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社団法人昭和経済会

理事長室より
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理事長室より

VOL.20.12

しまった!、頭が狂いそうだ。

   十二月に打ち込んできた「理事長室より」の原稿が全てすっ飛んで、消えてしまった。繰り返しては書けない。取り返しのつかない事をしてしまった。南阿弥陀仏である。折角、心情を込めて渾身の執筆と信じながら毎日のように十二月欄を書き込んできたのに、何の因果か知らないが、ふざけた結末である。何を書いて来たか、思い出すこともできない。事務局の岩本君にもパソコンの他の欄で、どこかに隠れていないか丁寧に調べてもらったが、どこにも確認できない。自分で間違ってキーボードの何かを押してしまい、それが原因で消えてなくなってしまったという。お手上げである。

  12月8日現在、毎日書き込んできた思いが、無残にも消えてなくなってしまった。くよくよせずに帰った方がよいと秘書の岩本君が云うが、慨嘆この上ない始末である。今日はこのまま家に帰えるとしよう。奈良の都を優雅に詠んだ即興詩もある。コロナ攻撃、トランプ攻撃、アメリカの不条理への攻撃と、そしてはやぶさ2号の快挙を歌ってきたものすべて、原稿を失ってしまったようなものである。パソコンにいきなり打ち込んだものばかりである。下書きとか原稿とか言ったものは一切ない。あきらめるしかない。  こんな経験は初めてである。  12月8日

短歌同人誌 淵

   私が早稲田大学名誉教授の植田重雄先生が創刊した短歌同人誌の淵を引き継いで、何と何時の間にか十四年がたつ。毎度のことながら今また、その原稿の締め切りが迫ってきた。前回は230号記念特集として発刊したが、今回の231号は新春号になる。そうした意味で前号の投稿の歌の鑑賞と、あとがきを書かねばならない。気が付いたのが一昨日で、昭和経済の編集発行もまじかで重なってしまった関係でせわしない気持ちである。同人各位の投稿の歌をすべて読んでから出ないと、批評も鑑賞も書けない。書くことは好きだが、人さまの書いたものを読むのはしんどい気がする。読書生活は、よほどの事情でもない限り通じない作業かも知れない。

  この同人誌淵は、角川書店発行の一覧にも載っているが、系譜をたどれば近代歌人の第一人者たる会津八一であることが記載されている。短歌の世界では、唯一、万葉調の伝統を継いで格調高い歴史的由来がある。奈良を訪ねると大方のお寺には、寺や仏像を始め、いかるがの里を詠んだ名歌の歌碑が数多く建てられていて、お寺の格式を表して情趣に富むものとなっている。淵の短歌誌を以て、誇りとするものである。

   不思議なもので、若いうちは読書というのは以て必須な事柄であり、豊富な知識を身に着けるために読書に励んだものである。しかし長じてくると、自分としては今までの、否、ある時点まで読書によって集積された知識をもとに、それを演繹、帰納の思考を通じて独自の創作的な道を突き進んでいかないと納得できないし、やる気も生じてこないということである。極論すれば、今さら知識の習得と云っても、余すところの時間がないような気がする。人さまの書物を読んでいる暇などない、というところだろうか。この際は、与えられている時間をフルに活用し、自分の創作活動の道にすり替えていくことに専念すべきと心得ている。軽薄に聞こえるかもしれないが、頭の中に叩き込んだ知識を上手に使いこなしていくことの方が大事である。勿論刻々変わる社会情勢は関知しながら正しく判断し叙述することは当然であり、新しき知識がそれなりに身に着けていくことはエンジンの潤滑油にもなるということである。

  ところがこの前のこと、中国偉人伝を読み始めたところ、読書熱が元に戻ってきてしまい、読書回帰の自分に怖くなってしまった。のめり込むと、そこからなかなか抜け出せないでいる。書くことも楽しみだが、読書は、ひと言でいえば楽でいいということである。一昨日のこと、炬燵に入って先の中国偉人伝を読んでいてら一行に立ち上がらない小生を見て、久しぶりに見る光景にあきれ返って一言、のめり込まないで下さいと注意された。

  幸いなことに小生にとっては、和歌を詠もうと姿勢を正すと、泉のように文句が出てきてくれる。現実に見聞きしたこと、又は経験則に沿って概念的に思い出しながら対象として取り上げていく場合もある。あとは、当たり前と云えば当たり前な話だが、自分の頭の回転を思索に変換して文字に打ち直していけばいいだけである。感情的には身震いして、一首を感動的に詠んでいくような気分である。

   脱線してしまったが、淵の原稿を早く整えないと皆に迷惑をかけてしまうから、夜も満足に寝られなくなってしまう。そうなるとエンジンの狂いが生じてしまい、自律神経失調症にもなりかねない、。コロナ感染も恐ろしいが、そっちの方も恐怖に近いので、三密回避と同様、避けていかねばならない。うまくエンジンの回転をさせていかないと、方向音痴になりかねない。  

