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社団法人昭和経済会

理事長室より
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理事長室より

Vol.9-04 [堀江忠男名誉教授の回想記] [娘の結婚]

 

       堀江忠男名誉教授の回想記 
                 

     原水爆戦争と、核兵器開発の愚行について、今月号に載った早稲田大学名誉教授、故・堀江忠男博士の「わが回想記」を読んで、その明察に驚き、今感銘を持っていることがあります。記事は二十四年前の、一九八五年十月十五日に書かれたものです。
     「核の冬」について、当時、国連の学術連合会議の報告がありました。それによると全面核戦争で約六千メガトンに相当する爆発によって、広島に降された原爆、約四十六万発分が爆発することになります。結果、巻き上げられた煙と媒で地上は暗黒と化し、加えて湖沼と海水の沸騰が続き、その結果、地球上は寒冷化と干ばつが進み、一年後に約二十五億人が死滅します。爆発直後の厖大な死傷者が地上を覆う惨劇となり、医学的にも対応できず、人類は再起不能におちいると云うことです。想像するに余りあり、戦慄と恐怖のなにものでもありません。
     更に、話は続きます。堀江先生が、ノーベル経済学賞を受けたスウェーデンのグンナ・ミュルダール教授と会ったときの話です。当時、スイスでは政府が国民の各家に核シェルターを設けるよう奨励していました。それは馬鹿げた話だと、堀江先生は話されています。
核シェルターから這い出して自分だけが助かったと思ったら、大間違いである。地上は死体だらけの廃墟、強烈な放射能汚染、食糧も水も皆無。核シェルターの無益さを先生はミュルダール教授に話します。気付いた教授は、核シェルター作りなど止めて、その資金を以って、スイスなら湖水の清浄化、スウェーデンなら悪名高い重税を止める、その方が合理的と納得します。
     今、世界は、二〇〇七年七月に発覚したサブプライムローンと云う世界的な大規模の悪徳金融商品の瓦解で、未曾有の金融混乱と、不況に遭遇しています。こうしたさなかでも、人類は愚かな戦争を繰り返し、軍拡競争に国の威信をかけています。超軍事大国の後を追ってイラン、北朝鮮などが、新たに核開発に血まなこになって核保有国になろうとしています。その分、多くの民衆が、血税に苦しみ、生活苦にあえいでいるのが実情です。あまつさえ、戦争の渦中にあって毎日のように多くの犠牲者が出ています。人類はこうした理不尽な行為を止めて、矛盾を克服しなければなりません。
     アメリカの国家と社会に、歴史的胎動が現われました。旧幣を打ち破る国民の決意によって、初の黒人大統領についたオバマ氏に寄せる期待です。経済の凋落と、戦争の遂行と云う二重苦からの脱却を目指して、その解決に臨むオバマ政権は、強力な閣僚の布陣を以って威信を取り戻すべく、国内経済の救済と回復を目指すべく実行に入っています。そして国際関係と経済の建て直しを目指し、ヒラリークリントン国務長官を、国際関係修復の外交に立ち向かわせています。内外に山積する困難の克服は容易ならざるものがありますが、めざましさは、その矢継ぎ早やの経済救済対策と、クリントン国務長官の外交政策の展開です。
     クリントン長官は最近、日本を初めとしてアジア、EUなどを精力的に華麗な外交を繰り広げています。そして去る三月七日、ジュネーブでロシアのラブロフ外相と会談しました。そこで第一次戦略兵器削減条約、いわゆるSTART1に代わる、新たな核軍縮条約の締結について、年内合意を目指すことで一致しました。ちなみにSTART1は、米ロが核弾頭を六千発以下に削減するというもので、今年十二月に失効しますが、ラブロフ外相が云う通りもはや時代遅れの条約です。幾多の課題で、軍事大国の米ロ間で大きな前進が得られ、核を中心とした軍拡競争に歯止めをかけ、開発・競争廃止の機運を世界に発信することができ、オバマ政権下で大きな前進であり、成果であります。
     今日的課題の山積のなか、堀江忠男先生の炯眼の先に、優れた理念と解決策がオバマ大統領、そしてクリントン長官と重ね合わせて真実の如実なことを、本誌の回想録から、改めて勉強したのであります。ここに於いて先生が私に書いてくださった色紙の言葉、「真理は単純にして平凡である」を、古今東西を問わず、人類にとって重い力と教訓となって迫ってくる感じが致します。お互いに胸襟を開いて話し合いのテーブルにつくことこそ、相互理解を深め、受容の精神を以ってこそ、これからの問題解決が図られていくのではないでしょうか。
                                        3月8日 記


