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VOL.25.1
二〇二五年元旦
明らかな話題満載の良き歳の気配に望む遠き富士かな
天気晴朗の日が続く令和七年元旦を迎えた。内外政情の混沌として予測不可能な時世の真っただ中に立っているが、闇に光を見る如く万物の力は人類、人間の希望を絶つことはできない。今年も多くの努力が払われて嫌な事象は断ち切られて、光明のさした世の中に大きく変貌を遂げていくに違いない。個人的には、己の力を存分に発揮して苦難を払しょくし、成果と果実の期待を裏切ることなく邁進していく気持ちに燃えている。
世界的には昨年から引き継いだ課題が満載だが、それらが残している課題を解決すればすべてが大きな成果として変容することばかりである。要は、努力をして決断し成功へ導くか、なお運が巡ってきて幸運の波に乗って希望を果たしていくかである。元旦の真っ青な空が広がった先を見つめると、天地晴朗にして限りなく、将来の夢と希望が満ち溢れていることが明確に描くことが出来たのである。もとより真っ青に晴れ上がった空の天候を我が精神に移し返して心境を述べているが、ここから来た帰結は西日本の豪雪地帯にも、戦火の広がるウクライナやガザ地区などの地域をも包含している。そうした努力を執拗に目指していくべきである。国連のグレーテス事務総長が警鐘乱打していることについても、戦争や異常気象の深刻な警鐘に、世界の指導者は真剣になって耳を傾けて従うべきである。
元旦は、家族全員が揃って我が拙宅で新年を祝った。酒の代わりにお茶を以て乾杯、今年一年の幸福を心から祈った。健康で自らの職務と学習に精を出して、他人の幸福も願っていく一年とさせたいと願ったのである。賑やかなお節料理は、子供たちが用意してきてくれたし、私と家内は場所の提供だけで済んでいるが、その分お年玉は奮発したつもりである。お年玉は、小生が子供の時を思い出してもそうであったように、毎年お正月に手にするお年玉は、いくつになっても期待して楽しみなことは十分承知しているが、昨年、開期末になってようやく成立した新年度の国家予算の膨張と一緒で、年々膨れ上がっていくのは致し方ない。否、差し上げる方も大きくなっていくことが楽しみでもある気がする。無論、息子や娘婿は既に社会的地位もしっかりとして大きく、準じて社会的役目を果たし貢献も尽くしているので、先に述べたように気持ちはわかるがお年玉の論外なことは当たり前の話ではある。
一家だんらんの食卓を楽しんだのち、早速初詣に出かけることにした。お正月のお祝いを済ませたあとは、それぞれ後に付き合いもあって自由行動としたが、息子と一緒に近くの宇佐神社にむかった。瀟洒なたたずまいだが、霊験あらたかな雰囲気が気に入って十年ほど前から、この宇佐神社にお参りをして一年の抱負と無病息災を祈ってきている。高台に位置した社と境内は、眼下に多摩川と遠くに相模の連峰、富士の景色も遠望できる絶景地である。お参りを済ませてから田園調布駅横のスターバックスに入り、ちょうど席が空いていたのでコーヒーをのみながら、息子と歓談出来た次第である。元旦から開いているのは、外資系の飲食店だけである。息子と落ち着いて話し合うのは久しぶりであるが、息子の活躍ぶりを称賛するよりも、どちらかと云えば息子から親父が誉められていることが多く以て喜ばしきことと内心満足していた次第である。
家内も一緒になって歓談すること尽きなかったが、先ずは満ち足りた元旦の日を過ごすことが出来、幸先よい初日のスタートを切ったと確信した。帰宅して配達された新聞に目を通して世の雑念の報道をもとに己ながらに新年の見通しを描いてみたりして、結構面白い年になると個人的には確信した。くだらない戦争を起こして何十万人もの兵士や市民の虐殺に加担したプーチンやネタニアフを含め、戦争犯罪人の汚名を背負ってどのあたりで首をはねられるか、登場する変わり者と天才の裏合わせのトランプが、果たしてどこまで暴れまわることが出来るか、表情は鬱っぽい習近平がいつまで大人しくしてくれているか、もろもろの関心事は結構豊富だが、国連事務総長の言や、天下に轟いて神の声と感じるほどに、光って見えることは幸いである。これを以て世界の良識、しいては人類の良心と信仰心が勝利の剣を抜いて一刀両断のもと、悪事をたくらむ悪人どもを切り捨ててもらうべき年としたいものである。
翻って日本の場合はどうだろうか。日本国の国会と政治が、実は旧自民党のどろ船に載せられて何十年という悪癖の施政下に、虐げられてきた市民が立ち上がって改革の先鋒に立ち、贋金作り、裏金作りに狂奔してきた連中を国会から追放に近い注文を付けて、これを行うまでに成長を遂げたこと、どろ船のリスクを負って政権を担った石破さんが、国民の共感を少ならからず手にして懸命の操舵をもって沈没を免れてきていることは、いたずらに思惑と混乱を招くことなく、以て幸いと云うべきかな、天の配剤と感謝している。新聞の一面、二面を見ても不安材料が満載の世界だが、日本がしっかりとした政権運営と民間の努力によって世界情勢を上手に指導していく大役に、そら!見たことか、気づくに違いない。
GDPは中国に抜かれて三位にとどまっているが、問題は中身である。今中国は長い景気停滞の闇から抜け出せないでいる。買って日本も経験したことである。これからは油断するわけではないが自由と民主主義を堅持して国民生活の繁栄を希求する日本の、以て今の世界が見習うべき姿を提示することが出来るだろう。旧自民党の腐れ切った輩を国会から追放し、与党の諸君の建設的な意見や政策をくみ取った、新しい形の政治を行っていって、対立と混乱を招かぬ新しい理念に基いた新自民党、生まれ変わった自民党を作り上げていくべく、できれば石破さんに頑張ってもらいたいところである。あまりにも多くの悪童がうろついている故、検察も弱腰になってうかつに手を出し切れず、汚れて腐りきった旧自さっぱりと民党の議員らを芋ずる式にしょっ引くことが出来ないでいるのが実情である。
