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vol.17.4
H社の親睦会
3月24日午後5時からマンション建設販売会社のH社さんの主催によるH社会・感謝の集いがグランドプリンスホテルの新高輪で開かれた。会員であるが、益々隆盛を誇って今や驀進中である。かっては倒産寸前に至って株価がたった17円にまで落ちてしまった会社とは思えないくらいの復活ぶりである。心から敬意を表したい。この日のホテルで最も広い会場の間となった「飛天」の間は千人の来客を収容できるもので、その広さに圧倒された。当日はH社創業80周年に当たり、それを祝う会でもあった。弊社でもH社殿とは親しくご交誼を頂いて、商談を重ねることしばしばの実績があり、そうしたことでお招きを頂いていた。大勢の参加者で会場は一杯であった。主宰者と会社側の挨拶では、九百人近い出席者だったそうである。盛大な会場となって盛会であった。
どの会社でもそうであるが、 H社さんは戦前戦後を通じて多難な時代を生き抜いてきただけに、現在に立つ社長の挨拶は歴史を回顧し、身に感じて真に迫るものがあった。とりわけ苦心談を語るくだりは、企業業績の悪化を示して株価が十七円にまでなってしまったことを述懐していた。倒産寸前の株価である。崖っぷちから這い上がってきた艱難辛苦のほどは、手に汗を握る感銘を覚えるものであった。今は一兆2000億の売り上げを目的に2020年には1兆5000億達成のためグループ全社が一丸となって努力奮励中とのことである。会社の拡大発展はそのまま社会的ニーズを満たし、社会に貢献していく証左である事、それは又、会社をサポートしてくださる招待者の人たちのおかげだと、しきりと感謝の念であふれんばかりであった。
五時半から会食懇親会が始まった。会社を支えて多大な業績の躍進に寄与した協力会社に対する感謝状の贈呈式があって、これが二十分ほどで済んだ後、会食懇親会が始まった。立食であったが、周囲に沢山の椅子が配置されていたので、私は専ら椅子に腰かけ飲食を楽しむことが出来た。会社の行き届いた配慮が目についた。900人からの食事と飲食を整えるには大変な準備が必要である。広い会場もそうした人たちの往き来でごった返すような雰囲気であった。途中から華やかでダイナミックなエンターテイメントが始まった。エレキの音を最大限にあげ、今若手で人気の女性歌手が登場し、マイクを握りながらバンドをバックに中央舞台を所狭しと駆け巡りながら歌っていた。物凄い迫力で喧騒にも聞こえたのである。私はあまり興味がなかったので椅子に腰かけ、H社の担当社員と携帯電話で連絡し合って、幸いに人混みのなか会うことが出来た。ご招待いただき御礼を申し上げ早めに会場をあとにした。飲食の宴会も終盤に入ってきたので、コーヒーを飲んで早めに会場を後にしてホテルからハイヤーで帰途に就いた。
かなり飲んだり食べたりしたが、幸い胃の方は無事であった。無理をしてはいけないと思いながら、久しぶりに飲んだ酒である。人前ではあまり歌えないので帰途に用意されたの車の中では一杯機嫌で、村田英雄の「人生劇場」や、デイック・ミネの「ある日の午後」、藤山一郎「青い山脈」、高峰三枝子の「湖畔の宿」などを好き勝手に歌っていたら、年配で、懐メロの好きな運ちゃんだったのだろう、喜んで聞いてくれていた。「浜千鳥」の歌は流石に良い歌ですね、と云って嬉しそうにハンドルを握っていた。 続 4月1日
*
桜の開花宣言
数日前から東京で「桜の開花宣言」がなされたが、その直後から、花冷えと云うよりは底冷えのする気候が続いて、残念だが本格的な花見は数日ほど遠のいてしまった。期待していた行楽客は、先日の連休日は肩透かしを食って二分咲きの花見を観桜する人はまばらであった。それよりも気まぐれなこの寒さは異常と云えば異常だが、大陸から南下してきた高気圧で、太平洋側に置かれた前線に北から冷たい空気が流れ込んで、全国的に肌寒い陽気になってしまった。高気圧も北に押されて、今日あたりから全国的に気温が上がって桜はそろりそろりと満開の時期に入るとのことである。今日の出勤途中、東横線の中目黒駅で乗った、地下鉄日比谷線の窓から見た目黒川の桜は、三分咲きとなって川べりは薄桃色の霞がかかっていた。この日の通勤電車で中目黒に降りた私は、進行方向のホーム先端に向かった場所から、目黒川の桜並木が満開となってことに気づいて、その豪華絢爛の花模様をしばし楽しんでいた。まるで上段の貴賓席から、絢爛の花の舞台を眺める気持ちでいた。この光景だと次の土、日の休日は花見客であふれることだろう。それより前の今日の花の金曜日は、文字通り花を楽しむサラリーマンの人たちで、ごった返すに違いない。
