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社団法人昭和経済会

理事長室より
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理事長室より

Vol.12-01 謹賀新年

  

謹賀新年

   内外ともに激動の時代です。各位の研鑽と繁栄を祈念申します。
                  元旦
             *
      東北の地に繁栄の礎(いしずへ)を築(つ)く新玉の年を迎へり
      あかねさす東の空のあけそめて黄金をはなち初日のぼりく
      鶴亀のうたに松竹梅の生け花をおき新玉の年を迎へん
      まほろまを広く望みて初の日の富士の高嶺にひかる白雪
      朝の日に白くしみそむ大根を聖天さまに供へ詣でり

「いろいろなことが頭に浮かんできてそれらを端的にまとめると直ぐに和歌になる」。「あなたって便利に仕上がっていて羨ましいわ」、とやさしい山の神がの給うたのであります。和歌を詠むときは、浮かんできたことを其のまま素直にいつも詠むことに努めております。世の中には波の浮き沈みがあり、人には喜怒哀楽があり、それを体験しながら日々の糧を得て、私たちは暮らしてきています。いいことばかりではありません。辛いこと、苦しいこと、痛みを覚えることもあります。しかしそうした時こそ先人たちが言い残していった教えがたくさんあります。それを生かして前に進んでいくところに、人としての修業の意味があるのではないでしょうか。どんな時でも感謝をこめて過ごすに越したことはありません。そうした日常的な事柄を心に秘めて情熱的に若々しく歌い上げていきたいものと願っております。私の和歌をご覧になって、その中からどんな歌でも構いませんから一首を取り出して、鑑賞していただき、そこからなにがしかの課題を得て、さらに広く深く考え行動をしていって下されば本懐の至りです。何かのきっかけとなるだけで、少しでも人様のために奉仕できたことにもなります。これは私が主宰している短歌同人誌 淵 の基本的精神でもあります。
私の和歌は、専ら実体験の即興的なものばかりですから、読む方にはたやすく受け入れて下さるのではないでしょうか。わたしは短歌同人誌の「淵」を主宰しています。この同人誌は大歌人の秋草道人、会津八一の流れをくみ、早稲田大学名誉教授の植田重雄先生が50年前に創刊した歴史を持っています。系譜と称しても歌人はそれぞれ独自の見識を以て臨み、作歌に際しては自由に独自の境地を創造していくことを基本理念としております。私は、万葉集の響きと調べをモット―にしているので、専ら文語体で詠んでいるところが多少の違和感を覚えるかもしれませんが、慣れてくるとなめらかな響きが好まれてくるかもしれません。そして肝心の内容と趣きですが、自画自賛で恐縮ですが、おおむね喜びと期待を込めた人生讃歌のものばかりです。