元旦早々に腐れ切った政治のテーマを検索してもつまらんこと甚だしき限りで憤懣やるかたなき仕儀ゆえに、さっぱりと風呂に入って軽い夕食を取ってのち、テレビのスイッチを入れたら、NHK放送でニューイヤー・オペラコンサートが本場のウィーンから生放送されるという字幕に吸い付かれた。リッカルド・ムデイーの指揮するウィーンフィルハーモニー交響楽団の生演奏とくれば見逃すわけにはいかない。心の浄化も含めて、意気軒高の且つ優雅な世界にいざなわれて行くに違いない。案の定、絢爛の演奏会場に招かれて、元旦の夜は華麗なシュトラウスの音楽とオペラの舞踏がさわやかに美しく演出されて興味尽きない連続であった。コンサートはお決まりのアンコール曲を二世の美しく碧きドナウと、一世のラデッキー行進曲で賑やかに且つ躍動的に締めくくられて、歓喜と感動に包まれたのである。ワルツの首都ライスは「酒、女、歌を愛さぬもの」を指して愚か者と云っていたそうである。真をついてこの上なしと覚えるが、ラデイッキー行進曲を高らかに繰り返したあとに、指揮者のリッカルドムーデイーは音楽を通して「平和、愛、絆を全世界に」広めていこうと言葉を結んだのである。
2025年元旦
裕介の車にのりて多摩川の堤を走る元旦の午後
振り仰ぐ天地晴朗の元旦に希望を託し眺む富士の嶺
うららかに空ひろごりて元旦に家族ら集ひ祝ひ酒かな
紺碧の空の広ごる元旦に妻と息子と初詣に行く
去年今年運良きことの多くあり目出度き歳と願ふ元日
明らかに話題満載の佳き歳と気配に眺む遠き富士かな
伝統と歴史を刻み学者らを昭和経済誌に世をリードして
優れたる学問研究を発表し昭和経済誌に名をば記さん
公益の力を集め世に問ひて自由と平和の成果収めん
この年も公益のため尽力し責務を果たし世に尽くし行く
日本のすぐれた学者を網羅して世を導び行く昭和経済
新しき年の初めにシュトラウス曲に小躍りの我は若きも
ラデッキーの振る指揮棒に力ありこもる生気に歳の明け行く
跳躍す天地晴朗の元旦にデッキーの曲繰り返し聞く
晴れやかな青春時代を呼び起こす碧き美しきドナウ川かな
ベートーヴェン第五番の田園の調べの我を鼓舞し止まざる
箱根駅伝の復路を観戦
快晴に続く好天に恵まれ、箱根駅伝の復路の選手たちの奮闘を観戦、応援した。前日の往路は観戦を見逃したが、今日は最終ランナーが拙者の勤務先近くの銀座目抜き通りの中央通りを快走し、京橋、日本橋と抜けて大手町の読売新聞本社前の、ゴールを目指す選手らの復路を競う白熱したレースである。前日に続いて一位に飛び出した青山学院が二位の駒澤大学を大きく引き離して先頭を制して独走し、そのままゴールに入る展開であった。駒澤大学に続き早稲田と国学院大との競り合いが続いていたが、早稲田の惜敗するところとなり我が母校は4位に収まった次第である。各大学間のレース展開は手に汗を握る様相で終始緊張の力を以て観戦、応援することが出来た。二回連続で優勝した青山学院の選手らは、日ごろの鍛錬が結実したものである。選手の乱れぬ快走ぶりは実にさわやかであり、そのまま我々の目に鮮明に映り立派な結果と相成った。心から称賛したい。1月3日
青春の日を鮮やかに受け止めて箱根駅伝を応援いたす日
富士を背に箱根街道の坂道を走る冠者に身を乗り出して見や
小田原を過ぎて渡れる酒匂川我が若き頃思ふ束の間
初春の湘南の地を堪能し海、山、川の輝きわたる
幾たびか箱根の山を逍遥し元箱根より芦ノ湖めざし
街なかや村のすみなど通り過ぎ店で干物を買ふて行くかな
道行きの小さく刻む思ひ出の穏やかなりし湘南の海
成立した第二次石破内閣について、過半数荒れの政権与党を以て早晩、早い時期に政権運営な難しくなって投げ出すか、倒閣の対象になるかとの憶測得あるが、従来の踏襲からすれば考えられたりするところであるが、以前にも述べた通り自民党のどろ船となった根拠の払しょくが出来ればその限りでないことを断言している。既にその途上にあって自民党は、かっての大派閥の安部派が完全に解消されているにで、他の派閥もその存在意義を失いつつあるので、弱小の石破内閣であるが、それを以て自民党内から内紛を起こす理由も力も消滅しているとみていいだろう。その石破さんが首相である限り、その特殊性ゆえに長期政権につながっていく将来性がある。。
なぜか――。理由は、148議席の立憲民主党、38議席の日本維新の会、28議席の国民民主党という野党の存在だ。その上に乗っている石破さんだからである。
端的な分析が示すように、先の国会審議で補正予算が全会一致で衆参両院を通過した通りの現象が、これから先続いていくものと思われる。野党の提案した内容に、自民党の歩み寄りで成立したものである。従来は、野党の提案だからと云って味噌もくそも一緒で、忌避されてきたものであるが、自民党の寛容な態度と、納得のいく野党の提案が上手にかみ合った、妥協というより、熟慮、洗練された提案として認められる結果となったのである。今までは得てして自民党の都合にいいような解釈ばかりが物いう国会だったが、初めて野党の諸君の建設的な意見も受け入れられるように柔軟になったということである。民主主義の前進と言っていいだろう。それは自民党一強独裁の弊害が、長く続いてきてた弊害であり、その間にいろいろと悪事を重ねることを容認し、気づかなかったが故の国会であった。何十年と泣く、かかる国会の所在と運営を許してきた国民にも、大きな責任があるといっていいだろう。
