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社団法人昭和経済会

理事長室より
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理事長室より

Vol.9-11 鳩山政権と日本航空  ノーベル賞、ダウ一万ドル

     鳩山政権,そして日本航空

    九月の連休は快晴に恵まれ、行楽客の出足も好調で、各地は帰省客や家族連れでにぎわいました。高速道路の一律1000円を決めたことで、出足に拍車がかかったようです。
  百年に一度の世界恐慌の襲来と騒がれましたが、幸いにも人類の英知と努力によって収束に向かいつつあり、不安だった景気の動向もひとまず底を打った感じであります。この先の回復がどこまで見込めるか一進一退を繰り返して、先は予断を許しませんが、しかし世の中は、不安と閉塞感から立ち直って平穏無事であります。世界的にも一通りの行事は済み終えて、今は、何処の国でも改革、実行の声一色であわただしい雰囲気であります。G20などの国際行事をはじめ、事なきを終えて結束した共同宣言も採択し、良い傾向にあると言っても良いのではないかと思います。アメリカを始め政権交代があって、日本も、近くはドイツでも安定した政権の樹立があり、又、中国でも建国60周年の記念行事が今日北京で開かれます。
  翻って日本も、先程の総選挙で永年の自民党の政権時代から民主党の政権時代に入った勢いで湧いております。国民の意志が如実に決定されて、民主党は308議席を獲得して衆議院での過半数を占め、政権運営に安定した鳩山内閣がダイナミックに始動を始めました。国民は日本の真の再生を祈願しているのです。
 五日後には国連総会にも、組閣を終えたばかりの鳩山首相一行が出席して、壇上の首相は少しばかりたどたどしい英語で演説をしました。留学時代とは違って仕方がありませんが、問題は内容であります。その内容も雰囲気も、日本が確かに変わったような好印象であり、最初の外交舞台を立派になし終えてきて、国際的評価は高く、順調な出だしでありました。
   
