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Vol.11-07 放射性物質の拡散と闘う
放射性物質の拡散と闘う日本国民
放射能熱の東京上空に猛暑の日差し照り返しけり
放射性物質の拡散が、列島に深刻な被害をもたらしています。3・11の大震災と原発事故以来、情報公開が適切を欠き、国民は今、目に見えぬ恐怖の旅放射性物質と向き合う生活を余儀なくされています。まさか日々計測される放射線量の中で刻一刻をすごすとは誰が想像したでしょう。
私たちは未経験の不安な日常生活を強いられ、これから先身体に健康被害がどの程度現われてくるのか、はっきりした基準もなく、確たる病理的調査も資料もありません。暗中模索の状況のなかで、不安と焦燥の日々ではかない防御体制を各自がそれぞれ、めいめいに思案し闘っています。
世界の潮流は、激変しています。科学技術の最高レベルを突き進む現代国際社会に於ける日本の原発事故の惨状をみて、脱原発の動きが続いています。原発に代るエネルギー開発を急ぐか、日本も切実な選択の道を歩みつつあります。
先祖が営々として築いてきたこの国と民族の繁栄を願って、わが日本は何としてもその存立を確かなものとしてこれからの国際社会に貢献していかねばなりません。いわんや放射能汚染の国のレッテルを張られて、国際社会からすっぽかされて仕舞うような醜態は、何としてでも回避しなければなりません。わが国運にかかわる大問題であり、一途に悶々の日を送っている心境であります。東電原発事故の影響を一日も早く終焉させ、この国から放射能汚染の除去を迅速に進め、他国に被害を及ぼすことのないように国を挙げて怠りなく、直接間接に、陰に陽に万全を尽くしていかなければなりません。神よ、この国の先に幸運のあらんことを。 7月6日
*
反省のなき政争に明けくれて民を忘れて国の墜ちゆく
古きより和歌のあはれにこの国の文化のもとを学び知るなり
すべからく和歌のこころはこの国の誇る文化の基となるらん
おほらかに真摯に和歌を詠みあげて神に従ひ行くは楽しき
苛立ちの日を癒すべくあめもよの明月院をとふてみるかな
人参の白く花咲く庭畑に黄色の蝶のむらがりてこし
国民の嘆きを無視し政争にうつつを抜かす今の為政者
身内より非難轟々の指導者に菅でなくとも役はなしえじ
思いつき発想と菅氏をなじるもの菅のひらめきと何故に悟れぬ
物言へばくちびる寒しこの頃の菅よくじけず意思を貫け
鳩山や小沢やほかのゲテモノの比較に今の菅こそよけれ
日本の史上最大の危機に立ち放射性物質と戦ひの日々
退陣を表明しても矢継ぎ早や制作発表のこれもまたよし
四面楚歌孤立無援の菅首相抜き手泳ぎに逆流を行く
原発の事故を第三の敗戦と識者のおりてさもありぬべし
九電の組織ぐるみの悪辣な世論操作のやらせ暴かる
東電の亡国の罪かえりみみずなほ九電のわろき業なり
東電の債務超過は避けがたく株価急落におびゆ投資家
東電の破たんの処理の避けがたく紙ぺら同様の始末あへなし
日本の国土と民を放射能汚染に浸し罪多きかな
東電の株の安値を買ふ人のあまたにおりて先のむなしく
産業の上に胡坐をかきてなほ暴利を稼ぎ贅に暮せり
日本を荒廃の地に落としめし原発基地にかかはりし奴
性懲りもなくなほ原発を進める人の愚かなるかな
荒廃の地を訪れて戦慄を覚ゆこの国の将来のさま
東電の株を扱ひ有象無象顔とがらせて狂ひけるかな
東電の行く将来の暗澹と日本の先を暗示するかも
放射能汚染の土壌の日本に広く広ごり人を蝕む
東電の会社更生法の適用は今避けがたきさまとなりぬる
電力の行政を見て思へらく発送電の事業分離を
電力の事業をもとに不当なる利益に走る電力各社
直下型地震の来れば耐えがたき原発基地の危険あらはに
この国のたやすく動く地の上にあれば原発の基地はむなしき
幾筋も伸びる活断層の地震帯わが立つ土地の下にめぐらす
セシウムと日差しの熱き二重苦の猛暑に耐へんこの年の夏
被災地に芥川氏の羅生門似たる盗賊の出没いたす
おもがゆもあるじの鼻に似たるひと前に眠りて鼻をたらせり
執念を燃やす首相の政策にしだいに心惹かれいくなり
揚げ足をとられて復興大臣の七日目にして自滅するなり
愚か者怒りたくなる大臣の命令口調の暴言を吐く
被災者を前に飼い犬同様に扱うふ国のこわっぱ大臣