投稿してくださった同人の一首に、イタリア映画の傑作のいくつかを思い出させるものがあったので、敢えてそれを取り上げて鑑賞の対象とした。 ちなみに一首とは、

「鉄道員」「自転車泥棒」「道」「ひまわり」 わが道しるべイタリア映画 
  
と、如何にもすらすらと単純に詠んだその通りの歌である。情感というものがないけど、映画の題名に文字の大半を奪われてしまい、謂うすべもないくらいだが、わが道しるべ」とうたい切ったところにこの歌の神髄がこもっている。尚、敢えて校正を要するとすると、「イタリア映画」と終わってしまうと説明的になってしまうので、「イタリア映画よ」 と閉めると作者の感慨がそれとなく伝わってくる。字余りになってしまうが、「わが道しるべ」と切らずに、「わが道しるべの」と言い切った方が全体の歌の趣旨が明確に浮き出てくるかもしれない。「よ」とか「の」と云った簡単な言葉を付けるだけで文言の趣旨がはっきりして一首が全体的に把握できて鮮明になってくる。

「鉄道員」「自転車泥棒」「道」「ひまわり」とわが道しるべなるイタリア映画よ 

  終戦後間もなくして、外国で作られた映画が日本に入ってきた。失礼ながら最近のように下劣で無味乾燥、喧々諤々のやかましい我楽多映画ではなく、当時はヒューマジズムの精神に感動を覚えるもの多かった。戦争の反動だろうか人間性を取り戻し、落ち着いた美を求めて、ヒューマニズムに溢れる傑作を多く見ることが出来た。そうした意味からすると、我々は実に恵まれた時代に、優れた芸術作品に出合えたし、素晴らしい経験を積んでこられたと感謝している。いまだに忘れない名画を呼び起こし、人生のこよなき糧として身に収めているからである。先に挙げたイタリア映画はほんの一部に過ぎないかもしれないが、その四つのどれをとっても人間性、人間愛に訴えてくるもので未だに涙なくしては見ることが出来ない。 感情輸入たっぷりな作品である。

  230号の 記念特集の淵に投稿された一首を拾い読みして、当時の懐かしい名画を紐解いてみる気がしてきた。 淀川長治と云った優れた映画評論家が居て、映画愛好家のために外国映画の日本への輸入に尽力し、素晴らしい解説を行っていた。「映画の友」は何時しか消えてなくなってしまったが、それは少年の頃の愛読書の一つだった。 今、読み返してみると思い出の玉手箱にもつながってくる。 モノグロの画集には、パラマウント映画に登場する、目を奪うような女優たちの近ずく顔に聊か興奮気味に見つめたものであった。絢爛で、夢のようなあこがれの世界に浸った思い出がある。日本復興のエネルギーとなった名作を思い起こし、懐旧の念新たなものがある。                                                            12月9日

アメリカ、バイデン新政府樹立への移行

アメリカの政府のなかには「一般調達局」というものがあって、選挙の結果が正式に決まると、大統領が変更になった場合に、旧政権から新しい政権に移行するための準備に必要な資金が支給されることになっている。ところがトランプ大統領が選挙結果に不正行為があったとしてバイデンの勝利を認めないでいるため、この資金が出されずに、政権移行に必要な資金が出ないで、言うなれば政治活動が一時的に止まってしまい国家安全保障上、危険な状態が続いてきていた。トランプ大統領の醜態な抵抗があって、政権移行チームに対して必要な資金などを提供する、政府の、バイデン陣営に支援を行っていなかったのである。

  これについて、ヘーゲル元国防長官やCIAのヘイデン元長官など、安全保障を担ってきた要人らが「一般調達局」に政権移行の支援を行うよう求める文書を送ったりした。文書では「政権移行の遅れは国家安全保障に深刻なリスクをもたらす。100年に一度のパンデミックの中では、なおさらだ」としおり、いくら何でもトランプの主張は傲慢に過ぎる」とする意見が共和党内にも噴出してきていた。

  選挙が円滑に行われたかなどを監督する複数の政府機関も12日、連名で声明を発表し「票がなくなったり、操作されたりしたなどという証拠はない。選挙の安全性と信頼性について、最大限、信用できる」としたのである。

  トランプ大統領が証拠を示さないまま、選挙に大規模な不正があったと主張し続けていることについて、アメリカ国内では批判が広がって、トランプ自身さすがに窮地に追い込まれているようである。不思議に思うことだが、アメリカにはもともと民主主義政治が国民の間に根付いて揺るぎないものだと信じて疑わなかったが、国民の分断と対立がかくも激化して、激しい抗争事件まで起こしているとは想像だにしなかった。昨日も、トランプ大統領の支持派の集会と、バイデンを支持する集会の人物が衝突して負傷者が出、警官隊の出動にまでなって多くの逮捕者が続出する有様である。今日のアメリカ国内の人種問題、差別主義と貧富の格差の危機的様相は、近代民主主義政治にとって最大の強敵と云わねばならない。