石破さんは、旧来の自民党という政党が、民主主義の垂れ幕に隠れて長い間のうちに腐敗混濁し、死に体の旧自民党に籍を置いていながら、常に本流にあらずして呑み込まれることがなかったがゆえに、沈没寸前のどろ船にきづいて、操縦を誤らなきよう、日本の政界をどん底から救い出した救世主とでも云おうか、そのために登場した快男児である。しかる後、総選挙によって政界の再編成にも似た現象を起こし、先に述べた自民大敗の結果を見たが、質的には野党の諸君も含めて大きく舵を切って覚醒の道に踏み出したとみていい。新たに成長した野党諸君とともに、自民党の力を補充する勢力として大きく躍進した。対立抗争から協調平和の国会運営である。野党の諸君の編み出した政策を、これが長所を生み出すのもであれば政府与党が率先して受け入れていく、そこから生み出されてくる諸々の施策は、国民の支持を得た最大公約数とみることが出来る。自公民による少数与党の国会運営は、野党の責任も加わって是々非々と云う建前を採って全員参加の国会運営となって、国民の信託を得た理想的な姿である。いたずらに政権奪還を叫ぶより、協調路線を突き進み、いたずらに混乱と浪費を招く政治体制よりも、国会運営よりも、こんままの状態で突き進んでいく方が、国民は願ったりかなったりという気がしてくるのである。
どろを吐き腐った議員を追放し議会の浄化を図る国たみ
国民の先頭に立ち奮闘す石破先輩に幸運の在れ
清廉な石破内閣を注目し穏健政治の世界に及ぼし
確かなり余にこの年に幸運の山と積まれる心地してなほ
顧みて八一の学規を確と読みなほ学芸に励まんと欲す
大国の今や米、中、露の国体の民意を損なふ仕儀と相成り
政界に専制独裁の傾向の強まる中に唯日本のみが
白雪の不二やまを見てうららかな気分になりて世にそ臨むまん
箱根路を登りてくれば十国のはるかに眺む大和まほろば
黒柳徹子は夢を見ないと云ふ嘘かまことか実かうそかや
日本の民主政治を堅持して自由と平和を世に謳歌せん
くだらない戦争をやめ略奪の野蛮行為に終止符をうて
プーチンもネタニアフも目を覚ましこの世の者に立ち返りけん
強欲に振る舞ひ富を築かんとすれどいずれはお陀仏の身に 1月5日
初仕事
昔、こんなことわざを学んだことがある。「一日なさざれば一日食わず」。一目的、封建的、古臭い感じがする。勤労を重んじた言葉であるが、去年今年に続いた連休は、通算すると長い方で10日間に及んでいた。人間は正直な凡人であれば、ことわざに従って10日間も飲まず食わずにいたら、が死しているはずである。せっかく授かった連休を内外の旅行日に充てて楽しく過ごしていれば、空白と思わないが、どこにも出かけずに在宅となると、休養も休暇も時間つぶしの持て余し、いささか疲れ気味で、何もしないでいることがこんなにもつらいことか、終いにはものを食う気にもならなくなってきて、そのうち衰弱して、とどのつまりは自然死にすら至る可能性無きにしも非ずである。連休が明けて、仕事のないことはつらい仕事という諺も思い出した。前記は贅沢三昧な休み、後記は仕事のない辛さ、全くの正反対である。しかし連休が明けて、実のところほっとしているところである。
人それぞれの立場によるが、休日になると仕事も休日になってしまう場合と、仕事に影響を及ぼさない場合とでは全く様相が違ってきてしまう。会社に出社して職場の環境にかかわらないと仕事にならない場合には、家にいてぼんやり型になってしまう。家にいて家事に携わる主婦からすれば、何もしないで終日家にいる主人を見て甲斐性なく思えて目障りであり、粗大ごみにしか見えなくなってくる。心身ともにストレスがたまる一方であり、健康上にもいいことはない。人間は結局のところ、健康で生きている限り、考えること、思索することと、体を動かすように創られている生き物であるということかなと、天命であり、寧ろ幸運を呼ぶ立ち位置を、宿命的に思っているのである。 1月6日
個人的に、石破さんに頑張ってほしいと願っていることなので、新聞に小さく記した「首相の日程」を読むまでもなく、メディアに報道される映像を見ていると、体の休まることもない、秒読みの続く働きぶりに、早く体を休めてもらいたいと思うことしきりである。早めに官邸を引き払って自宅に帰り、風呂に入ってゆっくりとしたあとは、夕食に就きビールを干して寛ぎながら新聞記事に目を通し、そうだ、寧ろぼんやりとして休んでいることも賢い休養の取り方かもしれない。その晩はゆっくりと、羽根布団の床に入り睡眠を十分にとってもらう、とそんな余計なことも気遣って考えてしまうくらいに思うのである。律儀で、謙虚な人柄ゆえに、人と会うたびに頭を下げている様子も、疲れ切って前にこうべを垂れ下げたまま、つんのめってしまっても困る。大事な反り大臣を務め、ひとえに国と国民のために東奔西走の大役を以て時局に臨んでいるわけで、正月連休もあったものではない。ご自愛を祈るところである。
まさかアメリカ大統領にプーチンのコピーが
次期大統領に就任する間のトランプさんが、矢継ぎ早に自説を唱え、政権稼働の準備に余念がないが、おや、これは一体どこの国のおっさんが出てきたのかと一瞬戸惑うような事態が発生してきている。第二のウクライナかとも思われて心配になった。トランプさんの強欲の極意をついて余りある発言だが、就任式もやっていないのに、金で買収して要職に就いた車屋のテスラと一緒になって子供みたいにはしゃぎまわっている。鉄砲こそ撃ちまくってはいないが、それもありうるとまで言い切っている。つまり云うことを聞かなければ高い関税をかけて経済的に窮地に追い込んでやるし、それでも聞かないなら鉄砲やミサイルを撃ちまくって欲望を満たすという、甚だ物騒な話であり、無鉄砲な発言である。アメリカと云う経済、軍事大国だけに、自由な国際社会を混乱せしめるような話は、控えてもらいたい。世界の国々に関税を一律に10パーセントかければ、たちどころにアメリカは経済の大繁栄を享受できると云うラッパを吹いて世界を震感させている。貿易は二国間の相互主義で成り立っているのが原則で、一方的な関税の引き上げは極めて単純であり分かり切ったことで、相手が何もしなければ、その分相手は損を受けることになる。損を受けて黙っているはずがないだろう。
大物の成功した人間と云うものは得てして奇人、変人が多いし、天才とうらはらであったり、隣り合わせなことが多い。トランプもテスラもそうした類に違いない。加えて近く成立するtpランプ政権はトランプに忠誠を誓う連中が集められているというから、そうした雇われ人、子分たちは親分の言いなりになって仕えていくという理屈になって、親分の行き過ぎや踏み外しを忠告し、止める連中が全くいないという、イエスマンたちばっかりである。いわば独善的ワンマンの政治が敷かれて行くことになる。ヒトラーやスターリンや、近くにはシリアのアサドみたいな残虐無謀のことをしでかされても困ったものである。