拙宅の近くでも、桜見物の場所は沢山ある。近くには等々力不動尊の桜や、深沢緑道沿いの桜、九品仏境内の桜と云って枚挙にいとまがない。家から出るとすぐに農園があったり、公園があったりして、そこでも桜の花を観桜出来る。我が家には染井吉野の桜が一本、古くから植えてある。居ながらにして、楽しんで眺めている。拙宅の近所には幸いなことに思い思いに花を楽しむことが出来る。生まれ育ったところが東京の下町の浅草猿若町だから、花の名所には事欠かない。ふるさとの桜の名所と云えば、謂わずと知れた上野の山は都下随一だし、隅田川の堤の桜も古くからの名所である。滝廉太郎の名曲「花」を生んだ場所にもなっている。言問橋をわたると隅田川の長い堤に沿って、一帯は古くから花の名所になっている。向島百花園はすぐそばである。堤にはゆかしい老舗があって、桜餅や言問い団子など名物品も多い。小さい頃を懐かしく思い出すところである。
桜の楽しみ方には、それぞれ適った観桜の時期がある。桜の二分咲きの頃は、何となくそそとして初々しさがある。満開の時は言わずもがなで、爛漫とした桜の花の付き具合は豪華絢爛であり、この世の春を謳歌するには十分である。人々の心は華やかに浮き立ち、猫もはしゃいで酒を飲み踊り出す。昼夜を問わず、華麗な花びらの下で、緩急宜しく遊び惚けるのである。三日見る間の桜かなという話を聞くと、爛漫と咲き誇った桜は、やがて一枚一枚と花びらが舞い始め、満天の星のようにきらめきながら、短い命を終えて空に舞っていく。この時の桜花爛漫の花の空も一気に激しく燃え尽きて行くようである。散り急ぐ花の命のはかなさを知って、人の命と世の中に重ね合わせて、無常観にしたる風情である。桜の花の一生を振り返って、平家物語や徒然草の諦観的なやるせない思いがふと頭をよぎっていく。「驕れるもの久しからず、ただ春の夢の如し、盛者必衰の理りを知る」。きれいで滑らかな言葉であるが、ドキリとして胸に突き刺す物凄もがある。
さわさりながら桜の花が散り去った後には、すべての樹木の芽生えが勢いづいて、この時を節目として若葉、新緑のみずみずしい季節がやってくる。「萌え出づる春は来にけり」と、小鳥たちが野や山でさえずり、光みなぎる若々しく躍動感にあふれる季節である。人の愚かさと無力さを知り、そして森羅万象、流転の掟こそ、しみじみと味う瞬間である。 4月3日
うららかな春の日和に五分咲きの川の堤の花見たのしき
言問いの橋より眺む爛漫のいずれ散りゆく桜花かな
つややかな弥生の夜に花さかる隅田の茶屋にひとり酒飲む
隅田川言問橋に立ちて見る屋形の船の赤きともしび
うららかな日ざし差し入る等々力の浅き谷間に咲くさくらかな
ダンデイーな花見帰りの三井氏にほうれんそうを抜いて差し上ぐ 4月3日
注目のトランプ・習近平会談 シリアに米軍のミサイル発射
日本時間で午前7時から、日中首脳会談がトランプの別荘で開かれた。今夜は、華やかな歓迎の夕食会はなごやかに開かれた。トランプ大統領としては、前回の安倍首相の時と同様、最大級のもてなしを以て習首相夫妻を迎えている。笑顔の習金平首相の表情を見たのは、実際のところ初めてである。温和な風貌はゆったりとした表情で、好感に満ちている。幅広く世界に活躍しても良い。
歓迎夕食会のさなかであるが、二日前にシリアの化学兵器使用に対して多くの子供たちを巻き込んで死傷者を出す事態となったことに対し、人道上、国際条約上越えてはならぬ一線を越えたとして、アメリカは安全保障上からの対抗措置としてシリアの空軍基地に対し、59発のミサイルを発射して施設を破壊した。トランプ政権としては、初めの軍事行動である。ここ一両日、北朝鮮のミサイル発射が行われ、今また繰り返し核実験の情報が取り沙汰されている。挑発行為に対する緊張の度合いが今まで以上に増大してきている。北朝鮮の対外政策に、もっと良い知恵を発揮して国際社会に仲間入りをしてもらいたいのだが、なかなか容易ではない事態が続いている。窮鼠猫を噛むの諺ではないが、無謀な北朝鮮の暴発を危惧するところである。アメリカのトランプ大統領は、反人道的で、無法行為に対しては、無法の北朝鮮を含めて全ての選択肢がテーブルの上に載せられていると、かねてから軍事行動も辞さないと主張していた。
シリア政府による反政府主義者に対する化学兵器の使用は、女子供を含め悲惨な結果を招いている。猛毒の神経性ガスのサリンを使ったらしい。化学兵器を使わなければ、戦争をしてもいいというわけではない。戦争はすべからく禁止すべきであるが、人間の欲望を絶たない限り争い事は続くし、そうだとすれば人間にとって戦争は十字架を背負う、これは宿命ともいうべき悲劇である。