  バイデンは国内の分断の修正を図り、国民に対して融和と結束を呼びかかている。そして対外的には早やくも、多国間主義を標榜し、パリ協定やTPPへの復帰など鮮明にして、特にEUとの関係修復に力を注ぎ、勢力拡大の中国を念頭に国際協調と連帯を目指した積極主義に大転換する姿勢である。現実を直視して、将来を大観するに揺るぎない確信を得て一応の安堵の念を禁じえない。このまま仮にトランプ政権が後四年続いていくとしたら、世界は大混乱して、隙を狙うやつが跋扈する、一触即発の世の中が乱れ放題になってしまうかもしれないと、真剣にに考え悩んだことであった。回避できたことが夢のように感じられる。

  図らずも共和党にトランプという特異な人物が登場し、四年間の大統領の施政を以て政界に旋風を巻き起こし、アメリカ第一主義をかざして良くも悪くも内外に絶大な影響を及ぼして、今回の選挙を以て退陣を余儀なくされている状況である。バイデンの勝利は、トランプ大統領の施政の大幅な軌道修正を図るものである。人間社会の多様性を重視し、公正と人材の登用に辣腕をふるうことにあった。バイデンは副大統領候補にインド系移民の女性のカラマ・ハリス上院議員を起用して大統領選を勝ち抜いたように、女性の起用に情熱をかけて全員が女性からなる、初めてのホワイトハウス広報幹部チームを発表した。新しいアメリカ民主主義の確立と寄与に向けて大きく進んでいる。打ち出す政策は厳しさの上にも、明るく華やいだ女性の感性と思索から平和への進んだ一里塚となるに違いない。またとないクリスマスの神様からの贈り物であり、新年のお年玉である。

  先日も財務長官に初めての女性となるFRBの前議長のイエレン氏を指名すると発表するなど、政権移行に向けた準備を着々と進めている。先ずは、新型コロナウイルス対策を含む財政政策や、通商政策を具体的に立案することだろう。穏健な政権移行に着手することが出来、一応安堵する気持ちは、全ての人々に共通するものである。 地球規模のコロナ禍で翻弄される今世紀最大の危機であるが、バイデン大統領の就任を新年に果たし、危機克服に大きく前進し、世界の平和と繁栄につなげていってもらいたいと、同氏の健康を切に願うものである。    十二月十一日

日銀短観

  世の中の概ね景況感を示す、日銀の十二月の短期経済観測調査が発表された。短観と称するものだが、大企業製造業を対象とするもので、その結果によると、前回の九月に行った調査よりも十七ポイント上がって輸出や生産活動の持ち直しが鮮明となっった。二四半期連続して改善したことのなる。しかしながら新型コロナ感染拡大前と比べると、依然として低い水準にとどまっている。

  最も上昇幅が大きかった産業は、自動車で四八ポイント上がった。回復顕著筆需要の旺盛な中国やアメリカの等の海外向けの輸出が好調だった。自動車の回復にけん引された形で鉄鋼や電気、生産用の機械といた分野で回復が目立った。逆に造船や重機などの需要の落ち込みで造船とか重機関係は悪化した。コロナ禍の影響をもろに受けている宿泊、飲食業でも、ゴーツートラベルの支援効果が上がって大きく改善している。

  中小企業でも景況感が上向いてきている。上げ幅としては最大のところも出てきている。しかし景況感の水準は依然として低く、コロナ禍の影響が出る前の水準までの葉程遠い感がある。巨大な財政支援策を以て辛うじて下降向きの下落をしないよう水準を維持している状態である。コロナ感染症の拡大がやまず、むしろ拡大する傾向にある現状を見ると、政策の見直しによって景気回復が水を差されるような事態も危惧されるところである。楽観を戒め、慎重な対応と、適切な措置を講じていく必要がある。    一二月一四日

GO.TO.TRAVELの停止

   全国的に新型コロナ感染者の増大が止まらない中、菅政権の目玉政策に打ち出したCO.TO.TRAVELのキャンペーンが全国一斉に停止される事態になった。打撃を受ける観光業者の悲鳴は計り知れない。年末年始にかけて長期の休暇を利用する人口移動は景気回復の兆しを受けて順調に推移する模様だったが、GO.TO.TRAVELの一律停止に踏み切った結果、旅行関係業者に限らず、派生する企業の対応も複雑である。社会活動にかなりの変調をもたらすことは歪めない。人々の移動を自粛する呼びかけもあって、長期休暇をいかに過ごすか、各家庭にとっては深刻な問題である。賛否両論はあるものの、いずれかに決断を要する事案だけに、菅首相の心中を察しして余りある気がする。昨夜にかけて関係閣僚と地方首長との要談を通じ、結審した首相の労を多としたい。