就任を一〇日余後に控えた昨日の記者会見で、トランプさんが口にし出した四つの事柄について、これは正気の沙汰ではないといぶかったのである。いぶかってしまう点はこれからたくさん出て来るに違いない。アメリカ第一主義をかざして、超大国が獅子奮迅の大暴れをすることになるから、きっと世界を相手に自国だけが生き延びって繁栄していけば、あとはどうなろうとかまわないという奇抜な発想の大統領の出現である。おどろくに与えしない。世界を相手に丸く収めてくれれば願ったりかなったりで、みんながトランプに従うだろう。秩序のブチ壊しでは困る。
ここからはいつものように天下御免、敬称略で行くことにするが、プーチン、いや間違えたトランプは北極圏にあるグリーンランドについて、これを買い取りたいと云って所有権を放棄しなければ高い関税を科すと言い切った。それでも承知しないならば安全保障上、軍事行動も辞さないと物騒なことを平気で言いだした。グリーンランドはデンマークが所有している。デンマークは寝耳に水である。突然、降って湧いたような話に困惑している。デンマークは、グリーンランドは売り物ではないと怒りを込めている。これは、プーチンが北極圏に出てきたと錯覚をする良いなことになり、しかも、アメリカ大統領になる人物からである。やたらと他国の領土を欲しがるとは、いったいどうゆうことなのか。
トランプは亦カナダのトルドー首相に対して、カナダはアメリイアの51番目の州となるべ気だと、言い切って提案した。最近のカナダのトルドー首相の人気の低落振りは目に余りあるもので、近かずく総選挙に勝つ見込みもなく辞任を申し出たが、国民の意見は大多数が選挙を前倒しして政権の交代をうながしたりしている。アメリカにとってカナダは別段独立国として大した意義もないということから51番目の州になれば、だらだらとした長い国境は必要でなくなり、国民はアメリカの経済的繁栄をそのまま享受できるのであると述べている。
又、アメリカの南海岸に面して浮かぶメキシコの国に向かって、現在メキシコ湾と云っているが、これをアメリカ湾と云う呼称に変えたいと主張しだした。これは又新たな物議をかもしている。
そしてまた、パナマ運河の権益をアメリカに返還しないと、軍事力の行使を辞さないと表明したりしている。
確かにそうした発言をするについては、それなりの根拠があって、だとすればそうした根拠となる問題をあらかじめ提起して検討しながら相手と交渉すべき事案ある。中国、ロシアなどの海洋進出や領土侵略をはじめ、最初はウロウロ、チョロチョロしていながら他国の領域に侵食して、やがて実効的支配を試みるのが中、露の常套手段であり戦術であるが、アメリカはグリーンランドにもそうした兆候があって、憂慮していることが明白になった。トランプの発言によって当面4点が課題として浮き彫りになったということは、アメリカがいかに、中、露との当面の新たな具体的接点として捉えているかが判然としてきたわけである。トランプの鋭い臭覚が先回りした感じである。準備を要するに越したことはない。それにしてもプーチン顔負けの、対・グリーンランドの島の買収提案と、その後の危ない発言である。
20日のトランプ大統領の就任式が終わってからの本格的な言動に注目して、アジア諸国やEUなどが連携して無謀な行動をチェックできるような体制を早く積み上げていく必要がある。トランプの脅しや牽制のうちに、こちらがその渦に巻き込まれぬよう対策を講じておくべきである。
1月8日
年賀状の欠礼
毎年年末近くなると、それぞれ年賀状の発送準備に取り掛かることが通例であったが、これを楽しみに書く人と、負担に感じる人があって、正月に届いた賀状を読んでいると様々に受け止められて楽しみであり感謝の念を感じてやまないものがある。新年に当たり、希望と抱負と期待と、貴重な励ましを以て、語っていただく賀状を未だに多く受け取っていることを深く感謝している。時局を展望して大きな示唆を与えてくださるものもあれば、家族団欒の写真を添えて、健在ぶりを知らせてくださる人もいる。すべて有益に感じて賀状を一枚一枚丁寧に目を通して、くださった方の日頃のご様子を想像して目に浮かべている。楽しい一年の初めに経験する暖かい絆である。
一方で又、「今年を以て賀状を欠礼させていただきます」といった文言を見つけることが多くなってきた。高齢に達した理由が多い。高齢に達したがゆえに、古い付き合いが大事になって気はしないかと、勿体ない感じがしてくるが、要は肉体的にも精神的にも負担に感じるゆえんではないだろうか。油断付き合いがないからこそ年に一度のあいさつを交わし、人間的な絆を保っておきたいと願望する人もいないではない。そうした人は、精神面でまだ闊達、旺盛な証拠でもある気がする。早稲田大学名誉教授で、昭和経済の巻頭随筆を長年にわたって執筆してこられた大内義一先生は、百歳手前の白寿でこの世を去って行かれたが、毎年暮れになると千人近い知人、友人、教え子といった人たちに年賀状を送っていらしたが、楽しみと同時に責任みたいな心情があってのことと記していたことがある。自ら常に教育者として社会に臨んでおられた証かもしれないが、そうした人が無宗教であったことに、意志の強さが感じてならない。大内先生は簡単な賀状の言葉を印刷して、表の宛名とご自分の名前は、必ず自筆で書くかれて送っていらした。教え子の中には、先生の自筆の賀状を額に入れて敬意を表している人もあって、先生は律儀にそうした気持ちに向かって賀状をしたためておられた由である。昭和経済に随筆を連載するようになってからの先生の名は、早稲田大学が生んだ英文学者としての名声のほかに、随筆家としてその名を文学的な世界にとどろかせることになるが、新年の賀状を大切にとっておくことは敬愛者にとってはさもありなんと思う次第だ。