昔からそうですが、仕事の合間に暇さえあれば紙にしたためております。思いつきで自由奔放です。喜びと期待を込めてということですが、裏を返せば、自分の奮気を促して詠んでいるからでしょう。私にとって和歌を詠むことは心身ともに勝れた栄養剤を打ち込むようなもので、時に竹林で落葉を炊き酒をあたためてこれを飲む気持ちであり、はたまた白球を打ちながら颯爽とゴルフのコースを楽しんでいるようなものでもあります。
正月の三ヶ日はどこにも出かけず近所の散策を専らとし、日頃の勤労の疲れを取ることにしました。但し年末の三十日から二人の孫を預かって、大晦日から長男家族が泊まって二日の日に帰って行ったというスケジュールだったので、休息をとるどころではありませんでした。大みそかは近所の蕎麦屋で年越しそばを食し恒例のNHK紅白歌合戦を見ておりましたが、飽きてきて途中で退席、一杯やっているうちに白河夜船、除夜の鐘も聞かずに就寝と相成りました。以前は除夜の鐘をきいてから庭に出て夜の冷気に触れながら水をかぶり、身を引き締めて初詣に出かけたものですが、今はそうした荒行は自重しております。明けて新しき年は快晴の空に晴ればれとして一同食膳につき、屠蘇を酌み交わして新年を寿ぎ、一年の無病息災、家内安全、商売繁盛ときて声を合わせて乾杯、ひととおりの行事をすませ、あとは家内の作ったお節料理に箸をつけて正月気分を味わい、それぞれに抱負を語りあいました。元旦の日曜礼拝は心の中で済ませ、午後から長男家族に合わせて白金台の氷川神社に初詣でと相成りました。
   去年の十一月に七五三のお祝いをこの氷川神社で行ったばかりでした。都心にある神社とは思えぬほどに、閑静な厳粛なたたずまいの社と境内です。孫は二人とも女の子です。二歳になる下の子は愛嬌があって可愛いことこの上もありません。動作が素早い上に、ようやく言葉を覚え始めたので、いつまでも相手にしていて飽きないのですが、相手にしているとこちらのほうが疲れ切ってしまい、いい加減なところで退散するよう模索しております。私にとっては肉体的に限界を感じてきて残念の極みです。娘夫婦は今年は海外を避けて沖縄に四泊ほどしてきましたが、生憎と雨にあったりして、あまり天気が良くなかったとぼやいておりました。娘は毎日の報道で身を削る思いもしているのではないかと、いつも体のことを心配しておりますが、持ち前の気丈さでへこたれずに、いつもはつらつと爽やかに頑張っております。  
    一家団欒のお正月は今も昔も変わりなく、平和なありがたさを身に染みて感じるものです。今年のお正月は短く四日からの仕事始めになりますが、年末から多くの人たちがそれぞれ故郷を目指して帰っていきましたが、そのUターンラッシュが始まって三日の遅くまで混雑を迎えていたようです。皆さんにとって今年一年が幸せな毎日となりますよう、心から祈っております。    2012年元旦。