  感染した若者にとって油断されがちな要因の一つに、比較的軽微に終わる症状にある。自覚症状が軽いし、症状に出ないこともあるので感染症を軽視する傾向があって、これが中高年層に撒き散らすとのにつながっている。外での飲食に限らず、無意識に家庭に持ち込む場合もあって、高齢者の重症患者の増加につながり、医療現場の混乱を招いている。医療崩壊が、識者の間で叫ばれて連日警鐘を鳴らしている。放置するわけにはいかない。

  老若に関係なくむしろ若者の感染について懸念される点は、以前にも述べたことであるが、感染の結果の副作用と後遺症が残される点である。いったん治癒されたにしても、長期にわたって感染した後の各種の臓器に病的症状がでて、感染者を悩ます点である。ウィルスが完全の除去されないまま、身体の臓器に残留し、臓器の機能を侵食なさしめる点で、原因不明とみなされるだけに始末が悪い。結果、身体の衰弱に至るからである。いわゆる膠原病に似た症状が長期にわたって続き、筋萎縮にもつながり完全な治癒が困難視される。膠原病は、皮膚・筋肉・関節・血管・骨・内臓に広く存在するコラーゲンに対して、慢性的に炎症が生じることから発症する病気である。全身各所において障害がみられるという特徴があるが、コロナ感染者については後遺症に、こうした症状がみられることが多い。夢ゆめ気を緩めてはならない。      

  経済の問題も大事だが、経済を優先させて、人間の健康と生命の、安全か危機かをないがしろにするわけにはいかない。命あってのこの世の中であり、命あっての人生である。先ずは、人間を生命の恐怖と危機から救い出して健康を確保し、それから物資の手立てを考えて経済活動をする、これが人間の常道ではないだろうか。菅さんの決断が遅すぎたとは言わないが、世論調査による支持率急落を見て背中を押された格好だが、この年末年始の動向を俯瞰して、事を決めにかかった方が得策である。常識的に、俯瞰的に!。                                   12月15日


淵の新春号の「あとがき}の原稿を頼まれて、急いで書き上げたものである。淵は先日230号の発刊に際し、これを特別号として内容に充実を図って発刊したところ、多くの方々から賛意を頂き、感謝しているところである。追って新年号いつもながら小生が、自自分が詠んだ和歌と、同人が前号に投稿された歌を選んでその鑑賞を書くこと、最後のあとがきを担当している。自分の和歌とあとがきは滑らかに書いていけるが、人さまの詠んだ歌の鑑賞となると早々簡単なものではない。人さまの作品を一通り熟読する必要がある。良し悪しは兎も角、作者自身にとっては、力作ばかりであるから、粗末な扱いは失礼になる。したがってこれに要する時間と労力は並大抵なものではない。それと鑑賞した後の責任まで考えると受けることすら憚ってしまう気持ち出る。先ずは書き終えたあとがきを、平凡に読んでいってもらいたいと思っている。


あとがき

  謹賀新年

十国の峠に立ちて初春の輝く空に仰ぐ富士やま

 淵・同人各位にはご機嫌麗しく爽やかな信念をお迎えのことと心から慶祝申し上げます。本年も心身ともに健康に過ごされ、毎日を楽しく意義あるものとなさしめ、詠歌に努めて心身の練磨にご精進下されたく祈念申し上げます。
令和三年                          短歌同人誌 淵

  同人の皆様におかれては、お元気でよいお正月を心静かにお過ごしのこととお喜び申し上げます。心静かにとは、別に菅総理の発言をまねたものではなく、コロナ感染拡大が続く今日、不要不急の外出を避けてほしいという政府の要望に協力しているわけで、ましてや天気晴朗に明けた新春のめでたい日には、初詣にも出てみたいし、居眠りばかりしている猫にいつまでも付き合ってばかりもいられないのが、変な人情というものである。
  去年は、コロナに始まってコロナに暮れた年であったが、暮れたといっても、コロナが収束した、終わって解決したという意味ではなく、中身は依然として続いたままである。むしろ感染拡大の傾向だと云うし、困ったものである。去年はコロナに振り回された年であったが、今年は、治療薬やワクチンの開発の恩恵に浴して安心した生活ができるかもしれないという、確信的な機体に希望を寄せているわけである。
  コロナウィルスは変な性格を持っていて、抗体に対して、ウィルスが変容して抵抗する性質を持っているらしい。だとすると聞いたワクチンが摂取されたりすると新たに違ったウィルスを以て攻撃してくるという結果になって、イタチコッコになりかねない。治療薬、特効薬は出来ない段階で、ワクチンの製造が可能になるということも、本末転倒な気がするが、ここは素直に専門家の意見に従っておくことが大事である。ともかく世界的に蔓延しているコロナ感染症については、なにしろ人類の危機と捉えて対処していかなければならない。
  心穏やかに家にいて読書三昧に時を過ごすも良し、好きな屋内趣味に時を割くのも新発見につながるかもしれない。庭畑のある人は庭に出て小さな農作業に勤しむのもいいし、断捨離を試みて身軽になるのも気分転換になる。人の少ない時間帯に近所を散策してテイクアウトの食べ物を買って家に帰るのもろいだろう。空いた喫茶店に入って渋いコーヒーを飲んだりして、柄にもなく思い出の人を恋しく思うのも乙である。退屈を避けて心身の涵養に努力してもらいたい。今まで切り詰めていた時間の過ごし方に反省して、平凡な過ごし方に魅力を感じ、自分の姿に新しさを発見するかもしれない。