教養の皆無の松本大臣の権力かざし悪乗りのはて
こわもての顔突き出して恫喝す男の素性ここにあばかる
聞き及ぶ祖父が松本治一郎その孫なればさもありなむと
品性と知性に欠くる代議士の代弁果たす松本議員
見るからにちんぴらやくざの手代にて厚顔無恥を果たす馬鹿者
県知事の落ち度もあれど揚げ足を愚かにもとる下司のまた下司
この国の首相がだれでも同じなら菅続投で行くも策なり
追ひ風に乗る菅首相に根性のあれば志とげてゆかまし
校庭の土をはがして学童を放射能より守る手立てに
放射能除染にシャベルで土を剥ぐなんと原始的手法のみにて
明け残る月の形の寂しさに霧立ち上る袋田の滝
ふるさとを追はれ困苦にあへぐ民被災の土地にあまたおはすに
性懲りもなく原発を推し進む人こそ基地につきて励めや
原発の廃炉完了に半世紀その工程表に気もぼけにけり
海底に積もる無尽の放射能魚介が食ふて人に及べり
きらめきの夏の星座の果てに見る放射線量のおぞましきかな
らふそくの火にあたたかき団らんの味はひ暮らす夏の宵かな
よき夢にめでたく目覚む有明に二羽のシラサギ飛びて行く見ゆ
白樺の林の道を朝まだき浅間の山にけむり立つ見ゆ
うぐひすのしきりに啼きぬそこここに霧雨けむる那須のたかはら
かんだかき鳴き声あげて山キジの深きやぶより飛び立ちにけり
熱風の抜け行く道の行く先に三愛ビルの白く光れり
ステージで歌ふ我が妹を指さして近づき寄らむと孫の愛しき
盛岡の駅はかなしき降り立てば鉄の風鈴鳴りて止まざる
いにしへのほとけの里の春日野の道にともなひあはれ踏みしも
将来に発送電を引き離し電力行政の改革を期す
発電と送電業務を分離して電力産業の効率を期す
積年の独占事業の怠慢と腐敗を重ね事故をもたらす
精鋭の霞が関の若者よいざこの国のために起き立て
今こそは君らが才知を活かすとき汝が志今ぞためさん
経済の栄へになじみ危機管理お座なりの末波乱招きぬ
きく川に一人来て飲むわれが身に備へてくれしひとり部屋なり
贅沢にひとり我が夜の初夏の席好きなものとり好きなもののみ
セシウムの漂ひくれば胸さはぐ雨のひ晴れのひ朝な夕なに
日本の文化の華を知る上に古典になじみ文をとかむや
北に蝦夷南にさつま中央に富士やま高く大和まほろま
若者に精気横溢の気色なく無難に過ぎて見るもあへなし
学生に社会運動の気概なくデモの一つも起きぬこの国
ぬるま湯にゆったりつかるゆで蛙この国たみの先にあへなし
放射能汚染のなかに生きる術むなしく求めつとめゆく民
放射能汚染ゆ逃げる術なきに健康被害を案じすぐる日
目に見えぬ放射線量の測定に気を奪はれてすぐる一日
子や孫に与へる害の将来に及ぶと知ればいらだちにけり
紫蘇の葉をあしたにつみて喜びにひたる思ひのたのしかりけり
庭畑の青葉を摘みて放射線量を確かむ時のおぞまし
暗雲の湧き立つ昼の夕立にあわてて逃がる家の軒先
まひるまの暑さを知りてれい明の涼しき風の庭に立つ我
朝まだき庭におり立ち眺むれば欠けたる月の白く残れる
さよなかに目醒めてけふの仕事をば思ひしままにいねず過ぎしも
被災地の人の苦しさ貧しさを思ひこの日もふるひたつなり
政治家を養ふ民の税金を覚えて民の為にこそなせ
復興に力を合はせこの国の民の額の汗おもはばか
津波きて家も漁船も失ひて露頭に迷ふあはれ船びと
海水とぐわれきにつかる田畑の荒廃に立つ田づくりのひと
夜もいねずこころのうたをよみしるし被災地のひといかにあらむと
この国に汚染物質をまきちらし巨大企業の大きあやまち
がう欲に政官財の腐敗せる社会にさとす原発の事故
この国の存亡かかる原発の事故の収束のいまだ見えずに
政治やとたかが政党の存命にうつつをぬかすこの国の風
放射能汚染の土壌と海水に生活の糧築く農漁民
放射性物質の体内検出にさかりの子らの先を憂へり
大企業重大犯罪に打つ手なく弱き庶民の泣き寝入りせり
志なく打ち騒ぐ為政者の野次馬猿にて致し方なし
政官財馴れ合ひに立つこの国の拾いあげれば限りなきなり
平成の大震災を境とし国の改革に蛮勇を期さん
わが神よ我が創造の主よ全能の力と知恵を我に与へや
北にえぞ南にさつま中央に富士やまたかく大和まほろば
放射能汚染に焦げた上空に熱き夕日の照り返へしけり
NHK山崎記者の訪ね来て原発事故の迫る日を追ふ
緊迫す水素爆発を起こす日のテレビに迫る報せつらぬく
有史来国難に会ふ最悪の原発基地の犯すあやまち