  留守中、就任したばかりの各大臣も、政治主導の政策執行に躍起となっていて、今までの手法と一変を計るべく勇ましい発言で大賑わいであります。前政権の補正予算の執行を停止し、無駄を省いた2009年度の補正の見直しを進めております。この際、がんがんとやってもらいたいものです。但し、上滑りしたり、勇み足にならないようにお願いしたいものです。国土交通省の前原大臣、厚生労働省の長妻大臣、行政改革担当の仙谷大臣など、国民の税金の無駄ずかいを省くといった、その活躍は頼もしき限りであります。一方、前政権の反動で過剰な反応を持って改革ののろしを揚げて、世の中にあらぬ混乱を起こしてもらっても困ります。結果は、権利の乱用となって、腐敗しきった旧政権よりもこわもての暗いイメージにつながりかねなません。政策に大きく差があるにもかかわらず連立を組んで、お付合いで与えた大臣の椅子であることは国民も良く知っています。そこが震源地になって、全体を引っ掻き回されたんでは国民がいい迷惑であります。冷静になってこの国のあり方を根本的に正して方向にもっていってもらいたいと思います。そうでないと、折角浮上しかけてきた景気の動向に水を差すような結果となっては、元も子もありません。
     事実、社民党の子育て支援の効果を疑問視する人たちは沢山います。柔軟性を持った対応が望まれます。又、国民新党の、中小企業向けに対する銀行融資を三年間返済猶予を与えるといったことは、そこまでやらなくとも企業は頑張っていけるという自信もあります。弱者にたいする厚い情義はありがたいことですが、そこから生じる経済的混乱のほうが大きい場合もあります。その間銀行が蒙る損害を政府はどう保証するのかが欠けています。閣内の統一した見解として、大臣の発言も必要となってきます。連立政権に入って、現実的な路線に切り替えることも場合によっては政党の成長を意味していくことにもなります。閣内の不一致といった印象を与えることこそ、回避すべきであります。
     だから、選挙の結果生まれた頼もしい民主党政権とはいえ、政界の一寸先は闇であり、何が起こるかわかりません。蟻の穴が堤を壊すこともあります。些細なことで大事にいたらぬよう注意が肝心です。落ち着いて考えてみても、新人を大量に当選させて大世帯のまとまりができるかどうか一抹の不安もあります。 ひとえに小沢さんのこれからの求心力にかかってくることでしょう。将来の展望に欠かせないものがあります。
     言えることは、今回の組閣では各大臣ともベテランを配し、斬新で積極的且つ精悍、重厚な陣容となったことであります。但し、繰り返すようですが、社民党、国民新党は、極小政党であって、閣内にあってはつつしまやかに行動してもらいたいものです。国民の大多数は民主党に一票を入れたのであって、連立を組んだには違いありませんが、漁夫の利を得た少数意見を無視するわけではないにしても、翻って、国民新党の先に指摘した徳政令ではありませんが、民々間の契約事項を反故にしてもいいようなことについて、国や社会を脅かすような過激な意見を吐いてもらっても困るのであります。中小企業の経営者にしても、そこまでは考えていないのではないでしょうか。元気で勇気づけられますが、あまりにも発想が短略であり、幼稚で乱暴であります。影響するところを真剣に考えてもらいたいものです。金融市場が混乱することは明らかであり、ことは銀行だけに止まらず、一般の民間の契約ごととか、約束事までにおよんだりして軽重浮薄な風潮が世の中に蔓延していくようなことになってもいけません。中小企業を金融面からバックアップするのであれば、別にもっと有効な手立てを講じるべきだと思うのですが、どんなものでしょうか。大変でしょうが色々と検討して、もっと有効な政策を持っていってもらいたいと思います。
  公共事業で取り沙汰されている項目には乱脈を極めているものが白日のもとに示されてきています。改善していくなかで、ひどい実体が次々と暴かれてきていて、見ている国民が慄然とする場面があります。こうした不要不急のものも含めて根本的に洗いなおして無駄を省き、生活者に対する支援を通じて国民経済の活性化を図る政策は一理ありますが、同時に、ばら撒きの印象をぬぐうことが必要です。経済成長を重視して企業の競争力を挙げて、総体的な経済力の底上げを期する政策も、明らかにしてもらいたいと思います。経済は巡りめぐって家計に跳ね返ってくる現実も注視しなければなりません。雇用対策一つを採ってみても、歴然であります。企業と家計の両輪が、円滑に廻っていくことが大切であります。

     オバマ政権が、ブッシュ政権時代の政策と決別したように、民主党の鳩山政権も自民党時代の利権としがらみを絶ち切って、新しい独自色を出して共鳴を得ています。今までにも幾度となく申しているように、初志貫徹、清新な気概で、この国をよりよい方向へ持っていってもらいたいと思います。好人気が、内閣支持率がいつまで続くとも限りません。この先躓かずに、功を焦らずに、性急にならずに、国民の期待に応えて、政策の遂行に勤めてもらいたいものです。先ずは、順風満帆の出だしであることをめでたく思っております。

 
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  私事で恐縮とも言いがたき面がありますが、昭和経済会の会員は内外で大活躍していることは周知のことですが、最近、失速してあわや墜落寸前の経営にまで追い込まれた「日本航空」に、ようやく朋友で当会の筆頭理事でもある高木新二郎君が、その経営建て直しの再生チームのリーダーに就任しました。同社の経営に就いて、大胆にメスを入れて、再建、再生に買って出たわけであります。彼なら迅速、明快かつ豪快にやってのけることでしょう。
  「就任お目出とう」、などと言う雰囲気ではありません。 企業再生のエキスパートとは言え、敢えて火中の栗を拾い、ひん死の企業救済と再生を図る危険な仕事であります。頑張ってくれと、激励のエールを贈るしかありません。日本航空といえば、文字通り日本を代表する企業であり、日の丸を掲げて世界の空に羽ばたいて行く象徴的存在であります。それが何とも心もとない話でありますが、安全就航にも支障をきたしかねない経営状態とあっては何をかいわんやであります。よくもぬけぬけと社長を務めていられるもんだと、ばかばかしさを通り越して、腹立たしい思いであります。
 産業再生機構の大役を果たし、機構を解散した後、私は高木さんに向かって、「今度は日本航空の再生に向けて高木さんが社長に就くことが適任だと思うがねえ」と申したくらいでありました。産業再生機構も役目を終えたら、自らの手で早々に解散させてしまったのです。天下りの先に利用されないためであり、これはかねてからの持論でもありました。
 今から思えば私の勘が的中したとも言えますが、日本航空の再生チームのリーダーに就任したことは、なるべくしてなったとしか思えません。名外科医だから積年の膿を出して、経営方針、財務体質、労働組合、経営陣の刷新なども含めて思い切った改革を断行すべく、大胆な結論を迅速に出すことでしょう。そのときこそ日本航空は、晴ればれと天空に向けて飛翔してゆくに違いありません。今から、新生JALの日を待ち遠しく思っていおります。
               (10月1日 記)