高齢に従って賀状を欠礼するといった報せは、きっと高齢ばかりが理由ではないと思う。気分的に人との接触を回避していく傾向に陥っていく弾みかもしれない。今年の特徴は法人からくる賀状が、申し合わせたように、ぴたりと異口同音に来なくなったのは事実である。個人的には欠礼の言葉を以て、年賀状じまいと称する人もいた。墓じまいと云う言葉は、最近よく聞く言葉であるが、年賀状じまいという言葉はきっと初めてではないだろうか。これかは一般的に使われていくことばになるかもしれない。そして年賀状じまいはますます加速していくに違いない。年末年始の少し間を置いた人間の無沙汰が、賀状に特別な関心を寄せさせる原因の一つとも思われた。自分自身の周辺を見ても、今年も賀状がだんだんと減っていく気がしたが、それについて賀状の来なかった人の消息を訝しげに思ったことも余りないので、これが普通になっていくかもしれないと、つまり虚礼廃止の気風がごく当たり前に、普通に思った次第である。小生としては年賀状が虚礼とは思っていないので、年の初めのあいさつとして古き事柄を整理して新しき道に向かっていく気概を示す意味でできることなら続けていきたいと思っている。受け取った方が面倒なことと思われるようであれば、ご遠慮申し上げるべきと思っている。そうした意味では、年賀じまいを知らせてきてくだされば、寂しいと思いながら左様の事情を斯くしかじかとくみ取って、差し上げないでもいいかなと思っている。1月14日
韓国の政治情勢を憂慮す
韓国の尹大統領が戒厳令を不法に発令したという容疑で検察庁に拘束、逮捕されると云う異常事態が、親日家のお隣りの韓国で生じており、政治的混乱が続いて日々不安を増幅している。政治的に対峙する北朝鮮の脅威に遭いながら、いつまでも韓国の政治的混乱が続くようだと、安全保障上、由々しき事態の渦中にあって有事の際の心構えについて我々も確たる供えを持っていないと、狼狽する結果になる。日、韓、米の密なる軍事的連携を保持し、いかなる事態が発生しようとも、万全の対策を瞬時に取れるように整えて置かねばならない。幸いにして北朝鮮の動静は極めて冷静な状況であり、混乱に乗じて韓国のかく乱作戦に出るという迂闊で且つ卑屈な行動をとったりすることもなく、僭越ながら意外でもある。
韓国の国内の政治状況については国会の議席数定員300のうち、少数与党に転じている議員数113「国民の力」と、164野党の「共に民主党主たる構成構成であるが、昨年春のこな割れた総選挙で、外国、特に中国の干渉を得て議員数を大幅に減らした尹大統領の与党「国民の力」が大きく大敗し、国会審議が思うままにいかなかった。国会に提出した法案もことごとく否決される始末にいらだちを隠さなかった尹大統領が血迷ったに違いない。配下の警部に指示し戒厳令を出すように命じた。軍隊を導入し、反政府分子をことごとく拘束しようとした。しかし不用意にも失敗に終わった。尹大統領を警備する警察隊と、戒厳令を発令した尹大統領を法令違反で拘束しようとする警察と対立が続き、流血の衝突すら懸念されたが、1200人の警官を擁し逮捕令状をかざして執拗に迫る警察に、矢折れ刀尽きた尹大統領が屈服する羽目になった。尹氏は取り調べに応じずに、大統領の職権の正しさを主張している。政局の混乱は韓国のみならずアジア極東地域の攪乱要因になりかねない。韓国の政情が速やかに収まって、国会運営の正常化に戻ってくれることを祈っている。
イスラエルとハマスの間で停戦合意
一年前にハマスの奇襲攻撃を受けたイスラエルは、国力を上げてガザ地区の攻撃にで、人質解放を優先して、ハマスの殲滅に電光石火、軍事的攻撃を開始したが、市民や民間施設を盾にしたハマスの執拗な抵抗にあい、戦闘状態は一年の長きに及んでいる。その間ガザ地区に住む民間人の犠牲はおびただしく、徹底的破壊はもとより市は廃墟と化し、狭小な地域での殺戮は悲惨を極め死者は4万から5万人ともいわれ地球上に描いた地獄絵図の様相である。以て非人道的行為が全治に繰り広げられている。ネタニアフの気の狂ったような報復措置は国際社会からの批判を浴び、国際違法裁判所から戦争犯罪人の烙印を押されて追い回される身ともなった入る。ガザ地区に潜伏するハマスは、イランとロシアの支援を受け、一方イスラエルはアメリカの支援を受け、代理戦争の様相であるが、ヨルダンの、そしてシリアのアサド失脚で力をそがれたハマスも最後の息の音を絶つまでに至っている。人質解放は至上命令でありネタニアフは強硬姿勢を崩さない。
しかしここにきてバイデンと、あとを引き継ぐとトランプの圧力も功を奏して停戦交渉は首尾よく進み、イスラエル・ハマス両者の合意にまで取り付けられた。以て、巧みな努力の結果の素晴らしい成果である。大統領職のバイデンの花道を飾り、同トランプの船出を祝う、両者の大なる成果といってよいだろう。その労を多として心から敬意を表したい。
幾まんの尊い命を奪ひたる指導者一人のなせる術にて
匙ほどの小さき土地を奪ひあいあまたの人を土に埋めたり
砲弾を雨の如くに撃ち込みて女子供を下敷きにす
雨あられと打ち込める砲弾の小さきガザの国を埋めたり
地上より、地球の地図よりガザの地を消さんばかりに火炎あびせり
人間を一人殺せば更に増し殺したくなる悪しき人かな
瓦礫より手を引き出せば足が出て引けば身体がずぶずぶと出ん
誰だってなるよ戦争神経症戦果を上げて帰る兵士に
地球上各地に第二の沖縄戦いまだ懲りずに交戦中とは
戦地より生きて帰れる戦友のなべて気を病み気が狂ひけり
何のためこの世に生れし人の身の人を殺めるためと申さで
停戦となりて歓喜の市民らの街に繰り出すおんな子供ら
西方を見れば夕日の落ちて行く遮ぎるもののなき大空が
ガザの地の夜空に光る星々のようやく神の宿る空にと
荒漠の砂丘に嘆く母の乳吸う力なき稚児を抱きつつ
バイデンもトランプも良し立派なり政治家として役を果たせり
上官の命令ゆえに悪人になりはて人を殺めけるなり
何人の人を殺せば気が済むや無制限にも戦場の兵士ら
