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社団法人昭和経済会

理事長室より
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理事長室より

VOL.21.9


昨日までの猛暑が嘘のような今日の涼しさである。暦は正直であって、季節の巡りを素直に伝えてくれる。九月の初日の今日、以前から慶応病院に九時半に診察の予約を入れておいたので信濃町の慶応病院に出向いて、先般済ましておいたMRその他の検査結果の報告と、主任教授の診察を受けた後、会社に向かった。今日の仕事を終えて、オフィスを午後4時半に出、自由が丘に出迎えに来た家内の車に乗って出た言葉が、「なんだか寒い感じだな」であった。さほどに涼しさが身に染みて、昨日までの猛暑が嘘のように感じた。

  一昨日、主だった方々にメールで「残暑お見舞い申し上げます。佐々木」と打電したばかりである。パラリンピックが始まっているさなかで、相変わらずの暑さにうんざりしながら、暑中お見舞いを失礼していた友人たちに簡単な時候の挨拶としたばかりであった。いちにち違いでこうも季節感が変わるものかと思った。風呂に浸かっていると裏庭で虫の啼く声がする。初めて聞く虫の可愛いらしい声にききほれて、静かに湯船に浸かっていた。

   パラリンピックは体の障害を克服して超人的な肉体の力と速さ、敢えて付け足せば記録への挑戦と執着である。競技種目によっては、オリンピックに登場するアスリートたちと比べて格段の人間的な凄味を感じて圧倒される思いである。精神力の強さと、強靭な肉体の練磨を感じないわけにはいかない。スポーツ評論家ではないので、詳細な説明は出来ないが、華麗さと凄味を織り交ぜて、スポーツの無限な広がりを覚えた。スウィッチを入れると、テレビはいかんなく現場を映し出して、詳細な画面を以て選手たちの一挙手一挙足とはいかないが、それを克明に説明してくれるので、無観客云々を通り越した迫力を習得するすることが出来た。身障者の人たちであるが、心身の欠陥を克服して、肉体と、意志と感情の表現を最大限に見せてくる迫力は、圧倒的である。   

  9月1日の朝刊の一面に、米軍のアフガン撤退の文字が大きく踊っていた。2001年9月11日に起きた米同時多発テロで、当時のブッシュ大統領は「テロとの戦い」を宣言し、アメリカ全土の高揚感がわいた。翌月アフガニスタンの空爆を開始した。砂漠と山岳地帯を舞台に、タリバン打倒にアフガン戦争が始まった。 その年の12月にはタリバン政権は崩壊した。そして翌年の6月にカイザルがアフガニスタン大統領に就任した。しかし統治はままならなかった。そもそも脆弱で未熟な組織と構造であった。2003年3月にはイラク戦争が勃発、米軍の電撃的侵攻にバクダッドが陥落し、暴君のフセイン政権があっけなく崩壊した。

   荒漠の山岳地帯に逃走したテロの首謀者ビンラディンを追って、戦いは続行された。そして2011年5月米軍が、パキスタンに潜伏していたビンラディンを見つけて殺害した。 生かしておくと国際裁判に掛けたりしてテロの誘発を招く恐れがある。だからその場で決着した。アメリカの大義が達せられたが、テロ組織は各地に散在して米軍を悩まし続けた。ガニと云う人物がその後アフガニスタンの大統領に就任した。信念無き馬鹿者ゆえに統治はままならず、汚職の蔓延で腐敗し最後には外地へ金を抱いて亡命した。

  もともと狂信的なイスラム教を国是とするアフガニスタンに莫大な軍隊と資金を投入して、欧米型の民主主義国家を打ち立てようとする計画に現実的価値がないのに、反政府軍タリバンとの戦いに、アメリカは膨大な犠牲を払ってきたことに、長い間気づかなかった。 振り返れば2461人の米兵の犠牲を生み、4万2千人からの民間人が死亡した。つぎ込んだ金は250兆円ともいわれている。その他の大テロ対策費など総計すると880兆円にも及ぶとの報道もある。アメリカはその間4人の大統領が入れ替わった。火遊びに夢中になっている間に、国際情勢は大きく変わってきていた。間隙をぬった中国の対外外交の展開と、軍事力の増強と、海洋進出である。一帯一路の外交経済政策は、周辺諸国に強靭なくさびを打ち込んでいる。アメリカは戦費に金をつぎ込んで借金を作ったが、中国は建設的な投資に金を振り向けていた違いが、歴然と力の差に出てきている。

  2021年8月31日深夜、アメリカ軍の最後の飛行機がアフガニスタンの首都カブールの国際空港から飛び立っていった。喧騒と混乱の首都の明かりが点滅する中、飛び立っていく黒い機体の映像が、戦争に疲れ切った敗北の姿に映った。 一部の場所から花火が打ち上げられ、イアスラム国万歳と、祝福と歓喜の銃砲の火花が天空の闇に一瞬の光のあとを灯していた。政権を奪還したタリバンの幹部は、社会に秩序と解放を保証すると云って笑みを浮かべた。これより先政府軍のガリ大統領は、膨大な現金を積み込んで飛行機で国外に脱出していた。軍隊と役人の汚職は絶えず、統治能力ゼロの政権と組んできたアメリカが、馬鹿をみたことになる。水泡に帰した20年を目の当たりにして今、アメリカには無力感が漂うばかりである。撤退を決行したバイデン大統領は焦心することなく、自由と民主主義を堅持して尚、奮起してもらいたい。

  アフガニスタンとの戦争終結後の対応は、ヴェトナム戦に学ぶことが多くある。そのうちのもっとも重要なことは、アメリカが戦ってきた反政府軍のタリバンと一致して、テロ組織と闘う構図である。岸雲この点においては利害関係が一致するはずである。アフガニスタン全土を掌握した照り番だが、統治能力に力不足であり、加えてテロ組織との戦闘が残っている。治安回復と安定した国家の建設には、皮肉にもアメリカの力が必要である。戦争終結のあとに、仲直りの連携をうまく活用していくタイミングにある。 ロシアや中国に漁夫の利を預ける愚策を回避し、建設的な道筋を付けてアメリカの新たな平和的関与が重要になってくる。 アフガニスタンの新政府は、十年前とは確かに変わってきているし、それは歴史の必然である。。 

  アフガニスタンには、アメリカに協力してきた民間人がたくさん残されている。秩序と解放を約したタリバンだが、それを固く守って国際社会に信頼される第一歩の姿勢として踏み出してもらいたい。そうしたことが、アフガニスタンが戦争の廃墟から立ち上がる大きなエネルギーとして成就されるに違いない。 続    9月1日