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       オバマ氏にノーベル平和賞  
 
 オバマ氏に輝くノーベル平和賞授かる報に空澄みわたる

 オバマ氏の核廃絶を訴へる身にふさはしきノーベル平和賞

 人類に平和の鐘を打ちならす核廃絶の声高まりぬ

 ノルウエーのノーベル賞委員会は9日、2009年のノーベル平和賞をバラク・オバマ米大統領に授与すると発表しました。これを受けてアメリカ国民はもとより、平和を希求して止まない全世界の人達が喜びに湧いています。
 オバマ氏は大統領に就任して10ヶ月、ノーベル賞の受賞は異例ですが、その意味するところは大きく、全人類の異論なきことは言うまでもありません。初の黒人大統領として選挙に打ち勝ち、アメリカ発・未曾有の大恐慌を始め幾多の難問山積の課題に取り組んで立ち向かう姿は、万人の共感を呼ぶものであります。
 世界不況の克服に挑み、国際平和や地球環境などの問題に、対話と協調を行動の原則として、果敢に取り組むオバマ氏に、世界は今大きな期待を寄せています。難関の突破口を開いたオバマ氏は、世界の人々に「よりよき未来への希望を与えた」ものとして称賛を明確に示したノーベル平和賞の授与でした。現実的であり、実践的であり、未来的であることに大きな意義を見出すのです。
 暗闘と強欲にあけくれたブッシュの悪政時代から、勇気を以て決別したオバマ大統領の姿勢を高く評価して、いち早くこれを認めたもので、ノーベル賞委員会の決意と勇気に敬意を表します。
(10月10日記)


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      ( NY株式1万ドル回復を喜ぶ短歌)
 
 
ニューヨーク株式市場で1万ドル株価回復に鳴るベルの音

リーマンの破綻に暴落のマーケット株価1万ドルに要す1年

暗黒のリーマン・ショックのニューヨーク株式に見る先の曙光

手をたたき喜びあへるウォール街走る人らに笑顔うかびく

米企業々績回復にニューヨーク・ダウ1万ドルをこの日突破す

   確信と安堵のいまだ湧かずして株式相場のこの先のこと

去年(こぞ)九月リーマン破綻のマーケット・ショックは今にいやし得るかな

新興国成長による経済の基調にたよる欧米と日本


   
14日のニューヨーク株式市場で、ダウ工業株30種平均が1万ドル台を回復して、1万15ドル88セントでこの日の取引を終えました。リーマン・ショック以来、1年ぶりの戻り高値です。今週に入ってから米企業の決算発表が本格化していますが、決算内容の発表が事前の予想を上回ったことを好感しており、全体に企業収益の底入れ期待が高まってきています。昨日はJPモルガンが好決算を発表したことで、リーマン・ブラザーズの破綻以降急速に冷え込んだ米景気と金融市場に先行きの明るさが目立ってきました。この持続的傾向を堅持して行ってもらいたいと、それが世界の安寧と発展の道筋を描きうる、強い原動力と信じています。  
   目下のところ、FRBのゼロ金利政策や、大規模な量的緩和などが功を奏し、加えてオバマ大統領の景気回復をねらった大型財政出動も回復基調を加速させてきた結果であります。加えて金融市場の混乱のさなかにも、中国の内需拡大政策と、国内市場の旺盛な需要に支えられた国際経済のダイナミズムを無視するわけにはいきません。
 折しも世界は、G8主要国会議から、G20国際会議に経済の軸足を置いてきているように、今回の世界恐慌からの立ち直りは、新興国の台頭、わけても13億の人口と豊富な資源に裏うちされ中国経済の力に負うところが多大であります。、以前から申し述べております通り、中国当局のすぐれた政策と相俟って経済拡大はダイナミックであります。今回の景気回復は、新興国の台頭を象徴した歴史的転換と変化を意味しております。
 その中国は建国六十周年を迎えました。今日の中国のダイナミズムを予想して、当会は25年前に経済使節団を組んで中国北京を訪問し、相互理解と協力を基礎として経済発展を目ざすべく、啓蒙促進のための大胆な突破口を開いて、その使命の大役を果してきましたが。今期もGDPの9パーセント前後を予想する中国です。外貨準備高も2兆ドルを突破する勢いです。その経済力はやがて世界を牽引していく規模になりつつあります。中国の今日の経済大国としての様相に、深い感銘を覚えております。
    
