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社団法人昭和経済会

理事長室より
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理事長室より

Vol.9-02 オバマ大統領就任式

 


オバマ氏の大統領就任式の模様を,日本時間の21日深夜の1時から2時半迄、BS2で見ておりました。歓喜に沸いた民衆が会場を、そして広場を埋めつくし、参加者は史上最大の規模となり200万人を超えるとも云われております。遠くからオバマ氏を見ることができませんが、雰囲気の一体感を味わい、感動を共有したいという大多数のアメリカ市民の気持ちからでしょう。零下7度という寒気の中を、未明から就任式場を目指して、人の波が続々とワシントンに向かって動き始めました。
          オバマ氏の大統領の就任式二百万余の群集に沸く
          変革をめざし前へとオバマ氏の力量才知に期するアメリカ     
       思えば八年間、アメリカ国民はおろかな指導者に出会ったがために、イラク戦争とアフガニスタン戦争を今も抱えたままです。そして乱脈の果てに二年前に始まった金融市場の互解で、経済は未曾有の大不況に直面しているアメリカです。今は、その焦燥と、閉塞感に立ち喘ぐアメリカです。そうしたさなかにあって建国以来、初の黒人大統領の登壇とあって、その歴史的状況と意義と期待は測り知れません。 私も、共感を抱き、アメリカ人と一体となって、アメリカ大統領就任式を万感を以って見守っていました。
          未明より就任式に大観衆共に歴史の幕を開けんと
          雪雲のたれこむ空の明けそめて光かがやく朝となりけり
          
      未明、雪雲の垂れ込めた空には次第に暁光が差し込めて、やがて空はこの日の式典にふさわしく、きらめく快晴の天気となりました。 壇上のオバマ氏はやや緊張した面持ちで、リンカーンが使用した小さな聖書を手にして、第44代アメリカ大統領の就任の宣誓をしました。続く就任演説では、盛り上がってフィーバーするアメリカと、アメリカ国民に対し、今こそ過去と決別して、危機脱却へのチャレンジ精神を発揮する必要を説き、さらに国民に対して自由とともに責務を遂行していくことを訴えて披瀝するものでした。オバマ新大統領の面ざしには、厳しい現実と幾多の課題が立ちはだかっている様子が覗えました。演説は昂ぶることなく冷静であり、普遍的な内容を持ったものです。今のアメリカと、同時に世界とは意識を共有し、この難関を突破して襲い来る荒波を乗り切って力強く前進していかねばなりません。
          颯爽と立つオバマ氏の演説にまなこ厳しく先を射抜くに

     私は先の所見で一首を詠んで、その心境を伝えましたが、就任式に伝わる光景から、改めて一首の意味と感慨をいみじくも味わい、世界の人々は危機克服に一体となりうるものと確信しました。

         経済の荒波を受け沈むことなく力泳し先を目指さん
         楠の木の大地に広く根を張りて風雪に耐え強く伸び行く
         有史來大混乱の経済の世紀の報道に勤む明子よ

      21日のニューヨーク発、モーニング・ニュース・サテライトの番組の冒頭、娘の明子がニューヨークのタイムズ・スクウェアから、オバマ新大統領の就任式の模様を実況で伝えてきましたが、歓喜に舞う街頭の群衆に混じって、アメリカの変革と再生を期する光景は如実であります。この先、難問山積のアメリカですが、それは直ちに世界に及ぶ問題でもあります。国民が団結して克服の道を進み、希望と責任を各自が自覚している様子が判りました。私たちは、この灯火を絶やさず、持続してゆかなければなりません。オバマ氏の演説は歴史の大転換を示すものであり、世界に通じたものとなりました。そうした思いを、いつものように和歌に詠んで一部を載せておきましたので、お読みください。


      又、私は熱覚めやらぬまま、ニューヨークに滞在し業務に専念する大河徳成氏に、次のメールを発信しました。

           大河徳成様
  寒さが厳しいようですが、お元気のことと思います。
  オバマさんの大統領就任式も無事に終わって良かったですね。昨日は、夜中の2時半まで起きて、その模様をテレビで見ていました。希望と期待の渦巻く式典でしたが、それだけ現実は厳しいという裏返しなのでしょう。
   しかしアメリカの変わり身の速さと、ダイナミズムには、世界を、時代を圧倒させるものがあって、大いに啓発されます。
こうした時に、ニューヨークに滞在して実業に従事している大河さんは、大いなる体験を積んでいることの意義をうらやましく思います。
   2月中旬を目指して、ニューヨークに参ります。又お会いできるかもしれません。
  ニューヨークの厳しい寒さも体験できるので、反面、楽しみにしています。 早々。
     1月21日。         佐々木誠吾。  東京。


      
      又、千載一遇のこの機に出会い、青雲の志を以って世界経済の中心地ニューヨークに派遣され、未曾有の経済変化の真っ只中で同じように活躍する友人に、大手金融機関で活躍している高崎幸太郎君も忘れることが出来ません。同君の力量才知と行動力を買われて丁度二年前、まさかのニューヨークに転勤になって行きました。将来を荷って進む若い人たちにとって、貴重な試練は、必ずや人生の大いなる夢と希望の実現に繋がっていくことでしょう。しかも世界的な広がりを持った変化に挑むものであります。誰もが体験できるものではありません。この時代的教訓をも、見逃すわけには行きません。
      信念堅持、理想と実行を掲げて颯爽と登壇した若きオバマ氏の姿に重ね合わせて、例えば大河、高崎両氏の飛躍する人生街道の大舞台も、誠にうらやましき限りであります。身近にそうした青年諸氏が立ち上がっていく姿を大観することの喜びも 、又ひとしおのものがあります。