  淵の発刊が二三〇号を迎えるにあたり、何か特集号としたらどうであろうかとの同人からの提案があり、歴史を顧みて畏敬してやまぬ淵の創刊者、植田重雄早稲田大学名誉教授の名歌をしのび、又過去の偉人の優れた歌を思い出に鑑賞して掲載しようと相成った。小生は、植田重雄先生の和歌の中から心に留める歌を選んだ。
同時に百五歳で亡くなった茅原退二郎氏の歌を選歌することになった。茅原氏は九十歳の時に植田先生に勧められて和歌の道に入った。歌を生き甲斐に亡くなるまでに幾多の歌を詠み残し、淵にも燦然とした足跡を残してきておられる。立派で優れた歌人として、同人の胸に刻まれていることは周知のとおりである。

  茅原氏の和歌を追い求めていくと、淵一一五号辺りの書物の中から探し出すことになる。三十年ぐらい前の作品である。九十歳にして詠む歌とも思えない艶めきと感性が漂っていて、今読んでみても若々しい情熱的なものである。内面に秘めた力が、百五歳の天寿を全うさせるに十分な証拠にもなると感じた。選歌を終わったあと、小生は作者の作品をただ羅列するだけでは意味がないとし、所感を込めた返歌を即興的に詠んで原稿に追加したのである。

  茅原大翁に対して返歌を作りながら、創刊者の植田重雄教授の作品に対して返歌がないのは寂しさを感じるので、すぐさま思いのたけを数首読んで、その場で印刷所の編集者にメールして、間に合った次第である。

  新年号のあとがきに、淵の大先輩である植田重雄先生の和歌を求めて、心に刻める機会を得たこと。最年長者の茅原退二郎氏の歌を選んで、鑑賞することの新しさ、これぞ正しく謂うところの温故知新を身をもって感じる心境である。思いも丈を詠んでみたが、お二人を思い偲んで改めて歌に詠んでみたい。

植田先生へ
先生は聖母マリアに心寄せ嘆きの群像に祈り明かせり

茅原退二郎氏へ
百五歳天寿を果たし十字架に從ふ見事なるや人生     12月17日


背に腹は・・・ 別の変異型コレラ・ウィルスが

  嘘かまことか判断がつかないが、昨今のコロナ禍は収まるどころではなく感染拡大の傾向である。更には、新型コロナウィルスに新型を付け足すような、新しい別の品種のコロナウィルスがロンドンで流行し始めたようである。正体はまだはっきりつかめていないが、感染力が今のウィルスより7割も高いらしい。ジョンソン英国首相が金髪を目を振り、目を吊り上げて国民に報告した。ドイツやイタリアにも発症しているらしい。とすると又ぞろ、新・々コロナウィルスの攻撃に対して新たな防御態勢を作らなければならなくい成ってきた。デンマークにも発見されているし、一説にはオーストラリアにも同様のコロナ・ウィルスが見つかっているという。目下のところ限られた国のようで、日本では確認されていないが、厳重な警戒が必要である。目が回って、正にイタチごっこである。

  日曜教会にいつものように出かけたが、マスク着用は当然ながら、教会に入る時には手の消毒を済ませ、礼拝堂でもソーシャル・ディスタンスを保って着席する。窓もドアも開放しているので、外の寒い風が吹き抜けていく。身体が冷え切ってしまい、ぶるぶる震えながら聞いていて風邪を引いたりしかねない。最後の長椅子に座っていたので、開け放たれた扉から外の風がじかに吹き付けてたまったものではなかった。無病息災のお札を頂くわけではないが、牧師の説教を聞いて神様に祈りを捧げているのに、風邪をひいて来たりしては、身もふたもない。