 ひるがえって、日本経済の現状と先行きは深刻であります。政権交代を果たし、わが国日本も大きな時代の変革と転換期に差しかかっております。熟慮した、効果的な経済、財政々策を迅速に打ち出してゆくべきであります。鳩山政権は、今、税金の無駄をなくし国民の生活重視の政策を果敢に打ち出しています。補正予算の見直しと、無駄な支出を削り、マニフェストに愚直に従って、生活予算に振り替えつつあります。申すまでもなく、経済は常に流動的であります。臨機応変、予算の仕分けが適切かどうか、同時に検証してゆくことも必要であります。
   例えば税金による財政支援が、需要を喚起する消費に回らず、将来の備えとして貯蓄してしまう事例、又、高校までの授業無償といった、しかも一律支給は合理性を欠いています。勉学に燃えた貧しい家庭の学生を対象に支給することによって、真に生きたお金に変わっていきます。そのための懸命な財源捻出の姿は、頼もしい限りですが、しかし裕福で必要の無い家庭の学生まで一律ということになると、これまた税金の無駄使いということになってきて、懸命な財源捻出の努力はむなしい気がしてきます。税金のもっと有効、適出な支出への振り替えも勉強すべきであります。鳩山政権が船出してまだ一ヶ月しかたっておりませんが、これから現実的に困難な問題がでてきます。突発的な問題も出てくることでしょう。機に臨んで敏、穏健且つエネルギッシュに、あくまで国民の目線に立って問題処理を図っていくべきであります。   (10月15日記)