       *
東北の地に繁栄のいしずゑを築く初春の朝を迎へん
ふるさとの旅の男はつらいよの山田監督の被災地に立つ
玉川の神の教会の救世軍東北の地に向けて旅たつ
全滅に近き港に希望の灯ともす黄いろののぼりはためく
正月を迎へ希望と喜びの仮設住宅に暮らす人びと
大観が描くようようの海をさし漁火のふね沖に漕ぎいづ
岩頭に立つ大観荘の大海に向き海かぜをじきに受けしに
民主党議員の勉強おろそかに小学生の域いまだ出ず
民主党マニフェストの是非論じあふこの機におよび未熟あらはに
富士が嶺(ね)に初の朝日の照り映えて黄金のひかり充つるまほろま
うららなる春の隅田の川べりに憩ひて待乳山に詣でり
ふたまたの白き大根を供へ持ち聖天さまに初詣でけり
放射能汚染に浸かるこの国の先の栄えの道をふさげる
鎌倉の都大路に初春のおほみやびとの通ふ道とも
鎌倉に住む舎弟より年明けのとんびの声とともに招かる
孫ふたり遊びに来たりしたの子の麗のしぐさの楽しかりけり
上のこの佳は宿題に下のこの麗は遊びに気もそぞろなり
上の子におとらず下のこ麗もまた動きかしこく先のたのもし
関根氏の描く夫婦岩の初日の出めでたく兆すこの年の運
東北の地に繁栄の基礎を築(つ)き日本経済の回復を期す
東北の荒れ地に大規模耕作の農業経営のテスト試さむ
年明けの政治状況の緊張す伊勢の神さまに頼る野田さん
思へらく原発事故の災害の時空にとほく及ぶあやふし
満天の星をあほぎて冬空に北斗七星の光るまたたき
厳かに北極星をあふぎみて北大寮歌を口づさみけり
冬空の凍てつく星に蒼炎の我がこころざし透かしみるかな
乱世に踊り出でたる風雲児橋本市長の意気高揚す
停滞と頽廃に飽く世の中に竜馬のごとく活を入れ行く
権力の座に居座りて幾星霜民をむさぼり肥えるナセルよ
EUの金融市場の混乱に信用不安のなほ止まざるに
円高に明暗在りしこの国の適宜選択の余地は企業に
財政の規律を守り飽満を避けて金融の支援期すなり
スムースに北の権力の移行して朝鮮半島に安堵おぼえり
黎明の明けそむ空にあたらしき天地のひらく兆し見るかな
青春の北大寮歌を高らかに北極星をあふぐイブの夜
渓谷をわたす鉄橋を見あぐれば重量機関車のどんと走りく
言問の橋にいでたち眺むれば夕日にもゆる浅草のまち
下町の初はるの日に明けそめてスカイ・ツリーの高くそびゆる
手にいたす賀状に友の欠けたるを思ひめぐらす身ともなりけり
ふるさとの学び舎の日を懐かしみ友らと語りすぐる浅草
霊験のいとあらたかな聖天の人のうはさに聞えくるなり
多摩川の岸辺ゆ眺む山並みに高くそびゆる白雪の富士
富士やまに初の朝日の照り映えて黄金のひかりみつるまほろま
十字架の主のあがなひに在りしゆゑイエスに仕へ生きてゆく我
精霊のただよふ三位一体のみ堂にたちて祈る今朝かな
神は世に汝がひとり児をおくりけり世の混濁を清めたまふに
最善にして最強の神ゆゑにわれは仕へて道を進めり
前進の力をそなへ神の道あゆむ我が身に憂ひなきなり
梅の枝に雀の子らのにぎはひて与ふる米をついばみにきぬ
雀らのなにかに云ひて下りてきぬ梅のつぼみの小枝はらひつ
日だまりに咲く水仙の花房にたはむる虫の意味のあるらし
すずめらのはらかららしき群れにゐてあしもと悪ろき子の一羽ゐぬ
足もとのわろ雀の一はいて親がしきりに餌をはこびおり
水仙の花に身をおき遊ぶあと飛び出していく青空のなか
大寺のまなかにおはすみほとけにあらたまのひの白くそそげり
斑鳩のさとをとひきてなつかしむいにしえびとのそぞろゆきしを
おほてらのしびにこがねのあさひさしよもにはなちてあけるさとかな
むなもとのまろき乳房を盗み見てつやめく肌にほれてひかれり
あらたまの年をことほぎ笑みてよる乙女のむねのわづかひらきて
日だまりの水仙に身をしばしおき虫をどり出て空にとびゆく
家持のうたにならひて孫のうた詠むに泉のごとく湧きいづ
下の子のはしゃぎてをれば余もはしゃぎ踊り出だせば我もあはせり
危ぶまるオバマ再選のアメリカに経済回復の女神あらはる
ニューヨーク株式市況の堅調に経済回復の兆しあらはに
手に負へぬシリア・アサドの暴虐さこれが今生にまかり出るとは

