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社団法人昭和経済会

理事長室より
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理事長室より

Vol.11-04 産業活動の一時停止

  産業活動の一時停止

  東北関東の大災害によって生産拠点を破壊された日本企業の多くが操業不能に陥って、日本経済が今大きな損害を被っております。これは直ちに世界の経済に大きな打撃となって、世界の各地にある生産拠点を直撃しています。
  グローバル化が進んで世界の経済と産業の仕組みは、複雑巨大なフレイムワークとなって有機的に稼動しています。そして世界的な規模で、産業の分業化が進んでいます。その上に立ってインターナショナル・ファクトリー、即ち世界工場が操業しています。
従って、例えば分業の一役を荷う日本の部品工場の生産が停止されると、その部品が一つ供給さらないことを以て、全体を組み立てることができません。関連する全世界の工場が、そのために活動できなくなってしまいます。中間生産財を含め、最終工程までが作動しなくなって、組み立てることが出来ず、完成品が市場に供給されなくなって、需要に対応することができません。産業と経済活動がその間停止されてしまいます。日本に起きた災害によってこうした事態が今世界的に起きてしまって、一部の産業界に深刻な事態をもたらしています。商品が円滑に消費者の手に渡らない事態が起きています。従ってお金の流れがとまってしまう深刻な現象が起きております。
身体の血液の流れが止まってしまい、心肺停止となって、生身の身体では深刻な生命の危機という事態の発生であります。これは死の宣告にも等しいことです。加えて厄介な問題が立ちふさがってきております。原発の損壊から放射性物質が飛散して、周辺に恐怖を撒き散らしていることです。放射性物質については、国の威信にかけてあらゆる困難を乗り切って、これを食い止めなければなりません。目に見えぬ死の粒子が空気中に飛び散って、工場の再建を邪魔している一因でもあります。
  日本の工場稼動の停止は、世界の工場の停止を意味して全産業に及んできています。インフラの整備を第一に、一刻も早く被災地の復興に立ち上がって、住民の生活拠点を新たな視点にたって再建を図りそのための復興資金の調達を目指して、菅内閣は迅速に補正予算の審議と成立を目指すべきであります。
      
