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社団法人昭和経済会

理事長室より
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理事長室より

Vol.9-06 「 Pandemic alert level 5 」へ

  メキシコから発生したとされる強力な染伝力と毒性を持った豚インフルエンザが、世界的に拡大する懸念が広がりつつあります。W・H・O、世界保健機関は、豚インフルエンザの感染拡大の警戒レベルを、これまでの「フェーズ4」から, 「フェーズ5」に引き上げました。二日間の間に一段階も大きく引き上げたことになり、危機的状況の認識が鮮明となりました。「フェーズ4」は、豚インフルエンザが、人から人への感染が2ヶ国以上に発生している状態をさしています。現に感染国はアメリカ始め、カナダ等13ヶ国に及び、アメリカに死者が一人出ました。日本でも、アメリカ・ロサンゼルスからの飛行機便の乗客のなかから、感染したと思われる乗客が一人検視され、隔離されました。国境での水際作戦が機能し、効を奏していることが確認されましたが、国内にもちこまれる可能性はないとは云いきれません。防御体制が重要です。そうこうしているさなかにも又、横浜で17歳の少年が感染していることがわかり、日本への侵入が疑われてきました。
       感染源と思われるメキシコでは一部の報道によると感染者が既に約2500人、死者は176人とも報じられています。国境を接するアメリカでは91人の感染者が確認され、死者が1人出ております。カナダでは19人、ニュージーランドで13人の感染者が出ております。そして疑いのある事例が出た国は韓国、シンガポール等15ヶ国に及んで、なおその感染の拡大が懸念されています。加えてこれが経済、社会など各分野に影響が及ぶのは避けられない情勢です。地球環境の激変が、或いは新しいウイルスの発生を惹起せしめていることも否めません。これから更にこうした傾向が複雑多岐に続く可能性もあり、これが人類の生存をおびやかす事態も想定されます。いつ何時襲撃してくるかわからない毒性のウイルスに対しては、国においても、社会においても、家庭においても、事前の防疫体制の確立が重要であります。
      日本では風邪をひいたりするとマスクを着用することはごく当り前な光景ですが、ニューヨークでマスクをすることは日常あり得ないことです。ニューヨークでマスクをすることは忌み嫌われる光景ですが、そのニューヨークでマスクが今、飛ぶように売れて品不足の状態だそうです。在米日本企業に、今、日本国内からマスクがどんどんと直送されており、深刻な状態が続いて、パンデミックが大きな社会不安を与えています。しかし流行に風聞や憶測、尾ひれはつきものです。過剰な反応は増幅を掻き立てるので、対応は慎重でなければなりません。
       報道では国内に豚インフルエンザが持ち込まれた時には、日常生活の注意事項として、発熱など症状に疑いが持たれた時は直ちに最寄りの保健所に電話で連絡し、行動範囲を広げないことを呼び掛けています。そして必要以外に人混みのなかに出ないことと、外出先からは手を洗浄し、うがいを励行し又、疲労を避け、心体健康を維持して抵抗力を身につけることなどの注意を呼びかけています。
       企業によっては、既に厳重な警戒、防御態勢を敷いているところもあります。外国の出張を全面禁止し、国内への感染が判明した場合には、国内での出張も禁止したり、人ごみの中に不用意に出かけたりしないよう指示を出しているところもあります。漸く経済の混乱と不安も緩和されて、一縷の望みを抱き始めてきた矢先のできごとだけに冷や水を浴びて、企業も、一般の人たちも戸惑いも隠せません。明日からのゴールデンウイークを目前に、楽しい行楽を予定していた人たちにとっては出鼻をくじかれた思いで、残念至極で文句の持っていきようもありません。過剰反応も注意する必要があります。      連休を最大限に延長して、政府の心ずもりでもらった定額給付金を有益に使おうと、はたまた高速道路の使用通行料、一律千円を当て込んで全国走破をもくろんでいた私など、外出危険の標識に出会って落胆のあまり憤懣やるかたない有様です。辛抱するしかありませんが、計画通りの外出や、旅行をされる人たちは、交通の渋滞にも気をつけて楽しい連休をすごしてきて欲しいと思います。私はこの連休をぼんやりと過ごして、和歌を詠み、俳句を作りながら、坊主のような生活に徹し晴耕雨読、もっぱら禁欲の隠遁生活に徹してみようかと思っております。
      しかしながら世間にあっては、いたずらに不安を煽り立てたりすることは厳に慎まねばなりませんが、万全の体制を敷いて国内での感染の拡大を防ぐことが重要であります。
                                               5月1日

         
        

大関、日馬富士の優勝
 
    今年の昭和経済の新春号に私は、昨年十三勝二敗の好成績を以って大関に昇進した「日馬富士」について、祝意と期待を以って執筆しました。彼の人柄と日々努力研鑽の修行、もって生まれた素質が、近い場所にきっと綱とりの場面を作って、将来の大相撲の楽しさを演出して、大相撲全体を盛り上げてくれるに違いないと確信したからであります。その後の場所の成績は、芳しいものではありませんでしたが、今場所は見事に面目を発揮して、十四勝一敗の成績を以って優勝を勝ち取り、待望の賜杯を手にすることができました。最後は横綱・白鵬と優勝決定戦に持ち込んだ白熱的なものでした。私の期待を見事に果たしてくれた日馬富士に、心からの祝辞を贈りたいと思います。
      そもそも昭和経済の紙面を使って、かような記事を書いたのは初めてであります。日頃は、主に経済、政治等に関する話題を中心に書いて会員各位に情報伝達に勤めているので、日馬富士の記事を書くことには相当の勇気が要りました。相撲解説などとんでもない素人にもかかわらず、日馬富士の将来について私が確信的に物を云っているので、その後の彼の成績を含めた動静は、気になって仕方がありませんでした。今回の相撲道で言うところの「心、技、体」が、土俵上の日馬富士に遺憾なく発揮されて、相撲ファンを心底から魅了したことは、歴史の思い出に残る名勝負として夏場所に一線を画すものであり、後日さよう評価されるに違いありません。私の期待と予想が外れずに百パーセント的中することになったので、こんなに嬉しいことはありません。しかも私には、日馬富士が往年の名力士、横綱、栃錦関を彷彿させるからであります。
       再び今場所の感動的場面と、感興の記事を次の昭和経済に執筆したいと思っております。日馬富士、優勝おめでとう!。      5月25日。

平成21年5月1日

社団法人 昭和経済会
理事長 佐々木誠吾


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