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社団法人昭和経済会

理事長室より
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理事長室より

Vol.8-13 米金融安定法可決

 
公的資金の注入の決定
                  

      有史来の最大の金融危機を回避するため、G7の合意に従い10月12日、イギリスのブラウン首相は、危機に直面した銀行に対して、公的資金の導入することを決定、即日実行しました。ロンドン株式市場は、連日の急落から一転して大幅,上昇に転じました。
  人気の低かったブラウン首相ですが、ここにきて歴史的に未曾有な世界経済の危機に迅速に対処し、実効的な対策を打ち出し,折りしも国際社会から多大な評価を得ました。当然のことながら、国際政治の舞台で脚光を浴びる結果となりました。世界経済が直面する深刻さが覗えます。
      EU各国は、イギリスのブラウン首相に追従し、足並みを揃え一様に公的資金導入を決定しました。各国の株式市場はこれを好感し、ようやく反騰に転じています。アメリカ発世界金融混乱で生じた世界同時株安ですが、これに歯止めをかけて有史らいの大恐慌への突入を回避したとすれば、その功績は歴史的にも大きいものがあります。
      10月14日アメリカのブッシュ大統領の記者会見が、丁度、NHKテレビの夜のニュースナインで、割り込みで一部報道されました。そこで金融機関への公的資金の注入の発表を行いました。続いてポールソン財務長官が具体的な内容の発表を行うと報じたところです。
 今日の東京市場も、1141高の過去最高の値幅と上昇率を演じて、この日の取引きを終えています。先週金曜日には、野村證券本店の店頭には株式の先行きに不安を感じた投資家の株式の売りと、投資信託などの解約が殺到し、長い列を作っていたそうです。
     金融不安で起きた株式の暴落などが消費マインドを冷やしたりして、実体経済への影響が懸念されますが、後手に廻らないよう、これからの有効な経済対策を国際社会が一致団結して迅速に打ってでていかなければなりません。世界不況は現実味を帯びてきてから久しく、打ち出す政策が後手後手に廻っていることが心配です。今まで考えていたような、新興国の経済発展や、資源国の富など当てにすることはできません。油断は禁物であります。株価急落は消費マインドを冷やし、銀行の財務内容の悪化を招き、信用の収縮、貸し渋り、企業業績の悪化と、悪の連鎖反応を起こすようでは、世界同時不況に落ち込む懸念もあります。国際協調体制を以って、G7、G8,、更には中国、インドを含め、新興国など世界的な規模で強力な布陣を敷いて事に当るべきでしょう。経済危機に対する共通した認識に立って、ことに対処すべきであります。しかる後、経済全体が回復軌道に乗ってゆくことを切望して止みません。

大なる悲観は、大なる楽観に通じることを以って、これからの国際社会は、言葉だけのグローバル化、フラット化だけでなく、国家間の政治、経済、民族、宗教対立などの問題解決は地球規模で国際社会が一体となって連携しあい、問題解決に取り組むという、認識と姿勢と行動が必要であります。利己主義と強欲を排し、節制と涵養と受容の精神こそ、今回の未曾有のバブル崩壊から得た大なる教訓として私たちはこれを今後に生かしていけばいいのではないでしょうか。

10月14日

         



米金融安定法の可決  (FRB 金融政策の失政のつけ) 