勇気ある記者が政府に先がけて民に基地より避難呼びかく
緊急に避難すべしと呼びかけて報道記者の民を救へり
原発の基地損壊の早くより情報公開を求む記者なり
灼熱の日差しをあびてくれないのほむらとなりてカンナ咲くなり
ほむら立つ夏の日差しに庭畑のさもつのしほれ険し覚へり
梅雨明けの日照り厳しく山川にそそぎておれば清さ湧きいづ
放射能汚染に向ふくにたみの困苦を越えて励みゆくよし
見上ぐれば富士の高嶺に朝の日の輝き映えしやまとまほろま
******************************
( 惨状を経て、人類史上の最大の危機と挑戦 )
原発の事故の悲惨の止めがたくむしろ日ごとに増していくなり
日本の史上最大に危機に立つ放射性物質と戦ひの日々
原発の事故を第三の敗戦てふ識者ありさもありぬべし
敗戦と比ぶあたはず原発の事故のもたらす破滅への道
くにたみのために働く菅首相次々打ち出す政策ぞよき
被災地に芥川の羅生門似たる盗賊の出没いたす
思へらく巨大産業の犯罪に打つ手むなしく過ぐるこのごろ
人類の史上最悪の危険物もちひて犯す存亡の危機
セシウムと日差しの熱き二重苦の猛暑に向ふこの年の夏
九電の組織ぐるみの悪質な世論形成のヤラセ暴ける
働かぬ議員に歳費をあてがふは法の精神にそむくものなり
四面楚歌孤立無援の菅首相抜き手泳ぎに逆流を行く
船びとの零細企業に借財の積みかさなるはいともくちほし
復興に沸き立つ地元釜石にかつお大漁の船の報せ来
大漁の旗なびかせて入港すかつお漁船の梅雨明けの空
初さんま北の海より入荷せり刺身に食へば海の青さよ
放射能熱と日差しの天空は雲一つなく焦げただれけり
今、わたくしたちは人類史上最大の過ちを犯し、最大の危機に直面しています。放射性物質の天地を分けての拡散は、止まるところを知らずこの地球上に浸潤し、すべての生物の生命の存在をも否定しつずけていくでしょう。それは子々孫々に及び、長期にわたって影響を広めていくものであることを認識すべきであります。
福島原発事故の恐るべき影響は、日本だけに限られたものではありません。大地と海と大気に広く汚染の域を拡大しつつ、国境を越えて無限に広がっていきます。影響はますます、この地球上に拡大されていくでしょう。そうした性格のものであることを理解しなければなりません。日本の事故は同時に他国の事故であり、それは無言であり、不可視であり,住民は丸腰同然で見えない敵に挑まなければなりません。恐るべき状況であります。すべての人が自覚しえていながら、口に出すことにおびえている状況です。
福島原発の事故現場では、懸命の作業が続けられておりますが、放射能との戦いは一進一退の状況で、事故発生後四か月が経過した今も何ら変わっておりません。むしろ事態はいっそう深刻の度合いを深めているといっても過言ではありません。原発事故の解決策は実に単純であります。破損した原子炉に水を注入して冷却して温度の上昇を抑えるだけのことです。水の注入を継続的、循環的に行えばいいのです。これが出来ずに困っているのです。何とも心もとない話であります。このことが人類の生存を脅かす事態までに進んでしまっているのです。いかに危険極まりないことに手を出してしまったことでしょうか。私たちは愚かにも取り返しのつかないことをしてしまって悩んで苦吟する毎日であります。原発の経済性のみを追求し、これを肯定してきた世の中の流れを作ってきたことにも大きな責任があります。この機に至っても反省の余地すら見せない愚か者の為政者ばかりだとは何たる情けないことでしょう。日本の原発事故を知ったドイツイタリアは脱原発政策推進の声明を世界に発信し、大転換へと舵を切りました。素早い決断であります。あまつさえ日本は原爆の洗礼を受けた唯一の国家であります。日本の技術と資本を投下して新機軸の展開に投入すれば、新しい分野での産業の育成に寄与して、将来にわたり大きな果実を手中に収めることができます。要は発想の展開を大胆に行うことではないでしょうか。生きた企業の、生きた社会の創造的破壊の発揮されるゆえんであります。