戦争をいかに回避して、話し合いによって問題解決を図るという単純な思考が、もはや絶たれてしまっているような気がしてならない。 更なる混乱を招かないよう聡明な判断と、事態収束に向かった実現可能な解決策を速やかに望みたい。 トランプ・習近平両雄の世紀の会談の有意義なこと、画期的な成果を少しでも得られんことを祈るばかりである。 4月7日
有意義な米中首脳会談
束の間の花見の夢をぶち壊すシリアにミサイル発射のアメリカ
シリアより神経ガスの攻撃に無実の子らに悲惨な被害が
米軍の対抗措置の爆発す化学兵器を使うシリアに
期待せん世界の平和の構築に米中会談の意義を噛みしむ
トランプと習近平の会談の笑顔こそ良き両雄の立つ
新たなる理念に立ちて新しき平和世界へ進め!米中
米中が手を取り合へば繁栄と平和の道は自ず開かん
米中の小異を捨てて大同につく道筋の成果大なり
米中の超大国の両首脳理解と和解の道を拓かん
自由主義市場重視の習近平トランプ思想をしのぎ優れり
中国の自由貿易の旗掲ぐ争ひのなき思想を期待す
泰然と構へる習近平の満面に笑みを湛へる姿あっ晴れ
プーチンの暗い感じの手法よりさすが明るき習近平の
安倍さんも習近平と向き合ひて経済外交のこと語りあへしは
実篤が仲良きことは美しき哉と申せし事のありけり
半世紀前の訪中団を思い出す団長を務む若かりし頃
訪中団率いて日中民間交流を促し大役を果たす我なり
流石なり習近平の人間性明るく直き素性よきなり
トランプの多弁に比べ習近平泰山木の花に思へし
広大な祖国を背負い雄大な米大統領に向かふ習氏も
聡明な知性と豊かな感性を生かして築け平和への道
ミサイルを発射の北朝鮮の予告なり脅か過ぎの庭花火かな
今どきの世界に逆行の王朝を築く野望の何と虚しき
太陽節迎えて築く王朝を稚拙な挑戦統一構想
朝鮮に金王朝を築かんと考え方の平和策なれ
この度は原爆実験と予告せり指物米も怒り立つなり
小生が先程論じた朝鮮の統一解決策を習えし
才媛の夫人と共に訪米の習近平の良き人間像なり
ミサイルをシリアに発射と耳打ちすトランプにうなずく習近平は
米中の首脳会談に期待せん世界平和と繁栄の道
トランプと習近平が新しき理念に立ちて築け世界を 4月7日
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長兄利夫の十三回忌法要
四人兄弟の長兄ががんで亡くなってから早や13年が過ぎた。歳月の経つのはあっと云う間である。少年時代、戦前戦後の苦難の時を懸命に生きてきた間柄だけに、数々の思い出が頭の中を通り過ぎて、ペンを執って書こうと焦るばかりで、結局書けずにきてしまっている。はやる気持ちだけで慙愧に耐えない。
4月の8日の土曜日、かねてから姉からの連絡があって、兄さんの十三回忌法要を菩提寺の即随寺で行うことになっていて、家内と一緒に十時半に家を出た。娘十八番茶も出花、桜の花も八分咲きとなって初々しい見頃である。連休は多くの花見客で行楽地は賑やかなことだろう。自由が丘駅から大井町駅に出、そこから総武線の快速に乗って市川駅に着いた。そこからバスに乗って即随時に近く小学校前と云うバス停で降りて徒歩3分の閑静な即随寺に着いた。昔はもっと田舎びていたところで途中での田園風景がのどかに楽しめたが、今はかなり宅地化が進んで往時を偲ぶことから遠いのもとなっている。戦後間もないころの記憶だから当たり前なことである。便利なパスモがあるので、乗り物にやたらと使いたがってみたくなる。そこで早速、定期循環バスに乗っていった。矢切りの渡しの方角に向かって行くが、江戸川べりの里見公園は左手近くにある。時間があったら寄ってみたいと思っていた。伊藤左千夫の小説「野菊の墓」の舞台にもなったところである。先に来て待っていた弟の和男君が玄関に出迎えてくらた。次兄もなくなっているので、兄弟は弟しかいない。弟は鎌倉山の笛田に住んでいる。三菱商事に勤務中、ロンドン支店から帰任した時に建てたものである。現在は湘南電車が房総線に繋がっているので、千葉の市川に一直線で来られるようになっている。鎌倉は小京都と云われるくらいに閑静で素晴らしい住環境にある。訪ねるときは必ず美味しい食事を楽しんだ後、すぐれた名刹を案内などしてくれる。今どきはウグイスの声が盛んに聞けるに違いない。
