から、経済優先、民生安定の政策に舵を切ることだろう。国際社会は、それを確認しつつ、経済支援を約束することだろう。

そこでだ、日本が大胆に出て行く、局面がある。北はそれを期待している。 3月31日

社団法人 昭和経済会
理事長 佐々木誠吾


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