年明けの株式市場の穏健にいまだ力に欠けしこの先
災難の多き昨ねんの試練得て教へ諭さる国の内外
鶴亀の謡曲(うた)にあはせて年明けの松竹梅の庭に立つ我
身におぼゆ痛みのはやる新しき病ひを西岡医師に治さる
年たかき人にはやりし病ひにて一種リウマチの謎にいどむ師
原発の事故収束の宣言にあわてふためくこの国の民
原発の事故に生じる放射能汚染と闘ふこの国の民
ギリシャよりスペイン、イタリア、仏蘭西とはたドイツまで移る危機の火
資本主義自壊の兆し内部より倫理頽廃にたがのゆるみて
とんぼ追ふ少年の日の待乳山木立に蝉のしきりなく折
鶴亀を謡ふ艶めく声に惚れおのづとたちて舞ひにけるかな
白妙の富士が高嶺に初日さし光あふるるまほろまの春
澄みわたる青空のもと庭はたに妻と真しろき大根をひく
真ほろ真に初日の光みちみちて万象活きてかがやきにけり
松風にそびゆる五重のたふ高く初日の空に更にたかきも
いとほそき姿の百済くわんのんのますぐにたちておはすつやめき
腰元をかすかにひねり立ちたまふほとけのかほのつやめきあへり
この年も中国経済の飛躍して基軸通貨の重みひろごる
この国を襲ふ産業の空洞化益々拍車のかかる気配に
アメリカの経済指標の好調に世界の先に良き光さす
プーチンの権力志向の著しロシアの前途に不安よぎれる
指導者の交替の期に変革の波うねりきぬ政治経済
東北の地に復興のチャンス得て日本経済の再興を期す
経済に弾みをつけて驀進す惜しみなく出せ復興資金を
経済の成長路線を堅持して民間経済の躍進の機に
消費税是非の議論の収れんし次第にこれを受け入れる民
現代の宇宙の謎を解くひとに古代の詩人の思ひまさりぬ
円高を利して企業の買収を図り海外の市場を得んとや
M&A企業買収に我が国の富を増やして民にもたらす
円高の自国経済に力得て世界の波に乗りて行かむや
歴史上最大規模の災害をかうむりながら進むわが民   
梅が木にさへづる雀め親子らのにぎはひなれば子のふえるらし
やはらかき春の日ざしのそそぎきて心ゆたかになりし祈り会
新玉の年の始めにキリストの豊かな愛と恵み得せしも
キリストの愛和のこころ身にしみてけふ荒波の世を漕ぎいでむ
わが耳に遠く近くに聞えくるイエスの深き重しをしへを
コロサイの聖句をよみて第三章人たる道のもとゐ説くなり
イエスより授くこころの平安をあがまふ日々の世を渡りゆく
教会の窓よりそそぐ春の日にうつらうつらとすぐるよきかな
教会の祈りに乙女の透(す)く声にまどろみいねて恵みいやさる
感謝して主のみことばに耳をたてみつる光の年明けの空
あたたかき日ざしにうつらうつらする祈り会によき我れがこの席
みことばのコロサイ聖句に愛の灯をともし和を得てこの世をば生くかな
荒れの地にさまよひ生きる牛五頭その後のいかにありしかと思ふ
読み返すアダムスミスの国富論真の経済のもとゐ求めて
マルクスの暴力革命の亡霊のシリアの国に断りもなく
先に立つ者が不正と不義をなしわがもの顔に民を抑へり
あらたかの神やどります松の木の津波のあとにふんばりて生く
大なゐと巨大津波に耐へて立つ松の生命の息たえだえし
塩害に息たえだえに立つ松の一本なれば心くるしも
松一本陸前高田の浜に立つ被災の地に威厳放てり
企業家のコンピューターに身をおきて利ざや獲得に走る人らよ
蓄財に走る現代 のビジネスマン企業の眞のもとゐ得ずして
原爆の恐怖のいまだ半世紀なんぞ原発事故におびえり
厖大ながれきの処理に難渋の局面に立つ大和この国
放射能物質を含む厖大のぐゎれきの処理に難渋の地よ
放射能汚染は陸地のみならず海洋の果てと底につもりぬ
地吹雪の巻き立つ北の被災地に年寄りのみが寄り添ひて住む
子と孫を失ひて住む老婆のみ仮設住宅に住むはあはれに
寄る身なくおさなごひとり貰い児となりて見知らぬ土地に暮すに
放射能汚染の執拗に滞留し魚介類にも及ぶすさまじ
海底のゴカイにたまる放射能これを食する魚(うお)におよべり
この国に神々の住むさまざまにあまたにおれば力強しも
この国の最古の文学に読み惹かれその名も古事記といひて頼もし
ぼうたんの赤くつぼみて寒風にいのちの炎たくはへるらし
鈴木氏の邸の納屋の瓦屋根眺めつ朝の風呂に湯あみす