亡くなった利夫兄には三人の娘がいる。性格は共に明るく美人である。娘たちなので三人とも嫁いでしまい、それぞれが立派な家庭を築いている。長兄の妻である富子姉は、この三人の娘たちだけが集まって静かに長兄の十三回忌の法要を行うつもりでいたらしいが、私たち兄弟に声をかけてくれた次第で、幸いであった。
正午に菩提寺である即随寺に集まったが、さっそく本堂に入ると、ご住職と一緒に修業中の僧呂が従えて入ってこられた。ご住職は席に就くと、佐々木家の家族のことなど元気に過ごしていることを確かめながら、温和な笑みを浮かべて頷いておられた。長兄の十三回忌法要を謹んで営みましょうと述べられてから、しばらく静粛の時が流れた。み堂の中央に阿弥陀如来を祀り、衆生のほとけたちをご加護されて、神々しく在らせ、思わず手を合わせ恭しくこうべを垂れて黙想したのである。静かに読経が始まった。極楽浄土そのままに、香の立ち昇る堂内に桜の花びらが吹き込むような雰囲気に、読経はおごそかに、次第に朗々と響いていくものであった。 修行僧が素晴らしい声を上げてお経をあげるに合せ、ご住職の低い静かな声が間をはさみ、得も云えぬ調べとなって聞こえ、ありがたみが深々と心の底に伝わる思いであった。
供養の読経が終わったあと、み堂の裏手にある墓地にお参りに出かけた。手桶に清みずを汲んで手酌を持ち、子供のころから見覚えのある墓地のなかの小道を歩いて行った。今でははるか向こうに少なくなってしまった光景だが、雑木林のはるか向こうに、式場病院が見える。有名な孤高のさすらい人の画家、山下清を生んだ病院である。若いころは山下清の存在を知らなかったが、その後になってふとした機会で、画廊を訊ねたことがある。銀座1丁目の並木通りに小さな店で「さえぐさ」という名の画廊を訊ねた時に、純真な画風が気に入って買った一服の絵である。後に、有名な山下清という放浪の画家の作品だとわかってびっくりした。 この辺りには幸いなことに未だ牧歌的な雰囲気の残る地域で、遠い昔の儘の思い出が、ふと浮かんでくるからありがたい。 この日には、天国で眠る両親にも会えることが出来た。嬉しかった。法要と墓参りが済んで、私たちは用意されたハイヤーに乗って市川駅近くにあるフランスレストランで楽しい昼食をご馳走になった。兄さんの法要を恙なく済ませた富子姉さんに、心からのお礼を述べて労をねぎらった。最初は娘と自分だけの身内でやるつもりでいたらしいが、兄弟にも知らせてくれて、ささやかながら、凡人ならではの心のこもった兄の十三回忌の法要であった。
私はもともと仏教徒で、対して信心深い方ではなかった。しかし何かと云うと、すぐに手を合わせて祈る癖があった。両親はもとより熱心な仏教信者であり、加えて菩提が市川にある即随寺と云うめいさつであった。宗派も門徒宗と云って、仏壇に金をかけて贅を尽くすものであったから、家には大きな見事な仏壇が構えてあって、戦後、父が自力で求めた謂わば渾身の財産、力作であった。きらびやかな金箔の仏壇の内部におわしますほとけの像もきれいな立派なものであった。朝な夕な先祖に感謝して手を合わせる生活慣習に育ってきたのである。ましてや、お寺さんにお参りするのは大事な生活行事であった。感謝に明けくれる生活は寝に就いたものだが、大学に行って経済学部で学習、研究するさなか、近代経済学と一緒にゴットル経済学とドイツ語の学習を通じて酒枝義旗教授に師事して以来、キリスト教者としての教授から、イエスキリストに接する機会を得て、身近に感じる様になった。
故・酒枝教授は今もそうであるが、当時から著名なキリスト教教学者、内村鑑三氏と称されている偉大な学者であり敬虔なクリスチャンであられた。よって月刊誌・昭和経済にもたびたび原稿を掲載くだされ、その内容はもとより豊かな麗文にも接してきたのである。教会へは讃美歌に惹かれて時折通っていたにすぎず、遺憾ながら学習時代にはほとんど信仰心を持つには至らなかった。結婚した私の妻が、しばらくしてから洗礼を受け、熱心なクリスチャンとなって以来、私も教会に行くようになった。詳しいいきさつがあって、八年前に洗礼を受けた。先刻、玉川神の教会でおこがましくも証しを仰せつかったが、人様の前で証しをするような立場の者でもなく自信は持ち添えていない。酒枝先生や、現子未亡人の耳に入るとしたら、赤面の至りである。又、先に述べた様に、私は何かと云うと感謝して拝む癖がある。両親の真似事になるが感動すると、どうも手を合わせたがるのである。厳密に言えば、キリスト者としての修業が足りないせいか、こればかりは仕方がないと思っている。