原発の廃棄、禁止が一時的に電力供給に大きく影響を及ぼして、我々の経済活動や生活水準を維持することは難しいことは子供でも分かっていることです。それらの障害を乗り越えて新しき時代に敢然と戦っていくところに人間の人間たる尊厳があるわけでしょう。国策にのっとって、当初から原発推進派だったにしても、切り替えができずにもたもたしている与謝野さん、あなたの発言一つをとってみても何と頼りない持論の展開で失望を新たにしています。こうした旧態然とした政治家がたくさんいることは日本にとって不利益この上ないことであります。
四面楚歌の菅さんが追いつめられてつい心にもない退陣表明を口にしてしまいましたが、そのごの新政策を矢継ぎ早に発表して俄然エンジンが回転してきているのは、物事逆を行って真に迫るものがあります。退陣の時期を明確にしていないのは、それを信じこんだ側に誤算があっただけのことで、菅さんの胸中はだれにも分かっていないということもできます。首相在任中に念願の、だれにもできない思いを遂げておきたいという信念でしょうか、はたまた天下の宝刀をかざしてあわよくば切り返しを図って民意を測りながら政治戦略を図ろうとしているのか、ここまで来ると国民も腹を据えて見守っていることになります。政界の一寸先は闇、権謀術数をめぐらす日常茶飯事の世界であれば、劇的展開も否定できません。ただ菅さんに言えることは目先の催事にこだわらず大局観に立って指導権を発揮できるかどうか、しがらみがなく、金の問題もなく、利害の関係の派閥もなく、孤立無援と称しながら、いざとなると平均的評価をもって無難にこなしていくことも可能であります。
今、世界の潮流は脱原発に進んでいます。日本の原発事故の惨状と、放射能拡散の深刻な影響下にある状況を見れば、おなじ原発政策を進める国にとっても、明日は我が身と思うことは当然です。この波に乗って将来の脱原発の推進に向けていくには千載一遇のチャンスと位置ずければ、起死回生を以て窮状を踏破していけないこともありません。退陣の時期にこだわる必要はないのではないでしょうか。問題は危機管理と、国民の共感を得られる政策遂行の能力のありやなしやにかかっています。
さて、皆さんはご存知かと思いますが、原発事故の発生直後からNHKテレビで迫真の取材活動を以て報道を続け、緊急時事態の発生でテレビニュースの速報番組で速やかな情報公開を政府に迫った勇気ある名記者がいます。
11日午後二時46分巨大地震と巨大津波が東日本を襲いました。三陸沿岸は壊滅的打撃を受けました。陸、海、空の交通が遮断され、通信機関が途絶えました。緊迫した状況が断片的に伝わりましたが、混乱の中、真実の状況が知らされず、混乱と危険にさらされる住民の悲劇は想像を絶するものでありました。東電はもとより、原発を管理監督する経産省や政府の対応も狼狽と混乱を極め、情報が錯綜して真実の報道が国民に届けることが出来ず、地元住民の被曝の危険が迫ってきています。一刻も早い正確な情報伝達が求められました。
水素爆発による原子炉建屋の破損で、大量の放射性物質の飛散が想定されます。官邸内の混乱はいわずもがな、機を見るに敏、記者自身の捨て身の判断は、政府の発表に先がけて報道番組のテレビを通じて基地周辺の住民に避難を呼びかけました。
山崎記者の真摯な現場取材と的確な分析、判断の報道は、今までにも多くの事故現場でなされてきたものですが、人類最大の危機を誘発しかねない原発事故の発生で、山崎記者の的確な取材と、その報道姿勢は高く評価されて日本に、世界に発信され、私はその的確迅速を旨とする報道姿勢に敬意を表しております。
今回、当会の親睦講演会に出席を約束されて、幸運にも話を聞くことができますが、人類史上、最悪最大の原発事故を巡ってその及ぼす影響の大なるゆえに、人間の英知を以て地球上に未曾有の大転換を迫る内容の話になるのではないでしょうか。政府、官邸の危機管理の問題はさることながら、企業の危機管理にも言及されてくれます。意義あらしめる会となることを期待して、混乱と失意、絶望にある人たちに前進の知恵をうることができれば幸いであります。7月12日
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東北被災地に励ましの吉報
日米の女子サッカーの優勝戦PK戦に米を撃破す
女子サッカーなでしこジャパンが優勝し世界の覇者の王座射止めり
さよなかの三時に起きてサッカー戦なでしこジャパンの奮闘に食ひる
凱旋の旗なびかせて帰国せりナビスコジャパンの若き娘ら