      おほなゐと巨大津波に放射線物質におびゆ被災地の民
       目に見えぬ死の矢おもてに立つ民の放射性粒子におびゆ日に夜に
おほなゐと津波の山のおそひきて原発基地を壊しゆくなり
      美しき港の街を襲ひくる黒き海かさ増してけはしく 
      襲ひくる巨大津波にさらはれし屋形を見つめ泣きくずれけり
      気仙沼もまたたく泥の海と化しなゐと津波のあとの廃墟は
      丘に立ち眺むる海の果てに湧く黒き巨大の壁のせまり来
      リアス式海の岸べに美しき港の街の今は廃墟に
      いとほしき汝がふるさとの崩れさりがれきのあとに立つはむなしき
      天地のなにゆゑかくも荒れすさぶ神に仕ふる人を襲ひて
      地を襲ひ濁流となり人々を呑み込みて去る非情なる海
       あめつちを犯し続けて死を迫る見えぬ物質は人が作れり
       縄文の御代を生き抜く賢人のまなこするどく今日を見つめり
         かへりみず神の掟を犯す者いま鉄槌のくだる時とも
      主が創る地上の秩序をみだし汝が慾望の先を見るが思ひに
      美しき山河も時におほなゐと津波に破壊さるるこのくに      
      津波きてみなとの船も家もみな微塵となりて海にながさる
      岩礁にあたる津波は宙に舞ひやぐらとなりて崩れおちけり
      おそるべし波の高さは百尺と迫りて街を奪い去るなり
      住民のあっ大変だのひと声にまたたくまにも街は失せけり
      荒れはつる海の岸べに累々のしかばねありて救ひあたはじ
      死の灰てふビキニ環礁の核実験半世紀を経て今の如実に
      原爆の洗礼を受くこの国に今も原発の放射能の降る
義援金募る駅頭の学生にかうべを下げて申しいでけり
      チェルさんの身をもくわしく伝えきて主と共にある日を喜べり
      非情なる海をながめてなにゆゑと牙をむき出し襲ふ思ひて
      呆然と海をながむるみなしごのうつろまなこの癒しがたきに
      わが神よ災ひにあるくにたみに手をさしのべて救ひたまへや
      世の中のすさぶるなかに幸ひの道を歩みつ主を喜ぶと
      荒れ狂ふ世に幸わいの道をゆく主とともに在り今をよろこぶ
      死に至る放射能をば世に流す鬼にもひとし輩おりしは
      世の中の乱れに乗りてあれこれと策を弄する人の多きに
教会の御堂に立ちて被災地の人を思ひて祈りけるなり
      十字架の主よわが国とくにたみをこの災ひゆ救ひたまへや
      荒れ狂ふ世にも主にあり喜びつ楽しむ身こそまことなりけり
      国力を半ば失ふこの国の先は気概と知恵をもとひに
      主にありて喜びみつる我れが身の楽しむ日々の糧に感謝す
      神さまが在られることの真実をくり返し読む詩篇三十二
      主と共に在りし我が身のうれしさと喜びの日を常に楽しむ
      まほろばを牙をむき出し襲ひくるふくれる海の黒き山波
      原発の基地の破壊に放射性物質の天地を犯しゆくなり
      人災の恐怖を今に顧みてこの先ひとはいかに生き行く
      おひなゐと津波が日本の原発の基地を破壊しあとのおぞまし
     オフィスの七階に居て毎日の余震に耐へて事に励めり
      このビルも揺れにかよわく縦横のゆれにあはせて我もゆれおり
      オフィイスの窓に眺むる界隈の銀座の群れも揺れにゆれけり
      何事もなく眺めしはうららかに真澄のそらの果てのかがやき
      東電の株を資産として長く持ちこし人の暴落に泣く
      東電の株を安全と先を見てたよるあまたの老ひし人あり
      国たみの天災にあふどさくさに難をのがれて稼ぐ者あり
      春かすむ弥生の空のおぼろげに花ちる宵の気仙沼の海
      松島の海に小舟をめぐらせてはるかに旅をしのぶ夜かな
      おほなゐに起きたる波の山と化し海が狂ひて押し寄せて来ぬ
      ふるさとを襲ふ津波に身をとらる人らに神の御霊あれかし
      盛り上がる海は次第に山かさになりて陸地をおおひくるかな
      東電の株を秘かに持っていた妻があきらめ顔に申せり
      おとなしく真面目な人が東電の株を大事にもてる向きあり
      顔みれば東電の株なぞ買ふまじき経営者のみな味わいなきに
      役人も経営者もみな頼りなき原発事故に当たるすがたに
      発表も二転三転の事故現場解決が無く今日もすぎたり
      かなたより膨らむ海の襲ひきて港を呑みて山にせまり来
      おほなゐの海より街を襲ひきてすべてを微塵に呑み込みていく
      うちおそふ波は巨大にどす黒く家も車もまして人らも
      悲しみのどん底にあるわが民を力をあはせ救ひゆかまし
      さりげなく照る月かげの青白く廃墟の街をうつしだす夜は
      抱き合ひて無事をよろこぶ母と子のさは良きてての波に奪はる
      大なゐのなゐふるあしたさつばつの港と変りおぞましきかな
      ふるさとのあとかたもなきみちのくに宮沢賢治のうたをよむよる
      陸奥の越前高田てふ街に思い出深き女と逢ふ瀬よ
      おほなゐのあとに大波の襲ひきて廃墟となりしひき波のあと
      ははの手を放して海に流さるる廃墟の町にひとりたつ児よ
起ちあがる民の力に希望もちゆくこの国の先を望まん
      ゆるる地の十字架の主の贖ひに被災の民をなげきかなしむ
      あめつちを治めて全知全能の神をおもひて被災地に立つ
      不条理の世をなげきてもさはさなりまことの道を求め行くかな
      天然の力を前に止めがたき天変地異の荒れくるひけり
      村長が村民を連れ大挙して移住を図るしゅったつの朝
      年老いしおのこがひとり岩に立ち瓦礫のはらをみつめすぐせり
      天然の定めにそひて生きゆかむ春に燃えたつ樹の芽ながめつ
      おほなゐと津波に埋もるふるさとに夜の明け染めし海鳴りの音
新しき視点に立ちて被災地の再建復興に国を創らむ
      戦災の一面焦土のあのときを思ひとどめて国を興さむ
      天災のあとに人災の襲ひきて国の存亡のかかる今なり
      被災地の東方洋上にアメリカの精鋭隊の船の配置す
      日本を原発事故の被災より救はむとするアメリカ艦隊
      地震より怖はきもの今放射能汚染に怯ゆ日々の暮らしに
      津波きて船をこわして流し去るその爪あとのおぞましきかな
      三陸に地震と巨大の津波きて港の街を呑みこみて行く                                              4月2日

