line

社団法人昭和経済会

理事長室より
LAST UPDATE: 2024年02月28日 RSS ATOM

HOME > 理事長室より

理事長室より

vol.18.8

    危険な暑さ

「命にかかわる危険な暑さです。こまめに水分を取るようにしてください。塩分の補給も怠らぬよう注意してください。外でも家の中でも熱中症に注意してください」。連日の天気予報官の警告である。
  日本列島が、釜戸に投げ込まれたような暑さである。命に係わる暑さは、外に出ると全くその通りだ。自分の体調を気にしながら、外の条件を考えながらの外出である。戦時中、敵機襲来の空襲警報が流されると、命にかかわる事態だから、防護体制を整えて備えたものである。どこから攻撃を受けないとも限らない空襲である。命の保証はない。猛暑からくる熱中症にしても、緊迫性はないものの、その表現は的中するほどに、小生は緊迫感を以て聞いている。
  「命に係わる危険な暑さ」ということが、異常気象を指しているだけに深刻である。広くとらえて行けば、その遠因となるべきことが、地球温暖化に起因しているということであるがゆえに、事態はなお深刻といわざるを得ない。この時期に、命にかかわる危険な暑さは、日本だけのことではない。全世界に、つまり地球規模で発生している異常気象である。その結果、自然災害が各地で起きている。それはとりもなおさず、人間社会を襲ってきているということである。
  人類の歴史は、つい最近経験した産業革命の時代以来、たった二世紀半ほどの間に、地球環境は急速に悪化してきている。人間の作り出していく文明が、大きな自然破壊につながって来ている。そして今日、この事態を招いているというわけであるから、人間がこれから如何に対応していかねばならないか、それに気付いたということだけでも、救われる気持ちである。事態は、あと間一髪ということかもしれない。命に係わる危険な事態とは、自然界にのあてはまることである。
  火星が地球に大接近して、身近に感じられるようになった。赤い色がひときわ大きく夜空に輝いている。火星に人類が下り立つ日もそう遠くはない。だからと云って、駄目になった地球を放り出して、月や火星に逃げて行けるかと云えば今のところ不可能というしかない。それ以前に、地球は生物が生存していくに最適な条件を備えている、この恵み溢れた地球を、人間が勝手に汚したり傷つけたりしてはならない。地球は、神聖な存在である。     8月2日


記録的猛暑となりぬこの年の異常気象は世界規模にて

解決に無限の努力を要するとパリ協定の地球温暖化は

トランプの地球温暖化はでっち上げと狂言に見る学識の無さ

中國にたしなめられてトランプの滅茶苦茶政策の狼藉顕わに

炎天の焼けつく空に気迷ひの鴉が一羽鳴きて飛びゆく

青空に入道雲のもくもくと芋虫のごと動き立つかな

炎天の猛暑の拍車の幾日となほ七月も末を迎へり

小生にやるべきことの多く在りベットに呑気に過ごし能はず

脳神経外科の手になり脳のなか微妙の組織なれば案じぬ

病院の帰途公園のベンチにて恙なく聞く蝉しぐれかな

米中の貿易戦争蟻地獄
跳ね返る保護主義の弊害が
西日本豪雨被害の捨て案山子
トランプの暴れ侍秋の陣
風邪なびく開聞岳へ麦の秋
じっとして動かぬ雲や麦の秋
耕運機エンジン高き大暑かな
九十九里波がしら高き夏の果て
雲荒れて峰に崩るる大暑かな
麦の秋荷車遅き牛一頭
麦の秋山小屋に住む老夫婦
稲作の豊年満作恙なき
薄暗き空に火の星赤き星
蚊の泊まる甲に一瞬いのち絶つ
たっぷりと血を吸ひし蚊の動かざる
胡瓜もみ母の優しき飯一膳
蜘蛛の囲の左右に揺れて喜雨近し
青柿の散らばり落ちて情け落つ
アカシアの花に雫のはやり歌
蝉鳴いて全山揺るる夕べかな
冷奴白磁の皿に光りけり
無風なり日照る更なる猛暑なり
この猛暑今日も四十一度を更新す
陽炎に曲がる線路や猛暑なり
意のままにならぬ猛暑に訃報なり
夏旅の涼しきゆうべ書生居り
友逝きて阿蘇岳は燃ゆ草千里
秋晴れの富士の高嶺に朝光り
盆の月長尾峠の薄明かり
熱風の中を飛びゆく雀の子
猛暑也鳴りを静める麻生節
猛暑也トランプも又狂い咲き
熱風に草木の皆しおれけり
猛暑也何時まで続く九十九里
木の影の動く術なき猛暑かな
ゆっくりと遮断機下りて猛暑かな
火の星の地球に最短距離となり
火の星の赤く隈どる良夜かな
ひとり旅ザックの軽ろき夏野かな