話はそれてしまったが、今回兄さんが亡くなってしまった後も、富子姉が三人姉妹に恵まれた楽しい生活の様子をうかがうことが出来、私は、谷崎潤一郎の小説「細雪」を引き合いに出して、富子姉さんを加えると、華やいだ四人姉妹の席に加わることが出来て浮き足立つ思いだと云ったのである。生家の浅草を去って久しかったが、姉さんは今も亡くなった兄さんと一緒の場所で、末娘の夫婦と一緒に住んで生活した居る。千葉の先の姉ヶ崎の台地で緑豊かな、広々とした牧場を経営している。現在、馬を三十二頭も飼っているそうだ。 続
住職のみ堂に響く読経にて心の底に打ちて受けとむ
住職と修行僧侶の合わはせ読む読経の声を聞くや花の日
長兄の十三回忌の法要を営む花の即随時にて
長兄の良き人柄をしのびつつ祭の時を妻が語れり
長兄の十三回忌の法要に身内の集ふ花の菩提寺
戦争の戦火をくぐり共に生き互ひに助け合ひし仲なり
幾たびの危機を乗り切り永らへし戦後の時の何ぞ楽しき
幸ひにててはは身内の墓参りほとけが我らに与へ給ひし
花吹雪く華やぐ国の即随時墓参りせむ妻ともどもに
目がしらの熱くこもりて生活の戦前戦後の苦難偲びし
キリストもほとけもなべて衆生を癒し慰め救ひたまヘリ
穏やかな直き笑顔の長兄の今もやさしく思い出すなり
有難き利夫長兄の法要に早や十三回忌の歳を刻めり
兄さんの良き思い出の常にあり生きる力と励みなりけり
ててははと長兄、次兄夫婦とも同じ墓にて居寝る安けし
菩提寺は花の市川国府台名は即随寺てふ名刹なりき
兄さんとやさしく呼びてあとにつく兄弟愛の深き証しと
若き日の苦楽を共に生きぬきておのおの道を歩み行くかな
食いつなぐために百姓の生活を貴重な日々を共に過ごせり
金のなき戦後の父が田畑を買ふ意気込みに深く触れしも
でんばたの六反歩の土地を耕して慣れぬ作業に挑むはらから
たわわなる稲の実りに喜びて鎌振る手にも力こもれり
田畑の実りを前に喜べるててははの身になりて懐かし
兄さんが大八車の先頭に引く後押しを致す我らは
兄さんのまさかの病ひに倒れけるあの世に逝きて十三回忌なり
兄さんの畠つくりのずば抜けて土盛る畝の上手しそのあと
収穫す芋のつちむろ掘る兄の技と力のいずくより来し
ふるさとの山を訪ねて大声を出せば兄貴の声の木魂す
大声を出しておーいと叫ぶなば木魂にかえるふるさとの兄
柿の実の赤く色づく頃合ひに長き竿もち立てる兄かな
兄さんにおーいと呼べば木魂して直に聞こへる兄の声かな
懐かしき田舎暮らしの楽しさをはらから共に過ごしける日々
にわとりを初めて飼へた嬉しさに畠の中を追ひまわしける
畝つくり達者な兄のあとにつき飛び出すみみずを拾い集めり
田かえしをする兄さんの足元の田螺を取りて籠に納めぬ
大いなる気概を持ちて将来の希望を持つを兄に諭さる
兄さんの水戸商業に学び舎のふるさと得て幸いなりき
終戦後旧商科大学に入りしも家業のために断念せざるに
浅草の三社祭の御神輿の花棒を担ぐ兄に付く我
花棒を担ぐ親父の後に就き棒に肩入れ勇むはらから
浅草に両親家族らそれぞれに床しく偲ぶ姿在りけり
この度の兄の法要を喜ぶは浄土におはすほとけたちなり 4月13日
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緊迫する朝鮮半島 中止せよ!北朝鮮の軍事的挑発
四月十五日、金日成生誕一〇五周年を迎えた北朝鮮である。軍事的緊張が高まる朝鮮半島の情勢だが、この日の祝日では、幸い予想された軍事的挑発行動などは行われずに済んで幸いであった。首都ピョンヤンで行われた祝賀行事では、力を誇示する軍事パレードがひときわ目を引いた。国連決議を無視し国際的な経済制裁が続くなか、都市の開発に順調な経済発展を誇示する余力を見せることだけでも、実はそれなりの統治能力を示すことにもなろう。不可解な国である。
今年に入ってから北朝鮮は長距離ミサイルの発射実験を繰り返し、そのたびに精度を高めてきていることは歪めない。選挙中、トランプ候補は対北朝鮮問題の解決について、金正恩主席との会談もありうると主張してきたが、最近の北朝鮮の違法な軍事的挑発行動については流石にいら立ちを隠せない。国際社会の非難を無視し、近くに原爆実験も準備している状況に緊張感が高まっている。アメリカに対する敵意剥き出しな挑戦的姿勢は、平和と安全を希求する国際社会において許し難いことである。在日米軍を含み名指しして攻撃対象に上げて好戦的である。国際社会に対し矢鱈と恐怖をあおるばかりで、暴発を恐れる。
アメリカを名指しして弾道ミサイル発射と、原爆実験を繰り返す北朝鮮は、アメリカにとってまさに脅威の的である。強力に反対するアメリカはいかなる挑発に対しても限界があるとし、軍事的攻撃を含めあらゆる対応策はテーブルの上に置かれているとしていることもむべなるかなである。極東に配置する原子力空母カールビンソンをはじめとする艦隊を、急きょ朝鮮半島近海に派遣して、対抗措置に軍事行動も辞さないと強い警告を発している。