  家内の話によると、地元の内科医に診察に行くと、最近は予約制になっていて指定された時間に行かないと取り消されてしまうという。大した用ではなかったが、たまたま赴いたところ、これまた寒い思いをして帰ってきたようである。町医者ながら予約制ははいいとしても、診察を受けるまで患者同士の接触を避ける故に、待ち合い室には入れずに、外で待っていなければならないという。一人ずつ呼ばれてから医院の中に入るので、最近のように気温が低く寒い時などは、外で待ったりしていると風邪を引いたりする方の可能性が遥かに高い。治療を受けに行きながら却って病気を重くしかねない。考えものである。順番が来て呼ばれて診察室に入ると、先生は完全防備、まるで宇宙服を着たような格好で居るという始末である。いくら慎重で注意深くといっても異常な気がするし、過剰すぎないかというのである。浸透し拡大化するコロナ禍で、いろいろ矛盾だらけの経験をしながら過ごす毎日ではある。 

  今日は仕事を終えて、この書き物の投稿を終えて、これから帰途に就こうと思う。故事を過ぎると地下鉄が混んでくる。五時前なら比較的すいた箱に乗っていけるので、これで今日の仕事はお開きとしよう。 ちかごろ、家内も心配して小生が職場に出かけるのが、あたかも戦地に出兵していくような気がして不安だというのである。出来ることならテレワークで済まし、出社は取りやめたほうがいいのではないかとぼやいている。小生も確かに、目に見えぬ敵兵のなかの攻撃を避けつつ、リスクを負って出かけるわけで、いささか戦地に赴くような感じがしないわけではないが、肉弾三勇士のような覚悟でもないが、嫌だなあと思いつ人混みを避け時間帯をずらし、それでも何だか知らずに出かけて来ているのである。  12月21日

昭和経済会で例えば、講演親睦会を予定していた行事が、コロナ禍の影響をもろに受けて延期若しくは録画収録で会員に通知するという異常事態が続いている。対面会話が出来ずに、知識伝達もままならず、大きく見るとそした影響力は静かに徐々に、しかも確実に、広く解釈していけば人間文明社会に襲ってくるはずである。こうした波をいかに制御しながら乗り越えて、人間の文明社会の在り方を模索し、持続させていくかが大きな課題である。

   11月末の予定していた「西村経済再生担当大臣の講演会」も、予期せぬコロナ感染状況の進展で、大臣も超多忙な毎日であり、当会としても良識ある対応を示させていただくべく、小生から延期の申し入れを行ったところである。大臣方でも当会の申し出を快く受けていただき、追って来春に改めて日にちを検討することに頂くこととした。双方が感謝の気持ちを譲り合って、結果良かったなあと思っている。大臣には心置きなく公務に専念していただくことが出来、ありがたく思っている。

  このところ予想したように毎日のテレビに映らない日がないのを見ても、いかに大変な時間をしのいでいるかがわかる。国民の生命を最優先課題として日夜、奮闘されて、久尾さんと同様、いかに国民の犠牲と被害を最小限度に抑えて将来を見越していくかが、大きな責務として双肩にかかっている。犠牲を多く被っている人たちが、世の中にたくさんいて、そうした人たちの悲鳴の声が耳に伝わってくる。明日をいかに生きるか、このコロナウィルスに罹患した人たちや、職を失い路頭に迷う人が居れば、直ちに救いの手を差しのべて助けなければならない。

  小池東京都知事が連日のように懸命に、明日のいのちを大切に、家族の絆を大事にと不要不急の外出を控え、集合の飲食を避けて感染阻止に心掛けてほしいと訴えている。新型コロナウィルスの発症し始めた3月ごろから、一貫して警鐘を鳴らし感染防止を訴えてきた小池都知事である。感染医の専門家も異口同音、同じように訴えている。市井の庶民は、このことを深く認識、承知して良心的な識者の提言に賛同し、従がって行くべきである。そして一日も早くコロナの感染を食い止めて、健康な日常活動に我々自身の姿を取り戻さなければならない。

  西村大臣に代わって、早速次の講師にNHKの政治記者で解説委員の岩田明子氏に年末の講演会をお願いし、ご登壇いただいた。昭和経済会の会員はじめ賛助会員に対し懇切丁寧な対応を頂き、12月26日に講演の収録を終え、各位にお伝えする手順が完了した。題して「新年度の内外の政治情勢}ということで、原稿化して、これを昭和経済新年号にも掲載すべく本日午後4時に仕事を手際よく完了した。迅速に、既に約束通り印刷屋の手にわたっている。   12月22日


