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社団法人昭和経済会

理事長室より
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理事長室より

Vol.7-15 アブダビ投資庁の出動

  

     世界最大の金融グループの米シティ・グループが、サブプライム問題で巨額の損失を出して資本不足に落ち入る可能性がうわさされている深刻な状況にあります。こうした事態に対し、アブダビ首長国政府のアブダビ投資庁が、昨日、七五億ドルを出資し、事実上同行の救済に乗り出しました。産油国の潤沢な資金によって、世界的な経済、金融の混乱の収束に向う一つの道筋を示して、強烈なインパクトを与えたことは的確であり、幸いであります。見方によれば、アメリカの金融市場に起きた火災と混乱に、産油国が火消し役として鎮静化に出て、混乱の収拾に乗り出したことになります。原油高にうるおう中近東諸国の資金(マネー)はグローバルな世界経済に奔流して、各方面で多大な影響力を及ぼしつつある実態が如実であります。グローバルな経済的混乱に対して冷静的確な判断を下して行動を起こしたことは、武力なき、戦火なき、正に平和的解決の道筋であります。
     中東マネーは主として株式を長期に保有することで、洗練された投資家として知られています。シティーグループはこれによって資本の増強に繋げて、市場に安心感を与えることができます。一九九一年に、シティーの前身であるシティーコープが経営危機に陥った時にも、サウジアラビアの実業家アルワリード・ビンダラール王子から八億ドルの出資をうけた経緯があります。その時も、シティーコープはそれによって再建することができました。ビンダラール王子は当然のことながら、その後莫大な利益を得たことは確実であります。今回も、このサウジの成功体験の時のように、この出資が成功への引き金となって、ひいてはこれからの金融市場の不安の鎮静化の役立ち、と金融市場の混乱に歯止めがかかることが期待されます。既に世界的な金融恐慌が始まっており、将来への確たる道筋が、実際に稼動されることは必須の要件の現下の世界情勢であります。
     先般の当会の講演会でも、原油価格の高騰は、世界経済に大きな影響を及ぼしつつあることは当然の事として指摘されたところですが、前、サウジ石油化学の社長、佐々木和男講師( 静岡理工科大学理事長 )が、百ドルに迫る原油価格の五〇ドル部分は、投資ファンドが吊り上げた価格であると説明されるように、世界をめぐる各種の強力なファンドの動きには限りがありません。だからと云って原油価格がこのまま際限なく上がるとは云えませんが、原油価格が資金投入を促し、更なる価格の上昇と云う循環が作動している状況なので、実際の需給関係に収れんされた価格になるとは当面考えにくい状況です。
     今の原油価格は投機資金によって作り上げられた仮想的なものとも云えます。こうしたなか、産油国に累積された資金が、経済の混乱の収束に緊急避難的に活用されることは意義深く、資金偏重の地ならしという意味もあります。今後もこうした投資ファンドの資金が膨大化して、更に先進国の金融、株式市場に直接、間接に投入されて流れてくる可能性があり、その行方には目が離せません。特に政府系ファンドは長期投資として、先進国の巨大会社にも乗り込んで、経営権に権に参画してくる傾向にあります。経済のグローバル化が地域から、地球規模で実質に動き出すことであり、経済の相互連携が、地域間、国家間の政治的対立抗争をなくし、経済格差を解消する手建てとなっていくことを願っております。今回のアブダビ投資庁の英断が成功すれば、世界経済にとって救世主的役割を果たすことにもなり、その英断に敬意を表します。
     消費国の直面する困難な状況に、有効に対処する産油国の政策決定は、アメリカ発の世界的金融恐慌を防ぐ上でまことに適切であります。
                     
             近況 詠                      

     アメリカのサブプライム・ローンに喘ぐ身にアラブのオイル・マネーが助くる
     サブプライム・ローンの破綻に震撼す津々浦々の金融機関は
     アメリカ発金融恐慌のきざしにて新興国のいかに対処す
     一極に過剰流動性の集中し貧富の格差の世にぞひろがる
     群れなればねたみ、そねみ、やっかみは人のさがゆへ悟りおぼへり
     昔日のバブルをしたふほどにいま大和のくにの地はしずみける
     株式と金融市場にガス抜きを果たす住宅ローン問題
                                                 11月28日

                                     

平成19年11月28日

社団法人 昭和経済会
理事長 佐々木誠吾


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