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Vol.8-06 岩手を襲った地震
一昨日(十四日の土曜日)、朝八時四十三分頃に岩手県南部を襲った地震は、震源の深さが約八キロと浅く、マグニチュード七・二と推定されました。家屋の倒壊やがけ崩れ、道路の陥没等が各地で発生、死亡者が出ている模様です。識者によると、今までの三陸沖の海底で起きる「海溝型」の地震とは違う別のタイプとのこと。内陸部の地震は、陸地の活断層が直下型に動くもので、数千年ごとにあるといいます。浅い活断層のひずみで、それだけ力がたまるので、破壊される時のエネルギーも大きくなり、揺れによる被害も大きいことになります。地球探査衛星からの情報や、地上の各地に備えた地殻変動探知機などの情報をもとに、最大限の地震予知が行われておりますが、これとて限界があります。災害時に備えた訓練と心構えがいつでも必要であります。
岩手県と秋田県の県境には奥羽山脈が走っており、火山活動も活発な地域なので、温泉の湧出も多い地域であります。人里離れた山奥には、ひなびた温泉宿もあり訪れる旅行客もあるので、注意の喚起も怠ってはなりません。今回の地震は、もしかすると新しい火山活動の兆候かも知れません。日本は、海に浮ぶ火山群の列島です。地殻の変動は、人間の想像を超えたものであり、いつどこに噴火があったり、地震があったりしないとも限りません。災害は強力な地震ばかりによるものではありません。都市部にみられる、工場や生活用の地下水も、少々の規制はあったにしても、多くが汲み揚げっぱなしの状況であり、結果、水脈の変化で地盤が破壊され、大規模な地盤の陥没だってありえます。常に注意して、万一に備えた生活の毎日でなければならない。
人間生活の時代的変化で、多くの場合に、地表での自然環境の破壊と変化は想像を超えて急速に進んでおります。そうしたひずみが、ひとたび表面化すると、その上に住む人間社会の破壊は言語を絶するものとなります。建ち並ぶ東京の高層ビル街の根元で、それが起こらないという保証は全くありません。中国大陸の奥地で、まさかあのような大規模の巨大地震が発生するなど誰が前以って予想してたでしょうか。起きてからまことしやかに騒がれているのが実情で、愚者の浅知恵の,いつもの繰り返しになってしまいます。中国の四川地震の被災は予想した通り、その後の被害の状況は厖大となってしまいました。死者十万とも言われてくると、この先検討がつきません。避難民も何百万人とも言われ、国際社会が挙げて避難民の救援と、インフラの復興に力を貸しています。さように事と次第によっては、国家の存立をも揺るがしかねないものとなります。
中国四川地震では、死者十万人以上になる惨状となってしまいました。山崩れや河川の氾濫はもとより、インフラの破壊もすさまじいものです。これが大都会で起きたらと、思っただけで身の毛がよだつおもいですが、決して思いすぎや空想ではありません。日本は、謂うところの太平洋トラフの上にあって、地殻のひずみと、地盤のぜい弱な上にある、三十万平方キロの日本列島・火山国です。地震と、二次災害によって、日本各地にある原発施設や、ダムの崩壊など、重大事に繋がるインフラの破壊を、常に念頭に置いておかなければなりません。
今回の地震発生に際し、政府は直ちに官邸に災害対策本部を設置、最大限の努力を払って、迅速に現地被災地の救援に赴いたことは適切な判断で、立派であり、賞賛を惜しまぬところです。
6月16日。
平成20年6月17日
社団法人 昭和経済会
理事長