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社団法人昭和経済会

理事長室より
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理事長室より

Vol.05-22 日本の経済的潜在力の発揮

 九月末の家計の金融資産の残高は1453兆円で過去最高を更新しました。株高に加え個人所得が上向いたためです。家計部門でも預金から株式や投資信託にシフトしています。株式への資金移動は前年同期に比べて25パーセント増えて96兆円と5年ぶりの高水準です。家計が保有する株式の評価益も膨らみました。投資信託も28パーセント増えて46兆円と過去最高を記録しています。今後もこうした傾向は続くものと思われます。景気回復と、デフレ脱却が確実なものとなり、企業家の姿勢にも、将来の景気拡大に対する自信の表れとなり、家計にも将来的所得にゆとりと期待を示して顕著なものがあります。
 景気の回復で税収も増えました。歳入不足を補う赤字国債の発行が24兆4800億円となり、小泉首相の云うとおり30兆円内に抑えることができました。構造改革の成果は如実であります。こうした良好な動きを抑えようとする恣意的な行動がない限り、あるいはあったにしても、阻止する実力がある限り、このままでいけば今後の経済財政を運営するに理想的パターンが、展開されていくはずであります。
それを見越して株式市場の活気あふれる展開も予想され、すでにダウは16,000台を記録する力強い展開となっていますが、一向に過熱感が伺えないのは、マーケットが長期的にみて安定した見解を持っているからであります。
 過去に経験しているように、景気回復にあわせて拙速な増税論が性懲りもなく飛び出してくる傾向が一部にありますが、そうした論者の風貌には、すでに過去に消え去ったはずの亡霊たちが多いようです。政府税調のメンバーを見渡しても、いまだ旧態然とした面々がいつまでも居座って既得権にしがみついているかのごとき醜態をいまだに見受けるのは、なんとも癒しがたい光景であります。こうした雰囲気を一掃しなければ清新の気が澎湃としてわきあがってこないというものです。時代に逆行するのもはなはだしき限りではないでしょうか。賢者の重鎮を見習ってほしいですね。明るく活力ある発想と確たる信念を以って、日本の起き上がりつつあるこの巨人の力量に将来をかけてほしいと思います。
 年金の解決も然り、全ては調和の取れた経済の力強い発展に起因します。少子高齢化に伴う年金制度の脆弱さが危惧されていますが、こうした問題も要は、基本的には経済発展の力量によるところ大であります。人口の減少の不安は恐れるにたらず、調和の取れた経済発展を世界に示し以って垂範とした道を進むべきであります。全ての思考と政策と実行が楽観的な将来を開けたものにしてくれるでしょう。そう解釈すれば日本国の国力を象徴する日経ダウの23,000円台は来年の射程圏となるのは明白です。財政再建は実力の付いた暁に果たせばいいのです。少子高齢化の問題も、一般社会の繁栄がその裏付けとならない限り、砂上楼閣の夢想と消え失すのみでしょう。人口減に習って、不必要となった役所を減らし、公務員の数を実質的に減らし、歳出の抑制に果たした分と、景気拡大と税収の増大によってもたらされた原資で賄っていく経済社会機構に変質させていくべきでしょおう。これが小さな政府のあるべき姿のひとつであります。
 官から民へ全体の体質を変えて、企業の設備投資と、家計の所得、消費の増大をさらに計ることが大切です。即ち景気をより持続化させる根源であることを理解し、これを押さえ込もうとする政策を排除していく勇気が必要であります。 それを先見した株式の力強い動きは三十年来、かって見なかった日本経済の大きなスケールの展開を暗示して余りあります。