    寝たふりしている菅さん

ぼんやりとして焦点の定まらぬ感じの菅さんだが、さにあらず、虎視眈々とうかがう政界の有象無象のなかに在って、謂うなれば援軍なしの政界に在って、一匹狼の、なかなかのしぶとい策士である。苦労して駆け上がって天下をとった男だけに、簡単につまずくわけがない。機を見るに敏で、乾坤一擲、素早い行動には驚いた。対抗馬と目される岸田元政調会長が党改革のために党人事の刷新案を発表すると、老齢ながら実力者の二階幹事長の退任を取り付けるあたりの大芝居は見事な演出である。次期幹事長の人事権を素早く手にした形をとった。先手を打って攻勢に立った。総裁選挙前に党人事の刷新を図り、内閣改造にまで手を付ける姿勢である。そして四面楚歌の人気をうち払い総裁選で優位に立ち、自ら総選挙に臨むという戦略である。

   メディアは保身に走る云々と称しているが、力量、才覚いわば実力の云々はさて置くとして、菅さんにしてみれば当たり前な話である。派閥の領袖でもなく、安倍内閣時代には官房長官を地道に努め、決して表舞台に出る役者でもなく地道な役柄に徹してきた。しかしあっという間に総理、総裁の椅子を射止めた実力派である。安倍さんのしりぬぐいを負いながら、悪いイメージをかぶってきたが故に国民の支持率最低甚だしく29%に迄に下落したままである。コロナ対策が不評を買い、政、官の汚職や腐敗で人気は冴えず、五輪開催に起死回生を狙ったが得点を稼げず、追い込まれてとうとう総裁任期と総選挙が迫って来た。奇手を以て打って出る菅さんに、胆力を示した証として一応の声援を送りたい。いろいろな重要なこともやってきているが、コロナと五輪で消されてしまっている。派閥からの支持を手堅く得たものの、流動的である。前回の総裁選挙と違って、今回では党員を含む投票だからである。只、政界は一寸先は闇と称するように、晴天のp霹靂と云うことが生じやすい。

   今日は秋が一気に走ってきた感じで、一日中秋雨がしとしとと降り続けて、底冷えさえ感じた。政局が慌ただしく動いたまさに風雲急を告げ先の混乱を予兆する一日でもあるし、めまぐるしくなってきた。繰り返すが、最近は何が起こるかわからないし、全ての戦場は一触即発の動きである。そうしたなか起死回生に打って出た菅さんだが、一年の総理、総裁を務め、コロナや政管の違反、汚職に心身を削りやってきたが、努力のわりには分が悪い結果になっている。時の運と云うべきか。。

  ミュールと云う新たなコロナウィルスの変種株も発見されて、デルタ株と違った変質ものらしい。コロナの話とは別に、小生は昨日に引き続いて、今日も慶応病院に行って要件の診察が終わったのが4時近くだったので、結局オフィスに出勤することが出来なかった。大した用事もなかったので、事務員にすべてを任せて気楽に過ごしていた。9月2日

仕事で駆けずり回っていたら、帰社して驚いた。菅さんが自民党の総裁選挙に立候補しないと、事実上の退陣を発表したとのことである。「政界の一寸先は闇」とはよく言われているが、まさに青天の霹靂である。頑固なまでに政権に固執しているように見えたし、何かと手を打って周辺を固めてきているものの、それが裏目に出て窮地に追い込まれてしまった感じである。ご本人も総選挙は、議員諸侯が抱いている「菅さんでは選挙が戦えない」という状況を、感じ取ったものかもしれない。コロナと、選挙の両方に向き合っていくことは大変なエネルギーがいるし、自分としてはどちらかを選んで責任を果たしたいとなると、やはりコロナを選ぶことになると、言い訳がましく聞こえたが、執拗なコロナ禍で、ご自身は満身創痍、良くも悪くも確かに疲れ切った感じで、何となく先が見えて来てしまった。コロナ禍で総裁就任した時点で、コロナ対策優先は然り、一年後に総裁選挙があることは十分承知していたはずだ。

  総理、総裁に就任したのが去年の9月14日、けじめをつけて潔く退陣を決意して良かったかもしれない。訥弁ゆえに原稿の棒読みとまで揶揄されて、相変わらずの、国会答弁、記者会見だが、朴訥とした面もあって、田山花袋の小説、「田舎教師」を思わしめて一面、秋田産の人柄を表して好感が持てたものである。謝ってばかりいたが、それは前の安倍さんからの問題であり不始末であって、じっくりと振り返って見ても、菅内閣としては結構、重要な課題を丁寧に処理して実績を積み重ねてきている。しかし持って生まれた癖で、国民に対して説明不足、説明下手といった嫌いはあった気がする。起死回生を期待した東京五輪も、何ら好影響をもたらさず、むしろ裏目に出た感じである。

  今日の菅さんの総裁選挙不出馬は、事実上の菅内閣の退陣であって、早いかもしれないが労をねぎらい、一年間ご苦労様であったと心から申し上げたい。     9月3日

       パラリンピックの閉幕

今日の22時10分、13日間にわたって開かれていたパラリンピックが目出度く閉幕した。懸念されていた事故もなくテロもなく、コロナ禍で異例の無観客であったが、選手たちが精いっぱい活躍することが出来た。世界から参加した4、403人のアスリートたちの熱戦が繰り広げられ、多くの記録を打ち立てながら13日間の祭典に幕を下ろした。障害を乗り越えて力強く生きる選手たちの、一人の人間としての逞しい姿とドラマを感動を以て見つめることが出来た。人間社会の明るい未来を見通し、試練を乗り越えて力強く生きる術を教訓として与えられた祭典であった。

開催前は五輪について国民の意見も賛否両論に分かれて拮抗して、ややもすると開催が危ぶまれるような世論であったが、面子にこだわる主催者が強硬突破を図ったきらいがある。支持率急落で29パーセントを割るような菅政権も、五輪開催をバネに期待をかけたが却って墓穴を掘る結果になった。何と菅政権が、開催中に事実上の退陣に追い込まれるという醜態に至ったのである。誤算も度を越して、もはや操縦不能の旅客機を飛ばしているようなもので、乗っている国民はハラハラの連続の日々である。以後、注目は次期総裁候補がどのような顔ぶれで登場してくるか、熾烈な権力闘争を苦渋を以て見守る日本国民である。