世界の株式時価総額 45兆ドル


  NY株式市場が一万ドル台を回復したことに象徴されるように、今、新興国を始め世界の株式相場が上昇基調を強めていることは世界経済の動向を見据えて好ましい傾向であります。地球全体の経済膨張を占うと、好悪の両面が指摘されますが、戦費に向けられる厖大な資金が、平和時の産業・福祉関係に回っていくだけでも、経済の質的内容が違ってきます。核兵器廃絶に向けた国際社会の大きなうねり、そして軍縮を総括して推進してゆくことは、広く国際的地域の経済隔差を是正し、紛争地域の消滅につながってゆきます。
 世界の株式市場がリーマン・ショック後の二月につけた底値から、1.5倍にまで上昇し、世界の主要52市場の株式の時価総額は45兆ドル、日本円にして約4090兆円に達したと報じられています。これはリーマン・ショック以前の水準に近づいたことになります。
 二月末には二八・七兆ドルでしたが、10月16日時点では44兆8000億ドルといわれています。ブラジル、インド、イギリスなども戻り高値を更新しています。これに比べ日本の株式市場は約三割の増加にとどまり、その後進性は如実で、将来が思いやられます。世界的潮流にひとり日本だけが取り残されていく事態も無きにしも非ずです。思うに今、日本の証券市場の活性化への努力が欠けています。規制の強化ばかりに目を奪われ、魅力を失った市場に生きた資金の流入が閉ざされている結果です。
 もとより市場には反社会的狼藉者が、時に不法な行為をしでかすものもいることでしょう。それはそれは論外であります。市場の株価形成で困っていることの一例では、値のつかない株式が多く散見されて市場機能を失っている点です。買って値がつくと意図的に値をつけたといって、株価操作と称して、監視委員会なる職員からその動きについて目をつけられるそうです。しかも最低単位の1000株程度の商いで、その取引きの内容について一々問い合わせてくるそうです。純粋な小額な投資家ですら近付けない雰囲気だそうです。これでは市場性を確保することは出来ません。意味の無い話ですが、こうした職員を雇って高い給料を払っている方をもっと監視して、国民のための証券市場に育てていかなければなりません。正常な株価形成には色々な要素が含まれて来るでしょう。
 公開されている以上は、その社会的責任からして、一般株主に対する上場企業の努力も必要なことは当然であります。取引きに対して必要以上の監視があるとすれば、閉鎖的で健康的な取引きとはいえなくなってしまいます。逆に言えば政府が株価操作に加担しているといわれても仕方がない感じがしてきます。何のためのマーケットなのか、その機能をもっと認識してもらいたいものです。統制経済みたいな市場に、外国の資本が入ってくるわけがありません。関係業界者は四苦八苦の状況です。国民も株式の売り、買いに困っているようです。株式の売買は、全て自己責任です。必要以上の関与は、かような無駄な機関の維持に関わらざるをえなくなり、そのための人間を雇っていること自体無駄であり、国益を損ねているのです。
    閉鎖的な市場が、日本の株式の上昇を阻んでいる感じです。正常な市場の育成と、市場の株価の上昇は、内外からの資本の流入をもたらし、国内の有力な購買力促進にもつながってくるでしょう。証券市場の思い切った改革が必要であります。民主党の政権は、こうした忘れ去られている旧態然とした制度や規則に目をやって改善、廃止していくべきでしょう。   (10月19日 記)


        国会開会と鳩山政治
  
     第173回国会が10月26日午后から開かれ、衆参両院の本会議で鳩山首相が就任後、初めての所信表明の演説をしました。正味52分間と、歴代首相のなかでも一番長く穏やかな口調のなかでしたが、文字通り「友愛政治」を標榜し、政権交代を平成の維持と位置づけ、熱のこもった判りやすい内容でした。それは自分の言葉で国民に語りかけ、訴えるものだったからでしょう。
      基調演説であり、所信表明なので、政策の具体性の欠ける点はゆがめません。これからの各種委員会で充分に審議されてゆくことでしょう。その基調は、「政治主導」で戦後行政の大掃除を推し進めるということでした。そして又、自らの政治理念である友愛精神を以て、誰もが生き生きと暮らせる社会を実現することが政治の目的であると強調しました。
     首相は「人間のための経済」への転換をかかげました。コンクリートから人間教育への投資を強調し、雇用や人材育成、食品安全、消費者重視、国民の生活の豊かさをみたす経済社会への転換です。物重視の社会から、心重視の社会です。これほど素晴らしい政治理念を率直にかかげた政治家もいないのではないでしょうか。問題は、やはり経済的豊かさを問われてきますから、精神論、情緒論だけで済まされないのが現実であります。企業の繁栄が、家計の豊かさにつながっていくことの事実、それをいかに公正に全うさせていくような仕組みに立てていくか、そこが大切な課題でしょう。
     少なくとも従来の発想をかえてゆこうとする姿勢は、高邁で勇気がいります。コペルニクス的転換の発想と云っても過言ではありません。精神論を説いて、実体経済に切りこんでいくことは、今までとは違って画期的です。
     所信表明とは裏腹に、首相には難問山積の課題が沢山あります。かかげる脱官僚依存の政治を始め、国内経済の回復もあります。明快な説明を以て、誤解なく外交的には沖縄基地の問題、来年度予算編成と枚挙にいとまなき大きな壁があります。一方で自らの政権を平成の維持と位置づけ、政治主導の政策推進と実現に向けた国民本位の政治の実現に大きな努力が必要であります。ご健闘を祈っております。(10月26日記)

平成21年10月1日

社団法人 昭和経済会
理事長 佐々木誠吾


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