平成17年12月27日

社団法人 昭和経済会
理事長 佐々木誠吾

Vol.05-21 甦る株式市場と日本経済

 2005年の師走を迎えた一日、東京株式市場では日経平均株価が大輻に反発して、ほぼ5年振りに1万5000円台に乗り、前日比258円高を演じてこの日の取引を終えました。
 バブル経済の崩壌にあって10余年、私たち企業経営者は、日本経済の崩落のさなか苦吟の会社経営を強いられて、日夜懸命の努力を払ってきました。国も企業も混乱のなかを指針なき迷走を続けてきました。それを反映して東証の平均株価は急落を続け、2003年4月には日経平均が1万円を割って、7,607円をつけるにいたりました。株式市場は毎日が暗黒の様相であり、苦痛と恐怖の日々でした。
 しかるに、試練と努力の甲斐あって株式は大底を確認して自立反転にてんじ、徐々に上昇しはじめ、今日、ダウ1万5千円台の東京証券取引所の株式(一部二部上場)の時価総額は、508兆円と安値時点から2.2倍に達しました。上場企業の株式の時価総額は、そのままその国の国力を示す一指標でもあります。長年にわたる企業の自助努力に依ってもたらされた市場構造の変缶は、まことに顕著なものがあります。
 日本企業の体質の変容は、「債務」と「設備」と「雇用」に於いて顕著であります。企業業績は過去最高を更新するものが続出して、史上最高を記録しています。にもかかわらず日経ダウはバブル期でしたが、平成2年12月に付けた3万8915円の未だ3分の1の水準です。故に、株価の上昇余地は、なお果敢なものがあります。これこそが新しい経済社会の構築に、明るい兆候をみた成果とみて異論はありません。
 即ち日本経済が暗澹としたデフレ状況からようやく脱却できるとの期待と、将来の夢と希望に描かれた絵が、日経平均株価1万5000円台の示現を果した直接の原因であります。同時に、グローバル化によって塗り替えられた経済と政治の地図にあって、日本経済の旧体質の構造を破壊し、改革と改善をとおして、新しく手にした成果と、すぐれた国民的資産を奪還した現実であります。
 当会は、平成3年5月の昭和経済・巻頭言で論述したとおり、バブル崩壊と資産デフレ不況の到来を予測、憂慮し、それに適宜対応した企業経営の推進と転換を、継続して提唱してきました。そして新しい経済社会への構造改革の推進と、依って生じる犠牲を最小眼にとどめるべく、政策の透明性と積極性を求めてきました。デフレ不況のもとで推進する構造改革によって、多大な出血をもたらし、国民経済に大なる犠牲を強いたことは、これまた歴然たる歴史的事実であります。
 又、その負の資産から再生の道をはかり、例えば今日の不良債権処理の終息といった朗報に見るように、改革と創造の成果、即ち有の資産も又、歴史的事実であります。この歴史的事実を体験した私たちは、気をゆるめることなく、更にこれを将来に生かす政策基盤の確立と持続をはかっていかなければなりません。旧体制に少しでも逆戻りするような素因を摘出し、排除、根絶する姿勢が必要であります。折角の苦労と努力が水泡に帰することのないよう、監視と更なる研究が肝要であります。
 今日、企業の経営体質と基盤は大きく変容し、堅固なものとなりました。国際競争に打ち勝ち、更には世界経済の安定のために指導的立場に立つ実力も回復してきました。経済産業の基盤を支える金融システムの健全化を計る体制も進められました。これからは肥大した国と官の忌まわしい巨像を取り壊し、「官から民へ」経済の指導勢力を移していく努力が必要であり、以ってここに、国と官の大胆な改革と縮小が求められます。
 今、日本の政界もまた、民主主義の府として自浄作用を発揮すべく、小泉政権の下で獅子奮迅の努力がなされています。独善右傾化に走ることなく、国際社会に協調して貢献していくことが大切であります。かっては軍国主義、強健独裁主義の下、時の国策に同調したわれわれ国民でした。
 私たちはこうした過ちを正し、良識を以って戦後の国内政治と経済の民主化と近代化に臨んできましたが、60年の紆余曲折の激動のときを経て、今は疲弊化し、堆積した汚泥と悪弊を除去し、なお新群、活力ある経済と政治をめざし、わが日本国の首相、小泉純一郎に、改革の旗手を託しております。末永き将来にわたって、確立した基盤を打ち立てて日本の発展に帰するものとしなければなりません。これこそが、現代・平成の大改革と認識するゆえんであります。

(機関紙『昭和経済』57巻1号巻頭言より)

平成17年12月3日

社団法人 昭和経済会
理事長 佐々木誠吾


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