候補者の中で想定されるうち、河野太郎さんと石破茂さんには、ここ2年のうちで昭和経済会の講演会にもそれぞれ講師としてお越しいただいており、心情的にはお二人になっていただきたいと思う一念に変わりがないが、どちらかにするとなると年齢的にも熟成度の点でも、石破さんにやってもらいたいと思う。河野さんは未だ若いし、幹事長などの要職について実力を蓄える必要がある。ここは石破さんに日本の政治を任せてみたらどうだろうか。中央政界の選挙ばかりは一寸先が闇で何とも言えないが、石破さんなら人柄、見識からして立派な政策論を身に秘めて、着実に実行していく素質を持っていると思う。そして幹事長に河野太郎さんを付けて、自民党の改革路線を敷いていくと,
物になる気がする。石破、河野がその逆でもいい。派閥で権力闘争をしていたのでは、国民の意志がいつになっても通じてこない政治状況を作り出している。派閥の解消が自民党の活性化につながる。その上、官邸主導型の政治で横暴を極め、一方で長年の忖度政治の横行で官僚諸君も覇気に欠けてきている。政、管ともに濁ったコップの水を入れ替えるには、適宜を得ていると思う。

意義深き世紀の五輪の祭典の今日つつがなく幕を下ろせり

コロナ禍に東京五輪の閉幕す夢と希望の虹を描きて

この世にて健常者、障碍者ら手をつなぎ人間賛歌の道を進まん

人類の道自ずから明示して希望と歓喜の五輪祭典           9月5日

日経平均の続伸

  菅さんが総裁選挙に立候補を取り止めたことから、菅首相退陣と受けとめて日経平均株価はその後、既に2000円近く上げて今日は531円高の29、650円を付けてこの日の取引を終えた。連日のコロナ騒動は常態化し日常化した感じがして危機意識が薄らいできているが、依然として社会生活を憂鬱な雰囲気にして経済活動の停滞を招いている。それは兎も角として、加えて案じられた東京五輪は終了したし、世の中を覆っていた不透明感が薄らいで純経済的な立場に立って景気観測をし、企業家が見通しができるようになったことが、心理的に大きく影響している。反騰、続伸と云っても選別の基準は大きく変わってきているので、新規投資は極めて難しい局面である。

   例えばソフトバンクグループである。二か月前のこと決算発表の際、4兆5千億の利益を生んだと胸を張った孫正義さんの会社の株価は、1万円台から今や6千円前後に落ち込んでしまった。事業会社によっては見通しの厳しい判断をされがちである。コロナで社会全体が暗鬱な様相の時、せめて景気回復を買って株価だけでも明るい展開をしてもらうと民衆は助かることになる。 

   小生の会社でも、コロナ禍で同業者の経営実態に危険信号を灯す会社が散見されるようになったので、現実的に対応する姿勢である。withコロナと云われても自分だけの問題でなく、社会全体の問題だけでなく世界全体の動向にかかってくるから、自己の判断のも限界が生じてくる。いかにして生き延びていくかと云った極限までも内に秘めて考えるところまでに来ている。 戦争と敗戦後の社会状態を体験しているので、楽観的だが、常に危機意識を持っている。近年には気候変動の激しさもあるし、いざとなったら自給自足に入れるように、土地はかなりの広さで取得してきているので、今は余計なものは処分する姿勢であるが。 経済環境が厳しい折、現金化して手持ち資金を潤沢化して経営に備える姿勢をとっている。企業規模の大なり小なりの相違だが、基本的には変わらないはずで、いつも周辺の人たちには斯様な見解を披歴している。     9月6日

コロナ重症者の続出

   約一か月前の8月の5日、東京での一日の感染者が5045名と、又8月19日に5773名と発表され、その後も5000名台が4日間も続いたときは時は、さすがに絶望感がよぎって、時はまさにオリンピック・パラリンピックの真っ最中であってみれば、世界各国から大量の人流を以て、どんちゃん騒ぎは止まないし、いよいよ以って日本もコロナウィルに壊滅状態かと胸中の騒ぎは収まらなかったし、その上菅さんまでが慌てだして発作的に総裁候補には出ないと言い切ったりして、世の中に何となく薄気味悪い緊迫感が走った。幸いにして、それから感染者数は順次低減する波の傾向に、もしかするとピークアウトするのではないかと云う期待と気配が感じられるようになって、胸をなでおろしている。

感染者の低減傾向はいいとしても、完全にゼロになってウィルスが消滅するという理想的な環境は望めそうもなく、最近はwithコロナと云う観念が定着して、企業も家計もそうした事態を見越して永続的に対応しているようである。どのくらいのウィルスが、どの程度はびこって人間生活、社会活動を蝕んでいこうとしているか、見極めと対処が重要になってくる。最早インフルエンザのような疾患と認識するかどうかである。日本で在宅医療を強いられている人は12万ともいわれており、死と背中合わせの重症患者が2000人を超している。後遺症の症状も深刻である。しかもこの疾患については謎だらけである。したがって長期的に見ても医療現場は戦場であり、野戦病院を増設しなければならないと云った状態だ。

  穏やかでないが、最近周辺に訃報が相次いでお悔みに向かう日が続いて、先週末から今週にかけて慌ただしく時を過ごした。幸いコロナで亡くなったという話は聞かないので安堵している。その代わり通夜と告別式のいずれかに伺いたいと、時間のやりくりに気を使って居る。コロナ禍のもとだから通夜に行ってもお清めの席は省略して、飲食の支度はもっぱら自粛しているので、この方の時間のやりくりも気を遣う。6時から始まって7時半まではかかるし、そのあとの夕食時間となると8時過ぎになって体に差し支える。マスク着用の上、会話を控えろというわけで、何しに行ったか分からないこともある。

通常、人間の行動様式が変化してくると、人間の性格も変わってくるし、顔つきも変わってくるに違いない。人間の行動様式によって生活の態様が決められてくるから、心を表現する人間の表情は信用する大切な手立てである。ところがコロナ禍にある今のような状況だと、肝心の表情の判別はマスクで顔の七割がかくされてできないから、大変な間違いを起こさないとも限らない。初めてお目にかかる人物にマスク着用のまま名刺を交換されても見当がつかない。目的の二割しか達していない。否全、部かも知れない。最初の印象が大事なことは教えとして良く云われてきたことである。

