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社団法人昭和経済会

理事長室より
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理事長室より

Vol.06-02 EU統合のその後

 2月16日午後6時から、元・早稲田大学教授 高木実氏をお招きして、ドイツを中心としてヨーロッパの実情を視察してこられた結果を報告していただきます。毎年のこと、定期的に欧州を廻ってそれぞれの国がEU統合以来、政治的、経済的、文化的に如何に連携し交流を深め、それが将来に亘りどのような展望の下に変化、推進されているかをお話していただきます。
 こうした動きが波及して、日本を中心としたアジアの国々の中にも連携の動きが胎動してきているさなか、高木氏の講義は大きな示唆を与えるものと思われます。

平成18年1月25日

社団法人 昭和経済会
理事長 佐々木誠吾

Vol.06-01 新春の経済展望、その抱負

 新年明けましておめでとうございます。
 会員各位ならびに当会関係者の益々のご活躍と発展を祈念しております。

 底冷えのする元旦を迎えましたが、凍てつく寒気の中に、日本経済の着実な胎動を感じさせる年明けとなりました。2006年の世界経済成長率は4%超え、米国は3%後半、日本も2%半ばと、持続的成長が見込まれています。(大手米系証券調査)米国では金融政策の舵取りを20年余にわたり運営してきたグリーンスパン議長が退任し、バーナンキ新議長が就任する見込みであり、日本も9月に自民党総裁選挙を控え、新しい首相が誕生する見込みです。
 振り返れば、昨年の日本経済の復活は歴史に残る展開でありました。その起爆剤となったのは、日本の政治の変革でした。郵政民営化解散と、小泉政権の衆院選大勝を背景として、自民党が「小さな政府」を標榜したことは、明治維新以来の日本の政治経済の大転換でありました。
 官主導から企業家精神にあふれる在野・民間を主役としたモデルは、ケインジアン学派から、M・フリードマンのシカゴ学派的政治経済システムへの移行であります。本当の意味での資本主義国家が日本に誕生したという点、日本人による「市民革命」が断行されたと考えても過言ではありません。
 この2005年8月の日本の転換後に、日経平均株価は年率40%以上上昇し、東証1部株式時価総額は500兆円を一気に突破しました。欧州を中心とする外国人投資家が年間10兆円の日本株を買い越し、1日平均売買代金が19兆円、個人投資家の売買代金シェア38%という記録的な買いを誘発しました。依然として、日本の潜在力からすると、日本株はショートカバーの域を出ていない、グローバルにはアンダーウェイトの状況であります。また、最も象徴的なのは3大メガバンクの株式時価総額総計が26兆円を超え、米国CITIバンクに比肩する水準まで回復したことです。15年に亘る不良債権処理・公的管理の時代から、「攻める和製金融機関」が登場したことは日本の資本市場を明るいものにしました。
 大幅な株高にもかかわらず、長期金利は1.5%水準で低位安定に推移し、日銀のゼロ金利政策も慎重に継続される見込みです。一部、過剰な不動産ノンリコースローンに対して日銀考査を実施する等、金融当局が米国FRBのように、先手を打つ迅速な判断力を有している意味で、益々、日本経済は持続的な回復軌道に乗ったものとの確信を深めています。
 株価の回復が消費をかさ上げし、企業の設備投資を刺激する好循環が2006年のテーマになると思われます。官規制から新しいビジネスが開放されてくる今後5年で日本により多くの起業家が登場し、世界をリードする新産業が勃興するでしょう。
 80年後半から90年初頭にかけて、米国では「レーガノミックス(小さな政府政策)」、英国では「サッチャリズム(大幅な行政改革)」が断行され、その後5年にわたり、各国の株価指数が5倍以上に上昇した歴史を勘案すると、日本経済は15年遅れて、今、ようやくその出発点に立っていると考えられます。2005年を起点として、2006年が日本経済の力強い復活と成長の幕開けであることを確信して、新年のご挨拶と致します。本年も宜しくお願い申し上げます。

 新しき経済の世にわが知恵と意思と力を尽くし臨まん

平成18年1月1日

社団法人 昭和経済会
理事長 佐々木誠吾


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