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社団法人昭和経済会

理事長室より
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理事長室より

Vol.11-11 緊迫のEUの金融危機

緊迫のEUの金融危機

     ドイツ、フランスの懸命の指導でEUによるギリシャ財政支援がまとまりEUの信用不安が峠を越して当面の収拾がついたかと思った瞬間、世界の金融情勢を揺さぶる事態となりました。
     当事者のギリシャで、ユーロ圏各国による財政支援を受けるべきかどうかを問う国民投票が行われることになったからです。いかにも唐突なパパンドレル首相の決断ですが、関係者は困惑気味であります。EUはもとより世界各国がこの国民投票の結果を固唾を呑んで見守ることになりますが、投票の結果如何で事態が急変しないとも限らないからであります。金融市場は苛立ちを隠しきれず、この日、世界の株価は急落しました。一体今までの欧州の努力は何だったのかと、梯子を外されて怒りをあらわにしています。投票までの一ヶ月以上ものんびりとして過ごすことなど出来ないからです。このギリシャショックはまたたく間に地球を一周し世界をショックに巻き込んだ形になっています。
     仮にEU各国の支援受け入れが否決されればギリシャの破綻は避けられません。そうした思惑でギリシャ国債は大きく売り込まれました。イタリアの国債も同様の情勢でありまっす。既に金融大手のデクシアが破綻し、先週には証券大手のMFグローバル・ホールディングスが破綻しました。格付け会社による金融機関の格下げも相次いでいます。
     欧州の銀行はギリシャだけでなくイタリア、スペインなどの国債にも多額の投資を行っており、こうした国々の国債が下がれば銀行にも多額の損失が出て経営破たんに追い込まれる可能性が大であります。銀行の不良債権の拡大は金融、融資資金の停滞を招き倒産や失業を更に惹起するもので、直ちに不況に繋がっていきます。
     又銀行はインド、ブラジルなどの新興国にも融資や投資を行ってきていてヨーロッパの金融機関の金融が逼迫して繰らば、新興国に融資している資金や投資資金の引き上げにつながり、影響は世界経済にも波及することにもなります。国民投票までの一ヶ月余の間は、万が一のギリシャ破綻といった暗雲が漂い、一喜一憂の苛立ちの日々となっていくことでしょう。日本経済にとっても重大な影響をもたらすものであります。
    ギリシャの金融危機は思わぬ方向に展開して 「通貨は一つでも政治は各国それぞればらばらに」というユーロの弱点が露呈されましたが、暫くは苦渋の選択に忍の一字を以て耐え、世界はこうした情勢に手をこまぬいて見守るしかありません。

    私は今ホーム・ページに向かってこの理事長室からのコメントを発信しているところですが、ただ今飛び込んできた報道によれば、欧州中央銀行が金利を0,25パーセント引き下げると発表しました。青天の霹靂であり、狼狽するEUの信用不安を払しょくするには予想外の決定であり、目先は唯一の朗報であります。利幅は小さいかもしれませんが、金融市場に与える良好な効果は侮れません。混乱の終息を目指して正に絶妙の決断に敬意を表するところであります。  11月4日 AM00、45


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放蕩息子ギリシャの破綻回避

  ドイツとフランスが怒るのも無理ありません。勝手に借金を積むだけ積んで放蕩三昧の国に対し、債務を大幅にカットされた挙句に、更に支援する金を出すというのです。その上にこの案を受け入れるかどうか、ギリシャの国民に信を問うという行動をとったからです。ふざけるにもほどがあります。国際信義をないがしろにした二転三転の国家意思の表明で、この一週間は薄氷を踏む思いで世界が振り回されていました。
  国の破綻を避けるためのギリギリの交渉が続いていましたが、ドイツやフランスなどがギリシャに求める財政再建への努力は当り前な話しです。そうでないと、これからの資金援助が、ザルに水を注ぐ結果になってしまいます。ドイツのメルケル首相は、ギリシャがそんな勝手な振る舞いをするなら、ビタ一文金は出さないと云うのも最もな話です。
  ギリシャでは、政府の打ち出す緊縮財政に対し、激しい反対運動のデモが連日続いています。何しろ国民の四人に一人が公務員という程ですから、放漫財政もあきれてしまいます。自助努力、国と政府の改革への努力があって然るべきです。二転三転するギリシャ政府の態度に、世界は泡をふいて、ついにはEUから見放される始末に、今度は慌て出してたのがギリシャ政府です。内閣の信認投票は賛成多数を得て、ひとまずEUの包括支援策を受け入れ、国民投票は回避することができました。
そうこうするうちに、今度はイタリアの国債が売られ、信用不安の影響はまだ収まりそうもありません。債務危機の問題は、イタリアの大国まで侵し始めました。イタリアはユーロ圏第三の大国であり、ギリシャの規模の五倍にも達しており、影響はEUの存立にまで及びかねません。
イタリアは財政の信認を得るためにIMFの監督下に入ることになりました。即ち財政再建や経済的構造改革の進み具合について、国際通貨基金の監視を受けることをきめました。IMFの監視によって財政再建のお墨付きを得て、市場に安心してもらう狙いがあります。
このイタリアですが、二〇一一年の政府債務残高はGDP比で約一二〇%に及び、約一兆九〇〇〇億ユーロで二〇〇兆円に達しています。先進国では日本についで悪い状態です。このイタリアが新たな懸念材料になってユーロは引き続き不安な動きになり、リスク回避の円買い要因となってきています。当面はギリシャ債務のデフォルトは避けられて為替相場は安堵の域にあり、混乱回避のできたことで明るいニュースであります。
しばらくは冷静を取り戻し、その間に国際社会が世界のファンダ・メンタルズ、経済の基礎的条件を見て動くようになれば、激震に見舞われている世界経済は「雨降って地固まる」のたとえ通りとなるでしょう。続々と発表される米企業の好決算と、加えて中国の来年度の金融緩和策も期待し、そして日本の大震災復興計画も予算の執行を経て内需拡大の起爆剤となって、そうした期待を織り込んで、もしかすると株式市場も上昇軌道にのるかも知れません。ギリシャ発の信用不安を初めとして年内のゴタゴタ騒動は、内外とも政治経済に混迷をもたらしましたが、こうした悪材料を首尾よくこなしてゆけば、来年は一挙に新方向へ大きく胎動してゆくことが望めます。今は、この期待を早々と年頭所感にスイッチしたい気持ちでいっぱいであります。 11月7日