  日興証券の若い女子社員が顧客訪問に訪ねてきた。マスク着用が礼儀に適っていると確信しているから、挨拶もそのままだし、話している間も同じ格好をしている。俗にマスク美人と云われているが、この子は一体全体どのような顔立ちの人なのか、自分で想像するしかない。用意されたコーヒーを前に、それを勧めたところマスクを脇に外した一瞬を逃さなかった小生は、この子はマスクが邪魔をして勿体ない人だと思った。瞳は大きくていいが一重であるし、強い印象がない。しかしマスクを横にずらした時に見た鼻筋と、口元は綺麗であり涼しそうで文句なく美人だと思った。又逢ってもいいと思うくらいに、さっぱりした面立ちで好感が持てると思った。日興証券の社員に限らず、商談を進める際は、基本的に面談と人柄とその雰囲気に重点を置くので、必要に応じてマスクを外し容姿の全体を紹介する機会が必要である。

  菅さんのような朴訥とした表情にも、むしろ信頼感がわくはずだ。人気取りの演出は上手ではないが、この一年間のやってきたことを見ると充実した政策を幾つも打ち出してきている。出馬を決めかねている石破さんが、矢張りそのことを指摘していた。菅さんは安倍さんが残して行った負の遺産を引きずって、最後には横浜の市長選挙でまさかの敗退を期し止めめを刺された形である。説明不足が祟った面もあるが、本人の所作であって仕方がない。菅さんにしても今思えば、マイクを前にしたときはその都度頻繁にマスクを外すべきだった。マスクを取って挨拶する、最初の礼儀として、むしろ必要性を感じている。 証券会社の社員が顧客回りをするようになってきたことは、日経平均が3万円台乗せで株式市場に弾みがついてきた証左かも知れない。 世間が少しでも明るくなってくることが望ましい。    9月8日


    淵の原稿

  主宰する短歌同人誌淵の原稿を書くのが遅くなってしまい、関係者に少々迷惑をかけてしまっているかと心配である。原稿のゲラ刷りが今日会社に届いたので、早速急いで始末しようかと思っていたが、来客や仕事が重なってしまい手つかずのままに帰宅した。原稿を書いたりしているといつの間にか筆が走りすぎて止まらずに、結果長すぎたりして後から削除したりすることになり困惑することがある。そうした折には沈思黙考して気を静め、時を過ごすに限る。すると次のような和歌を詠んでしたためておく時間が与えられて満足である。


純粋にこの道を行く主とともに怖れなき日を突き進みゆく

人生の目標をを指し主とともに進む我こそ王道なりき

十字架のまことに照らし我が道を強く踏みしめ進みゆかまし

主を讃えゆく十字架の道なれば先に怖るる者のなきかも

み言葉を心に刻み勤め行く日の満たされて悔ひの無きかな

富士やまの高くそびへて揺るぎなき姿めざして峰を目指さん

主の前に立ちて誓へりわが道の恙なく過ぎ世にぞ尽くさむ

み言葉の永遠に正しくいしずえの固くしあればその岩に立て

我が道の巌と熱き人生の影にイエスの力ありけり

全能と全知の神に付きていく我こそ力なりと信じて

伊豆山に住む友人の安らけく在れと日永に祈る我なり

土石流しもに流れてすさまじき轟音に伊豆の渓は崩れり

伊豆山に黄昏来れば月影の淡く灯りて偲ぶ遠き日    9月10日


     9、11から20年

   ニューヨークの世界貿易センターに旅客機を激突させて崩落させた、あの凄惨なテロ事件から20年の年の歳を迎えた。あの衝撃的は事件は、多くの人の胸に痛ましく傷ついて残っているが、多くの若い人たちには理解し得ないだろうし、もしかすると知識として把握していないかもしれない。怒り狂ったアメリカは報復に転じ、貿易センター攻撃の首謀者であるオサム・ビンラディンを追ってアフガニスタン、そしてイラクと破竹の勢いで侵攻し、始まった戦争は泥沼化していった。11年後に漸く潜伏していたオサム・ビンラディンを捕まえ殺害し積年の恨みを果たしたが、テロとの戦いはその後も続いて、侵攻によって完全勝利を得られぬままに出口を見出せぬままに来た。アフガニスタンに民主主義的な精子を敷こうとする努力も虚しく、アメリカは7月30日を以てアフガニスタンから軍隊を撤退させた。そのあとに侵攻してきたのが旧アフガニスタン政府のアルカイダであった。アフガニスタンは、アメリカが侵攻していった前の政権に戻ったのである。これ以上の犠牲を出すわけにはいかない。

   アメリカが他国のために自国の軍隊を出すことは出来ないし、アメリカの利益にならないと判断して撤退を決断した。勝敗はどうあれ、これ以上の戦いを続けることは無意味であり、人道上許されるものではない。結果、これを以てアメリカの敗北と受け止める人たちが大多数である。しかし敗北を認めるとしながらも、バイデン大統領の決断は英断であった。アメリカの去った後のアフガニスタンには、再び元のアフガニスタンのアルカイダ政権が戻って来た。そして今、旧アルカイダの要人が新政府樹立に懸命であるが、未だに包括的な政府の骨格が決まっっていない。戦果に疲弊した現状には、混乱だけが残されて、民衆が深い痛手を負う毎日で不安が生活に追い打ちをかけている。早く新政権が発足し、国際社会が受け入れられるような形態を作り上げ、20年前とは違った体制を組んで民生の安定化を図ることが求められている。

  20年前に起きた同時多発テロの今日、追悼式が行われているが、3000名近い犠牲者の名前を一人一人読み上げて遺族の涙をそそっている。あの爆破攻撃の映像は、昨日起きたような衝撃度を以て小生の胸に刻まれている。そして始まったアフガニスタンへの電撃的侵攻作戦の映像も未だ鮮明である。破竹の進撃で、アメリカ国民の高揚感はこれまた凄まじいものがあった。ビン・ラディンをかくまっているとしてイラクのフセイン打倒にイラクに侵攻し、瞬時に崩壊させた。圧倒的な軍事力を以て敵国を瞬時に破壊するさまは、同時にアメリカの世界の警察官としての揺るぎない力を世界に見せつけ、更なる国威につながるものであった。

  そこから始まって先般、「米史上最長の戦争」 は米軍撤退で半ば強引に幕が切って落とされたのである。バイデンの強烈な決断がないと、果たされるものではなかった。専門家の推計では、対テロ戦争の経費は20年間で8兆ドル、邦貨にして880兆円の巨額に上り、死者は米兵や敵対勢力、一般市民合わせて90万人前後に及ぶという。古今東西、戦争ほど無益で底知れぬ罪悪を人類にもたらすものはない。ニューヨークでは追悼式が粛々と行われているが、全世界が反省の上に立って、犠牲者の人々に、心から哀悼と冥福を祈り、かかる愚行を繰り返さぬよう祈るばかりである。 9月12日