裏庭の冬の朝日に太く立つ欅雄々しく仰ぎ見るかな
今朝早く庭師が枝を払ひ終へ大樹の幹を残す欅よ
初朝の光を受けてみほとけの姿おほきく大寺のうち
春の日の光あふるるいかるがの野に遊び出で花をつむらん
仏のあしもとに子らあそび来て声おほらかにとよむ昼かな
冬ざれの大き欅の枝払ふ庭師がみたり入りぬ終日
おとなりの鬼瓦ならで姫瓦めんこいゆゑに眺め過ごせり
鴨川の近くに竹生てふ宿のおもむきにあひ安きおぼえり
いにしへの奈良の都に訪ねきて偲ぶ八一の歌にであへり
裏庭の納屋のめんこい姫がわら飽かずながめてくるるはるかな
夕焼けの日差しの赤く照り映えてからすのむれの低く飛びゆく
巣に向かふカラスの群れの鳴きつゆく空にかなしく聞こゆ里かな
冬空の真澄にたかく地のはても乾きて続く東海の地は
いにしへの奈良のみやこの夜を照らすけふおぼろげにながむ月かな
大寺の柱のかげにまぼろしの出でたち給ふあがむ人かも
人妻に惚れて一生を棒に振る若き学徒も多くゐるらし
遊郭のなかりし折と覚へかしいたく煩ふ若きおのこら
紅灯のちまたを歩くよたつきて永井荷風のまぼろしの影
玉ノ井の巷をあるく宵やみに遊女がひとり泣きて立つらし
冬ざれの庭に椿の咲くあしたひよどり一羽みつを吸ひにく
心なく伐らる大樹のこのあたり住宅建設のあふりくらひて
守り木と屋敷に長く仕えこし太き柿の木伐らるむなしき
鈴なりになる柿の木の甘がきのあへなく伐らる貸家建て地に
思い出の太き柿の木の鈴なりになる秋の日の眺むあとの地
日当たりのよき庭先に夏みかんたわわになりて日にもかがやく
ヴェルテルの悩みも深き人妻のロッテの色に心とらはる
朋友の賀状の欠けて気遣ひぬ何かさはりのあるやなきやと
スペインとイタリアに次ぎフランスも格下げにあひドイツ大国も
原発の耐用年数四〇年脱原発に決め手なるかな
消費税値上げと税の一体化促す首相の力量や如何
見るからにどっしり型の野田首相小型ながらも安定度あり
経済の成長なく栄えなし社会保障と税の一体化も
きく川で酒飲みかわす朋友と雪のちらつく初春の夜
丸の内そとにに出づればさざめ雪異国情緒にしたる思いに
さりげなく行き交う人に親しさを覚ゆ雪降る街の夜かな
自害せる若きヴェルテルの悩みなりゲーテが綴る恋のはてとも
ヴェルテルとロッテの甘き恋ゆゑの不倫のはてにいのちたへしは
読み物と古典文学とのたがひなり不倫をテーマにつづるふみにも
いかに住みいかに生くかを問ひつめていかに地球を守りゆくかと
読みほみてしばし置きたる岩波の文庫のしほりあせてさしおく
学び舎の教えのもんじょ改めて開きて学ぶ教えふかきも
俳諧の師の遠藤先生とまじわりのいまだにあるはありがたき哉
俳諧の高き師につき半世紀奥義を学び道なほたのし
武蔵野のおもかげ深く冬ざれの呑川にそひひとり行くかな
ぼうたんのそこはかとなくつぼみきて初春の灯に赤くともりぬ
汝が姫のあづくあしたにはるのひのあふれて道の安くあるべし
信頼のあつき男の子につれそひてうましこの世をわたりいくよし
良き妻をめとりてうまし家をたて栄えの道をおだしいくかな
赤坂に牙城を築きふるさとに栄えのあとを記す君かな
寿ぎて新郎新婦に幸あれと祈るうたげに喜びあへり
そひとげて誓ひあらたに人生の夢と希望の王道をゆく
春の日のさす大寺におさなごのむれのたはむる頃となりけり
ふるでらの築地の塀のかけおちて菜の花のさく夕映えのとき
いつになく多くとびかふ尾長どり新たに移りすみてくるらし
おとなりの邸に茅やの納屋ありて屋根が雀のすみかなるらし
独裁をもくろむロシアのプーチン氏果てにめくらとなりしさまとも
広漠の大地を治めちのはてに力及ぼす資源国家は
民主党間抜け議員のさらけだす民意を解(げ)さぬ放言のすゑ
くにたみを手玉にかけて富を積むプーチン首相の狂ふ権力
枝の先につぼむぼうたんのいと赤く固くとざして暖をとるらし
朋友の訪ねてきたり伊豆やまの枝ごとたははになりし蜜柑を
真鶴のみなとに釣れしおほざかなさばきて刺身に食めし宿の夜
順不同アトランダムに詠むうたのその場に臨む真実を思(も)ふ
少年の大志をいだき世に臨むここちに今もふるひたつ我


