line

社団法人昭和経済会

理事長室より
LAST UPDATE: 2017年10月11日 RSS ATOM

HOME > 理事長室より

理事長室より

Vol.7-10 ニューヨーク発の株価急落

     八月十七日の東京株式市場は、日経平均株価が急落、八七四安となり全面安の展開となりました。日経平均は15、273円68銭でこの日の取引きを終えました。一方、円が一時1$111円台までに急騰しました。
     サブプライム問題に端を発したニューヨーク株式相場は、信用不安と金融収縮に世界が戸惑い気味になって、一般投資家の狼狽売りがかさみ、連日、急落の展開となりました。それをまともに受けた東京株式の連日の急落ですが、これがまたアジア、欧州に飛び火して連鎖し、世界的同時株安につながってきています。
     事態を重く見たFRB、米連邦準備制度理事会は十七日夜、公定歩合を〇・五パーセント引き下げて年五・七五パーセントとしました。これは緊急事態に備えた措置で、同時テロ直後の二〇〇一年九月以来のものです。これによって急落を続けていた欧州株は一再に反発、この日のニューヨーク株式ダウは一時三〇〇ドルを超える上げ幅となり、結局233ドル高の13、079ドルでこの日の取引を終えました。FRBの決定は、サブプライ・ムローンに端を発した金融株式市場の動揺と、不安の増幅と、信用収縮の広大の阻止を狙ったタイムリーなものです。緊急措置の発動で、不安と動揺に一応の歯止めがかかりました。余震は続くものと思いますが、マーケットは次第に事態を冷静に受け止めて、ガス抜きのあと時間を掛けて沈静化を計っていくものと思われます。
     一般的には現在、企業業績の好調と、世界経済の拡大は依然として大方の信認を得ています。しかしながら株式・金融のこれ以上の下落と混乱は、将来の企業業蹟にも暗い影を落とします。加えて消費マインドの減退につながり、しいては企業の投資意欲を削ぐ結果となり、将来の世界経済の動向にも暗い影を落しかねません。その歯止めを狙ったFRBの、電光石火の優れた政策発表に、敬意を表します。
    近年、金融商品の多様化と量的拡大は顕著なものがあります。サブプライム・ローンも金融機関を始めとして、多くのファンドがこれを商品化して購入しています。特にファンドの占める割合が大きく、その実体は、はっきりとつかめておりません。ひとたびサブプライム・ローンの焦げ付きが発生して拡大すると、各ファンドは、これの回収に躍起になって、債権が暴落し、損失の拡大につながり、必要以上に信用不安にまでつながる要素があります。現に今回の株式暴落で深傷を負ったファンドは無数にあり、今までの過剰資金の運用がバブル的乱舞に酔っていた状況に、冷や水をあびせられる結果となりました。
     この混乱と不安が一刻も早く拭払され、一過性のものと受け止められて、早い時期を経て正常な状態に戻ることを期待しています。早晩、これがガス抜きの効果を発揮して、穏健なマーケットに復活させ、雨降って地固まる例えに終わるものと思われ それを期待しております。一般投資家は、事態にうろたえることなく、冷静に対応することが肝要であります。          八月十八日

平成19年8月18日

社団法人 昭和経済会
理事長 佐々木誠吾

vol.7-09 第二次買取ファンドの進出

              
(第二次買取ファンドの進出)