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国家の危機に挑む

  今年に入ってから地上は地下にうごめく巨大な、強烈なマグマの胎動に揺れています。
  地上は火山の噴火を始め東北から関東にかけて、東海岸は近来史最大と思われる天災に見舞われました。地震発生後の翌日、アメリカのオバマ大統領は日本の災害をいち早く知らせ、日本が壊滅的打撃を受け、アメリカは最大の支援を惜しまないと連絡してきました。日米逆転の立場に立った迅速な発表であります。これに人災の原発事故も加わって、日本は今、悪夢の危機的な状況に置かれています。炉心の冷却と排出によって、放射性物質によって汚染された大量の水が未だに止められないでいます。危険な放射性物質が空気中に、海水に拡散され始めて、事態は深刻であります。大気や海は、国境がありません。危険事故の発祥地が日本であって、隣国を含め、周辺諸国に影響を及ぼすような事態はなんとしてでも避けねばなりません。既に日本の産物や製品の輸入を止めている国も出てきています。
  国を挙げて必死の緊急対策が打ち出されています。事態を重く見た外国からの救援隊も参加しています。アメリカ艦隊はいち早く、三陸沖の太平洋上に配置され、救援活動に原発事故の処理に献身的活動をおこなっています。原発大国のフランスは首相が先陣を切って来日、原発事故の専門的処理班を送ってきています。事の重大性は日本にとどまりません。放射能の漏出と恐るべき拡散に対して世界的、地球的規模の陣容で備えていますが、わが国も国民も日夜、懸命な努力を払い、色々な手を打って試行錯誤を繰り返しています。前代未聞の災害に翻弄されて、残念ながら不安な毎日を過ごしているのが実情です。この窮状を打開し、一刻も早く正常な状態に戻すことが出来ますよう願って止みません。忍耐と希望を持って尚、原発事故の収拾に臨むべく努力、精進しましょう。