ピョンヤンで行われている国民的な祝賀行事からは、そうした緊迫した危機的情勢はうかがうことはできないが、米朝間では無益と思われるこうした挑発行為がエスカレートしている。北朝鮮の無謀な、偏狭で一方的な軍事的挑発が、更に今回の緊張を高めている原因であることは明白であり疑いの余地がない。トランプ大統領の前向きな呼びかけを無視している北朝鮮の、闇雲的な対応は、その真意がどこにあるのか理解できない。まさに気狂いに刃物と云った感じで、手の付けようがない。戦争となったら、北朝鮮の壊滅は目に見えており、周辺諸国の被害は甚大に及ぶ。その後遺症は長期にわたって続くことになる。シリア、イラク、アフガニスタンと云った内戦状態の混乱が起きてくる。こうした事態はどうしても回避しなければならない。狂人の相手と云ってこのまま放置することはできない。
そこで穏健な期待を今回持たれるにいたった中国の習主席の積極的な関与が必要になってくる。今のような軍事的挑発のみで金正恩体制の維持、金ファミリーの維持を図るために、更にはそのための軍事拡大を図っているとしたらそれは大きな誤算である。敵視政策を改めて胸襟を開いて、先ずはアメリカと話し合うべきである。大物のトランプは、話し合いの相手として、大きな理解者となるであろう。トランプ大統領は、北朝鮮の体制を容認する姿勢を示している。こんな素晴らしい展開は、今までの過去の世界的歴史であっただろうか。折しも、金日成生誕105年を迎えたと云う、政治的、歴史的事実は揺るがし難いものがある。これを認めながら如何に朝鮮半島の平和的統一、民族統合を図るかを民主的に模索して行けばいい。
そこでアメリカに対する敵対行為を破棄して、外交上の自立した関係を模索することである。アメリカのトランプは北朝鮮の体制に対しこれを保証すると云っているので、このチャンスを生かさないのは理に反している。先ず、核開発を中止してアメリカと不可侵条約を結び、最終的には平和条約を締結することである。北朝鮮の自立を維持しながら、韓国との対等な立場に立って、朝鮮半島の統一を図ることである。正しいことであれば、金王朝の維持を図り、政治体制は民主主義的な方策を取って、近代国家としての体制維持を図ることである。こう提案するのも、戦後既に七十有余年が続き、未だに南北三十八度線で膠着状態のままである。いい加減にして問題解決を図るべきである。朝鮮半島は、立憲民主主義という体制維持を諮れば、将来の発展の道は確保され、現在よりははるかに安全で平和な国家と状況が発展の道を保証してくれることになる。
トランプ大統領との会談を終えた中國・周近平国家主席の対北朝鮮政策の姿勢が大きく変わったことも、我々にとって一定の方向性を覗うことが出来、大きな成果であり希望である。中国の北朝鮮に対する政治的、経済的影響力は、絶大なものがある。隣国であるがゆえに自制を促してきたが、これ以上の暴発を赦すことは、中国にとっても有害な結果を齎すに違いない。トランプ大統領の決断は、先日のシリア・アサド政権に対するミサイル攻撃と合わせ、アフガニスタンでもイスラム過激派に対する超大型爆風爆弾なるものを一発投下して、決定的決断を示している。北朝鮮がアメリカの軍事力と大統領の決断を試すような、核実験を行うことがあれば、直ちにそうした軍事行動を命令すると云い切っている。トランプはためらうことなく実行するだろう。そうした時の北朝鮮の国威は、一挙に崩壊する危険性がある。25日にも北朝鮮の人民軍創立記念などを念頭に、愚かな原爆実験等行うようなことがあれば、事態は一層深刻化する。あるいは事前の先制攻撃も辞さないと予告しているくらいである。北朝鮮の今後の現実的な、且つ自らの有利な選択の道を取ってもらいたい。
井の中の蛙ではないが、独裁者・金正恩も目を覚ますべきである。いずれトランプが提唱したように、米朝会談が実現する道すじを真剣になって模索すべきである。今の独裁政治体制を維持しながら、話し合いで問題を解決する道筋は贅沢に整えられている。広く視点を変えて、朝鮮半島の民族統一を図る遠大な理想が、独裁者・金正恩に唯一の解決策としてもってもらいたい。独裁政治の良し悪しは、民衆が決めるものであって、外国の干渉を受けるものではない。超大国の政治的、経済的な力に屈するような植民地下の道を選ぶか、そうでなくたとえ小国であっても品格を持ち見識ある国家としての道を選ぶかである。ましてや民族自立と決議の道を選択するか、ひとえに北朝鮮と、韓国にかかっている。