短歌同人誌・淵のゲラ刷り

  楽しみな短歌同人誌淵の次の234号に載せる小生の原稿のゲラ刷りが、印刷担当の大木静花さんから届いた。先週の金曜日であったが、仕事に忙殺され、見直す時間がなかった。明けて週明けの今日、私は手際よく仕事をかたずけて3時半ごろからゲラ刷りを開いて校正を手掛けたのである。そして問題は、中に飾る写真と和歌を選ばなければならないが、奈良の二月堂から眺めた東大寺の写真が傑作品として保管されていたので、これに自作の和歌を書き込んで載せることにした。優雅なⅠページが大いに期待されるところだ。東大寺の大屋根にかかる秋の月を詠んだものである。丁度季節感があって、秋の名月を色々な場所から眺めることを存分に堪能できるきっかけともなる。
                                            9月13日

   平成の末から令和に掛けて、開催の賛否をめぐって散々物議をかわしてきた五輪の開催であった。騒がしい世の中でテロでも起きなければと案じながら、コロナ禍も上手に切り抜けてが、計算出来ないほどの赤字を出してまで無理をし、結果は全て国民の税金の負担となった。政府、東京都、オリンピック組織委員会などの、逃げ腰の、責任のなすり合いだけが残った気がする。

   今日は午後から慶応病院に予約がしてあったため出向いて山手線の千駄木駅から信濃町まで乗って二駅を通り過ぎて行ったが、途中窓越しに見る何とも異様で巨大な箱モノを見るたびに、あの始末はどうするんだと思うことしきりである。五輪のために旧・国立競技場を解体し、後に巨額な資金を投じて作った新・国立競技場の異様で怪物的な姿である。あれが称賛を浴びて採用された、これまた高額な設計図に基づいたものだ。日本人の、目の置き所が狂っているとしか思えない代物である。下らないセンスを見せつけられ、美的感覚もなければ、思考するところもない、ただ図体のでかさをさらけ出している箱ものである。環境を重視して材木を組み立てたとは云いながら、無味乾燥の、物質万能の世界を表現した、品格無き代物と云うべきものである。そんな時、電車の中でふと考えたことが、次のことである。

年号が「令和」に代わった時にある著名な詩人が「令和の時代は波乱含みになりそうだ」と云うような不吉なことを言っていたが、気にするわけではないが、最近の内外の様相を見ていると、おかしな現象が起きてきている。手繰り寄せてみると皆関連性があってのことだとすると、そこに因果関係があって、科学的な裏付けができているように思う。

世の中がどうあろうと自分さえしっかりしていれば、どうにでもなると腹をくくったような気持でいるが、風が吹けば吹くなりに、雨が降れば降るなりにわが身は守勢に立たねばならぬ。その時の踏ん張り方と、度胸の在り様で何とかなるということかもしれない。天変地異も人知の及ばざるところとして放置しておくと、飛んでもない結果を及ぼして来る。産業革命以来、猛烈なスピードを以て社会変革をもたらし、人間社会が大きく変貌を遂げてきた。楽になって便利になった部分、天然資源が乱獲されバランスを失って、自然界の秩序が破壊されてくる。さすれば社会秩序も同じテンポで破壊されていく可能性の中に我々も立っている。全て関連性を以て天下は動いているわけである。
  
   科学と文化が大きく関連しているように、自然と人間の関係も緊密に絡み合っているとみるべきである。なかでも一番身近で注目し懸念されている点がある。地球温暖化という問題だ。雨が降るたびに、風が吹くたびに、日が照るたびに、猛烈な規模で災害をもたらして人間社会を襲ってくる。われわれの経済産業界でも二酸化炭素の問題が騒がれ始めて久しいが、事実認識に欠けることが余りに多すぎる。二酸化炭素の排出によって、地球を取り巻く成層圏に異常をきたす。地球を取り巻く気象状況はもとより、オゾン層の破壊で太陽の紫外線が直接に地上に及んで熱を堆積し、地上の形態を大きく変化させてしまう現象である。

  北極圏の分厚い氷山が解け始めてから影を消すまでに大した時間が要らなくなってきた。シベリアのツンドラ地帯の氷土が解けて地下からガスが吹き上げている。一事が万事で、こうした異変現象によって地球上の生物の生存すら危機に晒されてしまう結果すら招きかねない。自然破壊との戦いは、人類の覚醒によって食い止めるしかない。限界を越した人工的産物の制御を図り、人類の一致団結した思考と行動によって、自然界の均衡を奪還する手立てを講じることが求められてくる。    続    9月15日


      澄み切った名月


裏手の小池さんの広い庭から吹き込んでくる風が、北から南へ家の中を吹き抜けていくので、居ながらにして軽井沢の秋の風を味わっている気が横溢して、わざわざ軽井沢まで出かけることもないと家内と話し合っていた。自宅は無垢の木造建築を存分に駆使したので、山小屋風の趣きは木の香りも生きており、自宅な居ながらにして霊気満点の爽やかな季節である。畳の上に大の字で寝転んでみたり、今のソファーに横になってみたりして夕風に触れて楽しんでいる。その間はひたすら黙想である。ほぼ半世紀前の事、軽井沢の一等地に縁あって土地を取得したものの別荘は建てずに今日まで来てしまった。那須高原の広大な土地もそうである。大地に生きる人生を基本的に考えロマンを以て、希望は物書きで生計を立てていきたいという情熱をもって臨んだ結果が、言うなれば不動産で生計を立てる始末になってしまった。今、家の中を吹き抜けていく甘い花の風こそ、季節に関わらず、夢とロマンを誘い人生に限りない希望と勇気を与えるものだと未だに信じている。

  人は土に生き、樹木とともに小動物を身近に、澄み切った酸素一杯の大気とともに近くに清流の在ることが一番幸せなことだと長い間にわたり信じて疑わなかった。生まれ故郷の日本のこの地は、まさにそうした思想と気概を体験できる地形と気象に恵まれた国だと自負している。そしてその思いは今でも生きているが、以前と違って、寄る年波には打ち勝てない。精神的には負けないとしても、肉体的力の発揮、抵抗力、持続力と云ったものは昔との差が歴然である。健全なる肉体は健全なる精神に宿るとはいいながら、多少の無理な点を自覚している。比較論だが、その要素を生かして今でも人さまに負けないつもりでいる。先日、夢を追いすぎて島崎藤村の初恋と云う文庫物の冊子を街なかの古本屋で買い求めた。集英社から発刊されている。古本と云っても新刊同様で人の手にされた形跡はない。初恋故に、本にしても手つかずの処女性を求める所以である。主題は、若菜集の「初恋」である。この新鮮な感覚は、今でも脈々として伝わってくるから不思議である。島崎藤村のその後の作品が、若々しい感覚を以て創作活動に表示されている所以は、この若菜集の原点によっている。