    イギリスの大手投資ファンド「コラー・キャピタル」が日本に上陸します。自動車産業に例えるならば、正規の投資ファンドがトヨタ・日産などの新車市場なら、コラー・キャピタルは中古車市場の役目を果たしたことになります。つまり従来乗っていて古くなった車を売って、新車に買い換える資金を調達することで、この中古車の買手を狙うものです。コラー・キャピタル会社は、他のファンドや事業会社などから、消化できない「塩漬け」の投資物件を買い取って、資産の流動化を目指す業務で、謂わば「二次買いとりファンド」の世界最大手であります。
   コラー・キャピタルが当面五〇〇億からの資金規模を日本市場に投入することによって、日本のМ&Aの市場の流動性が高まり、市場拡大に大きなインパクトを与えることになります。日本では企業のM&Aは未だ抵抗感が拭いきれない状況ですが、早晩そうした日本的風潮は、大きな世界的潮流に埋没、溺死される運命にあります。
   M&Aを、「ファンドの短期利ザヤ稼ぎ」と見るのは短絡的であり、狭視的見方で、これは日本人の悪い癖です。M&Aは時代的要請であり、世界的趨勢であります。世に肯定的であって、広く企業の活性化を図り、企業価値を高めるものです。ファンドの多くは、怠惰で惰眠をむさぼる企業経営者を覚醒し、企業努力を促すものであります。資金、資産の有効活用を促し、取扱い製品の質的競争力を高め、結果、その果実は巡り巡って従業員、株主、消費者に還元されてゆくことになり、企業の社会的存在価値を高めるものであります。「コラー・キャピタル」の日本上陸は、一次ファンドが不良資産の処理に手ずまった窮地に、手を貸してこれをサポートする役割を果たしてくれます。
   ファンド株主は、日本の株式市場に着実に根を下ろしています。元、高裁判事で、産業再生機構の委員長、高木新二郎氏(当会理事)も、当会での講演会で、ファンドの活躍を是認し、その役割を大きく評価しておりました。利益目的のファンド、濫用的買収者も一部には居ます。禿げたかファンドと悪名を以って呼ばれたりしたのもありますが、ファンドの世界でも玉石混合で、どんな世界でも、悪者の跋扈してはばからないものがあります。しかしそれはごく少数のものでです。バブル崩壊で景気低迷期を救ったのは、明らかに大きな資金を持った、ファンドの活躍があってのことでした。金融機関の不良債権を買い上げたり、経営が傾いた企業に投資し、資産売却などで財務リストラで企業価値を高めて企業の再生を図ったりしました。日本の景気回復の端緒に火をつけ多大な貢献を果たしてきており、ファンドの株式市場の参加と役割は、現実に大きく根を下ろしていることに、関係者は理解し、認識してこれを受け入れていかねばなりません。
    コラー・キャピタルの日本上陸は、正しいファンドの活躍を支援し加速させるものであります。日本企業の風土的保守性に新たに風穴をあけることになり、第二次買い取りファンドが適性に機能することで、企業の再生計画が再び動き出すことになります。
    国内のМ&A忌避の風潮が、外部の機動的圧力によって否応なしに加速されてゆくことになるでしょう。グローバリズムの実効的胎動であります。これを大いに歓迎したいと思います。

平成19年8月6日

社団法人 昭和経済会
理事長 佐々木誠吾

Vol.7-08 参議院議員選挙の自民大敗

 