赤星の白き半月に寄り添ひて天空を行く夏の夜の空

熱中症騒ぎの日本列島に蝉しぐれ聞く秋近きかも

自民党総裁選の波立たず静かなるごと林の如し

自民党安倍総理を追う人材なきされば北辰の如く立つべし

トランプが仕掛けた貿易戦争にアメリカ農民の苦境に立たさる

アメリカの大統領に異端者の出て対立と混迷を来す

広島の原爆投下の惨状を肝に銘じて忘れ得まじき

対立と抗争の世界情勢に日本の立ち位置の使命大なり

トランプの出過ぎ場当たりはしゃぎ過ぎ出鱈目ときて打つ手なきかも

十一月中間選挙に敗北をきたせば反省の余地はあるかも

今日の世界の平和を希求する努力を反故に致すトランプ

日本の兎にも角にも良識と学識のある民は誇りに


   第百回夏の甲子園


第百回目を迎えた全国高校野球選手権記念大会が、8月の5日に聖地、甲子園で幕が切って落とされた。炎天下の開会式には皇太子も出席し、第一試合の前には元大リーガーの松井秀樹が始球式の球を投げた。松井選手は石川県の星稜高校のOBである。かって優勝を賭けた試合で松井選手が活躍した名門高校である。
真夏の炎天下で始まる高校の野球試合は、文字通り、毎回熱戦が繰り広げられて、優勝校が決定されるのであるが、今年は全国から史上最多の五十六校が代表として参加した。開会式で錚々たる行進をする選手たちを見ていると、意気盛んな少年たちの馬力を見せつけられ、全身に血がみな切り、我々も思わず発奮してくるのである。この爆発するエネルギーが熱気あふれる試合にみなぎって、各校の校歌を高らかに斉唱し、その高まる意気を感じて応援するのである。これはまさしく青春そのものである。そして甲子園は宣誓に立った中尾君が云っているように、「勇気、希望を与え日本を平和にしてきた証し」と述べた点である。堕落し、腐りきった大人にない、溌剌とした青春の気概を歌い上げて余りあるものであった。
若者たちにこの精神が盤石にある限り、日本の将来に不安はないと確信した。約十七日間にかけて少年たちの熱闘が繰り広げられるが、白く輝く太陽のエネルギーを跳ね返しながら、選手諸君が充分な力を遺憾なく発揮して、甲子園球場に悔いの無い思い出を刻んできてもらいたいと思っている。その間、この暑さでは無為だと思われる、仕事に向ける力を君たちの応援に注ぎたいと思っているので、全力投球で頑張ってもらいたい。

今回の甲子園球場で注目しているのは、百二年ぶりという慶応高校の出場と活躍である。大会第一日目の試合では、慶応は中越高校と対戦した。攻守ともに息をのむ熱戦が続き、慶応の攻撃で二対二で九回裏を迎えていた。二死で一、二塁に走者を出してバッターボックスに立った宮尾選手は、見事センター前に強烈なライナーをかっ飛ばし、さよなら打点を打って慶応を勝利に導いた。胸のすくような一打であった。熱戦の末二、回戦進出を決めて幸先の良いスタートを切った慶応の今後の活躍が期待される。      八月五日

甲子園球場で慶応高校に影ながら応援する理由がある。息子が世田谷の等々力小学校を卒業して慶応普通部に入学、慶応高校に進み、そのまま大学を卒業したからである。どうしても贔屓目に見てしまうのは致し方ない。六大学野球では早稲田、慶応の決勝戦に神宮球場に足しげく応援に行ったもので、思い出は尽きないものがある。しかしながらこれまで慶応高校は、さっぱり音沙汰なしの状態が続いてきたがゆえに、見失いがちであったが、今回は何と百二年ぶりのくじ引きを引くような幸運にあたったのである。選手のたゆまぬ練習と努力によって、技能を見上げてきた結果である。奇跡を演じるような感覚でもよい、是非とも上位進出を果し、更には優勝を目指して奮闘してもらいたいと念じている。多くの人たちに感動を与え、スポーツのだいご味を味わいたいものである。大学もそうだが、高校にも「陸の王者慶応」の応援歌を連呼してもらいたい。
息子は僕と違ってスポーツ選手を経験してきている。初めはサッカーに熱中していたが、半月板損傷で諦めた。しかし、スポーツの精神と醍醐味は断ちがたいものがあったようだ。大学時代にアメリカのジョンズホプキンス大学の経済学部に留学した。その際、彼はアメリカに古くからあるスポーツ、ラクロスを日本に最初に持ち込んだ男である。ラクロスを通じて選手たちとの交流も広く、国際感覚も培われてきている。
最初に慶應義塾大学にラクロス・チームを結成し、幾多の困難を克服しながらこれを全国に普及して行った。卒業して帰国後、四、五人から始まったラクロスは今や全国に普及、登録されている学生、社会人を含めラクロス・プレイヤーは2万6000人に及んでいる。これを統括する日本ラクロス連盟の組織も作られて、選手チームの交流試合はもとより、外国チームの日本への招へい試合や、海外遠征試合も華々しく活発を極めている。そうした生きた国際交流の功績顕著なるを以て、卒業式には初代石川塾長賞も受けているし、アメリカでは若くしてメリーランド州の名誉市民に選ばれている。又留学での実績は云う迄もなく、当時の学生諸君は、卒業後はそれぞれに優秀な職場の第一線で活躍し、広い国際ネットワークを以て見る目を奪うばかりである。そうしたことを考えると、彼の職責においても相互、相乗作用で、会社の仕事もずば抜けた感覚で活躍しているし、親ばかだが、これからの人間は与えられた仕事を活性化し成就していくためにも、又、人の上に立って働く場合でも、学術、知識、語学はもとよりだが、狭隘な見方から脱して、さらには真のスポーツ精神を以て心身を練磨し、国際的な感覚と教養を身に着け、広く人間性を発揚していくことが大切になってくる。大人の風格を留めて、社会に貢献する姿勢が肝要である。論語の言葉に、「例えば北辰のそこに在りて、例えば衆星のそれに向かうが如し」 である。北大寮歌の一節に「厳かに北極星を仰ぐかな」の心境である。・
スポーツ経験のない小生が、長じてから遅まきながらスポーツ競技に大いなる関心を示してきているのは、息子や娘の啓発に依るものかもしれない。斯かる事情で、今回の全国高校野球大会の勝敗の行方は、始まったばかりとはいえ、重大な関心を以て観戦しているところである。  
 白熱する試合と同時に、高校生たちが高らかにうたうそれぞれの校歌を聞き、その建学の精神を窺い勉強することも楽しみである。それこそ現代的意義を以て地方の特性を習得し、以て地方活性化に大きな起爆剤になることも願っている。それは青少年職の双肩にかかっているし、政官財が一体となって、青少年諸君たちの願望に応えて行かなければならない課題である。大きな空、大きな土地、大きな家、大きな鎌、そこに大きな財政支援を行えば、人口減少は一気に歯止めが掛かってしまうだろう。都市化から田舎化への道を開拓しなければならないと、わずかな発想が直ぐに浮かんでくる。 
「見よ、丘に立つ我が旗を・・・」 之は慶応高校が歌っている応援歌だが、青春を謳歌する応援歌を、敵、味方なく溌剌と何度も聞かせてもらいたいものである。  