月を眺めて恋歌を詠んで、思いを寄せる人にそっと差し上げる、こうした秘めた作法が出来れば何とも心が和む思いがしてくる。片思いでなく、受けてくれる思いの人がいれば、尚更である。老いらくの恋でなく、人を恋する間は、壮年の域までである。18歳の少女に恋したゲーテは、その時73歳であった。心情やるかたなく切なるものがあるが、ゲーテの情熱は乙女の心の底に燃え続け、少女の一生は、ゲーテの愛を胸に深く刻まれたまま一生独身で過ごしたというではないか。あまりにも酷に聞こえたりするが、今日の中秋の名月を観ながら、消え去ったなにがしの人を胸に浮かべ、懐旧の念を新たに物思いにふける一首を吟じてみたいと思っている。乱れ雲に光る名月にも、言い知れぬ風情が伺えて思いも一層妙なるものに潤んでくるかもしれない。 それにしても今宵の中秋の名月は、何とも大きく満月と云って差し支えない。 八年振りに見る中秋の名月は満月であり、天文学上の帰結らしいが、物理的に数字を挟む余地がないほどに情緒的である。     9月21日


緊急自治宣言が30日まで延期されたているが、その効果が顕著に表れてきている傾向は喜ばしき限りである。地道な努力だが、人流と三密の抑制が功を奏している。皆が大なり小なり犠牲を払っている故に、何とかしてコロナ禍の影響と結末を我在れに手で食い止めて、願わくば撃退したいものである。最近の識者の見解によると、コロナウィルスも伝播のピークを示した後は、その毒性を弱める性質を示してきているという。これは朗報である。ウィルスの弱毒性と云うものらしい。


然る人の恋しかるべき山百合の清らかに咲く月の夜かも

見上ぐれば青き夜空に金色の月移りゆく秋の夜かな

思ひ出のひとの悲しく浮かび来て寂しく思ひ眺む月かな

伊豆山の湯宿に泊まり部屋の戸を引けば差しいる白き月影

初恋の花の匂いの清らかに打ちとけ逢わば嗅ぎて微笑む

我が妹子と庭に出で立ち眺むれば青き夜空を渡る月かな

朝まだき教会への道歩みきて金木犀のかほり匂ひ来

中秋の月冴えわたり沖つかたかがり火ともる初島の影

墨色の海もにあけき月さしてさざなむ波の白く照らせり

さまざまな人の姿の浮かび来ていとしく思ひ暮るる秋の夜


   緊急事態宣言が30日までに延期されているが、その効果が最近の数字に顕著に表れていることは喜ばしい限りである。数字の発表を受けて通常の町に繰り出す人たちがいつもより多いように見えるが、経済的には活況を呈しているようで先に明るい光明である。世界的には未だワクチン接種とコロナ感染力との激しい戦いが続いているが、厳しいところではロックダウンが一年以上続いている国もある。感染が依然として止まらない国と地域である。ワクチンの接種も、貧困ゆえに行き渡らず貧乏と同居してコロナウィルスに悩まされている。まことにもって気の毒な話である。

   東京の感染者数が一日500人を下る日が続いて、やっと拡大が止まりつつある数字に関係者の期待が高まっているが、気を緩めるといつバックファイヤを興すかわからない。油断せず、感染予防策は依然として励行するの越したことはない。最近の統計によると、若年層の感染者が多く、高令者を大きく上回っているし、巷では若者にワクチン接種を呼び掛けているが、抵抗感が強いようで困った話である。しかも後遺症が内在して長期にわたり理由なく発症する事案が多く報告されている。対・若年層についても積極的にワクチン接種に取り組んでいる自治体もある。以前のようにコロナ感染に怯えるような風潮はかなり緩和されてきている証拠がみられる。コロナ慣れである。コロナについても根絶するという確信は今のところないので、インフルエンザといった程度に捉えようとする風潮が見える。つまりコロナにかかった場合に、有効な治療薬が出てきて、死に至らしめるような状況を作らないで済むということである。是非そうした防疫上の医療社会を作ってもらいたい。

  ワクチン接種に伴って高齢者は概ね時間に余裕があることが主たる理由でワクチンの接種率が高く済まされている。若者たちは勤労中の時間的制約に在り、その上健康に過信してコロナ感染素軽視する傾向があるのと、接種による副作用に警戒心を持っていることがあげられる。どれもコントロールのきく話で、進んでワクチン接種を受けることを望みたい。

  総務省の公表によると、65歳以上の高齢者は3640万人で日本の総人口に占める割合は29,1パーセントであ、約3割に達している。そのうち高齢者が就職する割合は25.1パーセントであり約2,5割に達している。高齢者の労働市場は近年高く推移し、4人に1人が何らかの仕事についていることになる。就職率の高さは、一方で高齢者の健康状態がそれだけ健全に保たれていることを意味する。何時までも働かせられると云った前時代的発想でなく、いつまでもチャレンジ精神を発揮すると云った精神状態に自分自身を置いておくことが大切である。それにはまずもって健康であること、社会が医療体制をよどみなく確立していることが必須条件である。政府は「生涯現役社会」を目指している。


秋空の広く青ぎり澄み渡る身に染み初めて云ふべきもなき

台風の大雨と来て本邦を東に去りて幸ひなりき

被災していまだ癒えざる同人の日々の暮らしを案じけるなり

伊豆山の泥流被害の甚大に復旧の日を待ち望むなり

災害を間一髪に免れて生活の日のいまだ決まらで

伊豆山の住まいの海と山に在りされど失くせり人災のゆへ

伊豆山の長閑な地味の忘れ得で未だに思ひ馳せる我なり

伊豆山の水葉亭の離れにて旧知と語りあかせり

ゼミナール平田教授と伊豆山を訪ねし時も泊まるこの宿

つわぶきの葉に影おとす名月のしたたる露に染みて色濃き

白蓮の咲く伊豆山の湯あみにてわが身を浸し幸ひなりき

中秋の名月に照るいかるがの里に恋しき人を訪ねむ     9月22日


中国のTPP加入申請

  TPP、環太平洋パートナーシップに中国と台湾がほぼ同時に加盟申請を出した形で、両国が激しい対立を見せて激突している。議長国を務める茂木外務大臣の手腕が注目されている。協定は自由な貿易を基本とし最終的には関税の撤廃を目指して円滑な貿易の拡大を図り、以て加盟国の繁栄を目的とした経済連携協定で、その高邁な精神を大きく掲げている。過去にさかのぼって発功したものだが、拡大の一途をたどり今日の経済圏の発展に至っている。