記録更新中の感染者数

   昨日の東京都の新型コロナ感染者が888名という発表で、過去最多である。加えて全国の感染者数も過去最多を記録し3730名となった。依然として歯止めがかからない状況である。それに新異種のコロナ感染も英国に発見されて、この方は感染力も7割がた強いということで既に数か国で確認されており、政府は英国から日本への入国者について注意を払うよう厳重な警戒を呼び掛けている。この変異種のコロナウィルスの感染力の強い上に、感染した場合の重症化に至る度合いも強いということ、更には各種の副次的疾患を招く恐れが十分にあることが分かってきている。英国からの渡航者制限乃至禁止の措置を行って、事前に感染予防策を講ずるべきである。厳重に、要注意である。コロナ感染については、各国ともワクチン開発に懸命な努力がはらわれているが、一部の国や地域では既にワクチンの認可が下りて接種が開始されているものの、いまだ初期の段階で足もとの感染拡大に追い付かない状況である。致し方ない。
 
   今日はイブ礼拝である。玉川神の教会では七時からイブ礼拝が行われることになっている。家内が軽い食事をとってきてほしいというので、夕食をきちんととることにして教会に行くことにした。例年だとにぎやかにクリスマスらしく聖しこの夜を賛美して行うものが、今年はコロナの三密を避けて静かに行われることになり、牧師の聖書朗読とオルガン演奏により讃美歌を賛美するにとどめられた。自由が丘の駅前のレストランに立ち寄って軽食を取り、比較的暖かい夜の聖夜の道を教会に向かった。定刻二〇分前に教会についた。玄関につくと家内が受付を務めていた。礼拝堂に入ると、いつものクリスマスイブとは違って極めて質素な感じがした。ろうそくに火を灯し黙想して、静かな祈りに終始し、牧師の短い説教のあと心やすく、聖きこの夜は、イエスキリストの誕生を祝って世の中の平和と主の癒しと恵みを願って十字架に祈りを捧げたのである。

   

東京の今日のコロナ感染者八百八十八名とぞなる

感染者の八百八十八の過去最高ともイブのさなかに

この日にも八百八十八名の感染者数を記す東京

縁起にて八が三つも並び居る末広がりに止まぬ数にも

縁起にて八つが三つも並び居る広がり散った花火にも似て

皮肉にもコロナ感染の拡大に空の澄み行く日頃なりけり

コロナ禍にあるイブ礼拝に十字架の我に迫りて意義を正さん

仰ぎ見る空に光の尾を引きてはやぶさ二号の帰り来るなり

トランプの狂気に満ちた言動に大統領の品位損なう

国民の選挙結果を否定して民主政治の掟破れり

強欲に権力を手にほしいまま公務を私物化致すトランプ

メルケルとバイデンが居て救われし科学的精神と人道主義の

煌めきの星座を仰ぎクリスマスイブ礼拝に急ぐ聖夜よ

あめつちをくまなく照らし美しき全能の日を灯す神かな

感謝して授かるイエスの愛なれば我より広く人に与へん

幸いに緩む寒さに急ぎ行くイブ礼拝の時に合わせて

行かんかなイブ礼拝に十分前前の席にて仰ぐ十字架

クリスマス、メリークリスマスと賛美してイエス降誕を喜び合へり

人々のみな笑顔にてイブ礼拝コロナ禍にても幸いなりき

早くつく礼拝堂にイブ礼拝一番乗りと席に着くなり

行くそたび通ひ慣れたる夜道にて十字架の音ひびく聖夜に

十字架の前にて思ふキリストの贖ふ愛に在りしわが身の

キリストとともに歩きて語り合ふ全能の主に思ふことあり

我思ふゆえに我在りとデカルトの十字架に立つ実存の影

実存の影ひしひしと迫り着て十字架に在り法界の果て

十字架に首の治めてる御身にて記す法界のみ手に治めつ

オルガンの調べひそけく聖堂に流れて我をいざなひにけり

大いなる恵みの時に我在りてイエス降誕の謎に置かれる

何がしか思ひ悟りて振り返るイエスの生れし聖きこの夜に

コロナ禍に停滞いたす経済に環境汚染の改善の兆

文明の発展と崩壊の原因の謎解き明かすコロナ賢し 12月25日

新型コロナウィルスの出現

  中国の武漢で始まった新型これなウィルスの感染は、瞬く間に全世界に拡散し、尚今も拡大途上にあって一年が過ぎた。トランプやジョンソンをはじめ多くの要人が感染し、幸いなことに無事帰還しているが、運の悪い人は感染と同時にあの世に持って位からてしまっている。謎の多く、いまだ改名されていないウィルスの実態だけに、この種の病状に予想が立たないのが難点である。いまだ治療薬が開発されていないし、罹患した場合には、心肺機能が低下しない処方を以てあとは本人の自然治癒に任せるしかない。集中治療室に入り人工心肺装置や、エクモと云った限られた医療機器を使って懸命の措置を以て生命維持に努めなければならない。その間に本人の回復を祈るばかりと云った、まことにおぼつかない救命措置である。

