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社団法人昭和経済会

理事長室より
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理事長室より

Vol.05-17 メガバンクの健全化と牽引力

 大手銀行の収益が急速に回復しつつあることは周知の通りであります。不良債権の処理が山場を越え、大手六行のうち四行が前の年の同期と比べ二桁以上の純利益の増加となりました。不良債権の処理に備えたこれまでの引当金が、ここにきて景気回復に伴って不要になった上、逆に戻り益が発生し、利益にかさ上げされた結果であります。
 みずほ、三井住友、三菱UFJの3メガバンクの年換算した純利益が5000億を超える高水準に達する勢いであります。企業業績の改善が顕著となって、大企業から中堅、中小企業にまで波及している明るい兆しと受け止めています。
 例えば、2003年に約2兆円の公的資金の注入を受けた「りそな銀行」は、これをテコに不良債権の処理を強力に進め、1兆6000億の最終赤字を計上しました。このときに不良債権として処理した企業先が、その後の景気の回復で再生、復活し、おかげで今年4~6月の戻り益は390億にも達して、全純利益1230億の3分の1に及ぶものとなりました。
 こうした公的資金の注入による業績回復の貢献度は、多かれ少なかれ他行にも見られる顕著なものであります。どういう理由にせよ、金融機関の業績回復と安定した経営基盤の確立は、経済発展に不可欠な要件であります。こうした金融機関の業績改善を示して、株式市場も磐石の下値形成に動きつつあり、更なる景気回復に寄与する良好な循環となりつつあります。
 公的資金の注入→銀行による貸倒引当金の積み上げ→引き当て先の企業の業績回復と再生→債権回収と戻り益の発生、というパターンで、まさに神の福音とでも云いましょうか。
 そこで皮肉ですが、一時は第二の北拓かと云われて難を逃れた、先の「りそな銀行」ですが、取引先の再生が進んで、戻り益が頗る顕著で、業績改善に追い風となっています。バブル崩壊で企業の業態が極めて悪かった分、跳ね返りも上乗せされる傾向があります。額面単価も万円に変更になったことで、将来の安心感も出てくると思われます。20万円を出没する辺りは妙味があろうかと思います。いずれにしろ大切な資産運用に、かねてから「みずほ銀行」をはじめとするメガバンク、金融株をお勧めしてきておりますが、これからの日本経済を負って立つ企業は、厳しい構造改革を経て研ぎ澄まされた磐石の企業体質を鍛え上げてきていると格付けしてもいいのではないでしょうか。

平成17年9月30日

社団法人 昭和経済会
理事長 佐々木誠吾

Vol.05-16 力をつけた日本経済

 内閣府が12日に発表した2005年4-6月期の国内総生産は年換算で2.2パーセント上方修正されました。これは3.4半期連続のプラス成長となりました。設備投資が景気回復を映して増加していることと、将来の需要増加を見こんだ在庫増しの結果で、堅調な景気回復を示す良好なデータであります。最近のデータでは、内需が輸出などの海外需要を上回って、内需主導の成長軌道が定着しつつあることを裏付けています。
 しかしこの先原油高などの海外要因による影響は無視できませんが、わが国は省エネを進めた産業経済構造を以って比較的、原油高に対する抵抗力が高まっていることもあって、かなりの部分についてこれを吸収する体力を持っているものと見て良いのではないでしょうか。全般的に見てわが国の経済は年来のデフレ状況から脱却して、長期的に見ても上昇軌道に乗って、目覚しい発展を遂げていくものと思慮されます。更には、ヨーロッパをはじめ、原油高によって足踏み状態のアメリカをはじめ、中国、東南アジアなどの景気のブレの様相に対し、今後の日本経済は力強い援護を果たし、世界経済を正しい発展の道に指導していく力を発揮する国際環境とその時期も、そう遠くはないものと思います。中長期的に見た株式市況も活況のうちに推移し、ダウは13000円台を覗い高値更新は間違いないと思われ、これが更に良好な経済の循環過程を生み出していくパターンとなれば理想的であります。
 総選挙で大勝した小泉政権はこれからの構造改革に本腰をいれてこれを加速していくことでしょう。政局の安定と、構造改革の更なる推進は、内外からの高い評価を以って、これが無言の経済的支援につながります。3年前に景気の底入れ近しと宣言し、その後においてダウ8000台を割り込んだときから、株式の大底を確認したとして各位には思いきった株式保有とナンピン買い下がりを月刊誌昭和経済でも公言して、適切な資産の運営に心すべきと申しましたが、思えばあれからダウは4500高を演じて今に至っております。 
 例えば、三年前、日本の代表的企業の、みずほ銀行は10万を割っていました。住友金属は額面の50円を割って久しく、他の基幹産業に至ってはすべからく、マーケットと株価は総悲観で埋め尽されておりました。株式の先見性を発揮して当時の状況は、今や天と地の差を思わしめますが、地価の下げ止まりも支援して、そろそろ実体経済は徐々に確信に向かってきております。景気回復をリードするのはまず市況産業を構成する素材産業でしょう。個々の銘柄の株価は、安値から既に2倍、3倍ときてしまっているものもありますが、今以ってなお、内需に支援された鉄鋼をはじめ、改善著しい金融株は絶好の投資対象ではないでしょうか。景気の波は漸次中央から地方へ波及していくでしょうし、我々が期待することは、その点にあります。今回又引き続き自信を持って、各位の積極的な経営姿勢の持続をお願い致します。