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逆も又真なり

逆も又真なりの諺の通り、既述のとおりギリシャのみをあげつらい借金暮しの放蕩息子、借金のその日暮らしとせめたてるつもりはない。金の借り入れも、身の丈にあった借金、一時凌ぎの借金なら肯定出来る経済社会であり、儒教精神に背向く行為でもない。要は乱脈きわめた借金は、そもそも身のためにならぬ戒めである。
一方ギリシャ国民の一部には「この国に貸しこんだ者が悪い」といった良識ある意見を述べるものもいると云う。泥棒の居直り、自分の否を省みず居直る不貞の輩と断じてしまえばそれまでだが、ここは冷静に考えてみる必要がある。そもそも我々は、市場経済が機能しているなかで生活している。従って返済不能の借入れには、貸してしまうと回収がつかなくなると云う危険信号が発信されて、自づと市場機能と規律が働いている。貸し手はこの市場機能と規律を遵守していれば損害を受けずに済むはずである。
市場経済とは、そうした作用を発揮しうるスキームを内包しているのである。従って将来デフォルトになるような企業に対しては、銀行にしろ、企業間取引にしろ、市場の動向に注意して規律に反している状況に対しては、当然、警戒して資金なり、商品なりを提供しないような行動を取るはずである。もとより市場に正常な機能が作用していることが条件である。市場には常に適格な情報が提供されており、金融機関や企業内の、即ち市場参加者のコーポレーテッド・ガバナンス、即ち企業統治と、情報公開が前程条件である。
ギリシャの国債問題に戻ってみよう。ギリシャの国債は返済に問題が生じていたことは、国債の金利の上昇で警戒信号がでていたことで予告されていた。借入れが困難な状況が形成されつつあったことが判る。金融機関は安易に貸せない条件が提示されていた。国債金利が上昇している段階でギリシャ政府は借入れ条件が悪化しないよう、自ら財政規律にのっとった行動をとる努力をしなければならなかった。この貸し主、借り主の統治理念の欠如が事を重大な局面に至らしめたのである。即ち市場経済の無視した結末であった。
コーポレーテッド・ガバナンスに欠如して金融機関が、今回、多くの大手銀行が安易にギリシャに大量の資金の貸し付けに走っていたのである。それにギリシャは目がくらんで借金漬けになったのである。ギリシャが自づから財政危機に目醒めさせることなく、改革改善の道をその分遅らせる結果となって、貸し手が自ら苦しむことになった。しかもギリシャは自らの財政悪化の情報を隠蔽するお始末であった。発覚した時は、手がつけられに状況であった。慌てた大手銀行は、あとの祭りである。泣きの涙で債権五〇%カットを余儀なくされた。
ギリシャばかりではない。国債残高1000兆円大台乗せの、投資家を自国内に持つ日本の国債残高とは言いながら、世界一の権威ある汚名を返上させるべく,我が国もなお一層の財政再建に取り組んで改善させていく努力が必要である。何時までも安閑としては居られない状況である。国家統治能力の心もとない状況と同様、企業統治能力の欠如もしかり、最近は目に余るものがある。大王製紙やオリンパスの醜態は目をおおうばかりである。企業統治の欠如と、情報公開の遵守は、公も民も同じである。大王製紙やオリンパスの経営の不透明さは迅速に解明されなければならず、一部のこうした事件を以て「日本企業の全体の体質と風潮」として、世界に誤解を与えてしまうことは恐ろしいことである。 十一月七日


