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社団法人昭和経済会

理事長室より
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理事長室より

Vol.8-12 リーマンブラザーズの破綻

          米・大証券会社の経営破綻  (短歌・即詠三十五首)

       

          経済のグローバル化ゆえリーマンの破たんは世界の端に及べリ
         
         政治家も学者も流れに狂奔す利益追求が破綻の道へと
       
         マスコミのニューヨーク発信にリーマンの会社更生法の適用の報
   
          経済の仕組みに倫理道徳の欠けて狼藉の末に破綻す

         米国のリーマン証券の破綻して一五八年の幕を閉じけり

         体験すリーマン商法の狡猾さ前時代的手法もありて

         米国に金融恐慌のひろがりて大手証券の破綻きわだつ
  
          ポールソン財務長官の奥の手に一喜一憂の世界の金融

物財を証券化して拡販す妙手におぼれ自爆するなり

         各国の協調体制がかなめなり金融市場の危機の回避に

         当局の英知と策を期待して巷の人のあわただしきに

         リーマンとかつて商議に対峙せる豪腕の美女の今やいづくに

         六本木ヒルズに広く陣取りて名門リーマンも時に失せけり

         外資系ハゲ鷹ファンドの狼藉に今にし破綻の憂き目にあひぬ
    
        サブプライムローンの深刻さ浮き彫りに昭和経済会の予見あたりぬ

         歴史上なき経済の混乱に見遭ふ世界の金融市場は
     
          各国の協調を得て迅速にこの金融危機を乗り越へ行かん

         顧みてブッシュは政治経済の乱れを起こし罪の深きも

          信用のバブルに又もすべからく破綻の浮き目にあひしくにたみ

         急落と急騰を演ずニューヨーク株式市場に覚ゆ戦慄

         米五大証券のうち四社逝く旋風の吹く米金融界

         原油の暴騰の信じ難きいま信用膨張の恐怖めぐりぬ

          リーマンの破綻の報に驚きつ余は庭畑に菜種子まくなり

         アメリカ発金融不安の拡散すグローバル化の金融市場に

         金融の破綻を伝ふニューヨーク発金融恐慌に世は震憾す

         リーマンとメリルを相手に論戦す商議の今に偲ぶ我かな

         暗雲のたちこむ去年のサブプライム今年の今は大ハリケーンに

          戦争をしている暇はさらさなし経済混乱におびゆ世界は

          繰り返へす愚行に人の性かなし巨大の富もあの世では無に

         この時に堅く商ひをなしとげて苦境を脱し先に進まん

         三とせまえリーマンとメリルに向き合いて商議を進む我を思へり

         会員に告ぐ経済に警戒をおこたるなかれとこぞの暮より

         各位には米国発の経済のあらしに処せんと我は告ぎける

         懸命の対応策に当局の苦悩と責務にくるる日々なり

         経済の大ハリケーンにたぢろがず冷静沈着の経営に徹せん

           九月十五日

平成20年9月16日

社団法人 昭和経済会
理事長 佐々木誠吾

Vol.8-10 福田首相退任

 