平成17年9月15日

社団法人 昭和経済会
理事長 佐々木誠吾

Vol.05-15 財政再建と民営化

構造改革路線を突き進む小泉政権下でも「国の借金」は増大の一途で、この方の改善改革は確信もいまだしの感をゆがめせん。財務省の発表によると、2005年6月末現在で「国の借金残高」は795兆8338億となりました。これは前年度末より14兆2千億増えて、過去最高を記録中です。国民1人当り、約624万の借金を負っている計算になります。今は歳出削減に苦肉の策ですが、「官より民へ」の経済構造を進めるさなか、その突破口とも言える郵政民営化法案は、先の通常国会で自民党の参院議員22人の造反で否決され廃案となってしまいました。
 たびたび論評しておりますとおり、郵政民営化法案は、構造改革の本丸であり、参議院で採決に臨む議員諸君の賢明な対応を私は求めてきましたが、遣憾ながらこれがかなえられませんでした。衆議院の解散と総選挙で2ヶ月近い政治空白を作り、重要課題への取り組みを先送りする結果となってしまいました。総選挙の結果は自民党が3分の2以上の議席を得て、再び法案が提出、可決されることは確実ですが、焦眉の他の関連法案も山積しています。郵政法案の早期可決を目指し、その後の一連にわたる構造改革に関する具体的法案の可決成立に拍車がかかるものと思われます。これらが骨抜きにならぬよう慎重に審議し且つ強力に進めて、早くその成果を手中に収め、小泉政権の掲げる国民重視の経済運営と、その先の財政再建に見たいものであります。
 「小さな政府」の実現は、国依存の経済構造から、「官から民へ」の市場経済重視の効率的枠組みを構築することにあります。国営、官営から生じた大方の国の借金は、国民の将来的負担であります。おびただしい国と官をできるだけ絶ち切って、この負担の軽減に大胆な改革路線を打ち出していってもらいたいと希望しております。改革には、常に痛みがつきものです。国民は、今回の総選挙でその覚悟をしたはずであります。国民の厳粛な付託に応え小泉政権の一段の努力奮闘を願って止みません。ちなみに解散、総選挙の結果を踏まえ、東京証券取引所の取引はこれを好感して連日活況を呈し、内外からの高い評価と期待を得て力強い展開となっています。