全国高校野球大会は、今年は百年の節目を迎え意義深く、我々国民は祝福すべき甲子園球場に臨んでいる。全国の男子高校生たちの熱闘と歓声はオリンピックを凌ぐ、これぞ我が国の、平和の祭典である。男子若人の祭典ながら、サポーターと応援団は全ての老若男女を熱狂的に取り込んでいる。主催者は「朝日新聞社」である。同社が長きにわたり信念を堅持し、今日まで営々として高校野球の本大会の運営を維持し、その大役を果たしてきていることに改めて心から敬意を表したい。   8月8日


原爆投下73年

広島、長崎に原爆が投下されて今年で73年目を迎えた。蒸し暑い昼の盛り、一発の原子爆弾の威力を示されて、日本はようやく目が覚めて、敗戦の日を迎えた。東京をはじめとしてほとんどの都市がアメリカ軍の空爆によって既に壊滅的な打撃を受け、日本が白旗を揚げて無条件降伏するのは時間の問題とされていた時期である。しかし本土決戦を唱える軍部の根強い抵抗があったことは歪めない。こうした日本の情きょぷを把握していたアメリカも、原爆投下は苦渋の決断をした結果である。しかしそれによって罪のない市民が何十万と無残な犠牲となったことも忘れてはならない。原爆投下は既に死に体の状態の上に投下されたもので、その方法にも大きな疑念がアメリカ国内にもあって疑問視されてきている。大日本帝国と軍隊に思い知らせるために、日本の無人の島に原爆を投下して、その残忍な破壊的な威力を示して、「これが広島、長崎に投下されるとしたら、お前たちはどう釈明し謝罪するか」と、アメリカにも選択する術があってほしかったと思う。そうすればお互いが残酷、残忍な悪魔的、非人間的行為を行わずに済んだのではないかと。

戦争は残酷である。一人として人道的な人間の現れることをも拒むからである。皆が一様に殺傷劇に加わって己が欲望を充たさんとして、良心を絶ち、蛮行を奮って憚らない。神もほとけもない世界である。