           
      娘の結婚

     私は今までにも度々、結婚の仲人に立ち会ったり、知人、友人のお嬢さん方の結婚式に出席して、祝辞を述べたり、祝杯を挙げたり、宴席を楽しんできましたが、愈々娘の結婚と云う喜びの機会にめぐり合うことになりました。娘が二月十四日、午后三時から勤務先のニューヨークにあるユニタリアン・チャーチで結婚式を挙げました。五時からは通称、「お屋敷」と称する立派な会場で、披露パーティーが開かれました。このため私と妻、長兄の裕介、義姉の恵子姉が二月十一日に成田を発ち、十二時間半を要して、ジョン・F・ケネディ空港に降り立ちました。そしてニューヨークのセントラル・パーク・サウスの五九ストリートに面した、ジュメイラ・エセツクス・ハウスに向いました。ここで六泊七日の余裕をもった滞在に、ニューヨーク生活をすごしてきました。
     長旅の疲れにもかかわらず、幸いにして体調絶好調で臨んだ私は、多くの方々の祝福を受けながら、教会での厳粛且つ、楽しい結婚式に臨むことが出来ました。そしてその後の披露パーティーでは出されたシャンペンや、紅白のワインを交互にたびたび飲んだりして、会場では、私たちもお客様と一緒になって楽しく陽気に振舞っていました。花婿の友人たちは、地元のニューヨークはもとより、シアトルやロスなどからお祝いに駆けつけてくれました。娘の友人たちも東京からわざわざお祝いに加わってくれました。祝杯のお酒にほろ酔い加減の私は、東京から来た若い茜ちゃんや、美香子ちゃんや、由佳ちゃんたちの席に割り込んで、年甲斐もなく大はしゃぎでした。即興で飛び出した余興がまた、上品なお嬢さん方に馬鹿受けしていました。
     ニューヨークで挙式を済ませた娘の結婚については、関連した話題が沢山あって、滞在中は実にたのしく、今振り返ってみると、あっという間に過ぎた一週間でした。後日、改めて昭和経済に書いてみたいと思いますが、詠んだ即興の和歌が三百首ほどありますので、先ずはその中から取り出して、下記に記しましたので宜しくお願い致します。結婚は万人に共通した人生の喜びの門出であり、周囲の暖かい祝福を得て新たな旅立ちの出発点であります。皆様の将来の貴重な体験の中に、少しでも感動を共に味わえるきっかけとなれば本懐の至りであります。旧かなずかいなので、読みずらいかもしれませんが、悪しからずお願い致します。
          
          娘の結婚
    白うめと紅き梅とか咲きあはせ娘があずく朝のわが庭
    すこやかに大地にふとく根をはりて大樹にそだつ男の子女の子よ
    告げぐさのほころび匂ふあしたにもわが子のあづく晴れのよき日や
    裕介と娘と我れと我が妹子にさづかりし身は神の恵みと
    ぶだう酒をのみて祝へり結婚を娘と会ふにジェット機の空
    わが生涯最良の日なり時なりと妻もひとしきここちならむと
    母も着ぬま白きドレスをいま咲かす娘の晴れのあづくその日に
    我がめこを思ひいとしみあがむ身と共にくらさめ良きやますらを
    わが母よ黄泉にてよろこび見つらむとわが子の花よめなりし姿よ
    人のため世のため己れを無なしうしテレビ報道につとむ明子よ
    雲海の空のまなかに太陽のかがやく妹のとつぐ近き日
    花婿もよきめこ得たりこの世にてめぐりあはせを神の備へと
    成田より機はカムチャッカ、アラスカへ、カナダ上空を経ニューヨークへと
    ニュートンの万有引力のことわりに確(しか)とおさまるまろき地球よ
    ほこらしく我は思ひぬわが子ほど知とやさしさにみつるをなごは
    すらすらと泉のごとくわきいでて娘の美貌と才知たたへん
    花婿の良きますらおと契り得て立つ我がもこの先を祈らん
    しらうめのさかる匂ひのただよひて娘をしのぶ今朝の庭かな
    よき夫(つま)とちぎりを交はしこの先の娘の道に安きあらまし
    わが妻が手塩をかけてはぐくみしおさなき汝(なれ)はいまは大樹に
    快調の旅さきにありニューヨーク娘の結婚式にまゐるに
    云ひようもなきうれしさよよろこびよ結婚式のはれの門出に
    ニューヨーク発大不況のさなかなり娘のあづく式にのぞむは
    されどまた世界経済の激変を日々報道の妹子のいそがし
    純白のドレスの娘とともにゆく真紅のバージンロード踏みしむ
    純白のドレスを着たる母を追ひ娘が今し咲かせ着つけぬ
    十字架にむかひバージンロードゆくさやぎしめこと腕をくみつつ
    父の子と母のむすめと育ちきて今しも巣立つその人として
    オペラ座の怪人、ライオン・キング見て今マンマミアのミュージカルの夜
    バイロンもゲーテもハイネも余に如かず娘のための褒めうたを詠む
    教会の貴きみ堂にしかれたるバージンロードの長く真紅に
    ウェディング・ドレスの娘と腕をくみバージンロードを進みいくなり
    激動の世のニューヨークに身をおきて励む花嫁にご加護あるべし
    結婚すすなほな妹子を支へたもふ良きともがきに栄へあるべし
    祝福ののちのダンス・パーティーに皆それぞれに思いたのしむ
    さかずきをかはし互いに祝ひ酒のみて娘の先を祈れり

平成12年3月16日

社団法人 昭和経済会
理事長 佐々木誠吾


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