ドイツのフランクフルトで開かれていた女子ワールドカップ日本代表「なでしこジャパン」が強豪のアメリカチームを熱戦の末撃破、輝く優勝を手にしました。試合は体力に勝るアメリカチームが終始日本チームを圧倒する勢いでしたが、これによく耐え、一点をゆるし後半戦に持ち込みました。一点を返し延長戦になりましたが、30分の白熱戦を繰り広げた結果、2対2のタイでPK戦となり日本がアメリカを落とし見事に輝く王座に就くことが出来ました。艱難辛苦によく耐えて世界制覇を成し遂げたなでしこジャパンに心からの祝福を送ります。勝利の遠因をさぐって一様にチームの組織力とか、団結力とかが声だかに言われたりしていますが、使命感もさることながら、それにもまして選手の一人ひとりが気負うことなくサッカーを楽しんで試合に臨んでいる様子に何よりもまして心を打たれます。これこそがなでしこジャパンを世界一の王座に置かしめた大きな原動力となったものでしょう。
今まで男子のサッカー選手やチームの対戦がサポーターを沸かせていましたが、女子サッカーがこれほどの魅力を発揮していたとは、お恥ずかしいながら知り及びませんでした。むしろ団体競技として考えた場合、女子サッカーはいろいろな条件やら歴史をたどっていくと、男子に勝るスポーツ力を秘めているのではないかと、そして女性の真の底力を発揮して見事であり、私自身、これからは有力なサポーターの一人として大いに応援していこうと思った次第です。おめでとう! 世界一、「なでしこJAPAN」の小さな戦士たち。 7月19日
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放射能汚染の拡散被害
福島県の畜産農家が危機に瀕しています。収穫を終えた田園に広がる枯草積みののどかな風景、牧草地に積まれた干し草ロールの光景は、平和な大地の豊饒を表して限りない喜びと感謝の念に浸ることができます。しかし今やこうした干し草にも、福島原発の放射性物質の汚染が広がって、これを食べて飼育された牛が各地に出荷されて、すでに消費されていることがわかり深刻な波紋を呼んでいます。国の暫定基準を超えた数値の5倍から10倍のセシウムが消費地に出回った牛肉から検出されました。福島県から出荷された牛は、安全と思われて出荷された頭数が500頭にも及んでいることがわかり、その数はさらに増える模様で事態は深刻な結果となってきつつあります。福島県では、出荷する牛の全頭検査を国が代わって行ってくれるよう求めていますが、極めて困難であります。
福島原発で起きた事故は翌日の12日には、水素爆発を起こしてしまいました。この時すでに大量の放射性物質が飛散しておりました。農家の人たちが丹精込めて刈り取った干し草や、積み草は、そのまま野原で積み上げられままになっていて、春先から牛たちに食べさせるものでした。昔からあったのどかな田園風景で、光り輝く牧場の平和な大地を映し出していました。しかし悪夢が襲って現実は一転、恐るべき暗黒のせかいに代わってしまいました。この時すでに大量のセシウムの被曝を受けていたことになり、その後農家の人たちはそれを知らずに牛の飼料として与えていたものです。生命に重大な影響を及ぼし、しかも目に見えない害毒だけに手の打ちようもないことに戦慄を覚えて、何たる恐ろしい出来事かと、すべての人が戸惑いを禁じ得ないでおります。
かえすがえすの慨嘆ですが、のどかな牧歌的な田園風景は、一変して暗黒の奈落の世界に突き落とされる心情です。日本の豊かな原風景から遠ざかっていく悲しい姿を想起しなければなりません。これから長期にわたってわたくしたちはこの目に見えない放射性物質と向き合って生活を余儀なくされていきますが、思えば世紀の凶悪犯罪だった地下鉄サリン事件がありましたが、福島原発事故の放射性物質の及ぼす被害は、あの時に散布されたサリンの猛毒と変わりなく、否、むしろ被害の地域的拡大は比較にならない無限の広がりとスピードを持っていることを思うのです。巨大企業が犯した重大犯罪として、ただちに糾弾できないもどかしさを覚えますが、降り注ぐ現実の放射性物質の弊害を何としてでも払拭してもらわないことには埒が明きません。