韓国の民主主義の良い点と、今の規律的北朝鮮の統治力を混合して、両者の長所を掴んだ国家体制の姿を作り描くことである。朝鮮半島の平和と統一を視野に、将来を展望した考え方の確立が急務である。我々はそれを、東西ドイツの統一を果たしたドイツ国民の決断と英知に見習うことが出来る。戦後、既に七十二年余の歳月が経過している。三十八度線で分断されている朝鮮半島の現状の悲劇を、ここで絶つべき決断の準備に入るべきである。
アリストテレスは政治の理念と原理を次のように言っている。マルクスも、これに倣ったとされている。曰く、正義は社会の秩序なり。 善政は民の財を得、善政は民の心を得る と。世界の政治指導者が心して取り組むものだが、事は北朝鮮の指導者たちにとって、もっとも心して事に対応すべきものがある。
南北朝鮮を含めて、独裁者や一部特権階級の意見ではなく、民意を優先して、民衆の幸福を第一にとらえた、高度な政治哲学の発露が大切である。そうしたことは小職が先の理事長室の欄から、勇気を以て発信していることである。
4月18日
緊張が高まる朝鮮半島の情勢である。明日25日は、朝鮮人民軍の創殺85周年にあたる。そこで北朝鮮が、新たな核実験に踏み切るのではないかと云う観測がなされている。これに対しトランプ政権は、早くからそうした行動は国連安保理の決議に反する行為だとして行ってはいけないと忠告を発し、強い圧力を中国に求めてきている。中国も、北朝鮮のそうした行為に対し断固反対すると言明した。
アメリカは、こうした国際的な意向を無視して北朝鮮が核実験を強行した時には、軍事行動も辞さないとして、原子力空母の攻撃艦隊を朝鮮半島周辺に近付けている。互いに過激な挑発宣伝活動が活発化していて危険な情勢である。北朝鮮の核実験が計画されているとしたら、金正恩は断じてこれをおこなっってはならない。周辺諸国を巻き込んで、もとより北朝鮮の混乱と自滅の道は、明らかだかである。斯様な無益な行動は、百害あって一利なしである。金正恩はじめ取り巻きは妄想にとらわれず、もっと賢明な道を選択すべきである。軍事第一主義も結構だが、それだけでは威嚇外交に終わって民衆の安定と、経済発展は果しえない。外交手段を講じて、平和への道を模索し、国際社会に進んで仲間入りするよう視点を変えて努力してもらいたい。
懸念されていたフランス大統領選挙が終わって、今日開票された。結果候補者の四人はそれぞれ過半数に至らず、親EUのマクロン候補と、反EUのルペン候補の決選投票となった。次回の投票日は五月七日である。フランスのEUからの離脱は、決して好ましいものではない。EUの目的と主旨は、第二次世界大戦からの教訓から出発したものであることを忘れている。再び孤立主義に戻って、対立激化の原因を互いに作っていくようなものである。そもあおもろーろぱ大陸は数多い国技二から成り立っておりそう野の補完関係も複雑、密接である。常に軋轢が絶えない結果でもある。それゆえ頻繁に戦争も絶えないし、戦闘と殺戮の繰り返す歴史がある。EUの誕生は特に大二次大戦のむごたらしい惨禍と破滅の後に生まれた人類の英知の結果の結束である。のど元過ぎれば熱さ忘れるで、イギリスは三歩歩いたにわとりに等しい。そのにわとりも自分の糞の上では王様である。イギリスはEUから離脱したが、決していい結果を生んでいない。またぞろポピュリズムに乗ってフランスでも同じような保護主義、排他主義、孤立主義の思想がまんえんしそうで、危険である。今こそEUの団結が必要である。国の融和と団結が、 人類の殺人狂時代からの脱出に繋がる。 平和への道筋である。 四月二十四日
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かねたから如何におはすかと念じつつ栗田夫妻に便りせで来ぬ
汝が夫は神仏のもと天国と極楽に居て時を過ごせん
懐かしき旅先のこと思ひつつ再び旅に出でしとぞ思ふ
良き夫の亡きあとの春めぐり来て偲ぶ心の熱きあらまし
教壇に立つ益荒男の胸熱くこころに望むことのありしか
この先も世のため人のためならむ励まし人の逝くは惜しきも
我が淵の会計幹事の松田氏が俄かに逝くは口惜しきかな
主宰する淵の第百十六号友の追悼歌の声の熱きも
金沢の銘菓きんつばを持ちて来ぬけふはどら焼きを持ちて訪ね来
奥山にしみいる水の清らかに野にひろごりてうるほひにけり
ふるさとを金沢にもつ仁兄の人がらにじむ品の良さかな
奥ゆかし大和男の如実に手職場に仁義の思ひあつきも
商ひのきびしきなかに自ずから徳を示してゆかしかりけり