石ころを拾い放てば空を飛ぶミサイルに触れ撃破致せり
停戦す今夜の月は殊のほか冴えて明るく光るガザの地
一国の大統領が権威をふるって人の指導に当たってきたのが一夜にして捕囚の身となる悲惨さは、歴史上の物語としても極めて多く語り継がれてきているが、それがまさかの現実の問題ともなると恐怖に近いものを感じて、やる瀬なさを抱いてくる。韓国の尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領が19日午後、現職大統領としては初めてソウル拘置所一般収容室に入所させられたのである。尹大統領は15日午前、ソウル漢南洞の官邸で逮捕されて、その日に高位公職者犯罪捜査処なる機関の調査を受けた。その後はソウル拘置所に留置されていた。拘置所は約20平方メートル、即ち6~7坪規模で、一般収容室独房の二倍の広さだという。拘置所側は規定によて身分を確認してから尹大統領と簡単に面談した。その後においては、精密身体検査の後、尹大統領はカーキ色の囚人服を着用させられた。同時に囚人番号もつけられた。姓名は名乗らず、番号によって処理されていく。収容者識別のために撮る顔写真「マグショット」を撮影した後、下着、タオル、歯ブラシ、食事用トレイ、プラスチックの箸とスプーンを受け取って収容室に移動したという。
斯様に、尹大統領は約3坪ほどの独居室をで生活することになる。独房にはロッカー、シンク台、テレビ、机兼食卓、便器などが備わっている。1週間に一回入浴が許される。毎日1時間以内の運動は可能で、朝食は餃子スープ、干し大根の和え物、昼食はジャガイモスープ・豚肉の甘辛炒めなどだったという。大統領と云う、天上から一気に地獄とは言わないが、それに近い場所に突き落とされたわけである。法治国家であるがゆえに人間としての最低限の権利は保証されているが、大統領職職に就いたものとしては、被疑者扱いとされれば一般と同様であり、思うに、何ともみじめと云うしかない。韓国は日本にとって大事な国である。尹大統領は温厚な容姿を以て親日家であり、日韓友好関係を今まで以上に築き上げてきた功績があるだけに親しみを以て見守ってきた。穏健な結末に終わることを祈っている。 1月20日
顧みて日韓関係の構築に努める尹氏の功績の大
憂国の士なれば過敏に手を打ちて過ち犯す時もあるかし
戒厳令などお粗末な挙に出でし大統領の勇み足とも
南北に分断されし運命の祖国のこの先いかに生くかや
親しみのあふれる仁和なその人に正義と神のご加護あれかし
韓国の政情不安は極東のアジア諸国に影響の大
米中の対立激し中に立ち日韓連携の意義の大なり
荒波を越え帰りたい釜山港へ好きな貴方と手を携えて
昔より対馬海峡の荒波をこえて大和へ来る人多し
仁和なる尹大統領の面影の一人独房の身とはなりけり
わびしさも如何ばかりなり寒々と一人独房に居りし彼の人
歴史をひっくり返すトランプ大統領の就任式演説
アメリカ第一主義を掲げて大統領選挙に圧勝した第47代トランプ大統領の就任式が20日の正午に行われた。相変わらず圧倒する巧妙な就任演説だが、世界にとっては予想通りの厳しい姿勢を打ち出し、これがアメリカ優先の、アメリカとアメリカ国民にとって利益誘導の政策の発表になって、アメリカ第一主義を強力に打ち出す不躾なものとなった。用意された大統領令は百以上と云われ、この日だけでも四十もの令状に署名した。議事堂に乱入した暴徒の千五百人余の、犯罪収容者を恩赦しる件も入っている。野に放たれた暴徒は、どうゆうことになるやら。
大統領令には気候変動対策の国際的幕組を規定した「パリ協定」をはじめ、世界保健機構WHOからの離脱を指令するものであった。米国はこれまで以上に偉大で、強力で、はるかに卓越した国になると胸を張った。我々は黄金時代を迎えると主張するトランプには、前政権のバイデンの政策をことごとく否定し、覆水盆に返らずで、四年間のバイデン政策を文字通りやり直しの感は否めない。バイデンの無駄な四年と断じて、中には無理強いな政策転換を示唆するものもあった。トランプ政権でアメリカの黄金時代を築き上げると豪語して約三十分の演説を締めくくった。トランプは関税を武器に敵視する相手国に立ち向かう政策だが、例えば、既に脱退している環太平洋パートナーシップ、TPPのように関税を撤廃して諸国間の貿易の拡大を期待する条約とは正反対の政策で、反時代的であり、世界を敵に回してまで振る舞うということは簡単に許されるものではない。
黄金時代とはいったいどんな様相なのか、前時代的表現に古臭さを禁じ得なかったが、中身については懐古趣味ではないが興味津々であった。まるで中世ヨーロッパに伝播した絶対主義的な王朝貴族時代の遺物の復元か、植民地時代の帝国主義的発想がないでもない。まさかトランプ王朝時代の招来を夢見ているわけでもあるまい。黄金時代などと、とぼけたことを云ってはならない。上げ足を採るわけではないがアメリカの発展を述べる中に、領土拡大と云う言葉が出てきて、何と時代錯誤も甚だしいと気でも狂ったかと思うほどに感じた。
領土の拡大とは国際秩序を破棄して他国を侵略していくということであり、ウクライナ戦争をおっぱじめたプーチンと、トランプの姿勢は変わらないことになる。すでに具体的に名前が挙がっているが、グリーンランドを名指して恫喝に近く、国家主権を脅かしているところは問題である。又、カナダを指してアメリカに帰属して51州とした方がカナダ市民にとって利益になると云ってみたりして、就任早々やたらに物騒な風評や世情を掻き立てている。大統領就任で高揚した気分がそうさせている点もあって、ご祝儀の修飾語と捉えればいいのかもしれないが、余り度の過ぎた物騒な発言は控えてもらいたいものである。そうでないとアメリカという大国は、自由と平和を標榜する民主主義国家と称して、国際社会に臨むことが出来るのか疑わしいし、内向き外交に転じられても超大国の行動だけに世界は戸惑いの渦に巻き込まれ、米国にとっても国益に沿うものだはない。