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EUフランスの国債格下げ

EUの信用不安が消えぬまま二〇一二年の年を迎えました。半月が経過しましたが、リーマン・ショック以上の影響力で世界経済をおびやかすユーロの動向ですが、危機回避に立ち向うドイツ、フランスをはじめとする参加国の努力、金融当局に逆らうように格付会社の国債に対する見方が厳しく、格付けに一喜一憂のEUと世界経済です。かねてからフランス国債の格付けの引き下げが噂されていましたが、一月十三日スタンダード・アンド・プアーズ社が共通通貨を使う欧州十七ヶ国のうち、九ヶ国の国債の格付けを一斉に引き下げました。
驚くことにこれに最上位だったフランスとオーストリアが含まれて世界に衝撃が走りました。各国の株式も急落し、対ユーロ為替もユーロ安に転じています。最上位にはドイツ、オランダ、フィンランド、ルクセンブルグ、英国の四ヵ国が残っています。財政不安が高まっているイタリア、スペインは、更に二段階格下げとなりスペインは順位六、イタリアは順位八となっています。因みに日本は順位四、ギリシャは二〇位です。ギリシャは破綻同然で借金返済、及び金利の支払いが不可能と位置づけられています。ギリシャは今、ギリシャ国債を買っているEU銀行団と債権の五割削減の交渉中にあり、成り行きが注目されています。
ユーロ安は、ユーロ国債に投資している国や民間会社、個人の資産の目減りにつながります。又、ユーロ圏に輸出をしている企業にとっては為替差損を抱くことになり、又ユーロ経済圏の停滞によって輸出が鈍化して二重の打撃となっています。又、ユーロ圏自体が新興国に多額の融資や投資を行っていますが、国内の信用収縮にそなえ資金や投資を回収したり、引き下げたりして、先進国経済にも打撃となります。悪循環にとどめをささないと、全世界が負のスパイラルに陥りかねません。
財政再建は、世界の先進国の共通の問題であります。リーマン・ショックで多大な損傷を受けた民間経済の救済と復興に、各国とも協調して財政出動に乗り出して金融を大幅に緩和して大規模な支援を行いました。それによってようやく経済がどん底から這い上がることができ、世界大恐慌を回避することができました。ところが各国も目的半ばにしてその時の国の借金問題が浮上してきました。リーマン・ショックのために各国とも多額の財政支援、支出を与儀なくされましたが、その回収がつかなくなってしまいました。国の借金なので、そのつけの持っていきどころがありません。景気回復が成就されれば国の税収でまかなえるのですが、景気回復が遅々としている状況が長く続いています。あとは経費削減と増税以外に打つ手はありません。
EUの問題はアメリカ、中国経済にも飛び火する懸念すべき問題であります。
一〇〇〇兆に大台乗せの日本の国の借金も憂慮されます。国債の消化先の九五%が自国内とは云え、安閑としてはおられません。 そこで財政再建は消費税値上げとなって、野田内閣の内閣改造となり強力な布陣を敷くことになりました。最善、最強の布陣と自画自賛しておりますが、この言葉は私が神をたたえる言葉としていつも表現し使っておりますが、野田さんの場合、果たしてどんなものでしょうか。岡田さんを副総理兼一体改革・行政改革担当大臣に起用しました。消費税値上げに国の財政再建を頼みとするようでは、1000兆円になる国債残高の解消には到底及びません。経済の繁栄を以て税収を挙げて国債の、借金の返済に充ていくことが最強の道であります。消費税の値上げで経済の落ち込みがあるかもしれませんが、同時に法人税の値下げによって企業の税の軽減に寄与し、海外への流出を防ぎ産業の空洞化を阻止して雇用を維持する策も考えて実行していったらどうでしょうか。もちろん無駄を省いた国の経費削減も含まれてきます。目先の小手先で演技を図るようでは、どさまわりの三文役者にすぎません。物事の解決には道筋を立てていくことが必要であります。
東北大震災の損害は五〇兆円に及ぶものと私は考えております。これを逆手に復興需要へ結びつけることも、今の日本と日本人の気構えからすれば不可能なことはありません。外国の人たちは、そんなあたりに目をつけて、日本人の強靭かつ強烈な民族性、精神構造に特異な見方を以て観察しているに違いありません。経済的、数学的算出では到底図りえないものだからです。きっと日本人の驚異的なその潜在的パワーを見越しているのでしょうか、超円高の状態が続いている理由かもしれません。輸出でなく内需拡大をもって経済的損害を跳ね返し、これをまた外需拡大につなげて経済の成長を遂げて行く兆候と見ることができます。
 史上空前の大震災から立ち上がっていこうとしている日本には今、アメリカにも、EUにも、中国にも、新興国にも負けない日本独自に培われた、神から与えられた天賦のパワフルな潜在力が発揮されつつあります。この国たみを指導すべき政治家は常に、のらりくらりの体たらくですが、日本最古の文学書、古事記をめくるといろいろな神々がたくさん登場して、この民族の成り立ちを語り、この国と民を支えてきております。神々が集結して力を合わせ、危機存亡のこの国と民を起死回生に向けて動き始めてきているのかもしれません。格付け会社は日本の国債残高一〇〇〇兆円、対GNPの二倍を以て、どう評価するのでしょうか。難しい問題ですが、技術と資本はいわずもがな、日本人の特異な精神構造を見誤ったランク付けをしないよう注視したいと思います。
             一月十四日