広島に原爆投下の惨状を振り返り来て七十三年

十万の民を一瞬に殺害す原爆投下に正論は無き

日本の愚かさ加減の如実なり国土を廃墟と化せしにもなほ

原爆を無人の島に投下して威力を示す術もありしに     八月七日

諸事雑感

赤星の白き半月に寄り添ひて天空を行く夏の夜の空

熱中症騒ぎの日本列島に蝉しぐれ聞く秋近きかも

自民党総裁選の波立たず静かなるごと林の如し

自民党安倍総理を追う人材なきされば北辰の如く立つべし

トランプが仕掛けた貿易戦争にアメリカ農民の苦境に立たさる

アメリカの消費者物価の奔騰す貿易摩擦の結果顕わに

アメリカの大統領に異端者の出て対立と混迷を来す

広島の原爆投下の惨状を肝に銘じて忘れ得まじき

対立と抗争の世界情勢に日本の立ち位置の使命大なり

宇宙軍創設と聞くトランプのむしろ地球救済軍の創設へ

箱根路を巡り長尾峠まで風光明媚の地を妻と行く

西方に薄桃色の空暮れて一番星の中天に在り

夕焼の空暗がりて我が宅の野べに移ろい明かり浮かび来

夕焼のあとに澄み行く藍色の隈なき空の果てにある海

この夏のお盆休みは久々にフジビューマンションにて妻と過ごさむ

台風の去りたるのちの富士の嶺に輝き渡る虹の大橋

青黒き山の稜線を振り返り秋のさやけき月の出づるを

黒松の影の妙なる夕闇に映れば寂しわが心かな

オフィスも休暇の会社続出にこの暑さゆえ我も出まじと

トランプの出過ぎ場当たりはしゃぎ過ぎ出鱈目ときて打つ手なきかも

十一月中間選挙に敗北をきたせば反省の余地はあるかも

今日の世界の平和を希求する努力を反故に致すトランプ

グローバル時代に貿易戦争の勝者も敗者も無き顛末に

TPP参加を促す米国に保護主義政策の被害あらはに

限りなき貿易戦争の底知らず挙句の果てに蟻地獄とも

今でこそ貿易戦争と云うなれど昔にあれば戦火まじえり

関税の引き上げにより国内の物価値上げに跳ね返りけり

トランプがひとり騒ぎて経済の秩序を乱し損失多き

アメリカの関税引き上げに中国も同じ枠にて報復に出ん

日本の兎にも角にも良識と学識のある民は誇りに


終戦記念日


七十三回目の終戦記念日を迎えた。七十三年前の今日、八月十五日は、疲労困憊し切った暑い日照りの日であった。生き残った人たちは、それぞれの状況の中で感慨深く、終戦の日を迎えたに違いない。むごたらしい戦争を体験し、生き延びてきた人たちも次第に少なくなってしまった。戦争の真実を語れる人も、今の若い人たちには遠くかけ離れた世界にしか映らないであろう。否、まさかと思うほどに理解できない世界かも知れない。しかしそうした状況に在りながら、戦争を知らない人たちに、今、戦争という不気味な幽霊が覆いかぶさってきているような気がしてならない。戦争を交えなくとも、今を勇ましく生きる人たちは、自分たちがそうした状況下に巻き添えを食らってしまうような事態を想定するだろうか。ありえないことだと思うに違いない。そううあってほしいし、小生も、そうした心配は、単なる創造であって杞憂に過ぎなけれが良いと思っている。

つい最近まで近くの北朝鮮との間では、北朝鮮がミサイルを発射して保有する原爆にスウィッチを入れるかもしれないと云う緊張状態にあった。日本もミサイル防衛システムを駆使して、迎撃態勢に入っていたりした事は、つい最近までにあった生々しい事実である。幸いにも韓国の文大統領の手腕がきっかけで米朝が話し合いの席に立つことになって、一時的にしろ戦争という最悪の事態を回避することが出来た。又、アメリカのトランプ政権が保護主義政策を打ち出して以来、最近は厳しい貿易戦争に発展しつつある現実、昔なら武器弾薬を撃ち合って生殺しの戦争状態に突入している状況である。貿易問題でこじれていることが、解決の糸口が見つからなくなってしまったときに、どこにそのはけ口を持っていったらいいのか。その時の仕方によっては、はずみでどのような結果に追い込まれていくか予断を許さない。戦争という火種はあらゆるところでくすぶっている。力ずくで仕掛けた関税引き上げで、相手から同様の反撃を食らい、話し合いの思惑が外れている。報復が続くとしたら、最後の選択肢は限られてくる。交渉決裂と云って、昔なら戦争という手段があったが、今は簡単にそれが出来ない。しかし、トランプのような異質な政治家が出てきて、場当たり的な手法に出られたら、滅茶苦茶である。乱暴、狼藉の男は、世界政治の表舞台に実際に出てきてしまっている。だから恐ろしいのである。こわもてのプーチンも習近平も、じっと鳴りを静めて、受け身に立っている。睨みを帰化し殴り合いになったら最後、打ち合いである。打ち合いになったら、貿易戦争では済まされない。世界は今、狼藉男の始末に困り果てている。

日本は国土を縦断爆撃されて廃墟と化し、原爆の洗礼を受け、二度と戦争をしない、起こさないと誓って平和憲法を作り、今日に繁栄を築いてきた。戦争の恐ろしさを世界で一番身に染みて知っている国である。しかし、次第に風化されてきていることも事実である。現実は逆に向かっているともいえる。1万5000発もある原爆の処理を巡って人類は大きな課題を背負っているかと思えば、トランプは小型原子爆弾を使用すると云っている。これに対しプーチンは、あらゆるミサイル攻撃を完ぺきに撃退しうる迎撃ミサイルを開発したと云う。まさにミサイル、原子兵器の開発競争を行っている。縮小どころか米、中、ロとも、軍事予算は益々膨れる始末である。更には宇宙軍の創設まで云い始めている。狂い始めた歯車は止まるところを知らない。

いつもなら、終戦記念日と称して通常的な感慨を述べて回顧するところであるが、今迄何度も同じようなことを繰り返し述べてきた。心に繰り返し述べてきても、世代は大きく変わり、戦争の危機感など今の若者にはさらさら感じるところではない。確かに昔のように戦争など簡単にできることではない。小規模な小競り合いは起きたにしても、大国間を揺さぶる様な戦いは、ほとんど起きないと云ってもいいかもしれない。それほどに大国の軍事規模は拡大されて、それを使用することが不可能なほど困難を極めていると云った状況である。引き金を引いたとたんに、壊滅状態になるからである。