 民営化を叫び、コスト意識の徹底とサービス精神の発揚をいくら連呼してみても、国営企業や公社企業を株式会社と看桓を塗り替えただけで内実が改革されなければ何の意味もありません。いくら着飾っても所詮はその中身が問題だからであります。株式会社で発足し再出発を試みて、未だ旧態然とした組織と機構、思想と意識は相変わらず現存、残留していたでは、真の民営化とは言えません。その手の類いで清新の気概に乏しいものが沢山あります。
 古くに国鉄の民営化をはたして久しく西日本旅客鉄道は記憶に新しいところです。しかし尼崎の脱線大事故で見事にその醜態ぶりを露呈してしまいました。未だに残る組織機構と意識の旧弊ぶりは、かくし切れませんでした。民営化を果たした日本道路公団発注先との談合が発覚して早くも躓きを見せました。独立法人化した郵政公社でも、醜態ぶりがあぶりだされています。国立大学の独立法行政法人化でも、教職員の意識改革は望みようもありません。官僚然とした風潮は、事務体制の権限の集中化にも見られます。こうした実態を見るに付けても、根本的な体質改善と、意識改革を進めるためにも、民営化の最高責任者には、天下り的要素を徹底的に排除する必要があります。
 先づ、現場主義を重視して、現場感覚を組織運営に生かしうる人物、これを民間人に求めることではないでしょうか。親方日の丸的発想と依存性のどっぷりつかった役人をもち出しても、約束の成果は望めません。今こそ発想の大転換を図り、思い切って新進気鋭の若手も登用すべきであります。
 強力で堅固な改革の意志をもったトップを配し、企業倫理の確立を計り、情報開示、コーポレート・ガバナンスを徹底させることが第一歩であります。

(機関紙『昭和経済』56巻10-11号巻頭言より)

平成17年9月13日

社団法人 昭和経済会
理事長 佐々木誠吾

Vol.05-14 総選挙の結果の意義

 国会で郵政民営化法案が否決されたので、「郵政民営化は必要なのか、必要でないのか、もう一度国民に聞いて見たい」 と二者択一を迫って衆議院を解散した自民党の小泉首相でした。周囲の反対を振り切って決然と解散に打って出たときから、選挙の結果は明かに、既にその勝利は決定していたと思いました。
 解散の目的が簡潔明瞭で、且つ理路整然としていたからです。思うに閉塞状態の国会の状況を打破するには、国会の空白は避けるべきと考えながらも、状況次第では解散は止む得ぬことと、当会は解散を強く支持していました。それは小泉政権の誕生が、専ら構造改革の本丸である郵政民営化法案を成立させない限り、政権の存立意義すらないとするものだったからです。
 風雲急を告げる小泉首相の思いきった国会解散の決断でした。それは正しい選択でした。結果はしかし296議席を獲得するという、地滑り的な、まさかこれ程の圧勝は想像していませんでした。自公合わせて327議席を獲得し、衆院の3分の2を越しました。小泉劇場と揶揄されながら、大向こうを張った舞台で、小泉首相は遺憾なくその大役をはたし、名演技を披露したと言っても言い過ぎではありません。今回ほど政治の緊迫感を国民に植え付けて、政治参加の結果を意義あらしめたことも,珍しいのではないでしょうか。
 理事長室からは何回も、郵政民営化は日本の将来像を目指す改革の一里塚であり、硬直化した古い制度の見直しと、改革の突破口との認識を持っていましたし、これこそは看過できない時代的潮流であるとの認識でありました。先ず、330兆の大きなお金が、将来にかけて官から民へ注がれて正しくフルに活用されれば、民間経済は活気を帯び、ひいては行財政の改善に大きく前進し、長い目で見て財政再建に手堅く持続的に寄与するはずです。
 先の郵政国会では、法案に反対した族議員や抵抗勢力の幾多の邪魔が入り、小泉首相の対応が心配されましたが、終始一貫、郵政民営化に政治生命を賭けた小泉首相の信念と姿勢が、凱旋勝利に結びついたことになります。端的にして明快な説明が、大方の民意を獲得するに至ったものでありしょう。
 いずれにしろ今回の総選挙の結果は、政治的安定を得て、国民にとって好ましい結果となり、当会の兼ねてからの主張と予想に合致したものとなりました。大勝した自民党政府は、この結果に奢ることなく、謙虚に切磋琢磨し、国民の付託に応え、山積する重要課題に積極的に取り組んでいって欲しいものと期待します。構造改革は国民の願望であります。「官から民へ」「小さな効率的な政府」を目指し、「税金の無駄使い、税金のかからない国作り」達成のため、頑強な旧弊を打破し、新しき柔軟な明日に向かって邁進していきましょう。

平成17年9月12日

社団法人 昭和経済会
理事長 佐々木誠吾


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