line

社団法人昭和経済会

理事長室より
LAST UPDATE: 2017年10月24日 RSS ATOM

HOME > 理事長室より

理事長室より

Vol.9-05  景気回復なるか、 世界的財政支出の発動

   景気回復なるか・世界的財政出動
ここ10有余年、脚光をあびて実践経済に登場、君臨してきた金融工学の経済が敗退して、それまで冷遇されてきたケインジアンの経済政策が今新しく甦ってきました。
  オバマ政権が発足してから100日近くになろうとしています。難問山積に取り組むオバマ政権は、総力をあげて電光石火、矢継ぎ早やの金融、産業救済策を打ち出していますが、超大規模と,複雑多岐に亘る経済混乱を収拾するため日夜、紛骨粋身の奮闘振りであります。
  他方、影響を受けて自国内の経済後退を憂慮したEU始め、中国、インド等は急落した実体経済の回復を期して内需拡大につとめるべく多面的、大胆な財政出動を行っています。日本も早くから思い切った景気対策を発表し、実行に移していることは賢明な対応であります。我々始め世界各国も、これ以上の景気悪化が、景気の底割れとなって大恐慌に及ばないことを願っています。各国政府並びに当局の更なる奮起を促す所以であります。
      膨大な財政出動の結果、国家財政の悪化を憂慮することもあります。しかしかかる経済の悪化を放置すれば、経済そのものが破滅に至ります。世界経済はおろか、実際には想像を絶して私たちの生活そのものが、深刻な状況に見舞われてきます。大きな社会不安となって日々の生活を直撃するでしょう。これを未然に防いで成功すれば、景気が立ち直り、所得が改善し、税収が増え、財政改善への道しるべともなります。加えて民生の安定は、政治の最大の目標でなければなりません。目下の貧困こそ、この世界から駆除しなければなりません。「貧乏は人間を、世の中を不幸にする」といったのはギリシャの哲学者セネカですが、それを引き合いに出すまでもありません。
     世界的バブルとその崩壊は、私たちに色々な教訓を与えてくれました。証券化という怪物がバブルを増巾しつつ伝播して、マネー資本主義の欠陥が如実に露呈されました。その発信源がアメリカにあって、世界経済がアメリカのいびつな経済構造に依存しきってきた実体までが浮き彫りになりました。これからの経済は、アメリカ一国依存主義からの脱却にあります。現在はその影響を以って、実体経済の混乱と金融不安が互いに増巾しあう形になっています。これを阻止することが焦眉の重大関心事です。幸いに賢明な努力と英知の発揮によって一様に理解を深め認識の一致を見た国際社会は、これからの将来を展望するにあたって、画期的な協調路線を築き上げました。それは厳しい経済の混乱を経て手に収めた唯一の成果であります。G(7)を始め、特にG20を基軸に相互に連携、協調体制で経済危機の克服に対応していますが、幸いこれ以上の経済悪化を喰い止めることに成功しつつあることは喜ばしき事であります。
     各国は大恐慌の教訓を意識し、金融政策の超緩和に踏み切っています。特に英国、米国は低金利政策のもと、量的緩和を強力に打ち出しています。
 又財政出動についても、それなりに対応しており、それぞれの景気対策を打ち出しています。例えば
① 欧州は52兆円の景気対策を行い、中東欧向け特別融資枠を6兆5000億に倍増しました。
② 米国は77兆円の景気対策を早々と行い、金融安定化のため公的資金の投入を決定、実行しつつあります。更に官民共同で不良債権の買取りを進めるために98兆を計上しています。
③ 我が日本は56兆円の追加経済対策と発表、別に最大50兆円の株式買い支えの公的資金の投入を発表しました。尚、大型補正予算の追加も検討中です。
④ 中国は57兆円の内需拡大策と追加策を発表して実行しつつあります。又、銀行に融資拡大を促す行政指導等をすすめております。
     こうした状況を踏まえ政策の発表と実施は、除々に実体経済の改善に功を奏し始めて、世界経済は年内回復の道を歩みだしたとの観測も報じられております。迅速に積極的な政策を打ち出している各国は、口をそろえて声明を出し、一方果敢な政策の実施は足並みをそろえて、その明るい兆候を示しつつあります。
     中でも米国に代って超大国の立場の鮮明となった中国の景気回復は、極めて顕著であります。先進国は押しなべて中国の巨大市場の回復を狙って、一挙に中国に進出しつつありますが、旧来型、従来型の発想と形式・内容をこえて、企業の新技術革新の波にのった新世代産業の売り込みが功を奏していることは、将来の発展のためにも望ましいところであります。


     折りしも世界をリードしていくアメリカに、過去にしがらみを持たない清新にして理知的で、若い行動力のあるオバマ大統領が出現しました。、グローバル化時代となった世直しの改革改善は、その期待と実現可能性は歴史上かって見なかったもので、空前絶後のものとして間違いありません。
     おぞましきマネー資本主義のうごめく弊害と汚泥を除去一掃し、新しく甦った清新、清潔な地盤の上に、真の経済発展の原動力を見出し、溌溂とした理念に満ちた経済の姿を力強く構築する、正に、百年の経済危機から出てきた百年に一度の絶好のチャンス到来と言うことが出来るでしょう。あまつさえ欲望むき出しの拝金主義の行き着いた成れの果てで、嘔吐感を禁じえない経済社会に腐敗しきった状況が露呈されてきました。シュンペーターの「経済の創造的破壊」ではありませんが、尚、道徳的、倫理的見地に立って、この教えを清新、強力なものとして、長年の堆積した経済の汚物を駆除する、大清掃の好機到来であります。人間の思考、価値観そのものを根本的に変えていく必要があります。
                                         4月15日

平成21年4月15日

社団法人 昭和経済会
理事長 佐々木誠吾


copyright (c) Showa Economic Study Association サイトマップ プライバシーポリシー お問合せ