 しかし戦争を僅かでも体験された今の天皇が来年には退位される。元号も平成から何とかという名前に変わるだろう。戦前、戦後から切り離された多くの若者たちの時代になって、価値観、認識感も大きく変わるはずである。そうした時に戦争という歴史観を上手に脱却して平和の旗手として行くことが出来るかどうか、いささか心もとない気がする。経済と戦争は、今までの歴史が示すように表裏一体であった。人間に物欲がある限り、ついて回るものである。如何に世界が対立の構図から、連携の構図へ転換していくか、それが試されている。
  世界は分断からグローバル化へ、と言いはやされて既に長い年月が過ぎた。紛争の無い平和的な発展を期していくためには、国境を払い人、物、金の自由な往き来が必要な条件であっても、世界はそうした流れに乗って発展しているだろうか。新しい世界を目指して理性的に英知を発揮して行くだろうと期待していた経済、軍事大国の意アメリカが、これに逆行して強烈な保護主義政策を打ち出して来ている。謂うところの貿易戦争とまで事態は険悪な様相である。一例だが、関税を引き上げ他国からの製品を締め出し、自国の産業を有利に発展させていこうとする。政策的には互いの報復の打ち合いに終始して、留まるところを知らない。昔だったら交渉決裂で、直ちに戦火を交えているだろう。中国の報道官ががトランプに対して関税引き上げの追い打ちをかけてきたときに、アメリカに対し理性を取り戻せと主張し忠告したことが実に印象的である。 
  相手の都合や立場を無視して、自分さえよければいいのだと云うあまりにも虫のよすぎるアメリカの態度には、さすがのEUのメルケル氏も返す言葉がないと云った感じである。トランプ率いる今のアメリカには経済大国、民主主義国家と云った哲学的な素養と風格は、微塵も感じられない。利益追求第一主義で突っ走るトランプの姿は、がつがつしていて、その間にも人間的な多くの大事なものを失っている。経済学者の大河内一男氏がかって卒業生に贈った言葉があるが、肥った豚になるよりも、痩せたソクラテスになれ  とは若い世代を背負って行く日本の若者たちに改めて告げたい言葉である。       8月15日

    地球温暖化は如実に

 猛暑日の続く暮らしに辟易し今日の出勤も力抜けたり

 大空を見上げる顔に灼熱の焼ける光りに目まいこそすれ

 列島に観測史上最高の41,1度をを記録す

厳冬の冬を迎えて最低の零下気温を試すかもとは

台風の所定のコースを逆走す狂いも出でて予想不能に

 農業に漁業に甚大な影響を食料供給の混乱の予想も

 黒雲のドクロの登る大空を太き稲妻裂きてとどろく

 洪水と干ばつの互ひに襲来し餓死、死者地上に見るもおぞまし

 賢人のルソーは自然に帰れとも原点に立ち思索深めん

 海原の黒潮親潮の蛇行する流れも乱れ海も狂える

 人間の喉元過ぎて何とやら駄目な習性に不安募れり

 世界的規模の異常気象にて自然災害の各地に招く

 脱炭素社会の実現に一致してパリ協定の意義唱えけん

 人類が経験した18世紀後半から英国に始まった産業革命は、その後各地に経済、産業的変化を遂げさせた。就中、ジェームスワットの蒸気機関車の発明は、歴史的に画期的な意義と成果をもたらし、人類が科学文明を享受するきっかけを打ち建てたことは紛れもない事実である。その産業革命の原動力となったものは、石炭そして近年の石油のエネルギーであった。特にどこにでも採掘される安価な石炭は、すべての産業の現場で貴重なエネルギーとして活用されてきた。安価で便利な石炭であるが、燃焼過程で膨大な二酸化炭素を放出し、長きにわたってこれが地球環境を汚染して、就中、大気圏に滞留し、太陽からの光線を遮断し、温室効果ガスの原因となっていることは多くの科学者の認めるところであり、今や常識となっている。

英国は石炭火力発電を25年までに全廃する。現在石炭火力の比率は9パーセントにまで減ってきている。数年前には40パーセントであった。クリーンエネルギーに転換している。ドイツは50年までに電力の80%を再生エネルギーで賄う。カナダや欧州の主要国の多くが石炭ゼロの目標を立てている。日本は政府が長期目標の決定をしてから2年余りたつが、戦略作りに二の足を踏んでいる。しかし世界は進んでいく方向ははっきりとしている。未曽有の原発事故を起こした日本は、同時に原発依存度を引き下げていく努力をしなければならない。

 温室効果ガスの発生をこのまま続けていくとすれば、地球は自然界の秩序を破壊されて、太陽系で唯一生物の生存しうる優れた環境を喪失することになった仕舞う。既に始まっている異常気象について、ようやくこれが人間社会がもたらしている結果であり、異常気象に始まる幾多の自然環境の破壊が、人類にもたらす大なる障害に気づいてきたのである。そこで作らられたのがパリ協定である。「2050年までに温室効果ガスを80%削減する」 という地球温暖化対策の長期目標を打ち建てて、参加各国が足並みを揃えていくことになった。少しずつではあるが、地球破壊の要因の減少を図り、ある時期から前進的に地球環境の浄化と改善へ舵を切る方策を選択するに至った。人類の英知と忍耐が発揮された結果である。

低気圧と前線が重なって大量の降雨量となった、西日本豪雨災害は身近に経験したところだが、予期しない規模の自然現象が相次いでいる。アメリカ・フロリダ州を襲っている乾燥期の大規模山火事、ハリケーンの増大、ノルウェイの氷河の消滅、アフリカの乾燥、砂漠の拡大、東南アジアの洪水、エルニーニョの影響と云った具合で、今 世界各地に起きている自然災害は、地球温暖化による結果で、全て人災である。北極の氷山の溶解も然りである。スイスのアルプスの景観も変わってきている。今に五大湖の増水、ナイアガラの滝の渇水、といった現象も冗談ではなくなってくる。たかが雇用創出のためにパリ協定を脱退した間抜けのトランプに、単に人に依る国際社会ではなく、神が創造し給うた大自然の掟の鉄槌を打ちこまれること必然である。
たかだか権力を握った一人のエゴイストな人間に、我々人類とその輝かしい将来を反故にされたのではたまったものではない。 消え去れ!、悪霊ども  !