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TPP 対立から協力、融合へ

  国論を二分する程に賛否対立しているTPP、環太平洋経済連携協定の交渉に日本が参加することになりました。第二の黒船襲来と称する人もいるくらいなので、日本列島に激震が走ることも無理からぬはずです。
  問題は、これからの世界経済の発展を期するためには、各国が同じ交渉のテーブルに付かないと仲間はずれにされて、置いてきぼりを食ってしまうことでしょう。人間社会の世間的な目線でもってこの問題を考えていくとわかりやすいかもしれません。「皆んなで渡れば怖くない」ですが、信号無視でなくルールを守って仲間同志、協力しあう同志、そして競争しあう同志と、包括的に理解すれば丸く収まるものであります。社会全般はそんなもので、いがみあい、対立しあっていては秩序も調和も手にすることはできません。基本は民主主義の原理原則を全うすることであります。
  もともと世の中のバランスは陰と陽、苦と楽、善と悪、優と劣…はて又、男と女と云った具合に基本的な大別関係があり、その引き合いで判るとおり、賛成、反対があって対立のなかから、結合、統一が得られるものになっています。悪く考えると、対立があるからねたみ、嫉み、やっかみが生まれて口論となり昂じると抗争に発展し、やがて相互破壊の戦争に広がっていくことにもなります。即ち弁証法論的帰結であります。今回も国内では、農業団体や医療関係などが猛烈に反対し、製造輸出業、サービス業が賛成に回ったりしています。日本の経済貿易立国としての活力ある経済社会を築き発展させていくためにはアジア太平洋地域の国々の成長力を取り込んでいかねばなりません。
    一方、日本の医療制度や伝統的農業生産、販売方式などは国際競争力を付けていきながら世界的水準までに確立していく努力が必要であります。慎重、反対の意見に対しては私はどちらとも云えませんが、敢えて申せば経済がグローバル化の波に乗って大勢を占めている以上これに逆らうことに対して逆に慎重という立場であります。世の中には苦と楽があるように仲間入りの生活を維持してゆこうとするなら、苦を克服して楽に至る道を選択したいと思うのです。自分の立場や利益のことばかり考えていては、人との付き合いはできません。相手の立場や利益を考えて行動することが持続につながって、健康長寿を全うできるものと考えております。  「継続は力なり」とも云っております。その力の源泉は「協力と融和」にあります。関税が撤廃されて、人と物の交流が差別なく進められていけば、相互理解の促進に繋がってお互いの繁栄を共有しうるし、お互いの没落を食い止めることが出来るはずです。一人よりも二人、三人の方が力が発揮できます。その際、根底にあるものは協力と融和であって、対立、分離ではありません。
  協力融和には、「愛和の精神」があって、そこから平和な関係が生まれてきます。今回、国内を二分するほどの意見の対立がありますが、それらを克服してTPPには参加してまず議論と交渉のテーブルにつくべきであります。事の最初には痛みがつきます。しかし決断されたあとにはそれなりの努力が知らずうちに為されて、痛みは解消し、結果、小異を捨てて大同につく成果を得るに違いありません。将来を展望するとき、事は地球規模での経済成長と、地球環境の改善と持続が、経済発展の原動力となり前提条件となります。昔、南北問題が大きく論議されましたが、新興国の経済成長が停滞気味の日本を含めた欧米先進国の景気の下支えに強く繋がってきています。地球規模での連携と経済発展、そして地球環境の改善は更に重要度を増してきております。加えて新興国の爆発的な人口増加は顕著であり需要を見込んだマーケットに大きな潜在力を擁してきている時こそ、重視しなければならない点であります。
    TPPを以て、経済大国中国を意識したアメリカの戦略だとする意見もありますが、それはそれで現実的な意見であります。背後に米・中の覇権争いとする論評も現実的見解であります。だからといってそれを傍観しているわけにも行きません。参加を表明している国々の他にも日本のように新たに参加を表明してくる国々もこれから増えてくることでしょう。カナダやメキシコなども追随して早晩参加をしてくるでしょう。言うなればひとつの巨大な経済圏の確立を目指すものなので当然の成り行きです。結束してお互いの国益を守るチャンスであり、当初のEU設立の機運にも通じたものがあります。TPP に参加して日本の主張をその都度表明しながら、中国の政策に迎え出て、互いに共通点を見出し取り込んでいくことも出来ます。更に大きな大同につくことも視野に入ってくることでしょう。そのときには日本の果たす役割が猛然と吹き出してくるに違いありません。
  大震災で、東北地方の産業、農業、漁業が壊滅的な打撃を受けてしまいました。この復興を機に、例えば農業は生産力を上げるため法人組織に改め、近代的農業経営、大規模経営に転換し、国際競争力を高める道を選択すべきだと思っています。たとえば稲作なども品質の良いコメを生産することによって価格競争に十分に対抗していく道すべを示すこともできます。漁業も然りであります。そしてお互いのTPPに参加して競争原理を活用し、切磋琢磨努力して外国に打ち勝っていく努力をして行こうではありませんか。いたずらに弱音を吐くことはありません。競争基盤を確立して実力をつけて国際社会に隊伍し、長きにわたり繁栄と安寧を手にしていく時であります。    11年11月11日11時11分。


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平成23年11月7日

社団法人 昭和経済会
理事長 佐々木誠吾


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