  こうした患者や感染者が増大して、医療施設に運ばれてくるので、医療機関ではコロナ感染者にだけに集中し、他の重要な治療が妨げられてしまう事態が発生してきている。例えばがん患者の手術が緊急の課題にあっても手術が引き伸ばされたり、行われなかったりして患者の生命を脅かす事態が頻発している。医師が患者を診察し、適切な治療が出来ない状況、つまり医療崩壊が現実に始まっているという深刻な事態である。医療施設、能力にはおのずと限界があるから、何よりもこれ以上、感染者を増大させない措置を講じなければならない。感染を防ぐ努力は必要である。

  感染を防ぐには、原始的療法しかない。即ち、不要不急の外出をやめ、三密を避け、マスク着用を励行し、外出先からのうがい手洗いを厳格化する以外にないということである。子供から大人まで、責任をもってこうした行動を毎日の生活に義務づけることが大切である。特殊な例ウィを覗けば、例えば御立派な地位にあるアメリカ大統領のトランプ如きは、初めからコロナウィルスの害悪を認識せずに無責任な行動を国民に押し付けている、これを除けば、今やほとんどの国や地域でマスク着用は日常生活に密着していると云って差し支えない。

  そのアメリカだが、感染者、死者とも世界最大までに膨張して慌てている始末である。狂信的なトランプ支持者たちが街頭でノーマスクでデモをし、徒党を組んだりして暴れて、ウィルスを拡散している。面目ない話だが、今になってトランプはワクチンだ、マスクだとはやし立てている。コロナ感染の恐ろしさをないがしろにし、多くの国民に錯誤を信頼させ、油断させて、二十万からの国民を苦しめ死に追いやった罪悪の責任は、トランプにある。いかに功績があろうともこの一事をもってして大統領の席から引きずり落し、犯罪行為として裁かれても何ら驚くことはないだろう。

  市民の分断と格差社会の亀裂で互いの憎しみは増幅し、低所得者層の拡大は、ニューヨーク株式の上昇に比例して益々広がるばかりである。政治のトップが行われた選挙の結果を拒み、民衆が互いに対峙して暴力をふるい合い、いつフランス革命やロシア革命が起きてもいいくらいの状況だ。一部の報道では、退陣後のトランプの犯罪行為が暴かれて、裁判にかけられるのではないかとのうわさである。バイデン大統領の政権移行を拒み続ける理由もそこにあるという。いたずらに国民の分断をけしかけて黙認する姿勢、まさに国内は、腫れ物に触る心地である。次期大統領のバイデンは、しきりに国民の融和と団結を訴えているが、傷口は深いがゆえに癒しがたく、就任してから苦労するに違いない。しかし頑張ってもらわないと、困ることが世界中に起きてしまう。

  地球上には変な人物が、変異な人物が沢山いるのと同じように、生物やウイルスの遺伝子情報にも、変な変化をきたすものがあって、どうやら人間社会と同じかもしれない。変異が起こると、例えばウイルスが感染しやすくなったり、治療薬が効かなくなったり、ワクチンが利きにくくなったり、というウイルスの性質の変化が起きてくる。だから扱いにくい。このウィルスが今、イギリス、南アフリカ共和国で新たな変異種として見つかり、世界各国に広がってきている。日本はいち早く手を打って、このウィルスの入国をカットしなければ、つまりイギリスやその他の該当国からの入国禁止の手を打たないと、豪華客船ダイヤモンドプリンセス号の再来を招くことになる。  

大量の不正選挙とはやし立て無様に騒ぐ体のトランプ

バイデンの勝利無効とはやし立て訴訟連発の無ざま晒せり

科学的、人道主義のメルケルとバイデンが居て世は救われし     12月29日

    澄み切った青い空の大晦日

   冬型の気圧配置にすっぽり浸かった、日本列島の大晦日である。本邦に連なる山脈に遮られて、太平洋側は快晴に恵まれているが、日本海側は豪雪に覆われた格好である。東京の空は目覚めるような青空に光り輝いて、天空の視界を遮るものは何もない。澄み切った青空は、まるで大海をを航行する帆船に搭乗する気宇壮大にも似て、爽快である。思わず大空に向かって叫びたくなった。

   今年も充実した一年が終わろうとしている。締めくくりの時に立っているが、一秒の一刻を刻むような気持に空を眺めていると、神経は高みを目指し、神と一体になって法界の哲理に從う気持ちである。自在に己の思惟と存在を操ることが出来るのは、人生の究極の手法と思って、小さな世界で大きな世界を試してみたりしている。感謝して万事を以て益となす、全能の神の存在を我ながらに信じ、生きるしかないと思っている。庭畑の土に足を踏みしめ、手を締めて黙想の一念である。
                                         12月31日


社団法人 昭和経済会
理事長 佐々木誠吾


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