        *
 義援金募るわらべの美しき笑顔にふれて申しいでけり
 大なゐと巨大津波に奪はれし人のみたまの安く在れかし
 みほとけの情けにふれて黄泉にたつ人の旅路の安くあらまし
 かなしみに打ちひしがれし被災者に神よ力と恵み給へし
新しき視点に立ちて被災地の再建復興に国を創らん
 戦災の焦土に立ちて復興に目指すあの日を思はんばかに
 山道にここより下に建てるなと先祖の教へをしるす石文
 天災のあと人災の襲いきて国の存亡にありしこの国
農村と漁村の人の災害の癒しがたきに悩むわが民
 東北の産地の野菜の放射線浴びしといひて棄てさられけり
 丹精に育てし若菜は放射能浴びしといひて忌み嫌われり
 世界より頑張れ日本と熱き声地球のまろきことを覚へし
 被災地の東方洋上にアメリカの艦隊配置の異常事態に
 日本を原発事故の被災より救へと決死のアメリカ艦隊
 原発の危険物質を公海に流してしらを切る愚か者
 百尺に及ぶ津波は船を押し民家の屋根に置きて退く
 岩礁に当たる津波はみずばしら上空高くあげて散りけり
 あめつちを創り給ひし神おはしそれを破壊す人の群れあり
 人災の恐怖を今に顧みてこの先人は如何に進まん
 扱ひにてこずる間にも放射能見えぬ恐怖を世にも散らせる
 原子炉に酸素だ水素だよう素だと爆発を避けのがる人らよ
経済の落ちこみけはしこの国の原発事故の洗礼を受く
 事故続き失敗続きの二十年人災続きのこの国のさま
 他の国の発展進歩の経済に大きく遅れを取りしこの国
 日本の政治の貧しさ明らかに社民の党首に辟易たりし
 どさくさにまぎれて事を謀る人いついずこにもさまざまにいて
 おさなごが怯えつててとははを呼ぶ廃墟となりし汝れがふるさとよ
 世をあげて大被災地の復興にはげむ老若男女問はずに
物足りぬわざ繰り返へしいらだちぬ原発被害のなほ収めえじ
 放射能汚水を海に放出す止む無きとはいへ何たる醜態
 原発の放射汚染をたれながし国の威信も地におちにけり
 災害に東北地方の経済の破壊けはしく先に及べり
 日本の経済力の落ち込みにいらだち覚へ日夜はたらく
 この国の危険を避けて外人の離れて街におもかげ絶へし
 街なかの店の灯りも消へふせてひとの行き来のなきはさびしき
 この先の長きにわたり原発の恐怖とたたかふこの国の民
原発の基地竣工に湧きかへる地元福島の今は悲劇に
 原発の破壊におののく住民の死の元凶を断ちがたき今
 セシウムの飛散の数の無限にて宇宙の星の数も斯く又
 天災の地元経済を直撃し操業不能の工場多し
 放射性物質拡散の大量に被害甚大の日本列島
 慨嘆す原発事故の発生にはつかすぎるに収束なきは
 隠蔽とおごる姿勢に東電と政府もまじへ疑ひにけり
原発の事故に打つ手の後手後手に解く手のなほも詰まる思ひに
 松島の離れ小島に白き舟漕ぎて被災のさまを見るかな
 松島の離れ小島のうららかにさくらのはなの咲くをながめむ
 海の辺にひとのすがたの絶えてなくかもめの群れの舞ふは変はらじ
 原子炉の温度上昇に危険度の日にけに増しておびゆわが民
恐るべし炉心溶漏のメルトダウン悪夢に汗をかきて目覚めり
 手探りのままに過ぎたる三週間原発事故の修復ならず
 福島の原発基地の大惨事民の被害の計りしれずも
 国力の低下に及ぶ原発の事故の防止に手立てなき国
 産業の根幹ゆるがす原発の事故と汚染のとどめなきかな
 此処よりは下に家を建てるなと石碑に先祖の教へ彫らるる
 いさり火の海の闇夜に灯る船いざはなれ行くさらに沖へと
 学習を終へみちのくに旅立ちの夜汽車にながむ灯る港よ
 みちのくの旅の息子につきて行く芭蕉の奥の細道のあと
 れんげ咲く阿武隈川の堤にて息子と憩ふみちのくの旅