日本人のたゆまぬ努力によって培ったきた英知と技術と資本は、こうした災害時に大胆に駆使して勝負に出るためのものであるべきで、日々の馬鹿げた政争を見るように、国家と国民が遭遇した重大な危機に対して、いたずらに目先の些細な事柄に翻弄されるべきものではありません。これからは子々孫々に至る影響を排除して、科学的検証と実施を踏まえて、少しでも被害の軽減に努めていかねば、日本の国自体が将来に大きな禍根を残す結果となることを憂慮している昨今であります。 7月19日
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大震災被害者の救済措置 当会筆頭理事, 高木新二郎氏の提言
当会筆頭理事で現在野村証券の顧問をしている高木新二郎氏が座長を務める委員会で{私的整理指針}がまとまりました。昨日、高木さんに他の件で電話をしたところ、私にそんなことを言って参考にするように言ってくれました。
東日本大震災の被災者が、自己破産しないで借金の返済免除を受けられる内容を盛ったものです。高木さんの努力によって政府の「二重ローン対策」がようやく動き出します。運用によってさまざまな問題が起きてきますが、その都度適切な対応を持って迅速に処理していくべきものと思います。
参考にしろということで翌日、16日の朝日新聞の記事にも記者会見の様子が載っていましたが、高木さんは、安定的な収入のある人は救済の対象にはならないということをはっきりと言っていました。当然のことでしょう。
そもそも二重ローン問題は、震災前の借金に加えて、震災後の再建のために新しく借りたもので、余分に生じた借金ということが言えます。この新たな借金は、本来被災者にとってはかぶる必要がなかった負担であります。
指針は法的拘束力がありません。強制力がないのです。指針では、免除されるのは住宅ローンなどの借金返済に困っている人に限定されて、安定した収入のある人は除外されることになっています。この分、実施は金融機関の判断にゆだねられていくことにもなりますが、復興計画が遅々として進まない被災地での金融の円滑な指導と施行は重要であり、勤労者の支援のためにも、ともかく一応の指針が決まったことは、的確、迅速がモットーの高木さんであればこその現実的な結論であります。もたもたおろおろして決定を先延ばししている今の政治とは違います。
また、高木さんは東電の賠償責任のことに触れて持論を展開しています。そもそも今回の事故が、「市場に巨大な天災地変」によるものではないと政府が認定してしまったことが間違いだと指摘しています。政府の安全基準にのっとって作られ定期検査もパスしている原発が、想定外の災害だったことは明らかだとし、その責任を一企業に追わせることはおかしいと。異常な天災地変が原因であるから、国民全体で被害者の損害を負担すべきだと。なお、東電は事故の当事者であるから、東電にも賠償を一部負担をさせることが望ましいとしています。法解釈に厳密且つ的確な判断であり、実現可能な法的処理の可能性だと思います。
また、東電は債務超過になっているから、電力事業を続けるには会社更生法で法的整理をして再建するしかないといっています。つまり一時倒産ということです。しかる後電力事業を「新東電」に移して、「旧東電」が国の支援を得て賠償を担うというものです。この時、旧東電は長期間存続させることとし、なお、新東電の利益からも一定割合を拠出させて賠償にあたるような仕組みが考えられるといった手法です。法的整理を視野に入れた見解ですが、これからの新東電の運営についても抜本的にメスを入れて、時代のニーズにあった運営の仕方を以て臨んでもらいたいと思っています。
法律的な見解から離れた視点に立ちますが、つたない私見ですが、国の産業の根幹を担う電力事業については情報公開をもとに透明度の高い経営手法が望まれます。そのためにも従来行われてきた経営手法と体質を根本的に改めて見直す必要があります。発電事業と、送電事業を分離して、独占的隠ぺい体質を排除した経営体質を作り上げていく努力が必要でしょう。さしあたり送電事業についてはこれを国の一時管理下に置いて事業を継承して、新しいエネルギーの再生可能なネットワークを構築していくことが適切です。いずれは小口細分化して市場原理を導入し、地産地消を基盤として電力需要に対応した弾力的なスキームを打ち立ていくことが肝要と思っています。