 大阪四天王寺 太子霊祭 (古文にて書き、淵に載せんと思ふ)

 秋風の立つころとなりぬ。同人の杉村浩殿より、四年後にて大阪四天王寺に於いて聖徳太子・没千四百年祭の盛大にありしと伝え聞きけり。係わりて、四天王寺の絵堂に画かれたる聖徳太子の御影を写真に収めしに、これをそれがしに手厚く送り来たりぬ。気品高く写し給へる作品にふれ、自ずから詠歌のこころ、ほむらの如く湧き出でしに、思いの丈を歌にしたため杉山殿にお礼の印と送り給へり。それがしの拙きうたなりしも、幸い杉山殿の心に大いに共感を覚へ与へけるに、いくつかの歌をえらびて、これを太子像の写真に趣き深く載せて送り給へり。その作品の妙なる趣きに、なほ心及び、太子の威徳を偲びつつおもむろに賛詠の歌を詠みつづけたり。
  大阪四天王寺の絵堂に描かれたる太子像は、高名なる画家、杉本健吉氏の作品にてあれば、又熱き思いに触れしものなり。半世紀前にて、四天王寺より委嘱を受けたる杉本画伯の、制作に取り掛かりてより六年の歳月をかけて渾身の筆をおろしたまへる結果なり。げに感銘深きことなり。


    聖徳太子像 賛詠

香はしき花の妃の肩に手を触れて気品にみつる太子よ

和を以て貴しとなす憲法の太子の広きこゝろ映せり

夏さめのしき降る庭に夏ぐさの青ぎるつやにしばし眺めむ

富士の嶺の妙なる明けのまほろばにあたかも太子のれい明に立つ

瑞雲を背にして立てる太子像あたかも鶴の空に舞うごと

聖徳の太子の凛々しみ姿に天平の世の栄え偲べり

聖徳の御代を治めてあきらけし栄の石を築くすめらぎ

いとほしく思ひ妃を身に寄せて聖徳太子は何を語れる

天平の御代を治めて安寧の民の栄へを祈りたまへり

いにしえの花の都の栄へしは民の暮らしの安きもとひに

れい明を告ぐる大和まほろばに空の茜に映ゆるみ代かな

和を以て貴しと太子ののたまへる今の世界を御し給ふにも

秋風のそよぐ明日に乙女らの太子のあとに歌いつつゆく

斑鳩の里の野ずらを手をつなぎ太子が童とほがらにほがらに

早乙女の聖徳太子のあとにつき花摘む野べに夕日落ち行く

得も云えぬ太子の姿を祀りたるみくらの屋根の月に明るき

松風のあしたに聞きて夕べには日暮らしの声ききぬ里かな

佇みて懐かしく聞くいにしえの里のまつりの乙女らの声

いとほしく妃の肩を打ち寄せて太子はこころの内を明かせり

騒がしき世の豪族をうち鎮め安き栄えを立てる太子は     8月23日


残暑の厳しさ

「命に係わる暑さです。熱中症に注意してください」。気象庁の天気予報官が呼びかけてから、途中、台風の襲来があったりしたが、連日のように暑い日が続き、今日も相変わらずの猛暑に襲われている。一体この暑さはいつまで続くのかと思うだけでも汗がにじんでくる。暑いからという理由だけで会社を休むわけには行かない。家ではクーラーを付けっぱなしの部屋だが、庭に出ようと戸をあけたりすると熱風が体に吹き当たって目が眩み転倒する思いである。夕方は散水しているので、青緑の芝生は気持ちの良い輝きだが、日中は蒸し返す風で汗ばんでくる。蝉もこの暑さで孵化しないまま、短い命を絶ってしまっているらしい。蚊も例年に比べて少ないし、今年になって蟻の行列をまだ見ていない。子供や老人、身体障害者にとっては正に、気象予報官の云う通り、命に心配な暑さである。
 私は偶然にも頭の中の下垂体に腫瘍が見つかって、6月15日に慶応病院に入院して、名医の戸田正博教授の手術を受けて7月6日に無事退院した。事の次第は後日改めて綴ってみたいと思っている。病院に入っている間は、家内が毎日見舞いに来てくれていたが、その間の暑さも物凄かった。自宅を出て病院に着くまでの家内の状態が心配でならなかった。慶応病院の一号棟は、この春新しく建ち上がったばかりなので真新しく、病室も快適だし、世間の暑さとは縁遠いものだったので、外科手術を済ませた後の三週間は、仕事を離れて身体を休養するには絶好の機会であった。それでも贅沢をいうわけではないが、家と病院とでは違う。「理事長、早く帰りたいでしょう」 と主治医の戸田先生は優しく声をかけて下さった。
  然し退院して体を慣らすあいだ家に滞在していたが、 その間は専ら猛暑に襲われている毎日であった。一方で、西日本を襲った豪雨は未曽有の水害をもたらして悲惨な状況であった。世界で広がる異常気象は、日本と同じような被害を世界各地に拡散している。まさに異常であって、大気や地上や海水の温暖化で、地球環境が狂った歯車で脅かされてきている証拠である。 定まった確たる対策も掴みえないままに、これから先人類は一体どうしていくつもりなのか。我々は、これ以上の便利性、効率性、充足性をもとめなくてもいいくらいに、人間の生活水準は多くの点で充たされてしまっている。これ以上人間は何を求めて行こうとしているのか、まさか月や火星や、土星にまでロケットを飛ばして、そこに住みつきたいとでも思っているのだろうか。妄想であり、現実には無益で気違いじみた欲望としか言いようがない。そのために使われる資金は莫大なものである。それよりも足元を見て、地球汚染に拍車をかけるぺッとボトルの適切な回収に金を使った方がまだましである。貧困に喘ぐ地球上の貧しい人たちの救済に使ったらどうだろうか。 
  ある時、ある人間は欲望を満たすために膨大な計画を立てて大量殺人兵器、原子爆弾を作った。広島に落とされた原子爆弾で10万人以上の人々が一瞬のうちに熱と閃光で丸焦げになって亡くなってしまった。今やその原発の数は1万5000発もあると云う。広島に落とした原子爆弾の何倍もの威力を持った原子爆弾の数である。破壊力の何百倍もの水素爆弾もあるだろう。その在庫の始末に、人類は困り果てている。国際社会はこれを廃棄することを決めたが、天文学的な資金が必要で、未だ手つかずだと云う。 愚かな話である。