 磯はまに打ちよす波の音清くこころに染みし遠き日の旅
 天童の宿にとまりてせせらぎの音のさやけき月の夜かな
 東北の地に朋友のあまたいて国の被害に嘆きわずろふ
 みちのくの青ぎる春のまほろばを乱し壊せるものは何ぞや
 おもいでの修学旅行に釜石の港に泊まる船のともしび
 松島の島をめぐりて鶴亀の謡にあはせて春さかる郷
 はらはらと気のやすまるる時もなし原発事故の現場あらはに
 冷却を逸し炉心の爆発に至ればもはや救ひがたきに
 何か良き方法はなきものかとも石棺をして封じ込めては
 炉を殺す術もなき今神さまに祈るしかなきことを夢にも
 手際よく何故やれぬかと原発の事故修復に詰まるこの国
 慨嘆を越えて怒りに変わりけりそそうを犯す者の始末に
 日本に起きて世界に原発の事故の被害をおよぼすに大
 大學の実験室でもあるまいに試しと後手に解決を得で
 みちのくのに巨大地震のおきて今またたく間にも月がすぎけり
 みちのくにわが友がきの多くゐて思ひわずろふことも多きに
おほなゐのあとの余震の止まざるにおののき暮らす被災地のひと
 被災地の瓦礫の山にふるさとの思いもくじけ涙流れり
 放射能汚染の水のあつかいにこまねく間にも広くまびろぐ
 野路に立ち旅人を見つめ流さるる仏のありて嘆きかなしむ
 見据えたるまなこ鋭く石佛の荒れたる国を眺めかなしむ
 惨めなりああみじめなりこの被災天の配剤かくも何ゆえ
 天然の災ひに会ひ痛ましきみちのくの世のいまだ癒さじ
 惨めなりああ痛ましきみちのくのよろずに襲ふ災ひのあと
 みちのくに春来たりなばほととぎす何事もな鳴きぬさかりに
 ててははと別れはらからを失ひし童がひとり先のいかにも
 被災地に春めぐりきてあらくさの花にあかるき望みいだかむ
 被災地の古き校舎の庭に咲くさくらの歌を歌ふわらべら
 菜の花の咲く庭畑にささやかなわが幸はせを思ふ今朝かな
 庭畑に立ちてここにも放射能ありし思へばうろたへにけり
毎日の新聞を見て煩ひぬ死の放射能に触るる思いに
 目に見えぬ死の元凶の放射線物質におびえ慣れぬ日にけに
 ふなびとよいざうなばらへ漕ぎいでよ大漁のしらせ寄せるはえの日
放射能おびし木の葉のいかならむ萌黄にそめし色のふしぎさ
 人のみにあらで生きとし生けるもの死にたへゆかば何ぞむなしき
 日本の国より世界におぞましき放射線の飛び犯し行く
 原発をもちたる国は死の灰の定めにのがる道のすべなき
 目に見えぬ放射線のこの国の土と海とを侵し行くなり
 この国の土に生き行く真面目なる人らを刺して殺すこの先
 雨音にうなされ起きぬ黒き雨とも見たがへし夢のふちかな
 原発に反対の妻は賛成の齋藤先生に問ひし昔に
 良識の斉藤長官すら推進す危険の原発基地の建設
 大規模の土地の地盤の沈下にてなゐの力に消ゆる国土は
 広漠の豊かな土地を失ひて再起の道に覚ゆくやしさ
 原発の事故にわれらがこの先を案じて富士をおほぎみるかな
 この国の先を憂へて先達の諭吉の書をば読みてすぐる夜
 開国と敗戦の日とこのたびの大震災に耐ふるわが民
 目に見えぬかの放射線に浸る世の悪魔がささやく夜におびえけり
 戸惑ひてわずらふ世こそいとまれぬ原発事故のあとの始末に
 とろとろと燃えてかがやく朝の陽のまぶしき果てにのびるうなばら
 山なみをはるかに望むたかはらにうぐひすの声やまず聞こへく
 庭畑のみず菜を採りて味噌汁に今朝のすがしく春さかりなり
庭はたの青菜を摘みてよく洗ひ朝餉の炒めものとはめしも                           被災地の港をはなれ山道を行くさきに咲く山ざくらかな
被災地のすみに芽生へしあらくさの青々しげによみがへる地よ
 