米下院議会は10月3日「米金融安定法」を可決しました。同法は、最大七千億ドル(約七十四兆円)の公的資金を投入して、金融機関から不良債権を買い取ることを柱としたものです。
      苦悩の末に生まれた同法案は、米国発の金融危機を封じ込め、しいては世界への波及を喰い止めるための過去最大規模の税金を投入する金融対策です。一旦は否決されましたが、反対の意を汲んだ修正がなされ上院で可決し、再び下院で可決すると云う難産でした。
      ここ数日間は、同法をめぐって米議会を巡って意見が錯綜迷走する状況を、世界はかたずを飲んで注目していました。ともかく同法案が可決されたことは米国はもとより, 世界経済を脅している信用収縮の緩和に向けた措置が講じられたものとしてこれを高く評価し、尚、追加的実効力を発揮する対策が迅速に発動されることを期待せずにはおられません。この先の経済の動向は、尚予断を許しません。何よりも信用不安を緩和、解消することが先決です。
        今にして思えば、アメリカ発サブプライムローンのような、悪徳金融商品の蔓延を許してきたFRB元議長のグリーンスパンの、長きにわたる金融政策の失政にあったことが頷けてきます。議長の権威は絶大なものがありました。多くの専門家や関係者は、最高責任者の発言の一言一句に神経を尖らしていましたが、その結果が、今日の金融混乱を引き起こしたものとなりました。時にグリーンスパンの発言はその都度神格化されて、誰も異論を唱えるものが居ませんでした。金融工学が時代の先端を突っ走り、複雑怪奇な金融商品に多くの投資家が国を挙げてこれに狂奔し、今日の金融市場の混乱を引き起こしたのです。
       もとよりその発震源はアメリカの劣悪、詐欺的な金融商品の乱発にあったことは云うまでもありません。これを長きに許してきた金融当局の責任は重大であり、凡そ歴史にその悪名をとどめるのではないでしょうか。逆にこれを以って混乱と破壊への道に止めを刺した為政者は、歴代にその功績を記すに違いありません。反省するに、経済活動の何たるかを省みず、事の本質を凝視せず、目先の虚構の繁栄に目がくらみ、看過してきた金融政策の失敗の結果が、今日の世界経済の混乱を引き起こしたともいえます。
以前にも繰り返し述べてきておりますが、良い対策の法案であっても、遅きに逸したではたまったものではありません。傷口を大きくしてからでは良薬も効き目がなくなります。根本的な問題は、米国の住宅市場の価格下落を如何にして払拭するかであります。住宅ローンのマーケットでの回復が焦眉の点です。大統領選挙を一ヶ月後に控えて、大胆なたいさくも打ち出せない状況下です。しかしながら、緊急経済対策の議会通過を目指して、オバマ、マケイン両候補が、一時選挙活動を中断し、結束して議会通過に努力した点は、感銘を深くしました。
       米国発の金融市場の混乱は、我々がかって経験したことのない異質の且つ、最大の規模にまで及んでしまいました。この混乱した状況は、金融恐慌といっても過言ではありません。世界経済の大きな不安定要因となっています。一刻も早く正常化の道へ復帰するよう一致して、各国が英知と行動を発揮すべき時であります。

          まさかマルクスの共産党宣言にの冒頭に出てくる巨大な幽霊ではありませんが、著書「資本論」を以って、資本主義の発展段階を論求した彼が、成熟した資本主義が内部矛盾で崩壊すると予言した科学的根拠は、的こそ違え、サブプライムローンのような類の悪質な金融商品に行き着いて、最終的に複雑、高度な金融資本主義が崩れ去ることを以って、資本主義経済社会の崩壊を解きたかったのではないでしょうか。
今、ここでマルクスが甦ってきたなどと云うつもりはありませんが、しかし、違った形で大きく今の資本主義経済社会が終焉を迎えているといえないこともありません。おごれるもの久しからず、利益追求に狼藉三昧を繰り返してきた、人間の悪しき姿を見ないわけにはいきません。神の怒りでエデンの園を追われた罪深い人間の社会を見つめなおす必要があります。
       我々は人間としての権威と主権の護持にたって、平和と自由と民主主義の社会制度を、金欲のみを追って、自ら壊すようなことがあってはなりません。そこには自ずと経済活動にあって、豊かな優れた自制心がなくては、この優れた社会制度と組織を維持することは出来ません。今こそ謙虚になって神の声を聞き、経済社会に従事する全ての人たちが、理性と良心を取り戻し崩壊の後の組成する優れた新しい社会を取り戻さなければなりません。危機に対するときの賢明な英知を、少なくとも世界の政治家が一致発揮すべきであります。       
        世界に張り巡ぐらされた今回の巨大且つ複雑な悪しき金融商品の崩壊は、現代の経済社会に生きる我々に大きな警鐘となっています。
                                      10月4日

平成20年10月4日

社団法人 昭和経済会
理事長 佐々木誠吾


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