ところで私は慶応病院に入院して、的確な診断を得て、万全を期して手術に臨んだ結果、術後の回復は顕著であり、退院後一か月には会社に出勤するようにしている。家に居てのんびりしていると反ってマンネリになって勤労意欲を失ってくるような気がしてならない。「お父さんは働けなくなったらおしまいね」 と家内が日頃申す通り、自分は気ままに働けなくなったら精神的にダウンしてしまうと思っている。気ままに働くと云うことは、大らかに人のために働くと云う意味も込められている。人間万事塞翁が馬、ところが自分の意志で自分の一生を決めにかかるところは面白いと思っている。上司と称する人間もいないし、師と仰ぐ人もいないし、銀行にもお世話になっていないし、気遣う人もいないし、強いて言うとすれば、「母ちゃんである」。母ちゃんは、空気みたいな存在である。気を使わないで済むし、世話になっていながら礼を言わないでも済む。但し空気はいつまでも綺麗で、力のこもった霊気でいててもらわなければいけない。その上で先ずは己の気力、体力である。日常に於いていわば自由人である。これを健全なものとしてしっかりと掴んでおかないといけない。 

  全日本高校野球選手権大会で、準決勝で惜敗した金田農業高校。優勝は逸したが、素朴で純真な君たちは、全国の人たちに素晴らしい贈り物を残して行ってくれた。身をそらして校歌を歌っている金田農業高校の選手諸君、君たちは愉快であっ晴れだなあ。身をそらして歌う君たちの姿勢に倣って、小生も爽快な気分でこれからの人生を渡っていきたいと念じている。 8月27日    続


  メールに感謝して

中村緑さん
思いもかけない短歌を送ってくれてありがとう。
懐かしく読み返しました。
歴史をたどっていくと、随分と短歌や俳句、エッセイを書いてきていますが、
念を入れて書き上げておらず、その場限りの即興なので、
然しそれ故に余りうそや誇張がなく素直に気持ちを表しているものばかりだと、
中村君の贈ってくれた和歌を詠んで、自分なりに納得して楽しめました。
有難う。十年以上前に詠んだ和歌の思い出を目の当たりにして、考え深いものがあります。
中村君も知っている川滝、高鳥、臼井、野田君らが亡くなってしまいました。彼らは謂うなれば人生でかけがえのない友でありました。
ぼくが学生時代から強いきずなで今日まで過ごしてきた親友です。ここ一、二年の内の出来事です。信じられない出来です。
友達が続けざまに亡くなって行くのを見て、無常感の漂う気持ちです。そして又、高木が死んでしまいました。
友達の訃報は悲しいことですが、ひたすら冥福を祈り、余り深刻に、マイナスに考えないことにして、これからは彼らの死に報いるべく努力して行こうと思っています。人生訓の一つですが、己ながらに生きて行こうと思っています。
そのための鬱憤を払しょくし、奮起する突破口に、和歌、俳句、エッセイを記していくことは有益です。
中村君がこうして以前に詠んだ小生の和歌を忘れずに送ってくれたのも、何か因縁めいたものがあって、 益々励んで行こうと思っています。
昨日の雷雨は凄かったと云うより、文字通り頭の上で閃光を放ちとどろく雷鳴に、大地の振動に感動して、怖れることなくより身近に眺めていました。
あの閃光と音の交錯、自然界の美の極致としか言いようがありません。
頭上で盛んに破裂する光り、とどろくかみなり、濃密で横殴りの太い雨。
これほどの強烈な雷雨は初めての経験で、実に見応えがありました。楽しかったです。
長くなりましたが、中村君のメールに改めて感謝し、有難う。   佐々木誠吾