ここで大胆積極的な活動を続けている最近の、高木さんらしい迫力ある持論の展開で、相変わらず精神はつらつとした気概を以て、若々しいと納得した次第です。百戦錬磨、老練闊達な先輩諸兄、若い企業家の諸君たちと、勉学途中にある多くの学徒の諸君たちを抱する頭脳集団を誇る昭和経済会ですが、高木さんの思想と気概と信念の貫く姿勢を、以て範としてさらに会のため、世のために活躍されんことを期待する次第です。 7月19日
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日本の原発事故と、中国高速鉄道の事故
中国は面白い国である。大陸的で大らかと云うか、大まかと云うか、ずさんと云うか、いんちきと云うか。良し悪しはともかく民族性なので、時につかみどころがなく、理解に苦しむ時があります。今回、中国が威信をかけて進めてきた、高速鉄道で起きた追突事故の現場で見た異常な光景であります。
こうした事故と、現場検証もままならない慌てふためいた処理の光景は、日本では絶対にあり得ないことだと専門家は異口同音にコメントしています。しかしその日本も原発事故で、この種の批判をあびる立場にあるから、いやはや何とも云えませんが、事故の当事者が不利な証拠をあわてて隠そうとする体質は、大なり小なりどこも同じかも知れません。そうした軽率な対応はかえって当事者の信用にも影響し決して得するものでないことをしっかりと肝に銘じるべきであります。
その中国浙江省温州市で起きた高速鉄道の衝突、脱線事故で多くの死傷者が出てしまいました。考え方によっては、もっと大規模な惨事を想像してしまうところですが、この程度で済んで幸いでありました。現場の写真がいち早く、否応なしに世界の人々の目に飛び込んできました。事故発生の原因は落雷事故だそうです。停車中の列車に、後続の列車が追突してしまい、高架から前部三両が脱線、地上の田圃に転落、一両が高架にぶるさがった状態でした。
本来、いかなる理由にせよ、こうした場合には走行する列車に自動制御操置が働いて、前の車輌に後続の車輌がぶつかることはあり得ないのです。
現場の救助と復旧に、大型のクレーン車や多くの作業員が現場に到着、素早く車輌の撤去を行い、驚くなかれ2日目には復旧して列車を開通させました。見事な早業であります。その際、先頭の運転手席は粉砕されて、そのまま地下に埋められてしまったと云うから更にまた驚嘆してしまいました。これは考えられないことであります。普通なら事故原因の究明のため、事故の現場は証拠物件として、厳重に保存管理されなけれならないはずなのに、粉砕して地中に埋めてしまったと云うのです。これでは事故の原因究明にはなりません。
何も目くじら立てて申すわけではありませんが、再発を防ぐためにも、原因を究明する必要があります。そうした手法を選ばずに、証拠となるべき物証を粉砕したり地下に埋めたりしたでは完全な証拠隠滅であると言われても仕方がありません。その慌てぶりな作業の様子は、聞いていて、見ていて、滑稽に思えました。まるでやることが余りにも手際よく、やんちゃ坊やのいたずらとしか思えないので、つい吹き出してしまったのであります。
中国の新幹線事業は、これから先、広大な内陸部につなげられて、かの幻想の崑崙の果てまでいくもので気宇壮大であり、長期にわたって中国の経済発展を支えていくものです。たとえば列車の自動制御装置の作動などは基本的、常識的なものであって、国威高揚を急ぐあまり、事業の基礎的な基本的な事柄を看過したりすると、そのつけは計り知れないものとなって計画自体に跳ね返って、将来に大きな負担と損失と禍根を残すことになります。落ち度があったとすればこれをあからさまに公開して究明に当たれば、反省のよき教訓の機会となることでしょう。日本には、雨降って地固まる、急がば回れといったことわざが、いつも身近に生きています。生かすも殺すも、その人の英知ある考えと勇気と行動にかかっています。 7月26日
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政党のマニフェストに就いて