わが歌を忘れで読みし仁兄の思いに触れて心熱きも
同人に早稲田の森に学び舎を構ㇸし人の多く在りしに
酒を飲む春の月夜に不如帰浪子の台詞を述べてみるかな
千年も私万年も生きたいわ武夫の胸にすがる浪子よ
ふるさとの幾山川を越え行かば亡きててははの姿浮かび来
損得の亡き商いの鉄則に先ず人のため世のためならむと
この世にて全て気持ちの持ちよふで涼しくことに向かひあらまし
このままに過ぎゆく身とぞあらまほし躍如の道を行くはたのしき
昨日けふ心身ともに改まり良きここちにて手過ごしけるなり
常ひごろせはしく過ごす我が身にて全てひとりで事を済ますに
己が身の思ひのままに仕事して思ひのままに過ごす良き身に 4月21日
朝まだきアクアラインを走りすぎ町郊外の竹林にきぬ
竹林の街道を行くその先に燦然と建つホテルオークラ
木更津の街郊外の県道沿い敷地千坪の竹林を持つ
竹林を求めてのちの十数年たけのこ掘りに興ずこの時期
竹林に草屋を建てて炉をむすび思案に暮れし時もありけり
陶潜の詩興にありありて炉をむすび茶をたて住むも楽しからずや
若き日に酒枝、大内教授らに話しかければ果し得たかも
懐かしきゴットル経済学を学習す酒枝教授の昔しのべり
在りし日の酒枝、大内教授らと海釣り致す千葉の内海
さすらひの旅に発つ日のひとり身の寂しきことも歌にしるせり
休日にド・トールに来ぬ雨のなか物書きして雨宿りせむ
春雨の降りしく夕べド・トールに迎へに来たる妻のありけり
たそがれの色濃く残る尾山台商店街に明かり灯れり
紫陽花の次第に色の深まりて雨の具合に移りゆくかな
春雨に降りしくあした紫陽花の八を並べて店の開きぬ
尾山台商店街に春雨の降れば客足のはやる気色に
興発の会社に何か良きことの在りしか株の動きかろきに
株式の強気にはずむ商いに日頃働く意欲にも良き
本業の商ひもよく事すすみ株式市況の強き映して
トランプの勝利に株式上昇し早や三千ドルの幅を噴き上ぐ
不穏なる動きを示す北朝鮮ミサイル発射に核実験と
トランプの力を示す百日間就任後の基本姿勢は不変に
外交の動きにはすばやく対応しこちらは孤立主義を避けゆく
北朝鮮挑発行為に対抗し米艦隊の日本海へと
話し合ひ外交第一主義を優先し戦わずして勝つを旨とし
大輪の牡丹の花の咲きにけり華やかなりし艶やかなりし
つややかに牡丹の花の咲き揃ひ三つの花の濃むらさきかな
気付かずに居ればしばらくぼうたんの花びら落ちてあはれなりけり
菜の花の菜種の前に刈りとりてのちの畑の肥やしにせんとや
菜の花の匂ひ留まり盛り終ふ始末に終日取りかかりけり
菜の花の終えるたるあとに撒くタネを揃へて畝を作りけるかな
木更津に竹の子ほりに出向かむと支度の前に小雨なりけり
木更津の街道沿ひに千坪の土地を買ひたる意図は何ぞや
購入す土地は縁にて意図もなくただ竹林の趣きにあり
ざつ木に生ゆる孟宗竹の勢ひに竹の子の芽も見るうちに伸ぶ
竹林に差しいる朝の光りうけ青ぎる竹に触れてみるかな
青竹のしなやかに伸び浅藍の葉のさやめきて色に揺れおり
艶やかな光を放ち竹つつのなかにおはせるかぐや姫かも
竹林の小道を行けば白々と薄き光の放つ月影
竹の子を掘る子供らの元気よく林の中を駆け廻りけり
竹の子の収穫を得て子供らの笑みの絶えざる終日なりき 4月25日
真ん丸に燃えて落ち行く夕日かな
夕焼の空こそよけれ飽かず見て
我が家の夕焼け空の極めけり
この世にも夕焼雲の曼荼羅絵
我が家の夕焼雲の染まりけり
野づら行く女子学生や夕焼雲
わが家への帰途に落ち行く夕日かな
夢路にも夕焼雲の棚引けり
みほとけの背にあでやかな夕焼雲
又歌ふ夕焼け小焼けわらべ歌
菜の花に触れて落ち行く夕日かな
江の島を巡る白帆に夕日影
夕焼の空を惜しみて畔を行く
夕焼の後の悲しき名残かな
夕焼の雲に危ふき我が身かな
夜桜につきの影あり目黒川
夜桜に我が身かくして月に吠ゆ
ぼんぼりにともる今宵の桜かな
紺青の空に落ち行く夕日かな
夏近し月の光に赤みあり
錦絵に勝る晩春の夕日影
仲見世のつるやの鰻取り寄せり
綺麗さも尻丸出しの羽抜鶏
正恩の身体も肥えて羽抜鶏
首伸ばし姿確かむ羽抜け鶏
郭公の遠くに聞こゆ至佛山
尾瀬沼を渡るかっこうの声の朝
郭公のどこまで伸びる尾瀬の朝
勇ましき軍鶏も台無し羽抜け時
トランプに目つきはなつき軍鶏に似て
風鈴の涼しげに聞くメルケル氏
風鈴の風のそよぎに色づきぬ
未だ早し蚊帳の匂ひの八畳間
トランプに寄り添ふメイの蚊帳の内
安倍首相習近平とが夏座敷
ムツゴロウどこ吹く風の正主席
飛びだして慌てる泥のムツゴロウ
北朝鮮ミサイル発射庭花火
社団法人 昭和経済会
理事長