哀しい哉、こうした人たちが国民を代表する国会議員かと思わしめるような状況が続いています。見識と品格を欠いた政治家が、あからさまに大臣になり、日本の国会を跋扈する様相は慙愧に耐えません。繰り返される不祥事で、失言、横領着服(不明な事務所経費)、果ては自殺といった醜態を演じて、国民の不信と不安は高まる一方です。平和と安全、自由と民主主義を標榜する日本の将来が安じられます。
   昨年十一月、期待を以って船出した安倍政権ですが、発足してから十ヶ月余の間に失言、横領着服、自殺といった不祥事が大臣経験者から相次ぎ、その間何と三人もの大臣が交替しています。年金の問題を始めとして解決すべき政治的課題が山ほどあると云うのに、国会開会中に何とした事でしょうか。参院の選挙を前にして与野党攻防の国会審議が繰り返されてきましたが、こうした状況も含めて、国民の審判が下されるでしょう。公示以来、選挙に対する有権者の関心が日増しに高まってきていることは良識的傾向であり、刺激的で活気があり、国民の政治意識は健在であります。(七月二十九日)
   こうしたなか、七月二十九日、第二十一回参議院議員選挙が行われました。投票の結果は、即日開票されました。自民党苦戦の前評判でしたが、結果は自民党が歴史的大敗を喫し、公明党も惨敗、国民は安倍政権に徹底的に厳しい審判を下しました。民主党に参議院の過半数を奪われ、今後の安倍政権の国会運営は厳しい状況に立たされて、政局に悪雲が漂う様相です。しかしながら、これが進めば雨降って地固まるのたとえで、自民党の気を引き締め、民主党が将来の責任ある政権可能な政党としての努力研鑽を促すことになれば、国民のための政治の確たる道が開けてくるでしょう。自民党には口先ばかりの政権政党でなく、内容のこもった政権運営を志してもらいたいと思います。同時に、反対ばかりの民主党でなく、成長した柔軟な対応をもって実現可能な国政に参加していってもらいたいと期待しています。今回の選挙によって、日本の政界も自民、民主から成る二大政党の時代を迎えることになり、格差混乱なき政権交替を可能ならしめるに一石を投じた事になり、むしろ画期的成果をもたらしたといえます。
   選挙に与える影響については世評、何かと取沙汰されてきましたが、極めつけは赤城農林大臣の奇怪な言動です。前の大臣は疑惑を受けながら、うやもやのうちに自殺してしまいました。今回は自ら受けた疑惑を否定しながら、根拠を説明しないままぬらりくらりに過ぎて国民の前に明らかにしませんでした。卑しくも一国の重要な大臣の重責を担うポストです。その幼稚性、陳腐性にも大いに問題があります。ここに後任の大臣を決めた安倍総理の見識を疑った人は沢山いたに違いありません。視点を変えていうならば、変わっていく世界にどう対処していくか、例えば、六カ国協議の問題にしても、旧態然の日本の外交姿勢は問題であり、他の国に遅れをとっていることも心配な点です。ここにも形を変えた、幼稚性、陳腐性が伺えてきます。
    「政治とカネ」の問題は今に始まったことではありません。ところが今回、疑惑を指摘された農林大臣の対応は、国民の目にとって尋常なものではありませんでした。説明不充分、とか云う以前の問題です。失礼ですが、この人はまともな教養を受けてきた人とはとても思えないものです。こうした人たちが集まって国民を代表し、国政を左右しているのかと思うと、嫌悪感すら覚え、多くの国民は失望のまま身のやり場に困ってしまいます。国民が幸いにも、こうした事に気付いたことを以って善しとするしかありません。くだらないことで安倍総理も予期せぬ多大なダメージを受けてしまったことになりますが、大臣の任命権をもつ安倍首相の対応も本人を擁護するような姿勢を見せていたことが、反って国民の首相への印象を悪くしている事はゆがめません。つまり任命権と同時に罷免、更迭を含め、総理大臣の人事管理の欠如として国民の目に映ったに違いありません。事実、結果はそうだったことになりました。
   あの時、首相自身はよしあしは別として、懸命な国会運営と課題に取り組んでいました。その意欲は、一面肯定できるものがありました。裏腹に、登用した大臣の資質が余りにも低く、安倍劇場はドサ回りの役者を配して愚弄を演じてしまいました。とどめは、赤城大臣の奇怪な言動でした。釈明に立った当事者が、これを以って正気だとすれば、これ程国民を愚弄したものはありません。今回の選挙の直前に起きた醜態だけに、その印象も消しがたく、、自民惨敗の決定的要因とも云えます。かような人物を国会議員に選出した善良な茨城県民までが、投じた一票までが信認を反故にされて、あまつさえかかる人物を国会に送ったことに顰蹙を買うにいたっては、なんともやりきれない心境でしょう。。
   首相自ら言明しているように、一切の責任は首相にあります。国民の審判を厳粛に受け止め、続投を表明したからには、政治に一刻の空白も許されません。政治の立て直しに邁進し、政治的混乱を回避すべきであります。そのためには速やかに内閣改造を行って、ぐうたら大臣を排除し、有能で清廉潔癖な人物を登用すべきであります。周辺に、もっとましな候補者がいるはずですから。この難局は何としてでも迅速に乗り切っていかなければなりません。予定されている外遊などは調整、延期してでも電光石火の、内閣改造に取り組むべきであります。揶揄されているような、お友だち内閣は辞めようではありませんか。内政、外交に迅速に対応していかなければならない問題が山積しています。
    思うに華々しく見えた九ヶ月の安倍政権も、経済的には、ものになったものでは目立ったものは何一つありません。年金問題、天下り問題、拉致問題などなどに明け暮れて、いま、これからどうしたらいいかという日々の生活と経済問題には全く関係の無いものばかりです。今以って安倍総理が掲げる「構造改革」こそは、まさに重要な経済問題であるのに、我々の大切な経済問題についてはほとんど手付かずで全く無気力、無策といわざるを得ません。これでは日本経済が、これからの激しい世界的経済の波に立ち向かっていくことはおぼつかないでしょう。
    我が国民ばかりではありません。世界が日本の状況と、この先の成り行きを見つめています。         七月三十日

平成19年7月30日

社団法人 昭和経済会
理事長 佐々木誠吾


copyright (c) Showa Economic Study Association サイトマップ プライバシーポリシー お問合せ