教会の礼拝に臨んだトランプは、「世界には貧しい人、病に苦しむ人々が沢山いる。神の名において、こうした人々に慈愛と救いの手を差し伸べてもらいたい」とトランプに向けた牧師の祈りに、トランプは不機嫌な顔をして教会を去っていった。記者の質問に、下手な説教だったね、楽しくなかったと吐き捨てるありさまであった。司教を極左だと決めつけている始末である。神の言葉が通じないとは思わないが、彼が教会を尋ねたということは、せめてもの救いであり慰めである。 1月22日
教会を尋ねるトランプ大統領主を前にして神妙なりき
世の中に多くの貧しき人居らば救ひの政治を敷いてゆかばや
教会を出でて不満たらたらのトランプに主は手を差し伸べり
国王となりても神に背きたる罪深きかも世の習ひにて
おのが欲満たさんために人を撃つ術に鉄槌を下す神かな
変身するトランプ大横領
ダボス会議に参加したトランプ大統領であるが、その演説に各国が注目した。雰囲気に乗りやすく気ままなトランプの性格で、陽気なことは会議を盛り上げて結構なことであるが、空手形だっだりすると国際社会に混乱を招きかねない。吉本興業の漫才師と変わらない。性格的にそうした傾向があることをみんなが知っている故、彼が得な性格を持っていることは強みである。
会議の発言では、イスラエルとハマスとの戦争について、ガザ地区の停戦にこぎつけて双方のハマスが拉致した人質と、イスラエルが戦場で拘束した捕虜の交換が行われて、ガザ地区に平和が訪れつつあることや、プーチンがやっているウクライナ戦争について、くだらない戦争をやめろ、さもないと関税を大幅に上げるといった文句が、居合わせた聴衆に大受けしている。また、パリ協定からの離脱についても言及し、中国のような人口の多い国よりも、アメリカが多くの資金を拠出していることは不公平であるとし、こうした不均衡が是正されれば離脱に再検討の余地があると云っているように、可成り軌道修正した内容になっていて、その豹変ぶりが取りざたされていた。拠出金の多寡によって云々される問題だとする見解は大いに歓迎すべき変身ぶりである。気候温暖化や異常気象の意義が根本的に否定されるといった事態は、少し後退したようで安どの念を禁じ得ない。
経済産業大国の一翼を担うアメリカが、こうした問題に真摯に取り組んでいく姿勢がないと猫に小判である。黄金時代を築くにはこうした基本的な問題を解決しないと、空手形になりかねない。アメリカは現在でもいろいろ問題はあるが、世界一の経済発展を成し遂げているk二であり、自由と民主主義を堅持して国際社会をリードしているものと思っているが、大きく更に理想を掲げることは良いとしても、そんなに焦る必要もないりっぱな国だと、世界は認識している。
アメリカ西部、カリフォルニアを襲っている大火災は誠に悲惨であり、気の毒に思うことしきりである。自然の脅威には巨大国のアメリカも太刀打ちできない。アメリカの黄金時代を象徴する豊かな億万者の住宅、豪邸地帯を総なめし延焼を続けていっている。気候変動の到来で、異常な勢力を持った乾燥地帯が広がってしまった結果であり、現地を訪れたトランプも、唖然としており、アメリカのエンターテイメントの一大産業がつぶれる規模で深刻であると云っている。
大統領の選挙運動の演説中、銃撃、狙撃事件に遭遇し、奇跡的に一命をとりとめたトランプであるが、家族は、その後の彼の性格が、以前のような激しさが無くなり、少しづつ穏やかに変わってきているように思うと漏らしていたことがある。人の一生のうちにはそうした転換点があることも事実である。事件の影響が、良い方向に向いていけば、トランプの魅力は更に倍加されるに違いがいないし、国際社会に大きな支持層を集約していくことになる。アメリカ第一主義を唱えなくとも、民族の分断と対立冴えなければ、そして富の分配が上手になされて極端な格差社会を避けていけば、将来について第一主義の立ち位置を否定するものはないように思う。
そうしたのちのアメリカ第一主義と黄金時代は、捉え方によるけど、共感と喝采を受けて現実に近づいてくるに違いない。トランプが笑った顔を時々見せることがあるが、何と魅力的な風貌に変ってしまうことか、険悪な顔ばかりして嵐を呼ぶ男ではないことは承知しているが、その束の間の笑顔が往年の映画の名優を彷彿させてやまない。父親の厳しさがあってか、家族を愛し、一般家庭と同様に家族もみんなしっかりして真面目である。彼の特異な人気が、政治家としての能力ではなく、人間臭い異種ぷんぷんのところが健康的に映っているのかも知れない。活動的な社会には必要な要件である。 1月25日
石破首相の施政方針演説
石破総理にとって初めてとなる衆参両院での施政方針演説は、重量感があって見ごたえのあるものとなった。慶賀に耐えない。衆参両院の本会議で施政方針演説の骨子は、「地方創生を国づくりの核心」に位置づけ、「令和の日本列島改造」を進めると訴えるものであった。また、少数与党での政権運営について、与野党が熟議し、国民の納得と共感を得られるよう努める姿勢を強調していた。地方創生は、かっての田中内閣が打ち出した「日本列島改造計画」を想起させるものがあったが、時代的背景は異なるものの、基本的には都市中心型の発展過程を経てきた歴史的経過を見ると、地方創生は日本の将来にかけて必須の課題と申しても過言ではない。それを政治家がどうとらえるか、才知に掛けた命題でもある。その才知を今回の国会演説に見せられたように批判を云ってたらきりがない故、我々は誠実な石破首相に賭けてみたいと思うし応援を続けたいと思っている。
演説の要約 地方創生を国づくりの核心に
冒頭に、石破総理大臣は「ことしは戦後80年、昭和の元号で100年にあたる節目の年だ。これまでの歩みを振り返り、これからの新しい日本を考える年にしていく」と述べた。