  協定の参加国はオーストラリア、ブルネイ、カナダ、チリ、日本、マレーシア、メキシコ、ニュージーランド、ペルー、シンガポール、ベトナムの合計11か国で高い水準の、包括的でバランスの取れた協定を目指し交渉が進められてきた。参加国中、最大のアメリカは自国第一主義を掲げるトランプが就任早々に協定からの離脱を図り、はしごを外された形であったが、TPPは独自の力を盛り返して現在の経済圏の構成にこぎつけている。最近、GDPで世界第二位の中国がTPPの存在価値に目を付けて加盟を目論んでいるため、今になってアメリカが慌てふためいている。アメリカの一日も早い復帰を望むところである。

  中国が加盟すれば、TPPの勢力範囲はますます充実、拡大の一途である。但し中国の加盟については、TPPの運営上の原則的はルールがあり、これに適った条件を満たしていないと実現は難しい。中国がTPPの精神にのっとってくることが必要になる。又、驕りたかぶるアメリカが、TPPを脱退したまま世界の変化を見逃して、世界経済から振り落とされる日が来ないとも限らない。世界経済を二分するほどの中国と対峙して、その動向を無視してかかると将来に禍根を残す結果になり、自由と公正の貿易理念をかかげるアメリカの理念と国益に反することになる。パリ協定への復帰と同様、バイデン政権は、速やかなTPPへの復帰を実現すべきである。中国の違法な覇権主義の行動を阻止し、自由に開かれた南太平洋の海域の権益を死守するためにも重要である。

米中の二大経済大国がそれぞれの経済的力を発揮して国際社会に参画し、連携協力関係を築いていけば、政治的秩序と均衡を保ち、ひいては世界政治の安定と経済発展に尽くす度合いは実に大きい。このところのニューヨーク株式市場と、東京証券取引所の株式の乱高下は、経営危機に陥っている中国不動産大手の中国恒大集団について、債務不履行の問題が浮上して、世界株式市場に強弱の思惑が働いている結果である。民主義的経済機構の国々が、北京発の金融恐慌を恐れて一喜一憂する展開である。 如何に中国に起きた経済、金融問題が、世界経済を揺るがしかねないほどに影響力を発揮しているかが如実である。

   人権問題にしても、声高に叫ぶアメリカで国を二分する所得格差や人種差別問題が経済発展の裏で起きている。そして民主々義制度を期待して軍事侵攻までしたアフガニスタンでは、新政府樹立のあとも、20年に及ぶ戦争で多額な資金とアメリカ兵の犠牲を払って失敗に帰し、バイデン大統領の決断で敗北的撤退を余儀なくされている。後に再び府が我にスタンのアルカイダが復帰してきている。民主主義をかざしその普及に努めていくことも一概に有効とは言えないし、国情に応じていろいろな手法を講じていかないと、多くは失敗に帰すことにもなる。中国と敵対的に対峙するのではなく、競争的関係に対峙すると云った判断は結構なことであるが、いたずらに人権や民主化を以て中国を煽るようなことがあってはならないのではないか。只、新疆ウイグル自治区の強圧的な統治問題が問題視されていることは、公正な判断を以て対応しなければならない。

  コロナ感染予防でのワクチンや、気候変動についての対策について協力し合う体制にまで手が届いている実績がある。 ソフト面での協力関係をハードの面についても協調し合える関係を細かく構築し、中国の覇権主義的は発想を改めさせる方向へ努めていくことが肝要である。14億の国民を食べさせていくことは容易なことではない。アメリカを主とする民主主義国家が捉えるように、中国はいま、民主化への過渡期と捉えることもできる。 アメリカや中国が今、軍事的に暴発するような事態を想像することは出来ない。我々は、アメリカと中国が同じ基盤とは言わないまでも、互いに協力し地球規模の、世界の平和的維持発展と、経済繁栄の道を歩んでいくことを念願している。 先ず、両国にはTPPに同時に円満に復帰、参加する道を講じてもらいたい。議長国を務める日本の指導力に期待するゆえんである。      9月24日


    つれづれなれば
 
万葉の人の生きざまに教へ乞ふより豊かなる詩情求めて

万葉の世のにさまよひて我ながら味はい深き人と会はめや

富士が嶺に今朝笠雲のかかる見て良き報せとも思ひつるかな

柿の実の色づき初めぬいかるがの里にたたずむ法起寺の塔

法起寺のいとしき門に秋の日の注ぐいとまに憩ふ女かな

眺むれば三笠の山の色づきて調べに歌ふ乙女たはむる

わらべ歌きぬ機織れる乙女らの物悲しくも聞く夕べかな

上越の山路を登る友がきと訪ぬる四万の湯宿恋しき

山宿のともしび灯る渓谷にせせらぎの音近く聞く夜は

アルプスのお花畑を行く先に峰を渡りて急ぐ雲かな

訪ね来し大き身体のわが彦に余も向き合ひて背筋伸ばしぬ

颯爽と出で立つ息子に向き合ひて負けじと胸を張りし我なり

我が彦の大会社での社長ゆへ信念、風格有りて頼もし

休日の昼さがるころ訪ね来て彦ほがらかに帰る夕べに

ヨーデルの歌の調べに誘はれつ山あひ近き小屋に寄らむや

上越の山路を急ぐ秋ちかき時雨ふる間を憩ふ茶屋にて

善と云ふ字に喜びと云ふ意味も刻みしをるを覚へ勤めむ 9月26日

メルケル首相の政界引退


   祖国と国民の母と云われてきた、 ドイツのアンゲラ・メルケル首相が政界を引退し、惜しまれてその地位を去る。振り返ると2005年から16年間もの間、ドイツのみならずヨーロッパ、あるいは世界の動きを牽引した政治家は、9月26日の連邦議会の総選挙に出馬せず、選挙を経て誕生する新首相に後事を託して、政界を引退することになった。その選挙結果が27日に発表され、過半数を得る政党はなかった。メルケル首相が率いた来たキリスト教民主同盟は55席を失う結果になり僅差で第2党に、社会民主党が第一党に、緑の党が躍進し第3党に躍り出た。