                                                                     九月一日、今夕、私ははやばやと仕事を終えて帰宅し、久しぶりに庭畑の雑草を取り除いたあと風呂に入って汗を流し、すっきりした気分で星の夜空を眺めながら、しきりに鳴く秋の虫の音を楽しんでいました。妻と食事を終えて暫くしてから九時からのNHKニュースを見ていたところ、九時十分頃、九時半に福田首相の特別記者会見が行われると云う割り込みが入りました。特別記者会見と聞いた私は何気なく、一緒に見ていた妻に、「まさか辞任するのじゃないかな」と、冗談ともつかないことを云ったのであります。二十五分頃に入ったニュースで今度は、「福田首相が辞任することになり、首相が自ら記者会見の席で述べる予定です」と報道されて、やっぱりそうだったかと、思っていたことが的中してしまいました。
           福田首相の心中を察して、はっきりとした理由が考えられていたわけではないのですが、最近の首相の張りのない、気の抜けているような言動や表情から、何となくやる気のない雰囲気を私なりに感じ取っていたので、そうしたニュースを聞いても、正直のところ唐突とは思いながらも、ニュースとしてビックリするような感じは致しませんでした。ごく自然に受け止めていたことが、我ながら不思議なくらいであります。だから妻の前で、そんなことが口から無意識に、ごく自然に飛び出したのかも知れません。政治や、国会の審議を見ていても充実感、緊張感、使命感といったものが伝わって来ず、洞爺湖サミットを終えても方向性が掴みえず、内閣改造に踏み切っても何処となく存在感にかけていて、むしろ虚脱感すら感じて、激しい世の中の動きとは裏腹に、政治の世界が、かすんでいるような気がしていました。
          前号の昭和経済の時局論壇では、慶應義塾大学教授、曽根泰教先生の論文「ねじれ国会」の状況と意義に就いて論求していただいたばかりであります。政局と福田首相の関係を意識して載せたものですが、それだけ世論の動向と、今の政府とが、何処となくかけ離れたものとして軽薄に写ったに過ぎません。福田首相の支持率すら余り感じなくなってきて、全体にいかんともしがたい閉塞感が漂っていました。今のままでは誰が首相に付いたところで「ねじれ国会」が解消されるわけではないので、論文の主旨は厳然として生きているのです。だから福田さんが浮いて見えるのも仕方がありません。
         とはいっても福田さんが突然、辞任の意向を表明したことは正に驚きであり、昨年、政権を投げ出した安倍さんの姿と二重写しに写ったのでしょう。最近は下らないことで、がっかりするようなことでサプライズの事柄が多すぎます。安倍前首相の突然の辞任がまだ記憶に新しい今、今回の福田首相の辞任も唐突で意味曖昧で、無責任な気がすることは同じであります。福田首相は閉息状態にある国会と政治状況を、自らの手で打解する自信がなくなったのが辞任の動機だったかも知れません。
         安倍さんの政権投げ出しと若干違う点は、首相自身が述べているように一応の道筋を立てて次ぎの人に継いでもらいたいという判断なのでしょう。そもそも福田さんは、先代の福田赳夫氏と違って、自分が総理になりたいと云う欲はなかったのですが、周りに推されて仕方がなくなったという心境といきさつがありました。権力志向の薄い人で、ひょうひょうとした性格であることは事実であります。世襲制の、温室育ちの中から出てきた政治家にありがちな、傾向です。執着なく、さっぱりしているところは人間的にはいいのですが、それも置かれた立場によりきりです。首相の器から程遠いという感じで、苦労なしの二代目の特徴かもしれません。これからも、二代目、三代目の政治家が首相を目指して立候補するかも知れませんが、この先も要注意でしょう。人の良さはあっても、無責任のそしりを免れないような、「政権投げ出し発作症候群」とでも言いましょうか。艱難辛苦に耐え、色々なことを体験しながら這い上げって来たような苦労人の人たちではありません。辛抱強さ、粘り強さといった点で、かけるところがあります。しいては、世のため、人のため身をとしてといった正義感に欠ける点も露呈されてきます。   
       国民の目は今、変革を求めて立つオバマのことで一杯であり、熾烈を極めるアメリカの大統領選挙の行方に釘付けになっていて、日本の事なんかさっぱり眼中にないといってもいいのではないでしょうか。日・米の政治の質と意識の落差とでもいいましょうか。日本は、政治の浮揚感に漠然として漂っている無重力状態であります。困った、特殊な現状であります。
       民主党の小沢代表は対立候補なく、近く開かれる党大会では政策論議もなく、無投票で代表が決定されることになっています。国会解散、総選挙と云う事態も可能性大と云うことであれば、自民、公明与党による野党の勢いを封じ込めるには、サプライズな人事が必要になってくるでしょう。それが政治の活性化への道となれば、雨降って地固まるということでしょうか。それについても、いつも犠牲になっているのは我々国民であります。
       無重力の状態で、ともかく、政局は流動化の方向へと走り出しました。方向性のない,漠としたままに表向きは動き出しました。とは言っても、経済は今大変な時期にあります。日々変化に晒されていて一刻の猶予すらありません。そのためにも国政の空白が許されません。国民不在の政治に傾斜していかないよう、代議士諸侯の、、努力研鑽と奮起を期して止みません。 九月一日          

平成20年9月2日

社団法人 昭和経済会
理事長 佐々木誠吾


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