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貿易赤字となった日本

財務省が二十五日に発表した二〇一一年度の貿易統計によると二兆四九二九億円の赤字となることが判りました。これは一九八一年以来の貿易赤字です。即ち輸出額から輸入の額を差し引いたもので、これが30年ぶりにマイナスに転じたことを示したいます。このことが一体何を将来に暗示するものかを検証する必要があります。今までは貿易区屡次が30年にわたり黒字を示してきましたが、このこと自体が日本の経済産業構造が輸出依存型経済であることを如実に示してきたもので、主として輸出立国として経済活動を通じて我々の生活が成り立ってきたことを示すものでもあります。
   貿易収支が赤字に転落した理由として幾つかあげられます。それは突発的な東日本大震災の被害と原発事故の被害によるところが大きく影響しています。その他に傾向的となっている産業の空洞化や、少子高齢化による労働市場縮小、円高、タイの洪水による産業被害が大きな要因として挙げられます。又EUの信用不安とユーロ安などで輸出競争力が低下していったことがあげられます。一方、輸入は原子力発電所の停止でコストの高い火力発電所の燃料、主として液化天然ガスの輸入の増大も大きな要因として挙げられます。更にはこのところ急速に加速する企業の海外移転などが主な原因としてあげられます。生産が停滞しているところに、このところの原油高など貿易赤字を余儀なくなさしめる状況が続いていますが、モノの貿易だけでなく、資金やサービスのやり取りを含む貿易収支に赤字を出してくると、これまた問題は深刻になってきます。
   財務省は「円高の影響で海外の生産移転が進み輸出に影響が出た可能性がある」と指摘しています。ウォール・ストリート・ジャーナルは一面記事で、日本の輸出依存型経済が変化してきて輸出国としての日本の地位が低下に入ったと大きく報じていますが、長く続く円高傾向が輸出型経済にとって長期的マイナス要因になることは否定できません。逆説的に日本の輸出依存型経済に変化が見えてきたので必然的に円高が続いているということかもしれません。
   今後,貿易赤字が更に膨らんで所得収支の黒字を上回るようになってくると、即ち経常収支が赤字になると、国際的な評価として「日本は稼げない国」という烙印を押され、揚句には「借金もかえせないくに」と見なされて、やがては国債価格の下落というジレンマに陥ることにもなりかねません。既に国債残高一〇〇〇兆を抱えたまま国債の大量発行が続くとなると、国債消化を海外に頼まざるを得ないという事態にもなりかねません。しかし現実にはこれを見越して日本の国債の信認を維持できなくなると考えることは、日本にとって相当な深刻度を増して来ることにもなります。
   いくら大部分が国内で消化されているとはいえ、日本が大量に発行している国債だけに、ひとたび下落しだすと自分の重みで歯止めがきかなくなる異常な事態を招きかねません。
   転ばぬ先の杖ではありませんが、外国からとやかく言われないうちに、格付け会社からちょっかいを出されないうちに、私たちは財政再建のための幅広い視野に立った総合的な政策の展開を遂行していくことが必要になってまいります。社会保障と税の一体化の実現に向けて野田さんは政治生命をかけて踏ん張るつもりでいますが、いつも言われていることは自らが身を削って改革を推し進めて国民の理解を得るということが重要なことではないでしょうか。忘れてはならないことは、困難な状況の中、経済の活性化、景気回復を期すべく多くの弊害となっている規制を廃止、撤廃して企業の活動と新規参入を大胆に推し進めていく、このことが経済成長を含めた社会保障と税の一体化と把握すべきではないでしょうか。言うなれば、「経済成長と社会保障と税の一体化」の看板を掲げて野田さんのキャッチフレーズとすべきではないでしょうか。そのこと自体安定感があっていいのですが、臼のように重そうな野田さんの尻をはたいて、杵でなく檄を飛ばしてやりたいと思っております。  1月26日

平成24年1月5日

社団法人 昭和経済会
理事長 佐々木誠吾


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