中村みどりさんは、以前、私の会社の事務員をしていた人です。8年前に家庭の事情で惜しまれて退職しました。何かあると思い出したように便りをよこしてくれます。二十八日の夜電話があって、高木新二郎君の訃報が朝日新聞の朝刊に載っていて、さぞ落胆していることだろうと気遣って励ましの電話を入れてきてくれました。彼は心筋梗塞でなくなりました。今年の春に渋谷のエクセルホテルで行われた早中時代のクラス会には元気に出てきていました。中学生以来親しく付き合ってきた無二の親友、高木新二郎君の訃報は正に青天の霹靂です。中村さんが気遣って電話をかけてきてくれましたが、有難いことだと思いました。そして今回も気が付いたように、私が当時詠んだ和歌を何気なくメールで送ってきてくれました。二十首ほどの和歌ですが、中村君の気持ちに何か触れるものがあったのかもしれません。三十年前に退職した廣澤君も、時候の挨拶はもとより、普段の日に未だに電話をかけてきてくれます。職場で尽くしてくれた人たちが、みんなが元気で居ててくれること、それを知るだけでもうれしくなります。有難う。                                    8月28

   凄む雷公

いなだまのはたたきゆるるあめつちのまをつくてっぱうあめのすごみよ    8月30日


遠きより稲妻を見て雷鳴の聞くは真夏の風物詩なり

さはさなり今日のかみなりは頭上にて光りを放ち落雷近き

雷公の頭上に暴れ天と地を揺さぶる雨と荒れ狂ひけり

ピカドンと一瞬赤き火柱の真直ぐに近くかみなりの落つ

一瞬の光に爆発のとどろきてあめつちの間を走る稲妻

閃光の火を噴き雲を引き裂きてもの皆おじけ闇討ちに伏す

稲妻の地上を突きて閃光の雲間を走る影のあとかな


諸事雑感


トランプが打ちだした関税引き上げは世界各国に通貨安を引き起こし、順調に推移してきた世界経済の低迷と混乱を引き起こしつつある。特に貿易戦争とはやされている対中国との関係が際立って悪化しつつある。昔だったら武器、弾薬の使用で既にドンパチの戦争になっているところであるが、今の時代、そう簡単に済ませることではない。大規模戦争は北朝鮮に対してなら牽制作で云うことはできても、経済、軍需大国の中国に対して威嚇的にも謂うことは不可能である。云ったアメリカが火の海である。もとより中国も然りである。地球全体が火の海とかして、人類の破局を想像することは難くない。だからまかり間違っても、トランプよ、絶対の禁句である。
それにしても素朴な巷の奥さん方はもとより子供たちまでが、どうしてあんな人がアメリカの大統領になって出てきたんだろうと訝しく思うくらいに、出鱈目のやりたい放題がまかり通ってしまっている現実に皆が困惑していることである。選挙に勝つためなら何でもやると云ったトランプを、今のところ誰も止めることはできない。しばらく忍の一字で耐えて、挑発に乗らないようにしていくことが必要である。カナダもメキシコも、二国間交渉で手詰まりの様子だから、これからも熾烈な戦いは日本やEUに対しても早晩やってくるだろう。穏健なカナダのトルドー首相も、トランプの恐喝には怒り心頭の要である。共和党の内部からも不満は上がっている。対中国輸出の大豆の関税引き上げで、大豆生産の農家は輸出激減に悲鳴を上げていると云う。理不尽なことでも、もはや構ってはおれないと云った感じのトランプである。まるで病魔に憑りつかれた患者のようなものである。

すっきりとした陣容の整なはでトランプ政権の焦せる政策

経済の好調にのりニューヨーク市場の堅調は唯一頼みと

トランプの経済外交政策の手詰まり感は癒し難きに

全世界相手に手当たり次第なり金よこせとのトランプの声

あじさいの色あせゆけば自ずから薄紫の色あひもよき

しとしとと降る雨に濡れあじさいの色深まりし紫の色

浅草の地よりこの地に住みつきて等々力の水なじむ我が身に

湧く水にしたりて泳ぐ古池の錦の鯉の鮮けきかな

哀しくもトランペットの音にふれダンスホールの淡きともしび

満ちたりて日々ありがたくすごす身の神のご加護に在ればさらなり

色々なことさまざまに想ひ来て苦しきことも喜こびにけり

詠むほどに我れがつたなき和歌なれば放題に詠みうなずきにけり

柿の実の僅かに赤く色づきて名も富有なればいずれ頼もし

うしろがみ長く結びて初々し乙女もいつか老ひてゆきしと

ローマにて死すと映画の昔在り心さかひに思ひいたすも

緑こき植えこみに咲く百日咲うす桃色の厚く重なる

憂うつな日となりしには株式の下がりて終るゆえにありしに

少年の心はやてに走りすぐ夕日に向けて力強きに

スマホ見る細身の女の姿よき今ようなりし世相映して

オフィスにパリの街角を油絵に描く師匠の如何に居はせし

人柄の良き人なれば描く絵も気品の高きものとなりにし

関根氏と語りあひしは経堂てふ街の小さな喫茶店にて

温和なる笑みを浮べて関根氏の常に人柄のよきあかしなり

むら雲の渕を黄金に塗りそめて月の光とたわむれし夜は

静かなる夜こそたのしむら雲と月の光にすぐるひととき

大寺の紫尾の黄金に輝やきてくまなき夜にそ光放てり

雲の間の月の光に照り映へる瓦波打つ東大寺の屋根

おもかげを映して往時の大寺を大佛池の今の静けさ

尾山台駅に着く身に携帯の鳴りて妻より有無を確かむ

自宅より我を迎えに車にて駅まで来しは笑みしわが妻       9月2日

社団法人 昭和経済会
理事長 佐々木誠吾


copyright (c) Showa Economic Study Association サイトマップ プライバシーポリシー お問合せ