その上で、目指す国家像として、すべての人が安心と安全を感じ、多様な価値観を持つ一人一人が互いに尊重し合い、自己実現を図る「楽しい日本」を掲げ、バランスの取れた国づくりを進める決意を示した。楽しい日本とは童謡に出てくるようなわかり易い言葉である。難しい言葉を羅列されても行き着くところは、国民の一人一人が日々暮らしやすい生活の享受が約束されている社会である。世界に向けた言葉として「楽しい日本」とは、多くの人たちにわかり易く受け止められて、開発されていく地域に限らず、張りめぐされた新幹線をはじめ、そうしたインフラをもっと有効に活用した方策を地方に広げて行くことによって達成されるに違いない。具体的には「令和の日本列島改造」を進めるとして、「若者や女性にも選ばれる地方」、「産学官の地方移転と創生」、それに「新時代のインフラ整備」など5つの柱を打ち出すことによって目的を達成することが出来ると思っている。
即ち、政策的には働きやすく魅力ある職場づくりや、男女の賃金格差の是正、政府機関や企業の本社機能の地方移転、AIの活用を含めた地方でのイノベーションの創造、脱炭素化やデジタル化の推進、地方公務員の副業や兼業の弾力化など、山積する課題に即刻取り組むことである。
そうした活動を支える経済・財政の分野では、賃上げを成長戦略の要と位置づけ、中小企業が利益を上げられるよう価格転嫁や生産性の向上を進め、「コストカット型経済」から「高付加価値創出型の経済」への移行を実現させると、石破首相は訴えているい。しかしながら「経済あっての財政」という考えを基にするならば、引き続き財政健全化を目指すとした上で、ことしの「骨太の方針」では、プライマリーバランス=基礎的財政収支の早期の黒字化実現を含め、今後の財政健全化に向けた取り組みを示すと説明して、理解を求めている。
国民にとっての関心事は社会保障である。社会保障をめぐっては、能力に応じてすべての世代が支え合う「全世代型社会保障」の改革を着実に進め、年金制度については働き方に中立的な制度とするなど将来にわたる安心をより確実なものにすると強調している。
昨今の能登半島の地震と、豪雨の災害で経験しているように、天災に脆弱な日本列島を見れば、災害の結果に先んじて、強固な列島の国作りが焦眉の重要な課題である。防災対策では、令和8年度中の「防災庁」の設置に向けて準備を加速するとともに、被災地での福祉支援やボランティアとの連携を進めるため、災害対策基本法などの改正案を国会に提出する考えを示している。5年間で15兆円程度の事業規模で実施されている政府の計画について、これを上回る規模の新たな計画を6月をめどに策定し、対策の強化を図る方針を打ち出すという。これは亦、治安対策と裏腹の関係であるが、治安を向上させ、「世界一安全な日本」を実現するとして、具体的な事例として、捜査員が架空の人物の運転免許証を使って「闇バイト」に応募し、犯行グループに接触する「仮装身分捜査」などにより検挙を徹底するということで、その考えを示した。
外交・安全保障では、日本を取り巻く安全保障環境が、戦後最も厳しく複雑になっているとした上で「バランス・オブ・パワーに常に最大限の注意を払い、関係国との緊密な意思疎通を重ねることが死活的に重要だ」と指摘している。その上で、アメリカのトランプ大統領と首脳会談を行って、安全保障や経済の課題について認識の共有を図り、日米同盟をさらに強化したいという考えを示した。同時に、インド太平洋地域へのアメリカの関与を確保するとともに、日本も同盟国として責任を共有し、応分の役割を果たさなければならないと強調したのである。問題は中国である。日本は中国と切っても切れない友好関係を持続して、アジアの平和と安定を築ていかねばならないと思っているので、首相にもそうした認識を持っていてもらいたいと感じているところであるが、中国については「主張すべきことは主張し、協力できる分野では協力する」として、首脳間を含むあらゆるレベルで意思疎通を図る考えを示して、積極的な姿勢を取っていることに共感を覚えたのである。
政治情勢が混乱して憂慮に耐えない韓国であるが、韓国については「内政上の動きはあるが重要性は変わらない」として、国交正常化から60年となることも踏まえ、緊密に意思疎通していくと説明して当たらず触らずに慎重な発言であった。また、ウクライナへの支援とロシアへの制裁を今後も強力に進めることや、海洋安全保障などの分野を通じて東南アジア各国との協力強化を図る方針も示したものであった。
又、政治改革をめぐっては「課題に結論を得るのは政治家の使命であり、民主主義をどのように支えるかの議論が重要だ」と指摘した上で、企業・団体献金を含む政治資金や政党の規律のあり方について、与野党の枠を超えて議論を深めたいと訴えるとともに、選挙制度についても、衆議院の小選挙区比例代表並立制が導入から30年経過したことを踏まえ、検証を行い、あるべき制度を議論したいと意欲を示した。
総じて石橋首相の施政方針演説では、少数与党の国会運営に心した内容となって、極力野党の反発を惹起せしめることを避け、穏便な政策運営によって国会を乗り切っていこうとする姿勢と努力がうかがえるもので、石破色を表明したものとなった。斯くして石破首相は、2024年の所信表明演説の結びとして、石橋湛山元総理大臣のことばを引用し、少数与党での政権運営について、「党派を超えた合意形成を図るため」与野党が責任ある立場で熟議し、国民の納得と共感を得られるよう努める姿勢を強調していたのである。誠意を示してお互いに議論し合い、より優れた政策を作成して実行していく国会と有らしめれば、国会の議事進行は、対立と抗争を避けて円滑な運営を以て国民の信託にこたえていくことが出来るはずである。少数与党の長所を生かし、国益に沿い野党の優れた意見を上手に取り入れた政策遂行に万全を期してもらいたいこと切なるものがあり、分刻みで動いておられている多忙な石破さんである。親愛なる石破さんのご健勝を切に祈る次第である。 1月26日
1月31日
吹く風は冷たいが、日差しは明るく暖かくなってきた。明日から早や2月である。慌ただしく過ぎていったこの月だが、二月と聞けば2日は節分の豆まき、そして良く日は立春である。
社団法人 昭和経済会
理事長