   私が高等学院に在学して第二語学にドイツ語を選択して、学院のドイツ語部を隆盛に導いた思い出がある故に、メルケル首相の関連記事がテレビに放映されるたびにドイツ語の文字に郷愁を覚え、当時を回想することしばしばであった。いまだにドイツ語の教科書を取り出したり、文学書をめくったりしてドイツ語の魅力を味わっている。終戦後間もない頃、西ドイツのアデナウワー首相が来日したときに、早稲田大学に見え、大隈講堂で演説をしたことがあった。その時通訳を務めたのが恩師の酒枝義旗教授であった。先生の流麗な通訳を以て、アデナウワー首相の偉大さが一段と際立ったことを覚えている。

  長年、当会の常務理事をして下さったていた野田尚殿は、学院のドイツ語部に所属していた一年後輩の優秀な学生であった。野田君がこの世を去って7年がたつが、未だに懐かしく彼の面影を思い出すのである。昭和経済会を自ら率先し、中心になってサポートしてくれていた有能な人物である。知らないことがあると野田君に訊ねることがあって生き字引みたいな存在であったし、励みにもなった。ドイツ語については色々と沢山の思い出があるので、ドイツのメルケル首相の引退も心なしか寂しい思いがよぎるのである。彼女はオスト・ドイチュランドの出身で、第二次大戦のドイツ敗北のあと国家が二分された環境で育ち、苦労してきた人だけに、心の広さと深みを抱いた柔和な人間性を感じてくるのである。青史に名を刻む優れた政治家として幾多の教訓を残している。

  いずれにしろクリスマス前までに連立政権の樹立に向けて各政党の交渉が始まるわけだが、メルケル前首相の意志を注いでEU諸国の躍進の道をリードしてもらい、世界の知性を十二分に発揮してもらいたい。          9月27日


   世相雑感

  オリンピックも無事に終了し、今はコロナと自民党の総裁選挙に注目が集まっている。コロナ感染は幸いに感染者数が減少の傾向にあるものの、依然として油断は禁物である。コロナの無毒化を指摘する専門家もいて朗報だが、インフルエンザのようなものになってくれると大いに助かるのだが、未だ油断は禁物である。抗体カクテル療法なるものが効果的だが、ワクチンの効き目もさまざまに微妙な変化を遂げてきているようである。試行錯誤を経ながらでもコロナウィルスの影響を軽微にとどめることが出来れば全く願うところである。

一方の自民党の総裁選は29日に投開票が行われ、国会議員票と地方の党員の投票の動向が注目である。一回目の投票で過半数が取れない場合だが、二回目の国会議員による決選投票となると、またぞろ派閥力学の裏取引がうごめくことになる。世代交代で活力あるクリーンなイメージの自民党の誕生を願うところである。 今回の総裁選挙はこれまでと違って極めて透明性を維持して選挙活動が進められてきている。各候補者も紳士的で真面目で好感がもてている。

   両方ともオリンピック・パラリンピックと重ならないで幸いであった。国民には緊急事態宣言を発令して行動を制限し、何かと物議をかもしながら一大イヴェントの開催を強行すると云った矛盾さで、オリンピックは開催すら賛否拮抗する中で行われたのである。お祭り気分も半分の、無観客での異例な競技の連続であった。 金メダルの獲得は日本が世界一と喧伝するには、受ける感動は殺伐であった。無理を承知の、利害関係者だけの、一部に限られた國民不在と云ってもいいほどの五輪であった。 今回の五輪開催をめぐって、我々は色々なことを学んできた。これからの五輪の在り方についても、世界の目が厳しくなって密室での話し合いや談合が許されなくなってくるはずだ。                 9月27日

自民党総裁選に躍起なり四人候補が政策競へり

自民党高齢化を聞く頷きて大胆改革に河野太郎を

河野氏の有利に行けば自民党の世代交代の加速如実に

穏健に自民改革を進めむと政策通の岸田候補も

一説に変わり者との風評もそこが われらの期する故なり

右傾化に走る強気の高市姉なれば初の女性首相に

右傾化の台頭こそが日本の危惧する点と思ふこの頃

あっ晴れな持論展開に信あれど出遅れ気味の野田聖子姉よ

一世を逍遥しつつ将来の国の指針を確たるものに

行き過ぎた官邸主導に官僚の政府に媚びて腑抜けとはなる

官邸に権力集中の長期化に傲慢腐敗の常態化しぬ

老醜をさらしこの世を渡り行く強欲のみは衰えるなき

国民の母と云われしメルケルのドイツ復興の奇跡的わざ

メルケルの永き政権にEUの基盤を築き強固ならしむ

これまでの魑魅魍魎の政界に新しき風巻き起こさむと

しがらみを解き新しき時代へと船出も荒き大和まほろば

日本の世界に処する考えと姿勢の変化に重き置くなり

米中の共通課題に取り組みて先ずワクチンと気象変動

太平洋地域と国の安定と平和に日本の使命大なり

米中の狭間に立ちて苦悩するされど課題はグローバル化に

米中の政治力学に日本の課題と使命の力量を問はる

連帯と協力なしには人類の平和と栄へは在らじこの世に

    岸田文雄さんが自民党総裁に就任

   29日、自民党の総裁選挙の投開票が終わって、新たに自民党の政調会長をしていた岸田文雄さんが自民党の総裁に就任した。一国民として祝意を申し述べたい。河野太郎、高市、野田聖子ら4人が激しい論陣を張って選挙戦を繰り広げ、自らの政策を掲げて奮闘した結果である。

  総裁選挙は、開かれた自民党の本領発揮であり、自浄作用でもある。淀んだコップの水の入れ替えるきっかけでもあり、活性化する絶好のチャンスでもある。議会で居眠りしている諸君も、この時ばかりは自らの議席を維持するために目を覚まし、襟を正す機会でもある。選挙は、政治の民主化を図る重要な手法であって、国民の政治への関心を高め、理解を深めるきっかけでもある。

  加えて野党の諸君の奮起を促す機会でもある。今回は、近くに衆議院議員の任期が迫っており、総選挙によって国民の審判を受けることにもなる。与党、野党の諸君にとっても言うなれば死活問題を抱えているから、怠けているわけにはいかない。       9月30日


社団法人 昭和経済会
理事長 佐々木誠吾

VOL21.9.1

社団法人 昭和経済会
理事長 佐々木誠吾


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