          4月6日


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     放射線物質の避難区域よりふるさとを捨てのがれいく子よ
     天然の恵みに生きる良き人をことわりもなく奪ひさるとは
     暖かき手をさしのべて励まさる被災者たちへ天皇の旅
     被災地を訪ね悲しむすめらぎを癒しなぐさむ水仙のはな
     平成の道けはしともすめらぎの民と苦しみ分かちいくかな
     苦しみに耐え悲しみをうちけして明日に生きる被災地のひと
     にくにくし巨大津波にさらはれし人のみたまの安き祈らむ
     天災に追い討ちをかく原発の事故におそはるこの国のひと
     遅いきし国の難事に立ち向かふすべての民のいかばかりかや
     おおなゐと津波に命を奪はれし民のみたまの安くあらまし
     暗黒の海の底にも沈もれしひとらに神のみ手の熱きも
     うららかな祖国の金に替えがたき悪魔の手にもかかり悶えり
     この国を救ふ道こそたっとけれ如何なる術を講じ行かむや
想定外予想外にて想像外すべてに責務をのがれんとす
     今むかし科学技術庁長官の講演に原発のことにふれしも
     原発に反対の妻賛成の齋藤長官に問ふ放射能危機
講演会にて斉藤長官に質問す原発危険の多々ありしこと
     原発の危険を述べて長官に妻が禁止を訴へる日よ
     原発に絶対安全の保証なし万が一のときに如何や
     日本の科学技術の最高に原発事故のなしとする氏は
     今に思ふ妻の齋藤長官に原発につき問ふはいみじき
     原発の炉心溶融の危機を問ふ妻に答へる齋藤長官
     妻が問ふ齋藤先生に原発の事故の先にもいずれありしと
     国内の景気に暗き影落とす被災地復興にはやるこの国
     原発に絶対安全の神話なし危険にそなへ如何にあるべき
     農民と漁民の土地を奪ひたる巨大津波の逃げ去りしあと
     家もなく糧もなき日に追はれたる人の津波のあとの暮らしは

     原発事故による放射線物質の拡散が依然として止まらない中、半径二十キロ内の警戒区域が設定される深刻な事態になりました。立入禁止であり、地域の封鎖を視野に入れた、第二のチェルノブイリの惨状と廃墟を想起させるものであります。広大なロシア連邦の国土ならいざ知らず、たかだかその四十六分の一しかない日本の事であります。土地の単位当たりの人間の文化支配度、経済貢献度はもとより、区域内の人口密度も然り、単位当たりの土地の価値は天と地との差であります。汚染によって喪失する土地の経済的喪失と損害は計り知れません。事態の深刻さが窺えるでしょう。
     事故発生後、既に一ヶ月余が経過していますが、懸命な修復活動にもかかわらず、福島原発事故の現場は予断を許さぬ状況が続いています。依然として日本国と日本国民の悲劇的状況が、不幸にして消えずに行く手を阻んでいます。大地に、海上に散らばる放射線物質は、我々がわからない数字によって、その汚染の膨大さが逐次示されていますが、今のところ改善の兆しはありません。恐るべき事態に、我々は不信と不安の毎日を送っていますが、暗然とした将来の見通しに忸怩たる思いでおります。世界の技術を結集して、外国の援助は謙虚になって受けなければなりません。巨大企業の東電には情報公開をためらい、奢りと隠蔽工作に慣れてきてしまった積年の企業体質からいまだに脱却できない習性があって、事態を一層悪化させているのです。加えて時の政権の足もとがぐらついていて右往左往する有様で、対応振りに不信感を募らせるばかりです。
     科学技術の先進国として世界に大きく認知されてきた日本にしてこの始末とすれば、現在、原発を所有稼動させ、建設中のものを含めて世界の国々が危機感を以て、日本の状況の推移を見守っているところです。人間の生命の危機を犯してまで、危険極まりない化け物に斯くまで翻弄されてまで、我々の生活の贅と欲を追い求めていく必要が果たして現実的なのでしょうか。一歩踏みとどまって考えてみようとする動きが、遅まきながら世界の各地で始まっています。
     現状の危機的状況と厳しさは、此処でとやかく議論していてもはじまりません。一刻も早く現場での混乱と被害拡大を防ぎ、その収束すべき手立てと行動に徹するしかありません。収束に当たっている現場での作業員の果敢な行動に、その安全に、神のご加護あらんことを祈るばかりであります。             4月20日


 

平成23年4月5日

社団法人 昭和経済会
理事長 佐々木誠吾


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