私がマニフェストということばに最初に接したのは、高等学院の時代でした。ドイツ語部に所属していた私は、二年の時にマルクスの書いた「共産党宣言」の原書を読んでいたころです。この共産党宣言の「宣言」の言葉に当たるのがマニフェストです。これを今の政党はおしなべて国民との約束ごとに、「公約」として使っています。「 MANIFEST DER KOMUENISTISHEN PARTEI 」がマルクスが書いた原書のタイトルです。思想的な目的を以て読んだものではなく、あくまで古典的な文章の美しさに惹かれて読破していったものです。冒頭の文章はドイツ語の言葉の流麗さをにじませるような響きを持ったものでした。私は三年生の時にドイツ語部の幹事長を務めたりして躍動する学生時代を過ごしておりましたが、自分自身勉強するつもりで尚、新しく入ってきた部員が二年生になった時に、部活の教材にこれを使って暗唱に近いくらいに読み惚れていたものでした。その頃は三年生が部活のキャップになって学習にはげんでいました。それは遠い昔の懐かしい思い出です。
民主党がマニフェストに、つまり公約に掲げた子ども手当を初めとして、いくつかの公約があります。今、その公約を巡って是非を問われており、なおかつ衆参ねじれ国会を体験していくうちに、修正ないし破棄せざるを得ない情勢に立ち至っております。世の中は日々刻々変化を遂げていて、だからこそマニフェストが重要な役割を持ってくるのですが、その運用を巡って最初からおかしなものもあったりして、選挙の時の宣伝にに過剰にに利用したりする場合があることは国民がよく知っているところです。極めて不合理な内容の時も現実に出てきます。そうした時にマニフェストにあまりにも忠実すぎて自ら動きが取れなくなっってしまう時があるでしょう。その時こそ柔軟に対応、活用する英知の発揮が求められて来なければなりません。最近の民主党、自民党、その他の政党もそうですが、マニフェストに縛られて普段でさえ硬直的、教条主義に陥ってしまうようでは、現実的政治は行えわれていかないでしょう。変わった意味での専制独裁政治体制と変わらないことになってしまいます。
ましてや、史上最大の震災に直面して、日本は膨大な国土の崩壊を受け、その損害は第三の敗戦に遭遇したとまで言われていますが、規模と実害はそれどころではありません。日本は有史来の重大かつ緊急事態に直面しています。ちびちびしたマニフェストどころの騒ぎではありません。時代の大きな変革を経て世界の経済政治は激変し、寸時に及んできます。それにも増して原発事故の被害は、日本だけではありませんが、多くの国民は天地を巻き込んだ放射性物質の汚染にさらされています。その影響はこの小さな国土に生きる全産業経済に及んでいる事態で、緊迫の度合いは国民生活に圧迫をさらに深めてきております。更には体内被曝の蔓延も否定しえないところです。長期にわたる内臓への影響は、計り知れないものがあります。
かかる事態を想定しなかった時に作られたマニフェストを以て、この未曾有の国家と国民を危機存亡の緊急事態からいかに救わねばならぬかは、政党政治が重大な決意を以て臨まねばならない時に、平時に作られた政権公約など言っている場合ではありません。政策実行の優先順位は大きく変更され、時局に沿った有効迅速な政策が実施されてしかるべきであります。それでこそ国民のための生きた政党であります。
私がかって高等学院時代に独学学習した共産党宣言は、その宣言自体は形骸化されて、あくまで宣言として歴史的意味を味わうものとなっています。このたびの公約は、国家存亡のこの緊急事態に於いてもはや通用しえないものであり、政党の在りかを示すのみで、この時、現実的意味合いは失われております。政党と党員は、一時公約から解かれて国難に柔軟に対応すべきであります。マニフェストはこの際、共産党や社民党に任せておいて、政権政党としてその役割をしっかり努めてもらいたいものです。
大きな被害を受けている大企業もそうですが、農民、漁民、中小企業、失業者、就活の学生、主婦、高齢者、幼児、こうした人たちが被災地で不安と苦難の生活を送っています。国会には名だけの者や、何もしないでぬくむくと歳費をむさぼって、国民をないがしろに遊びまくっている国会議員もおります。そうした者は、直ちに被災地のがれきの撤去に身を挺して働くべきであります。赤じゅうたんを踏んでふんぞり返っては、赤坂あたりの料亭で談合したりしている時ではありません。 7月28日。
平成23年7月6日
社団法人 昭和経済会
理事長