     
      熱狂に沸くワシントンDCのオバマ大統領を祝ふ民衆

      待望のこの日を迎へわれらみな先に希望を持ちて進まん

      式典の大群衆の声たかく歓喜と希望の渦巻く波に

      憂患に生き気を引き締めつ思いやる心を持ちて人に接しむ

      アメリカの再生を期し国民の自由と責務を説けるオバマ氏

      艱難は練達を生み練達は希望に通じ絶ゆることなし

               1月21日     佐々木誠吾。

平成21年1月20日

社団法人 昭和経済会
理事長 佐々木誠吾

Vol.9-01 孟子の教え

 

経済の荒波うけて沈むことなく力泳し先を目指さん


孟子の教えに 「憂患に生き、安楽に死す」 と云う言葉があります。つまるところ、困難があれば心が緊張して長生きし、安楽だと心がゆるんで早死にする と云う戒めであります。全てがそうだと言い切れませんが、程度の差であり、状況次第ということで、この教えは至言であります。人間は困難に直面して、これを努力打解することによって向上を図ることができますし、反対に安楽をむさぼって為すすべなくして堕落することもあります。 国家の興亡も同じです。今までの歴史を振り返ってみても、私たちのすべからく体験して教訓を得るゆえんであります。
       この教えを百年に一度、否、人類始まって以来の経済の激変と混乱といわれる現在の状況に当てはめて、これを克服してゆくことの意義を確認することも大切かと思います。
       私たちの人間社会は、謂はば自然界において機能する有機的社会であります。困難を克服するところに進歩があり、安楽に興悦していれば堕落、頽廃に繋がってゆきます。今、世界は未曾有の経済的危機の状況にあるといわれております。数年前と違って、きわめて急激な経済のグローバル化、フラット化によって、それが加速されています。一国の政策によっては、収拾がつかないものとなっていて、各国が連携して対策を講じなければなりません。最近、ようやくそうした動きがでてきました。昨年11月に開かれたG20の国際会議は、その発端であります。人間の英知が、それを促した結果であり、早晩、世界的協調が世界の秩序を取り戻し、人類の危機を救う手立てとなるのでしょう。
      個人的な見解ですが、孟子の教えは私の人生訓の一つとして、思考と体験の中に強く生き続けてきております。思うに、戦前戦後の生活と社会の状況を思えば、天と地との落差がある程に、今は全ての点で恵まれています。贅沢を云ったら限りがありません。人間の欲望には限度がありません。同時に人間の 「贅」の自己満足にもおのずと限界があります。これでいいと云えば充分であり、状況に耐えることもできます。許容範囲は上下(量)、左右(質)にわたり限りがないと云うことでもあります。
      極論すれば、「千畳敷きにいても、寝る時は畳一枚」とまで云い切ることもできます。要は人間としてどうあるべきか、人間としてどう生くべきかがいつでも問われています。孟子の教えを個人的生活範囲から、世間的、社会的、さらに世界的視野に広げていっても変りはなく、普遍的なものとしてこれを把えてあてはめてゆくこともできるでしょう。
      「憂患に生き、安楽に死す」と、現在の状況を把えて、奮起発揚すべきであります。
今年は、その試練に世界の指導者がためされる時であります。今月二十日に就任する米国のオバマ新大統領の手腕に世界が期待していますが、それだけではこの世界的困難の克服の道につながりません。多くの国々が参画して一致団結し、この難局に立ち向かうことが肝要であります。
      日本は、アジアを始めとして新興国の行動を一つにまとめて呼応し、指導力を発揮すべき責務を荷負って居るのではないでしょうか。金融資産一兆四千億は円高の恩恵のもと、益々潜在力が高められてきました。そのことを自覚し、日本の経済の行動力を示すチャンスでもあります。円高、そして資源マーケットの沈静した今こそ、一陽来復、捲土重来を以ってそのメリットを最大限に活用しなければ、何ぞ益ならんやであります。即ち、この機を捉え、国の総力を結集して先陣を切って牛歩の如く進むべきであります。疲弊した地方経済を活性化し、景気回復の公共投資も必要になるでしょう。民活を促すための大胆な規制緩和も決断すべきであります。又、市場経済の原則をおろそかにするわけには行きません。しかし、そこにはおのずから乱脈を排し、自制心をもったものでなければなりません。適正な監視も必要であります。中曽根元首相が「昭和経済」で啓蒙しているところですが、露骨な拝金主義は最も戒めなければなりません。
      国内の足許を固めながら、中国、韓国、東南アジア、新興国を含め、そのリーダー格を遺憾なく発揮することが急務であります。新年を機に、希望を抱き、企業家の結束と奮起を促す次第です。

          円高と原油急落に日本の実力発揮の機は到来す

         オバマ氏が打つ政策の迅速に大胆なれば奮い立つなり

         変革と不況打開のオバマ氏の獅子奮迅の年は明けたり

         政策の矢継ぎ早にて新鮮に大胆なれば民意沸き立つ

         オバマ氏の気骨に威風堂々の才知に信と力みなぎる

         経済の不況克服に邁進すオバマ政権に神のご加護を

         オバマ氏に開拓者精神の躍如たり今王道を行く姿たけしも

                                   一月五日     

平成21年1月5日

社団法人 昭和経済会
理事長 佐々木誠吾


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